9月末の請求漏れを防ぐ方法|未請求・未入金・見積保留の確認リスト

9月末の請求漏れを防ぐ方法|未請求・未入金・見積保留の確認リスト
🎧 音声で聞く|売上はあるのに口座が空な正体
移動中や作業の合間にも「ながら理解」できます(再生でXP+10)
「納品したのに請求書を出していなかった」「請求書は送ったけれど入金されていない」「見積書を出した案件が、その後どうなったか分からない」「営業は完了したと思っているけれど、経理には情報が来ていない」「月末になって初めて請求漏れに気づいた」
中小企業では、売上を増やすことに意識が向きやすい一方、受注した仕事を確実に請求し、入金まで確認するという最後の工程が抜けることがあります。J-Net21(中小企業基盤整備機構)は、販売管理を見積書の提示、受注、出荷・納品、売掛金の回収までの一連の業務として整理しています。また、販売業務は顧客へ代金を請求し、入金を確認できた時点で完結するとしています。
つまり、契約を取った→納品した→売上になった、だけでは終わりではありません。見積→受注→納品・検収→請求→入金までつながって初めて一つの取引が完了します。特に4月始まりの会社では9月末が上期終了にあたるため、半年分の案件を整理する良いタイミングです。
📌 この記事で分かること
- 未請求・未入金・見積保留の違いと、なぜ請求漏れが起きるのか
- 9月末に確認する順番と、営業・現場・経理の情報をどう合わせるか
- スプレッドシートで管理する項目と、探すべきは「金額」より「空欄」という考え方
- 入金確認・消し込みの方法と、請求漏れを翌月以降に繰り返さない仕組み
- 案件の現在地を診断するツールと、経営者向けダッシュボード計算機
まず結論|9月末に見るのは3種類
まず案件を、未請求・未入金・見積保留の3つに分けます。
| 状態 | 意味 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 未請求 | 請求できる状態なのに請求書を出していない | なぜ発行されていない? |
| 未入金 | 請求済みだが入金が確認できない | 支払期限は過ぎている? |
| 見積保留 | 見積提示後、受注・失注が確定していない | 今も商談中?終了? |
重要なのは、全部を「請求漏れ」とまとめないことです。原因も、担当者も、次の行動も違います。
カイピヨくんのひとこと
「お金が入ってない」で一括りにせず、どの段階で止まっているかを見るんだね。
請求管理は「請求書一覧」だけでは足りない
請求漏れを防ごうとして、請求書一覧を作ろうとなることがあります。もちろん必要です。しかし、請求書一覧には通常、すでに請求書を作った案件しか載りません。問題なのは、そもそも請求書を作るべき案件が一覧に載っていないケースです。だから確認するスタート地点は、請求書ではありません。
見積から入金まで一本にする
管理したいのはこの流れです。見積→受注→作業中→納品→検収→請求→入金。案件が今、どこにいるかを確認できる状態にします。J-Net21も、見積書について提示後の受注成否を把握すること、売掛金について請求・未入金・督促まで管理する体制が必要だとしています。
①未請求とは?
例えば、8月25日に納品→顧客検収完了→8月31日締め→請求書未発行、という状態です。仕事は終わっています。でも請求していません。この場合、売上を作る業務は終わっていても、お金を回収する業務が止まっています。
未請求が怖い理由
請求書を1週間遅く出したからといって、必ず回収できなくなるわけではありません。ただし取引先の支払処理に締め日がある場合、請求漏れ→相手の締め処理に間に合わない→翌月処理→入金が1か月後ろへ、となる可能性があります。J-Net21も、売掛金の発生から回収までの期間が長くなるほど資金繰りへ影響するため、請求遅れと回収漏れを防ぐことが重要としています。
未請求が起きる典型例①|営業と経理が分かれている
営業「納品終わりました」→経理「その情報を知りません」です。営業担当者の頭の中では案件完了でも、経理側では請求条件不明のまま。この場合、人が忘れたというより、完了情報が次工程へ渡る仕組みがないことが原因です。
典型例②|検収待ちのまま止まる
納品:8月20日。ところが管理表は「納品済み」だけ。顧客から検収OKが来たのか分かりません。すると経理も、請求していいの?となります。
典型例③|追加作業が発生する
当初見積:30万円、追加作業:5万円。ところが「追加分の金額を確定してから請求しよう」としているうちに、30万円分まで請求されていない。こうした場合は、本体・追加分を分けて請求できないかなど、契約条件を確認する必要があります。
典型例④|月末請求を担当者の記憶に頼っている
例えば毎月25日になると、「今月請求する案件って何だっけ?」とSlackやメールを探す。これは、請求業務ではなく、案件捜索業務になっています。
②未入金とは?
未入金は、請求書を出したが、お金がまだ入っていない状態です。ただし、未入金=支払遅延ではありません。例えば、請求日:9月10日・支払期限:10月31日なら、9月30日に入金がなくても正常です。そこで分けます。
「入金前」と「支払期限超過」を分ける
例えば、請求額10万円・支払期限10月31日なら入金待ち、請求額20万円・支払期限9月30日なら当日確認、請求額30万円・支払期限8月31日なら期限超過です。全部を未入金と表示すると優先順位が分かりません。おすすめは、入金待ちと期限超過を分けることです。
売上はあるのに資金繰りが苦しい理由
9月売上:500万円、でも9月入金:200万円なら、9月に実際に使えるお金は別です。売上と現金の入るタイミングは一致しないことがあります。J-Net21は、売上債権の回収が長期化すると資金繰りが悪化するため、売掛金がいつ発生し、いつ回収予定なのかを得意先別に管理することを勧めています。
未入金を見つけたら、まず確認する
いきなり「支払いが遅れています!」と強い督促をする前に確認します。自社で入金確認を見落としていないか・振込名義が違っていないか・請求書が先方へ届いているか・請求金額に相違がないか・支払期限の認識が合っているか、です。
期限を過ぎていたら放置しない
確認の結果、実際に期限を過ぎているなら、早めに取引先へ確認します。J-Net21は、入金予定日に入金されているか定期的に確認し、遅れが分かった場合には迅速に連絡して遅延理由と入金予定を確認することを勧めています。また、売掛金管理について最低でも月1回は取引先ごとの残高や回収期間を確認するよう案内しています。
③見積保留とは?
これは意外と見落とされます。例えば、8月1日:50万円の見積提出。その後、連絡なし。9月30日になっても管理表は「見積提出済み」のまま。受注なのか、失注なのか、検討中なのか、分かりません。
見積は「出した件数」ではなく結果まで見る
J-Net21も、見積書を適切に管理し、提示後の受注の成否を把握することを見積管理のチェックポイントに挙げています。見積提出→終わり、ではなく、見積提出→受注または失注または保留、まで整理します。
見積保留を放置すると何が困る?
第一に、売上見込みが分からない。第二に、営業が追うべき案件が分からない。第三に、すでに終わった案件が「見込み売上」に残る。例えば、見積保留1,000万円と表示されていても、実際には700万円分はほぼ失注かもしれません。それでは下期の売上予測を誤ります。
🧾 案件ステータス診断ツール|今どこで止まっている?
案件について、済んでいる項目をすべてタップしてください。今どこで止まっていて、次に何をすべきかを表示します。
この案件、済んでいる項目はどこまで?
見積〜入金まで、済んでいる項目をタップしてください(利用でXP+10、バッジ獲得)。
管理表で探すべきは「金額」より「空欄」
一覧を作ったら、大口案件だけを見るのではありません。探したいのは、本来入っているはずなのに空欄になっている項目です。納品日あり・検収日あり・請求日なし、なら要確認。請求日あり・支払期限あり・入金日なし、なら入金確認。見積日あり・最終更新なし、なら営業確認、です。
9月末の確認は経理だけでやらない
請求漏れは、経理のミスとは限りません。営業は受注条件を知っている、現場は納品・検収状況を知っている、経理は請求・入金状況を知っている。それぞれ持っている情報が違います。
3部署の情報をつなぐ
営業「受注した」→現場「納品した」→経理「請求する」→経理「入金確認」→営業「必要なら顧客確認」という流れです。J-Net21も、売掛金管理は会計・経理担当だけでなく、営業を含め組織的に対応することを勧めています。
「誰が請求する?」を明確にする
意外と多いのが、営業「経理がやると思っていました」、経理「営業から連絡が来ると思っていました」です。そこで、請求書を発行する人だけでなく、請求可能になったことを知らせる人も決めます。例えば、担当者が「納品済」→「検収済」へ変更→経理へ自動通知→経理が請求書発行→請求日・支払期限入力、という流れです。
「請求漏れゼロ」はチェックではなく仕組みで作る
毎月「月末にみんなで気を付けましょう」だけでは再発します。必要なのは、状態が変わったら次の担当へ渡る仕組みです。
例えばチェック日を固定する
月末1回だけではなく、毎月20日(今月請求予定の案件)・25日(未検収・未請求)・月末(最終確認)などに確認します。これなら月末に30件まとめて探す必要がありません。
「請求予定日」を持つ
非常に有効なのが、請求予定日です。例えば、A案件(検収9/20・請求予定9/25)、B案件(検収9/26・請求予定9/30)、C案件(検収10/3予定・請求予定10/5)。こうすると、今日、発行すべき請求書が分かります。
支払条件も案件開始時に確認する
J-Net21は、受注段階で、請求締切日・入金日・支払方法などを確認することが重要としています。つまり、請求するときに支払条件を確認するのでは遅い場合があります。受注時点で確認します。「月末締め翌月末払い」だけでも、請求書必着日は?電子請求?指定フォーマット?発注番号が必要?検収書が必要?など、取引先独自の条件があります。ここが抜けると、請求書を送った→不備で差し戻し→翌月処理、になる可能性があります。
請求漏れと「請求間違い」は分ける
請求管理では、出していないだけではありません。金額違い・宛名違い・案件番号抜け・発注番号抜け・税額違い・支払条件違い、などがあります。これらは、未請求ではなく、請求不備として別ステータスにすると管理しやすくなります。
「請求済み」は送信確認まで
請求書ファイルを作っただけで、請求済みにしてはいけません。PDF作成→PC保存→メール送信忘れ、なら未請求と同じです。そのため、請求書作成日とは別に、送付日を持ってもよいでしょう。
入金確認は「通帳を見る」だけではない
例えば、請求額110,000円・入金額109,340円だった場合。振込手数料を差し引かれたのか、別の請求と合算されたのか、単純な不足なのか。確認が必要です。
消し込みとは?
請求した金額と、実際の入金を照合して、この入金はこの請求分と確定する作業です。J-Net21も、顧客別売掛金管理では、入金があれば売掛金を消し込むことを勧めています。特に個人名で振込・複数請求をまとめて振込・グループ会社名義・振込名義変更などでは分からなくなることがあります。不明入金も、放置せず確認します。
💰 9月末 経営者ダッシュボード計算機
案件を整理したら、経営側では次の5つの数字を確認します。①未請求総額(請求できるのに出していない金額)②期限超過未入金額(支払期限を過ぎた売掛金)③見積保留総額(受注・失注が確定していない見積)④最古の未入金日数(一番古い売掛金は何日止まっているか)⑤請求漏れ件数(原因を調べるため件数も確認)。自社の数字を入力してみましょう。
30分でできる「9月末請求棚卸し」
0〜5分:4〜9月の案件一覧を出す。5〜10分:ステータス未設定案件を確認。10〜15分:検収済+請求日空欄を抽出。15〜20分:期限超過+入金日空欄を抽出。20〜25分:見積保留・長期停滞を抽出。25〜30分:担当者+次回期限を決める。例えば、「A社30万円:確認します」ではなく、「A社30万円、担当:佐藤、10月2日までに顧客確認」まで入れます。
✅ 9月末の請求漏れ確認リスト
気になる項目をタップするとチェックが付きます(タップでXP+1、全項目完了でバッジ獲得)。
【見積】
【受注・納品】
【請求】
【入金】
【管理】
よくある質問
代表的なのは、商品・サービスの納品や検収が終わり請求可能な状態なのに、請求書が発行・送付されていない状態です。請求条件は契約によって異なるため、自社の契約・検収条件を基準に確認します。
まだ支払期限前なら正常な入金待ちです。まず請求日と支払期限を確認し、支払期限前と期限超過を分けます。
まず自社側の入金確認漏れ、振込名義、請求書到達状況、支払期限などを確認します。実際に期限を過ぎている場合は、早めに取引先へ連絡し、入金予定を確認します。J-Net21も、遅延が分かった場合は迅速に連絡し、原因と入金予定を確認することを勧めています。
厳密には請求前の営業管理ですが、売上見込みや案件漏れを防ぐため、見積から入金まで一つの流れで把握する方法が有効です。J-Net21も販売管理を、見積から売掛金回収まで一連の業務として整理しています。
請求書一覧では、そもそも請求書が作られていない案件を発見できない可能性があります。受注・納品・検収の案件一覧と照合する必要があります。
経理だけでは把握できない情報があります。営業は契約条件、現場は納品・検収、経理は請求・入金状況を持っているため、情報をつなぐ必要があります。J-Net21も債権管理は経理だけでなく営業を含め組織的に対応するよう勧めています。
J-Net21では最低でも月1回、顧客ごとの売掛金残高や回収期間を確認することを勧めています。実務では月末だけでなく、請求締め日前にも確認すると漏れを発見しやすくなります。
案件数が少なくても、記憶だけに頼ると漏れが起こる可能性があります。J-Net21も、売掛金の金額と回収期日を顧客別に一覧化することを勧めています。最初はスプレッドシートでも構いません。
一律の日数ではなく、自社の営業サイクルによります。ただし「永久保留」を避けるため、次回確認日を必ず設定しておくと整理しやすくなります。
人が毎月思い出すことより、納品→検収→請求→入金のステータスを統一し、各段階に担当者と期限を持たせることです。
🏆 獲得バッジ
音声を再生
ステータス診断ツールを利用
ダッシュボード計算機を利用
チェックリスト全完了
まとめ
9月末の請求確認では、「請求書を全部出した?」だけでは十分ではありません。確認するのは、未請求・未入金・見積保留の3つです。そして取引を、見積→受注→納品→検収→請求→入金まで一本につなげます。
J-Net21も、販売管理を見積から売掛金回収まで一連の業務として整理し、請求・入金確認まで完了して初めて販売業務が完結するとしています。また、売掛金の回収期間が長くなるほど資金繰りへ影響するため、顧客別に、売掛金額・回収予定日・入金状況を管理し、遅れを早期発見することが重要です。
解決ドットコムからひとこと
請求漏れが見つかると、「担当者が忘れていました」で終わりがちです。でも、本当に確認したいのは、なぜ忘れても発見できなかった?です。納品した→営業は完了と思った→経理には通知されなかった→請求書が出なかった、なら、問題は「営業担当者の記憶力」だけではありません。納品から請求へ情報を渡す仕組みがないという業務上の問題です。
同じように、見積を出した→顧客から回答なし→誰も追わない→半年後も見積保留、なら、問題は「営業が忙しかった」だけではなく、次回確認日が設定されていないことかもしれません。だから9月末は、「漏れている案件を探す日」だけにせず、「どこで案件が止まりやすいかを見つける日」にします。問題を解く前に、まず整理する。請求漏れをゼロに近づける一番の方法は、人に「忘れないで」と頼むことではなく、見積から入金までの現在地が見える仕組みを作ることです。
カイピヨくんのひとこと
まずは上の診断ツールで、今気になっている案件がどこで止まっているか確認してみよう!
- 粗利とは?売上・利益との違いを中小企業向けにわかりやすく解説(しごとの解決屋さんシリーズ)
- 上期の業績は何を見る?売上・粗利・固定費を3つの数字で振り返る方法(しごとの解決屋さんシリーズ)
- 新サービス導入で成果が出ない理由(しごとの解決屋さんシリーズ)
※本記事は2026年8月29日時点のJ-Net21(中小企業基盤整備機構)等の公表情報を参考に、中小企業・個人事業者向けに一般的な請求・売掛金管理の考え方を整理したものです。具体的な請求条件、支払期限、契約上の取扱い、債権回収方法等は個別の契約や状況によって異なります。長期の支払遅延や債権回収上の問題については、必要に応じて税理士・弁護士等の専門家へご相談ください。

