不当な減額要求を断る冷静な6ステップ
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❄️ 不当な減額要求を断る冷静な6ステップ ― 誠実なクレーム vs 要求クレームを区分けし、対応策を明確に(エビデンス付き)
サービス提供者(店舗・フリーランス・B2C事業・士業など)にとって、「料金を減額してほしい」といきなり言ってくる依頼者・顧客は悩ましい存在です。
一方で、すべてのクレームがそうではなく、誠実に「問題をただしてほしい」「説明をしてほしい」という人も多々います。
本稿では、誠実タイプと要求タイプを区分けし、民法・カスタマーハラスメント対策ガイドラインを踏まえた適切な対応方法を解説します。
🎯 まずはクイズで理解度チェック!
1️⃣ 契約・損害賠償の法的エビデンス
サービス提供契約において、減額要求や返金請求が法律的に認められるかどうかを判断するには、以下の法理が参考になります。
民法第415条(債務不履行による損害賠償):
「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は履行が不能であるときは、債権者はこれによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」
民法415条では、損害賠償請求が認められるための要件として以下が必要とされています:
- 債務不履行の事実(契約通りに履行されなかったこと)
- 損害の発生(実際に損害が生じたこと)
- 因果関係(債務不履行と損害の間に因果関係があること)
- 債務者の帰責事由(債務者に責任があること)
咲くやこの花法律事務所(2025):
債務不履行に基づく損害賠償請求の要件事実は、①当事者間で契約を締結したこと、②債務の発生、③債務不履行、④損害の発生と因果関係の4つです。これらについての主張・立証責任は債権者側(請求する側)にあります。また、債務者の帰責事由がないことについての立証責任は債務者側にあります。
📌 つまり
損害(実害)・因果関係・過失(責めに帰すべき事由)の3要件がそろわなければ、事業者側が減額・返金を義務的に行う法的根拠は薄いということです。
サービス提供者側は「実害があるかどうか」をまず見極めたうえで、対応を決めるのが実務的に正しいと言えます。
2️⃣ 3タイプの顧客分類と対応方針
まず、対応を区別しやすくするために、3つのタイプに分けます。
| タイプ | 実害の有無 | 対応方針 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 誠実タイプ | 多くは「なし」または軽微 | 謝罪+説明+改善策 | 信頼回復が目的 |
| 実害ありタイプ | 顧客に明確な損害あり | 補償検討+合理的金額+合意書面 | 法的リスクあり・慎重対応 |
| 要求タイプ(実害なし) | 実害証明なし/減額要求あり | 譲歩せず毅然対応+記録保全 | 利益要求型・エスカレート注意 |
この3タイプを使えば、「このクレームはどのタイプか?」「どの対応方針を取るべきか?」を整理しやすくなります。
🔍 あなたの対応すべきタイプを診断しよう
3️⃣ 要求タイプ(減額要求・実害なし)の深掘り
こちらが本稿で最も掘り下げる対象です。「減額を要求してくるが、実害が証明できない」ケースの特徴・対応策を具体的に整理します。
📌 発生状況の典型
このような構図が揃っているなら、まさに「要求タイプ・実害なし」です。
📌 なぜこのケースが注意すべきか
⚠️ 4つのリスク
- 前例リスク:実害がないため、減額を認めると"要求すれば下がる"という前例になる。他の顧客に同じ構図が波及するリスク
- 長期化リスク:対応が長期化・頻発化しやすい。リソース(時間・人件費・精神)が奪われる
- エスカレートリスク:理論的な弱さを補強しようと、顧客が体制批判・脅しを繰り出す。この対応ミスが後日、提供者にとって"誠意を示した証拠"として使われかねない
- 新たな攻撃材料リスク:こちらの説明・訂正後も主張が変わらなければ、新たな攻撃材料になる。不要な議論が長引く
📌 カスタマーハラスメント(カスハラ)との関連
厚生労働省は2022年に「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を公表し、企業が従業員を守るための指針を示しています。
厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(2022):
カスタマーハラスメントとは、顧客等からのクレーム全てを指すものではありません。顧客等からのクレームには、商品やサービス等への改善を求める正当なクレームがある一方で、過剰な要求を行ったり、商品やサービスに不当な言いがかりをつける悪質なクレームもあります。不当・悪質なクレーム、いわゆるカスタマーハラスメントからは従業員を守る対応が求められます。
厚生労働省のマニュアルでは、カスハラに該当しうるものとして以下を挙げています:
⚠️ カスハラに該当しうる場合
① 顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合
- 企業等の提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない場合
- 要求内容が、企業等の提供する商品・サービスとは関係がない場合
② 要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な言動
- 身体的・物理的な攻撃(暴行・傷害)
- 精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言)
- 土下座の要求
- 継続的・執拗な言動
4️⃣ 要求タイプへの6ステップ対応策
以下、実務的なステップとして示します。
顧客との信頼関係を維持するためには、事実関係を認めることがまず大切です。
例:「この度はご案内に不足があり、大変申し訳ございませんでした。正しくは〇〇でございます」
法的・契約的な観点から説明を付加すると、顧客側の要求の構図を正しく位置づけできます。
例:「本サービスの料金は契約・提供内容に基づいており、任意に金額を変更する義務はございません。民法415条に基づく損害賠償請求が認められるためには、債務不履行の事実・損害の発生・因果関係・債務者の帰責事由が必要となります」
電話対応は録音・曖昧・言い逃れ可能性が高く、記録が残らないためリスクです。
必ず文面でのやり取りを徹底しましょう。
提供者側の体制を追及すること自体が目的化しているケースが多いため:
例:「内部運営に関する情報は公開しておりません」
例:「その点につきましては、ご判断にお任せいたします」
この一言で、相手の"武器"を無効化できます。
このタイプは"収束させづらい構図"を持つため、早期に「継続=コスト」と判断することも必要です。
例:「本件につきましては、契約を終了してご自身で対応いただく方が双方にとって適切と判断される場合がございます」
📌 鍵となる反応ポイント(チェックリスト)
✅ 要求タイプ判定チェックリスト
このチェックを早めに行うと、対応方針がぶれずに済みます。
5️⃣ 誠実タイプ・実害ありタイプの対応(簡略版)
📌 誠実タイプ
✅ 対応のポイント
- ミスや説明不足があれば、速やかに謝罪
- 事実関係を整理して説明し、改善策を示す
- 顧客が安心を求めていることを理解し、丁寧に言葉を添える
- 減額要求が出ていない時点であれば、むしろ信頼回復のチャンスと捉える
📌 実害ありタイプ
⚠️ 対応のポイント
- 顧客に明確な金銭的損害・機会喪失があり、提供者側の契約不履行や説明不足が原因である可能性が高い
- 事実確認・証拠収集を徹底。契約書・見積書・提供記録・顧客の損害内容などを整理
- 補償・返金・代替提供・減額請求の可能性もあるため、合意書面を作成して対応
- 法的リスクを踏まえ、慎重かつスピーディーな対応が不可欠
「ミスは謝るピヨ。でも『得したいから料金を下げろ』ってのは交渉ピヨ」
まず"損したか"を一緒に見て、線を引くピヨ!🐥
大事なポイント:
① 実害があるか?(金銭的損害・機会喪失)
② 提供側に過失があるか?
③ 因果関係はあるか?
この3つが全部揃ってなければ、減額する義務はないピヨ〜💡
「録音してます」「弁護士に相談します」って言われても、
「ご判断にお任せします」って冷静に対応するピヨ!
感情的にならず、記録を残して、事実で対応ピヨ〜✨
6️⃣ まとめと今後の心得
✅ 5つの重要ポイント
1. 「実害あり/実害なし」の線引きをしっかり持つこと
民法415条の要件(債務不履行・損害・因果関係・帰責事由)を基準に判断
2. 3タイプ(誠実タイプ/実害ありタイプ/要求タイプ)を用いて対応方針を使い分ける
どのタイプかを見極め、適切な対応を選択
3. 特に「要求タイプ(実害なし・減額要求)」には早期に線を引く
記録を残すこと・毅然とした対応を取ることが鍵
4. 誠実なクレームには、誠意を持って応対
信頼回復・関係強化のチャンスとなる
5. 記録(エビデンス)を残すことで、提供者側の防御力は格段に上がる
メール・チャット・LINEなど、文面でのやり取りを徹底
📊 エビデンス・参考資料
- 民法第415条(債務不履行による損害賠償)
- 咲くやこの花法律事務所. (2025). 「債務不履行の場面の損害賠償請求についてのわかりやすい解説」 https://kigyobengo.com/media/useful/2096.html
- マネーフォワード クラウド契約. (2025). 「民法415条とは? 損害賠償請求の要件や範囲をわかりやすく解説」 https://biz.moneyforward.com/contract/basic/21384/
- 厚生労働省. (2022). 「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf
- 厚生労働省. (2022). 「「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」等を作成しました!」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24067.html
- 政府広報オンライン. (2025). 「カスハラとは?法改正により義務化されるカスハラ対策の内容やカスハラ加害者とならないためのポイント」 https://www.gov-online.go.jp/article/202510/entry-9370.html
- 東京都. (2024). 「カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)」 https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/plan/kasuharashishin_slide0612.pdf
- BUSINESS LAWYERS. (2024). 「契約不適合責任とは?追及手段や期間制限などわかりやすく解説」 https://www.businesslawyers.jp/practices/1477
- 上原総合法律事務所. (2024). 「契約不履行での損害賠償請求|基本的な要件・内容を元検事の弁護士が解説」 https://keiji-kaiketsu.com/column/7033/
最後に:感情ではなく構造で判断する
減額要求への対応は、「実害の有無」「法的根拠」「顧客タイプ」の3つを基準に判断することで、公平かつ適切な対応が可能になります。
感情に流されず、記録を残し、事実に基づいて対応する。
これが、サービス提供者を守り、健全なビジネス関係を築く最善の方法です。


