登山届は必要?どこに提出する?初心者が知っておきたい山の安全ルール

登山届は必要?どこに提出する?初心者が知っておきたい山の安全ルール
🎧 音声で聞く|高尾山106人の遭難を防ぐ登山届
通勤中や作業の合間にも「ながら理解」できます(再生でXP+5)
「近くの山へ日帰りで行くだけだから、登山届はいらないよね?」
「そもそも登山届って、どこへ出すの?」
「低い山でも必要なの?」
初めて登山やハイキングへ行くと、意外と分からないのが登山届(登山計画書)です。結論からいうと、登山届は全国すべての山で法律上必須というわけではありません。しかし、一部の自治体や山域では条例によって提出が必要とされており、場所によっては未提出に罰則が設けられているケースもあります。警察庁も、安全な登山計画の確認や遭難時の捜索・救助につながるとして、登山届の作成・提出を呼びかけています。「義務じゃない山だから出さなくてもいい」と考えるより、山へ入る前の安全確認の一つと考えておくと分かりやすいでしょう。
📌 この記事で分かること
- そもそも登山届とは何か
- 登山届が義務になる山と罰則
- 登山届の提出方法(オンライン/ポスト/郵送)
- 家族へ計画を共有する重要性
- 低い山でも遭難する理由
- 初心者が確認すべき安全ルール6つ
- 出発前5分チェックリスト
そもそも「登山届」とは?
登山届とは、誰が、いつ、どの山へ、どのルートで登るのかなどを事前にまとめて提出するものです。「登山計画書」「登山者カード」などと呼ばれる場合もあります。警察庁では、登山届について、遭難が発生した際に警察などが迅速に対応するための情報になるだけでなく、登山者自身が安全な計画になっているか確認する機会にもなるとしています。一般的には、氏名・連絡先、登山する山、入山日・下山予定日、登山ルート、同行者、緊急連絡先、装備、宿泊場所、下山予定時刻などを記載します。
カイピヨくんの一言
「警察に提出するためだけじゃなく、自分の登山計画を確認する意味もあるんだね!」
その通りです。たとえば登山届を作っていて、「下山予定が夕方18時になっている」「休憩時間がほとんどない」「途中で引き返せるルートを知らない」と気付けば、出発前に計画を見直すことができます。
登山届は必ず提出しないといけない?
全国一律で義務ではない
日本全国すべての山について、「登山する人は必ず登山届を出さなければならない」という全国一律のルールがあるわけではありません。ただし、自治体によって独自の条例が設けられていることがあります。警察庁も、一部自治体では条例によって登山届の提出が義務付けられていると説明しています。つまり、登る山によってルールが違うということです。
登山届が義務になる山もある
長野県|指定登山道では提出が必要
長野県では、「長野県登山安全条例」に基づき、県内の指定登山道を通行する場合に登山計画書の届出が必要です。対象には北アルプス、中央アルプス、南アルプス、八ヶ岳など、多くの主要山域が含まれています。
岐阜県|対象エリアでは罰則もある
岐阜県では、山岳遭難防止条例の対象となる北アルプスや一部の活火山地域などで登山届の提出が義務付けられています。対象区域で登山届を提出せずに登山した場合や、虚偽の登山届を提出した場合には、5万円以下の過料が科される規定があります。
富山県|時期・山域によって特別なルールも
富山県では、12月1日から翌年5月15日までの間に剱岳周辺の指定された危険地域へ入る場合、「富山県登山届出条例」に基づいて、原則として登山日の20日前までに登山届を提出する必要があります。このように、「登山届が必要か?」は山だけでなく、ルートや季節によって変わる場合があります。そのため、登山へ行く前には、「〇〇山 登山届 県警」「〇〇山 登山届 自治体」などで、登る山を管轄する警察・自治体の最新情報を確認しておくことが大切です。
下のツールで、行き先の登山届ルールをチェックしてみよう
都道府県を選ぶと、登山届に関する基本ルールの目安が表示されます。
行き先に近いものを選んでください(利用でXP+5、バッジ獲得)。
登山届はどこに提出する?
登山届の提出方法は山域によって異なりますが、大きく分けると次の方法があります。
| 提出方法 | 内容 |
|---|---|
| オンライン | 自治体の電子申請、対応する登山アプリなど |
| 警察・自治体 | 都道府県警察や自治体へ提出 |
| 登山届ポスト | 登山口などに設置されたポストへ投函 |
| 郵送など | 地域によって郵送・FAX・メールなどに対応 |
警察庁も、登山口の登山届ポストのほか、インターネットや登山地図アプリなどを利用して、都道府県警察や自治体へ提出するよう案内しています。
スマホから登山届を出せる?
対応している山域であれば可能です。たとえば長野県では、ながの電子申請サービス、コンパス、YAMAPなどから登山計画書を提出できます。登山口に設置されている登山ポストへの提出にも対応しています。富山県警察も、6月から10月の登山計画書について、オンラインの「コンパス」やYAMAPを利用した提出を案内しています。
家族にも登山計画を伝えておこう
登山届を警察や自治体へ提出したからといって、それだけで準備完了ではありません。警察庁は、登山計画書・登山届を、一緒に登山する仲間だけでなく、家族や職場などとも共有するよう呼びかけています。たとえば家族には、「〇〇山へ行く」だけではなく、登山口、予定ルート、入山時刻、下山予定時刻、同行者といった情報を伝えておきます。万が一、予定時間を大幅に過ぎても帰ってこない場合、捜索を始めるための重要な手掛かりになります。
カイピヨくんの一言
「登山届を出したから安心!じゃなくて、家族にも予定を伝えるんだね。」
下のツールで、家族への共有メッセージを作ってみよう
登山口・ルート・時間・同行者を入力すると、そのままコピーして送れる文章を作成します。
分かる範囲で入力してください(利用でXP+5、バッジ獲得)。
「低い山だから安全」とは限らない
「本格的な登山じゃないから大丈夫」と思ってしまうことがあります。しかし、遭難は3,000m級の山だけで起きているわけではありません。警察庁によると、2025年(令和7年)には全国で3,122件の山岳遭難が発生し、遭難者は3,623人でした。死者・行方不明者は332人となっています。遭難の原因・態様では、道迷い30.9%、転倒19.2%、滑落17.3%となっており、「道に迷う」が最も多くなっています。さらに警察庁の資料では、東京都の高尾山でも2025年に106人の遭難者が確認されています。つまり、「標高が低い=遭難しない」ではありません。初心者向けの山でも、道迷いや転倒、体調不良などは起こり得ます。
初心者が知っておきたい登山の安全ルール
登山届とあわせて、初めて山へ行く人が最低限確認しておきたいポイントを整理します。
①自分の体力に合った山を選ぶ
「初心者向け」と書いてあるから大丈夫、と決めつけないことが重要です。確認したいのは、歩行距離、高低差、標準コースタイム、急登の有無、岩場の有無、下山までの時間です。警察庁も、体力・技術・経験・体調に見合った山を選び、休憩時間を含めて余裕のある登山計画を立てるよう求めています。初心者なら、「行けるギリギリの山」ではなく「余裕を持って帰れる山」を選びましょう。
②出発前に天気を確認する
自宅が晴れていても、山も晴れているとは限りません。山では天候が変化することがあります。出発前には、天気、気温、雨、風、雷、登山道の状況などを確認します。警察庁も、最新の気象情報を確認したうえで登山計画を立てるよう呼びかけています。「せっかく来たんだから」と無理をしないことも大切です。
③地図を用意する
スマートフォンの登山地図アプリは、現在地を確認するために便利です。しかし、スマホだけに頼り切るのも危険です。山では、電波が入らない、バッテリーがなくなる、スマホを落とす、雨で操作できなくなるといったことも考えられます。警察庁も、GPS機能付きスマートフォンは救助要請に有効である一方、山岳では通信可能エリアが限られることや、バッテリー残量に注意する必要があるとしています。モバイルバッテリーを準備し、必要に応じて紙の地図なども併用しましょう。
④水・食料・雨具を持っていく
短時間のハイキングでも、「予定より時間がかかった」ということがあります。最低限、水分、行動食、雨具、防寒・体温調整できる服、スマートフォン、モバイルバッテリー、地図、必要な救急用品などを準備しておきます。登る山や季節によって必要な装備は変わります。警察庁も、登山靴、雨具、地図、コンパス、行動食、通信機器、予備バッテリーなどを、登る山の状況に合わせて準備するよう呼びかけています。
⑤「引き返す」という選択肢を持つ
山頂まで行くことだけが登山の成功ではありません。「雨が強くなってきた」「思ったより疲れている」「予定より時間が遅れている」「道が分からなくなった」こんなときは、引き返す判断も必要です。警察庁も、「道に迷ったかも」と思った場合は、むやみに先へ進まず、歩いてきたルートをたどって正規の登山道へ戻るなど、早めに登山を中止するよう呼びかけています。登頂することより、安全に帰ることの方が大切です。
⑥初心者の単独登山は慎重に
初めての山を一人で登る場合は、特に注意が必要です。警察庁の2025年統計では、単独登山中に遭難した1,367人のうち、死者・行方不明者は209人で15.3%でした。複数人で登山して遭難した人の死者・行方不明者の割合は5.5%で、単独登山の方が9.8ポイント高くなっています。警察庁も、単独登山はトラブル発生時の対処が難しくなりやすいため、信頼できるリーダーを中心とした複数人での登山に努めるよう案内しています。初心者の場合は特に、経験者と一緒に登るという選択も考えてみましょう。
登山前の「5分チェック」
初めて山へ行くなら、出発前に最低でも次の項目を確認してみてください。タップするとチェックが付きます(タップでXP+1、全項目完了でバッジ獲得)。
全部確認できてから出発するのが基本です。
よくある質問
日帰りか宿泊かだけで決まるわけではありません。条例で提出が義務付けられている山域では、日帰りであっても対象になる場合があります。登る山を管轄する自治体・警察の情報を事前に確認してください。
登る場所やルートによります。義務のない場所でも、登山届を作成することでルートや下山予定時間、装備などを確認できます。警察庁も安全確認や遭難時の捜索救助につながるとして提出を推奨しています。
登山ポストが正式な提出方法として用意されている山域なら利用できます。ただし、すべての登山口にポストがあるわけではありません。たとえば長野県も、登山ポストがない登山口があるため注意するよう案内しています。
山域・利用方法によります。長野県や富山県など、YAMAPからの提出に対応している地域がありますが、すべての山・自治体について同じとは限りません。アプリ上で登山計画を作成するだけでなく、登山届の提出まで完了しているか確認することが大切です。
まとめ|登山届は「遭難してから」のためだけではない
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 全国一律で義務? | いいえ |
| 義務の山はある? | ある |
| 罰則がある地域は? | 一部あり |
| 主な提出先 | 警察・自治体・登山ポストなど |
| オンライン提出 | 対応地域では可能 |
| 家族への共有 | しておく |
| 初心者でも必要? | 安全確認のため作成・提出を推奨 |
登山届というと、「遭難したときに警察が見る書類」というイメージがあるかもしれません。しかし、もう一つ大切なのが、登る前に自分の計画を整理することです。何時に出発するのか。どのルートを歩くのか。何時までに下山するのか。途中で引き返す場所はあるのか。天気は大丈夫なのか。必要な装備はそろっているのか。こうしたことを一つずつ確認していくこと自体が、安全な登山につながります。警察庁も、登山計画書・登山届を捜索救助の手掛かりだけでなく、計画に不備がないか事前確認するものと位置付けています。「初心者向けの山だから大丈夫」ではなく、「初心者だからこそ、行く前に整理しておく」という考え方で山を楽しみましょう。
カイピヨくんの一言
「山頂に着くことより、無事に家まで帰ることが一番大事だね!」
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山頂に着くことより、無事に家まで帰ることが一番大事。
お出かけ前の安全確認や、暮らしの備えのご相談は、となりの解決屋さんへお気軽にどうぞ。
解決ドットコム(となりの解決屋さん)→ kaik-2.com/tonari※本記事は、警察庁「令和7年における山岳遭難の概況等」「登山届」、長野県「登山計画書を届出しましょう」、岐阜県「山岳遭難防止条例」、富山県警察「登山計画書等提出先」等の公表情報を基にした一般的な解説です。最新のルールは、登る山を管轄する警察・自治体で必ずご確認ください。
執筆:横田 和也/解決ドットコム


