【FP3級 DAY22】所得税のしくみ
タックスプランニングの基本を理解して計算問題を攻略!
🎯 今日のテーマ
本日はタックスプランニング分野の入口となる所得税です。
「どんな収入が課税対象になるのか?」「どんな控除があるのか?」を押さえることで、
👉 計算問題や実技にも対応できるようになります。
📘 学習ポイント
🔹 1. 所得税の基本
💰 所得税の基本構造
📊 超過累進課税制度
日本の所得税は超過累進課税制度 → 所得が大きいほど、税率も高くなる仕組み。
所得の多い人により多くの税負担を求める「応能負担」の考え方です。
🔹 2. 所得の種類(10種類)
📋 FP3級でよく出るポイント!
| 所得の種類 |
主な内容 |
FP試験重要度 |
| 1. 利子所得 |
預金利子、公社債の利子など |
★★ |
| 2. 配当所得 |
株式配当、投資信託の収益分配金など |
★★ |
| 3. 不動産所得 |
家賃収入、地代収入など |
★★ |
| 4. 事業所得 |
個人事業主の利益 |
★★★ |
| 5. 給与所得 |
サラリーマンの給料 |
★★★ |
| 6. 退職所得 |
退職金 |
★★★ |
| 7. 山林所得 |
山林の売却益 |
★ |
| 8. 譲渡所得 |
株式・土地の売却益など |
★★★ |
| 9. 一時所得 |
懸賞金・保険の一時金など |
★★ |
| 10. 雑所得 |
年金・副業収入など |
★★★ |
👉 給与・退職・譲渡・雑 は特に出題頻度が高いです。
🔹 3. 所得控除の種類
💡 代表的な所得控除
🧑💼 基本的な控除
- 基礎控除(すべての人が対象)
- 配偶者控除・配偶者特別控除
- 扶養控除(子供・親など)
- 障害者控除
💊 実費系控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 寄附金控除(ふるさと納税など)
🏠 その他の控除
- 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
- 雑損控除(災害・盗難)
🔹 4. 所得税の計算式
🧮 基本の計算式
(総所得金額 - 所得控除)= 課税所得金額
⬇️
課税所得金額 × 税率 - 控除額 = 所得税額
📊 所得税の税率表(抜粋)
| 課税所得金額 |
税率 |
控除額 |
| ~195万円 |
5% |
0円 |
| 195万超~330万 |
10% |
97,500円 |
| 330万超~695万 |
20% |
427,500円 |
| 695万超~900万 |
23% |
636,000円 |
| 900万超~1,800万 |
33% |
1,536,000円 |
| 1,800万超~4,000万 |
40% |
2,796,000円 |
| 4,000万超 |
45% |
4,796,000円 |
👉 「課税所得金額に税率をかけた後、控除額を引く」点が重要。
📝 確認クイズ(5問)
各問題について、最も適切な選択肢を選んでください
Q1
日本の所得税はどのような制度で課税されるか?
✅ Day 22 テスト結果
正解一覧
Q1: ② 超過累進課税(所得が多い人ほど高い税率が段階的に課される仕組み)
Q2: ② 給与所得(サラリーマンの給料は給与所得・事業主の収益は事業所得)
Q3: ④ 非課税(宝くじの当選金は「非課税」・一方懸賞金は一時所得)
Q4: ② 総所得 → 所得控除 → 課税所得 → 税額(この流れが計算問題攻略の鍵)
Q5: ④ 住民税の税額控除(税額控除は「税額から直接差し引く」制度・所得控除とは区別)
✅ 解答・詳細解説
✅【Q1】「日本の所得税はどのような制度で課税されるか?」
正解:② 超過累進課税
解説:
日本の所得税は
超過累進課税制度を採用しています。所得が多い人ほど高い税率が段階的に課される仕組みです。
超過累進課税の特徴:
• 段階的税率:所得に応じて税率が5%~45%まで段階的に上昇
• 応能負担:支払い能力に応じた税負担
• 社会的公平:所得格差の是正効果
• 累進性:所得が2倍になっても税額は2倍以上になる
他の選択肢について:
• ①定額課税:所得に関係なく一定額の税金(×)
• ③一律課税:所得に関係なく同一税率(×)
• ④固定税率課税:税率が固定(×)
具体例:
課税所得200万円→税率5~10%
課税所得1,000万円→税率5~33%(段階的に適用)
試験ポイント:
「超過累進課税」「応能負担」「段階的税率」がキーワードです。
→ Day22「所得税のしくみ」参照
✅【Q2】「給与所得はどの種類に分類されるか?」
正解:② 給与所得
解説:
サラリーマンの給料は
給与所得に分類されます。雇用契約に基づいて支払われる報酬が該当します。
給与所得の特徴:
• 対象者:会社員、公務員、アルバイトなど
• 源泉徴収:勤務先が税金を天引き
• 給与所得控除:給与収入から自動的に控除
• 年末調整:勤務先で税額精算
給与所得の計算:
給与所得 = 給与収入 - 給与所得控除
※給与所得控除は収入に応じて自動計算
他の所得との区別:
• ①事業所得:個人事業主の利益(自営業者など)
• ③譲渡所得:資産の売却益
• ④雑所得:年金、副業収入など
実際の例:
• 会社員の月給・賞与 →
給与所得
• 個人事業主の売上利益 →
事業所得
• フリーランスの報酬 →
雑所得(場合により事業所得)
試験ポイント:
「雇用契約による報酬=給与所得」「自営業=事業所得」の区別が重要です。
→ Day1「ライフプランニングの手法」参照
✅【Q3】「『宝くじの当選金』は何所得に分類されるか?」
正解:④ 非課税
解説:
宝くじの当選金は
「非課税所得」として扱われ、所得税はかかりません。
宝くじが非課税の理由:
• 法的根拠:当せん金付証票法により非課税
• 購入時課税:宝くじ購入時に住民税が含まれている
• 社会的配慮:庶民の夢を守る政策的配慮
• 確定申告不要:当選しても申告の必要なし
似ているが課税される所得:
• 懸賞金・賞金 → 一時所得(50万円超は課税)
• 競馬・競輪の払戻金 → 一時所得
• 保険の一時金 → 一時所得
• クイズ番組の賞金 → 一時所得
一時所得の計算:
一時所得 = 収入 - 支出 - 50万円(特別控除)
※課税対象は一時所得の1/2
注意点:
宝くじ当選金を他人に贈与すると「贈与税」がかかる可能性があります。
試験ポイント:
「宝くじ=非課税」「懸賞金=一時所得」の違いを覚えましょう。
→ Day4「係数を使った資金の計算」参照
✅【Q4】「所得税の計算手順として正しいのはどれか?」
正解:② 総所得 → 所得控除 → 課税所得 → 税額
解説:
所得税の計算は4つのステップで行われ、この流れを正確に押さえるのが計算問題攻略の鍵です。
正しい計算手順:
Step1:各種所得を合算 → 総所得金額
Step2:基礎控除等を差引 → 所得控除後
Step3:課税対象額を算出 → 課税所得金額
Step4:税率適用・控除額減算 → 所得税額
具体的な計算例:
給与収入500万円の場合
①総所得金額:356万円(給与所得控除後)
②所得控除:基礎控除48万円等で合計120万円
③課税所得金額:356万円 - 120万円 = 236万円
④所得税額:236万円 × 10% - 97,500円 = 142,500円
各ステップの重要ポイント:
• 総所得金額:各種所得の合計(損益通算後)
• 所得控除:基礎控除・扶養控除など14種類
• 課税所得金額:実際に税率をかける金額
• 税額計算:超過累進税率+控除額方式
間違いやすいポイント:
• 所得控除と税額控除を混同する
• 収入と所得を混同する
• 計算順序を間違える
試験ポイント:
「総所得→所得控除→課税所得→税額」の4ステップは必須です。
→ Day22「所得税のしくみ」参照
✅【Q5】「所得控除に含まれないものはどれか?」
正解:④ 住民税の税額控除
解説:
税額控除は「税額から直接差し引く」制度で、所得控除とは全く異なる概念です。
所得控除と税額控除の違い:
所得控除:課税所得金額を減らす
• 基礎控除、扶養控除、医療費控除など
• 所得から差し引いてから税率をかける
税額控除:所得税額から直接減らす
• 住宅ローン控除、外国税額控除など
• 計算した税額から直接差し引く
計算への影響の違い:
所得控除10万円の効果
税率20%なら:10万円 × 20% = 2万円の税額軽減
税額控除10万円の効果
税額から直接:10万円の税額軽減
主な所得控除(正解の①②③):
• ①医療費控除:年間医療費が10万円超の部分
• ②基礎控除:全員対象(48万円)
• ③生命保険料控除:保険料の一部控除
主な税額控除:
• 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
• 外国税額控除
• 配当控除
• 住民税の税額控除
試験ポイント:
「所得控除=所得から引く」「税額控除=税額から引く」の区別が重要です。
→ Day23「所得控除・税額控除の違い」参照予定
🗺️ Day22 まとめ
| 問題 |
正解 |
ポイント |
| Q1 |
② 超過累進課税 |
所得が多いほど税率も段階的に高くなる |
| Q2 |
② 給与所得 |
雇用契約による報酬は給与所得 |
| Q3 |
④ 非課税 |
宝くじ当選金は非課税(懸賞金は一時所得) |
| Q4 |
② 総所得 → 所得控除 → 課税所得 → 税額 |
計算問題攻略の基本ステップ |
| Q5 |
④ 住民税の税額控除 |
税額控除≠所得控除(概念が異なる) |
🔑 試験での覚え方ポイント
🧮 計算の基本
• 超過累進課税制度
• 4ステップの計算手順
• 所得控除→課税所得→税額
💰 所得の分類
• 10種類の所得分類
• 給与・退職・譲渡・雑が頻出
• 宝くじは非課税
📋 控除の理解
• 所得控除vs税額控除
• 基礎控除は全員対象
• 医療費・生命保険料控除
📊 税率表の活用
• 課税所得×税率-控除額
• 5%~45%の段階税率
• 控除額の差し引き忘れ注意
所得税の仕組み理解がタックスプランニングの出発点!
📌 今日のまとめ
- 所得税は 超過累進課税制度
- 所得は10種類に分類される
- 計算は「総所得 → 所得控除 → 課税所得 → 税率 → 税額」の順
- 所得控除と税額控除は区別する
🔑 重要ポイント
📊 所得税の基本構造
📋
所得分類
10種類の所得
給与・退職・譲渡・雑が頻出
🔧
控除制度
所得控除と税額控除
基礎・扶養・医療費など
🎯 試験対策ポイント
頻出の所得分類
- 給与所得:サラリーマンの給料
- 退職所得:退職金(特別な計算方法)
- 譲渡所得:株式・不動産の売却益
- 雑所得:年金・副業収入
計算のコツ
- 手順厳守:4ステップを順番通りに
- 控除額忘れ注意:税率×課税所得-控除額
- 非課税所得:宝くじは課税されない
- 控除の区別:所得控除≠税額控除
💡 学習のポイント
「所得税の仕組み理解がタックスプランニングの出発点」
超過累進課税・10種類の所得分類・計算手順・控除制度
これらの基本をしっかり押さえて次のステップへ!
⏭️ 次回予告
Day23:所得控除・税額控除の違い
控除の種類を整理し、計算問題の得点源にしていきましょう!基礎控除・扶養控除・医療費控除から住宅ローン控除まで、控除制度の全体像を把握します。
▶ 次回:DAY23「所得控除・税額控除の違い」へ