【2026年8月3日開始】暗号資産トラベルルール対象法域拡大

【2026年8月3日開始】暗号資産のトラベルルール対象法域が追加|マネーロンダリング対策と送金への影響
🎧 音声で聞く|8月3日からの暗号資産送金新ルール
通勤中や家事の合間にも「ながら理解」できます(再生でXP+10)
「暗号資産を海外取引所へ送れなくなるの?」
「自分のウォレットへ送る場合も対象?」
「取引所へ住所や受取人情報を入力するのはなぜ?」
2026年8月3日から、暗号資産・電子決済手段の移転に関するトラベルルールの対象法域が5つ追加されます。新たに追加されるのは、アンギラ・オマーン・キューバ・ドミニカ国・ボツワナの5法域です。これまでの対象58法域と合わせて、2026年8月3日以降は合計63法域が対象になります。
ただし、対象法域が追加されるからといって、その国・地域に関係する暗号資産送金がすべて禁止されるわけではありません。この記事では、制度の仕組みから実務上の注意点まで、暗号資産に詳しくない方にも分かるように整理します。
📌 この記事で分かること
- トラベルルールとは何か、なぜそう呼ばれるのか
- 新たに追加される5法域の詳細
- 自分のウォレットへの送金はどうなるのか
- 対象法域外なら自由に送れるのかという誤解
- 送金前に確認すべきチェックリスト
まず結論|2026年8月3日から何が変わる?
変更前
日本のトラベルルールと同等の規制が整備されている58法域に所在する外国の暗号資産交換業者などへの移転が、トラベルルールの対象です。
2026年8月3日以降
| 地域 | 追加される法域 |
|---|---|
| 中南米・カリブ地域 | アンギラ、キューバ、ドミニカ国 |
| 中東 | オマーン |
| アフリカ | ボツワナ |
これにより、対象法域は合計63法域になります。金融庁は、各法域におけるトラベルルールの法令・施行状況などを確認した上で追加するとしています。
利用者への主な影響
対象法域にある暗号資産交換業者などへ送付する場合、送付元の国内取引所は、原則として送付人・受取人情報を送付先事業者へ通知します。ただし実際に送付できるかどうかは、利用する国内取引所・送付先の海外取引所・送付する暗号資産・使用するブロックチェーンネットワーク・両事業者が利用する情報通知システム・各社のマネーロンダリング対策上の審査によって異なります。
解決ドットコム ワンポイント
「対象法域に追加された=送金禁止」ではありません。確認するべきなのは国名だけではなく、送付元と送付先の取引所が相互に情報を受け渡せるかどうかです。
トラベルルールとは?
トラベルルールとは、暗号資産や電子決済手段を事業者間で移転するときに、送付人と受取人に関する一定の情報を送付先事業者へ通知するルールです。日本では、犯罪による収益の移転防止に関する法律に基づき、2023年6月1日から法令上の通知義務が施行されています。
銀行振込では、振込元・振込先の銀行に取引記録が残ります。一方、暗号資産はブロックチェーン上のアドレス間で移転されるため、アドレスと移転数量は確認できても、そのアドレスを誰が使用しているのかまでは特定できるとは限りません。そこで、暗号資産交換業者などの間で送付人・受取人情報も一緒に通知し、取引経路を追跡しやすくするのがトラベルルールです。
なぜ「トラベルルール」と呼ばれるの?
暗号資産が事業者から別の事業者へ移動するときに、送付人や受取人に関する情報も取引と一緒に移動するため、「トラベルルール」と呼ばれています。利用者自身の旅行や海外旅行時の支払いに関するルールではなく、ブロックチェーンの送金手数料を定める制度でもありません。主な目的は、取引経路を追跡可能にし、犯罪収益の移転やテロ資金供与などへの利用を防ぐことです。
🗺️ 5法域チェックマップ|新たに追加される国・地域
番号をタップすると、その法域の詳しい説明が下に表示されます。5つすべて確認すると「🗺️ 5法域マスター」バッジ獲得(タップでXP+2)。
カイピヨくんの一言
ドミニカ国とドミニカ共和国、名前が似ていて混同しやすいから注意してね!対象は「ドミニカ国」の方だよ。
現在の58法域と合わせて63法域へ
2026年8月3日より前の対象法域には、アメリカ合衆国、英国、シンガポール、香港、韓国、フランス、ドイツ、スイス、アラブ首長国連邦などが含まれています。今回の5法域追加により、対象は58法域から63法域へ拡大します。なお、ナミビアについては、金融庁資料上「暗号資産のみ」が対象とされています。
対象法域は今後も、各国・地域における制度整備や施行状況に応じて変更される可能性があります。海外取引所へ送付する際は、過去の一覧を保存して使うのではなく、金融庁や利用中の取引所が公表している最新情報を確認しましょう。
📅 2026年8月 施行カレンダー
どのような情報が通知される?
金融庁資料では、送付人と受取人について、主に次の情報が通知対象とされています。金額の大小や暗号資産の種類にかかわらず、対象事業者間のすべての移転に適用されます。
| 個人 | 法人 | |
|---|---|---|
| 送付人 | 氏名/住居または顧客識別番号/ブロックチェーンアドレス | 法人名/本店所在地または顧客識別番号/ブロックチェーンアドレス |
| 受取人 | 氏名/ブロックチェーンアドレス | 法人名/ブロックチェーンアドレス |
利用者が入力する情報は法定通知事項より多いことがある
取引所の送付先登録画面では、法定の通知事項以外にも、送付先取引所の名称・所在国、受取人の住所地・関係、送付目的、法人の場合の実質的支配者、自己保有ウォレットか第三者ウォレットかなどを求められる場合があります。
これは、入力項目がそのまま送付先へ通知されるという意味ではありません。各取引所が、法令上の通知義務だけでなく、本人確認やマネーロンダリングリスクの確認に必要な情報を取得している場合があります。
対象になるのは「対象法域の人」ではなく「対象事業者への移転」
誤解しやすいのですが、トラベルルールの対象は、単純に受取人が対象国に住んでいるかどうかだけで決まるわけではありません。基本的には「対象法域に所在する外国の暗号資産交換業者・電子決済手段等取引業者への移転」が対象です。日本国内に住む利用者が、対象法域に所在する海外取引所の自分名義口座へ送る場合も、取引所間の移転として対象になり得ます。
自分のウォレットへの送金はどうなる?
MetaMask、Ledger、Trezorなど、取引所ではない自己管理型ウォレットは「アンホステッド・ウォレット」「プライベートウォレット」などと呼ばれます。個人や無登録事業者への移転は、法令上の送付先事業者への通知義務の対象外です。
ただし、国内取引所には、トラベルルール対象外のウォレットについても、ウォレットの所有者・所在国・送付目的・受取人との関係・マネーロンダリング等のリスクなどを確認・分析することが求められます。自分のウォレットへ送る場合でも、取引所の画面で、自己保有ウォレットである旨や所有者の氏名・所在国などを登録することがあります。
カイピヨくんの一言
自分のウォレットなら何も聞かれない、というわけではないんだね。取引所は送付先が誰のものか確認しているよ。
対象法域外なら自由に送れるの?
対象法域外であれば、送付先事業者へ法定の通知事項を送るトラベルルールの対象外になる場合があります。しかし、対象外だからといって、無条件に送付できるとは限りません。
国内取引所は、送付先が無登録の海外業者ではないか、制裁対象などに関係していないか、不正利用の疑いがないか、高リスクなサービスではないかなどを確認し、各社の判断で送付を断ることがあります。
❌ よくある誤解
- 対象法域に追加=送金禁止
- 対象法域外=無条件で自由に送金できる
- 少額なら情報入力は不要
- 自分のウォレットなら何も確認されない
✅ 実際の仕組み
- 対象法域追加=情報通知の対象が広がるだけ
- 対象法域外でも各社の独自審査がある
- 金額の大小にかかわらず通知対象
- プライベートウォレットも所有者確認の対象
送金できない場合があるのはなぜ?
トラベルルールの対象になったとしても、送付元と送付先の事業者が必要な情報を安全に受け渡せる必要があります。国内では、情報連携システムとしてSygnaやTRUSTなどが利用されていますが、両取引所が異なる仕組みを採用しており相互接続できない場合や、送付先取引所が必要な通知を受け付けていない場合には、直接送付できないことがあります。
SBI VCトレードは、Sygnaに加えてTRUSTを導入することで、それまで対応方式の違いから直接入出庫できなかった取引所との送付・受取に対応する仕組みを整備したと説明しています。一方、GMOコインは、Sygnaを利用する国内事業者などを送付可能先とし、通知対象法域にある一部の海外事業者へ送付できない場合があると案内しています。
対象法域の追加で起こり得る5つの影響
- 送付先情報の再登録を求められる:所在国や受取人情報の追加登録・再確認を求められる可能性があります。
- 送付処理に時間がかかる:通知事項の照合・確認が必要になり、預入反映に時間がかかる場合があります。
- 送付が取り消される:受取人情報の誤りや取引所の審査未通過などで、送付依頼が取り消される可能性があります。
- これまで使えた海外取引所へ送れなくなる:情報通知に対応できない海外事業者が送付先リストから外される可能性があります。
- 追加資料を求められる:送付額や目的、取引頻度によっては、本人名義であることを示す資料などを求められる場合があります。
マネーロンダリング対策として何が変わる?
マネーロンダリングとは、犯罪などによって得た資金について、移転や取引を繰り返し、出所を分かりにくくする行為です。ブロックチェーンには取引履歴が記録されますが、アドレスの利用者情報まで自動的に表示されるわけではありません。トラベルルールにより、誰が送ったか・どの事業者から送ったか・誰が受け取るか・どのアドレスへ送ったかを事業者間で結び付けやすくなります。ただし、トラベルルールだけですべての不正取引を防げるわけではなく、本人確認や取引モニタリングなどと組み合わせて運用されます。
少額送金も対象になる?
対象となる事業者間の移転は、原則として送付金額や暗号資産の種類にかかわらず対象です。金融庁の資料では、金額・種類を問わずすべての移転を対象とすると明記されています。ただし、各取引所の最低送付数量や手数料などは別のルールです。
国内取引所同士の送金も対象
トラベルルールは海外送金だけの制度ではありません。日本国内の暗号資産交換業者から、別の国内暗号資産交換業者へ移転する場合も対象です。ただし、国内取引所同士でも、利用する通知システムや各社の送付先リストによって直接送付できない場合があります。
企業が暗号資産を利用している場合の注意点
海外企業への支払い、Web3サービスの利用、NFT決済、海外拠点への資産移転などに暗号資産を利用している企業は、経理処理だけでなく送付先管理も見直す必要があります。
| 管理項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 送付先名 | 個人・法人の正式名称 |
| 送付先取引所 | サービス名・運営法人 |
| 所在法域 | 取引所が登録されている国・地域 |
| ウォレット所有者 | 自社・取引先・第三者 |
| 送付目的 | 代金、報酬、資産移動など |
| 暗号資産/ネットワーク | BTC、ETHなど/Bitcoin、Ethereumなど |
| 証拠資料 | 契約書、請求書、取引画面 |
| 承認者 | 社内で送付を承認した人 |
2026年8月3日までに確認すること
- 利用している取引所のお知らせを確認する:SBI VCトレードは2026年7月13日に5法域の追加を利用者へ案内しています。
- 海外取引所の所在法域を確認する:表示言語やブランドだけでは、法的な登録法域が分からない場合があります。
- 受取人情報を確認する:漢字・カタカナ・ローマ字・ミドルネームなど、表記の一致を確認しましょう。
- ネットワークを確認する:同じ暗号資産名でも複数ネットワークに対応していることがあり、誤ったネットワークへの送付は資産を失うおそれがあります。
- 最初は少額で確認する:初めての宛先では少額のテスト送付を検討しましょう(テスト送付も審査対象です)。
✅ 暗号資産送金前チェックリスト
気になる項目をタップするとチェックが付きます。ブラウザに保存されるので、後で見直すこともできます(タップでXP+1、全項目完了でバッジ獲得)。
宛先と取引所の確認
受取人情報の確認
資産・ネットワークの確認
手続き・記録の確認
よくある質問
禁止されません。今回の変更は、アンギラ、オマーン、キューバ、ドミニカ国、ボツワナをトラベルルールの対象法域に追加するものです。実際の送付可否は、利用する取引所や送付先事業者の対応状況によって異なります。
5法域です。追加後は、従来の58法域と合わせて63法域になります。
今回追加されるのは「ドミニカ国」です。名称の似たドミニカ共和国とは別の国です。
対象法域に所在する外国暗号資産交換業者への移転であれば、自分名義の口座への送金でも、事業者間の通知対象になり得ます。
MetaMaskなどの個人ウォレットは、送付先事業者へ情報を通知するトラベルルールの対象外となるのが基本です。ただし、国内取引所による所有者情報の確認・保存やリスク評価は行われます。
対象となる移転は、原則として金額・暗号資産の種類を問わず対象です。
対象です。国内VASPへの移転もトラベルルールの対象として金融庁資料に明記されています。
必ず送れるとは限りません。取引所は、無登録業者、所有者不明ウォレット、高リスク取引などについて独自の審査を行い、送付を制限する場合があります。
確認に時間がかかったり、送付依頼が取り消されたり、受取先で口座反映されなかったりする可能性があります。
利用する国内取引所によっては、送付先一覧に表示されない事業者へ送れません。CoincheckやbitFlyerも、事前に選定した送付先リストにある事業者に限り送付できると案内しています。
トラベルルールは、送付元と送付先の暗号資産交換業者などの間で送付人・受取人情報を通知する制度で、税金の計算や確定申告を直接定める制度ではありません。ただし、暗号資産取引による所得については別途税務上の記録管理が必要です。
トラベルルール自体がネットワーク手数料を決めるわけではありません。ただし、取引所が設定する送付手数料や最低送付数量は各社で異なります。
🧠 理解度チェッククイズ
全4問。正解でXP+5。全問正解でバッジ「🏆 トラベルルール博士」を獲得!
🏆 獲得バッジ
音声を再生
チェックマップを全確認
誤解セクションを読了
チェックリスト全完了
クイズ全問正解
まとめ
2026年8月3日から、暗号資産・電子決済手段のトラベルルール対象法域に、アンギラ・オマーン・キューバ・ドミニカ国・ボツワナの5法域が追加されます。対象法域は、従来の58法域から合計63法域になります。
- 対象法域の追加は送金禁止を意味しない
- 対象法域の外国取引所へ送る際、送付人・受取人情報が通知される
- 金額や暗号資産の種類を問わず対象になる
- 国内取引所同士の移転も対象になる
- 自己管理ウォレットは事業者間通知の対象外だが、所有者情報などは確認される
- 取引所によって送付できる宛先が異なる
- 対応システムの違いにより、直接送れない場合がある
- 送付先取引所の名称・所在国・受取人情報を事前に確認する
解決ドットコムからひとこと
トラベルルールという言葉だけを見ると「暗号資産の送金が厳しくなる」「個人情報を監視される」と感じるかもしれません。しかし今回の変更は、暗号資産を使えなくするためのものではなく、銀行送金と同じように、誰から誰へ資産が移転したのかを必要な範囲で追跡できるようにする仕組みです。
だからこそ、送金直前に慌てるのではなく、どの取引所から送るのか・どの取引所やウォレットへ送るのか・その取引所はどの国・地域にあるのか・誰が受け取るのか・何の目的で送るのかを、先に整理しておくことが大切です。
カイピヨくんの一言
暗号資産は一度誤ったアドレスやネットワークへ送ると簡単には取り戻せないよ。制度変更への対応だけでなく、送付先・受取人・ネットワーク・アドレスを一つずつ確認することが、資産を守る第一歩だよ!
※本記事は、2026年7月22日時点の金融庁、一般社団法人日本暗号資産等取引業協会、各暗号資産交換業者の公表情報を基にした一般的な解説です。実際の送付可否、必要情報、処理時間、対応銘柄は事業者ごとに異なります。送付前に利用中の暗号資産交換業者の最新案内をご確認ください。
執筆:横田 和也/解決ドットコム


