越境ECで販売できる国と配送できる国は違う|販売・決済・輸入可否の確認方法 DAY44

🌏 Lv.3 越境ECの仕組みを学習中 XP 440

【DAY44】販売できる国と配送できる国は違う

販売、決済、配送、輸入の可否を分けて確認する理由を整理する

解決.com公式 DAY44|越境ECの致命的な勘違い:「販売できる国」と「配送できる国」は違う。4つの「できる」を完全マスターするDAY44・実務プレイブック
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🔊 音声で聞く「越境EC設定ボタンに潜む罠」

DAY43では、売主、買主、輸出者、輸入者、荷送人、荷受人という、越境ECに関わる人・会社の役割を整理しました。今回は、その商品を、どの国へ販売できるのかを考えます。

ここで初心者が混同しやすいのが、ECサイトで国を選択できる→その国へ販売できる、配送会社がその国へ荷物を運んでいる→その商品を送れる、日本から荷物を発送できた→相手国へ輸入できる、という考え方です。実際には、この3つは同じではありません。さらに、商品を販売できるとしても、購入者が利用できる決済方法がないということも考えられます。

そのためDAY44では、販売できるか、決済できるか、配送できるか、輸入できるか、という4つに分けます。販売○、決済○、配送○、輸入○。この4つが確認できて、初めてその商品をその国へ販売する運用を具体的に検討できます。

「“国の設定ができたから販売OK!”じゃないよ。販売・決済・配送・輸入を4つに分けて確認しよう!」

DAY42・DAY43との違い

初心者の思い込み:ECサイトで国を追加できた!これで全世界へ販売スタート、という思い込みに対し、厳しい現実として配送不可(危険物扱い)、決済エラー(カードが使えない)、税関没収(現地の法律違反)が箱を粉々に破壊する様子で図解。「“国の設定ができた=販売OK”ではないんだ!システムと現実は違うよ」とカイピヨくんが解説

DAY42では、越境ECの商品が日本→輸出→国際配送→輸入→海外購入者へ届くまでの全体像を整理しました。DAY43では、その中で誰が輸出者なのか、誰が輸入者なのか、誰が荷送人なのか、誰が荷受人なのかを整理しました。DAY44では、その商品をその国へ販売してよいのかを、販売、決済、配送、輸入の4つに分解します。国の需要や競合を比較してどの国を販売対象にするかという選び方はDAY45で扱います。海外カードや不正注文など、決済そのものの詳しい仕組みはDAY47で扱います。食品・化粧品・電池など、商品別の具体的な輸送・輸入規制はDAY63~65で扱います。DAY44では、販売国を追加するときの確認順序を作ることが目的です。

この記事で分かること

  • 「販売できる国」「決済できる国」「配送できる国」「輸入できる国」とは何か、4つを分ける理由
  • ECサイトの国設定・配送会社の対応国だけでは判断できない理由
  • 配送可能と商品発送可能の違い、発送可能と輸入可能の違い
  • 商品×国で確認する理由、同じ国でも商品によって結果が変わる理由
  • 販売国マスタ・商品×国マスタの作り方、「○・△・×・未確認」で管理する方法
  • 購入画面の国設定と実際の運用を一致させる方法、条件が変わった場合の対応

先に結論|4つの「できる」を別々に確認する

「この国へ売れますか?」という1つの問いを、4つに分解する。1.販売(Sales):EC設定・事業方針。その国を販売対象に設定できるか。2.決済(Payment):決済サービス・通貨。購入者が実際に支払いを完了できるか。3.配送(Shipping):配送会社・商品条件。その商品をその国まで物理的に運べるか。4.輸入(Import):相手国法令・税関。相手国の法律で輸入が許可されるか、を4つの歯車で図解。どれか1つでも「×」なら、販売してはいけない。「4つすべてが揃って初めて販売可能」が越境ECの鉄則、と結ぶ

越境ECでは、「この国へ売れますか?」という質問だけでは確認が足りません。次の4つに分けます。

  • ①販売できるか EC事業として、その商品をその国・地域の購入者へ販売対象にするか。
  • ②決済できるか 購入者が利用できる決済方法で、実際に注文・支払を完了できるか。
  • ③配送できるか 利用する配送会社・配送サービスが、その国・地域と商品を取り扱えるか。
  • ④輸入できるか 相手国側の法令や制度上、その商品を輸入できるか。必要な条件・許可・検査等がないか。
確認見るもの
販売EC設定・販売条件・商品条件
決済決済サービス・通貨・支払方法
配送配送会社・サービス・商品条件
輸入相手国法令・税関・商品規制

重要なのは、どれか1つが○だから販売開始ではないことです。例えば、販売○・決済○・配送○・輸入×なら、その商品は販売対象にできません。また、販売○・決済×・配送○・輸入○なら、商品ページは表示できても購入者が注文を完了できません。4つを別々に確認します。

「販売できる国」とは・商品×国で考える

DAY44でいう「販売できる国」は、そのEC事業者が、その商品をその国・地域の購入者へ販売対象として設定できる状態と考えます。例えばECシステムには、日本、アメリカ、フランス、シンガポールなど、販売対象地域を設定する機能があります。しかし、管理画面で国を選択できたというのは、システム上その国を登録できたというだけです。その商品を法的・物流的に問題なく販売できることまで自動的に保証しているわけではありません。

例えば、配送先選択画面にUnited States、France、Singaporeなどが表示されているとします。購入者は住所を入力できます。しかし、この状態から、アメリカへ全商品販売OK、フランスへ全商品販売OK、シンガポールへ全商品販売OKとは判断しません。ECシステムは、配送先住所を入力できる機能を提供しているだけの場合があります。実際の商品販売条件は、販売者側で確認する必要があります。

販売国は、会社単位だけではなく、商品単位で確認します。例えば、商品A(陶器)、商品B(食品)、商品C(化粧品)を販売しているとします。同じアメリカ向けでも、陶器○、食品要確認、化粧品要確認となる可能性があります。つまり、アメリカに販売できる会社ではなく、商品Aをアメリカへ販売できるかと考えます。

逆方向も同じです。例えば同じ食品Aでも、アメリカ要確認、フランス要確認、シンガポール要確認、台湾要確認と、国・地域ごとに条件が異なる可能性があります。したがって、越境ECでは、商品×販売国という組み合わせで管理します。これがDAY42で触れた「商品×国」の考え方です。

ギャップ①|「販売(表示)」と「決済」は違う

ギャップ①:「販売(表示)」と「決済」は違う。Frontend/見え方では通貨表示は可能(USD$199.00、EUR€185.00、SGD S$270.00とスマホ画面に表示)だが、Backend/現実では現地で普及している決済手段がない、または海外発行カードの拒否により決済拒否(Payment Denied)となる様子を対比。「外貨で価格を表示できること」と「その国の購入者が実際に決済を完了できること」は全く別の問題、決済が完了して初めて注文は成立する(決済の詳細はDAY47で解説)と結ぶ

ECサイトへ商品を表示できても、購入者が支払えなければ注文は成立しません。決済については、利用できるカード、利用できるウォレット、対応通貨、決済サービスの対応地域、購入者側の利用条件、不正利用対策などを確認します。例えば、商品ページ表示○、配送先入力○でも、購入者が使える支払方法がない場合があります。したがって、販売国を追加→決済も自動的に対応とは考えません。

例えばECサイトで、USD、EUR、SGDなどの価格表示ができたとします。しかし、通貨を画面へ表示できることと、その通貨で実際に決済処理できることは別です。また、購入者画面では外貨表示、決済時には別通貨へ換算という仕組みもあります。DAY44では、表示できる≠決済できると覚えてください。言語・通貨についてはDAY46、海外決済についてはDAY47で詳しく整理します。

日本では利用者が多い決済方法でも、海外では一般的でない、利用できないという場合があります。逆に海外では、その国・地域で広く利用される決済方法が存在することがあります。ジェトロの国別越境EC情報でも、国内規制、税制、決済、輸送などを別々の確認項目として扱っています。つまり「その市場で販売する」ことと「どの決済を使えるか」は別の検討事項です。具体的な決済方法の比較はDAY47で扱います。

「配送できる国」とは

配送できる国とは、利用する配送会社・配送サービスが、その国・地域への配送を取り扱っているかという確認です。例えば、国際郵便、国際宅配便、クーリエ、フォワーダーなどによって対応地域は異なります。また、同じ配送会社でも、サービスA利用可能、サービスB停止中、サービスC特定条件のみという場合があります。したがって、配送会社がその国へ配送しているだけでは不十分です。利用予定の配送サービスまで確認します。

ここが重要です。例えば、アメリカへの配送サービス○だったとします。それでも、すべての商品○ではありません。国際配送では、危険物、可燃物、ガス、液体、電池、スプレーなど、商品や内容物によって制限があります。日本郵便でも国際郵便で差し出せない危険物等を定めており、さらに国・地域ごとの条件を確認するよう案内しています。つまり、配送国○だけではなく、配送国○+商品○を確認します。

例えば同じ商品でも、配送方法A○、配送方法B×、配送方法C条件付きとなる可能性があります。理由として、重量、サイズ、商品内容、温度帯、危険物、補償、配送先地域などがあります。そのため、商品×国だけでなく、実務ではさらに、商品×国×配送サービスまで確認することがあります。

国際配送は、災害、航空便の運航、国際情勢、現地事情、物流網、配送会社の運用などによって、一時停止・制限されることがあります。日本郵便の国・地域別情報でも、国別の送達条件に加え、引受停止や遅延等の最新情報を確認する仕組みになっています。したがって、去年送れた→今日も送れるとは限りません。販売国マスタには、最終確認日を残します。

配送先は、国だけでなく、地域まで確認する場合があります。例えば、本土、島しょ部、海外領土、遠隔地、特別行政地域などで配送条件が異なる場合があります。EC上では同じ国名に見えても、郵便番号、州・地域、離島・遠隔地などによってサービス提供条件が変わる可能性があります。そのため、国○だけでなく、配送先住所まで確定した段階で最終確認する運用も必要です。

ギャップ②|「荷物を運べる」と「国に入る」は違う(最重要)

ギャップ②:「荷物を運べる」と「国に入る」は違う(最重要)。配送会社の対応国(配送○)は、航空会社やクーリエが「フランスへ運べますよ」と引き受けてくれる状態にすぎず、相手国の法令・税関(輸入○か×か)は別の関門であると、飛行機と関所のイラストで図解。日本郵便でも「条件通りに差し出しても、相手国の法令により没収・返送される場合がある」と警告。「配送会社がOKと言ったからといって、法律的にOKとは限らないんだ!」とカイピヨくんが解説

配送会社が荷物を相手国まで運べても、相手国へ輸入できるとは限りません。輸入可否は、相手国側の法律・制度で判断されます。例えば、禁止、許可が必要、検査が必要、証明書が必要、数量制限、用途制限などの条件が設けられる場合があります。日本税関でも、日本への輸入について、関税関係法令以外の法令で許可・承認・検査等が必要な貨物は、それを満たさなければ輸入許可されない仕組みを説明しています。国によって制度は異なりますが、「配送」と「輸入許可」が別の仕組みであることを理解する参考になります。

ここがDAY44の中心です。日本郵便は、国・地域別の送達条件や禁制品情報について、条件どおりに郵便物を差し出した場合であっても、相手国の法令や税関判断により、返送、没収等となる場合があると明記しています。つまり、日本側発送受付○でも、相手国側輸入×ということがあります。したがって、発送できた=輸入できるではありません。

隠れた関所|「日本からの輸出」も確認事項

隠れた関所:「日本からの輸出」も確認事項。1.販売可能2.決済可能3.日本から輸出可能4.国際配送可能5.相手国へ輸入可能、という5つのステップを丸数字で並べ、3の「日本から輸出可能」を強調してハイライト。関税法や他法令による輸出禁止・許可承認の確認が必要。相手国のことばかり気にしがちだが、そもそも「日本から出してはいけない商品(または許可が必要な商品)」が存在する。配送会社に渡す前の「第ゼロ関門」と結ぶ

相手国側だけではありません。日本から外国へ出す時点でも、輸出禁止、輸出規制、許可・承認が必要となる商品があります。日本税関は、関税法で輸出が禁止される物品に加え、他法令によって許可・承認等が必要となる貨物があることを案内しています。そのため実際には、日本から輸出できる→国際配送できる→相手国へ輸入できる、をつなげて確認します。

DAY44では分かりやすく、販売、決済、配送、輸入の4つを中心にします。ただし、物流の流れでは、販売可能→決済可能→日本から輸出可能→国際配送可能→相手国へ輸入可能となります。輸出規制の商品については、配送会社へ渡せるかより前に、日本から輸出できるかを確認します。ただし具体的な輸出規制の詳細は、後の講座で必要に応じて確認します。

例えば配送会社へ、「この商品をフランスへ送れますか?」と問い合わせたとします。ここには実は、配送サービスとして受け付けるか、相手国の法律上輸入できるか、という2つの質問が含まれています。配送会社が確認できる範囲と、税関・行政機関などへ確認すべき範囲は同じとは限りません。そのため、配送会社がOKと言った=すべての法令確認終了とは考えません。日本郵便自身も、国別条件が最新の相手国法令を完全に反映しているとは限らないと注意しています。

ECサービスには、多言語、多通貨、海外住所、海外配送、海外決済などの機能があります。しかし、機能がある→すべての国・商品で問題なく販売可能ではありません。ECシステムは、販売を行うための仕組みを提供します。商品ごとの輸入可否、配送制限、必要許可等まで、すべて自動判断してくれるとは限りません。機能と実務判断を分けます。

評価の鉄則|「商品×国」のマトリクスで考える

評価の鉄則:国単位ではなく「商品×国」のマトリクスで考える。アメリカ・フランス・シンガポールを列に、木製雑貨・食品・化粧品を行に取ったマトリクス表。木製雑貨はアメリカ○・フランス未確認・シンガポール○、食品はアメリカ要確認・フランス×・シンガポール要確認、化粧品はアメリカ×・フランス要確認・シンガポール○と一マスずつ異なる結果を表示。「アメリカには販売できる」という会社単位の判断は危険、同じ国でも商品によって条件が変わり、同じ商品でも国によって条件が変わると結ぶ

例えば商品Aについて、次の表を作ります。

販売決済配送輸入
アメリカ要確認
フランス要確認
国B
国C×

この場合、アメリカ・フランスは輸入条件を確認するまで販売開始しません。国Bは、決済方法を確認します。国Cは、現在の配送方法では送れません。このように、販売国一覧ではなく、可否マトリクスで見ると問題を発見しやすくなります。

ステータス管理の鉄則|「未確認」を「○」にしない

ステータス管理の鉄則:「未確認」を「○」にしない。○確認済み・対応可能(確認日と情報源を記録)、△条件付き(「2kg以下のみ」など具体的に明記)、×対応不可(販売・配送・輸入ができない)、?未確認(まだ調べていない状態)の4区分を提示。初心者が一番陥りやすい罠は「たぶん大丈夫だろう」で「未確認」を「○」にしてしまうこと。未確認は「×」ではないが、確認が取れるまでは絶対に販売をスタートしてはいけないと結ぶ

最初から、○×だけで管理しない方が安全です。おすすめは、○(確認済み・対応可能)、△(条件付き)、×(対応不可)、未確認(まだ確認していない)です。特に重要なのが、未確認です。分からないものを、たぶん大丈夫という理由で○にしないようにします。

例えば、配送△だけでは意味がありません。配送△2kg以下のみ、輸入△許可要否を確認、決済△特定決済のみ、販売△一部商品のみ、のように具体的に書きます。これなら担当者が、何を確認すれば○になるのかを理解できます。

海外の条件は変更されます。そのため、確認済みだけではなく、確認日を残します。例えば、商品:工芸品A、国:フランス、配送:○、確認日:2026年8月7日、確認先:配送会社公式情報、輸入:未確認、のようにします。日本郵便の国別情報も更新されており、国際配送条件は固定情報ではありません。

「○」の根拠も残します。販売は自社販売条件・利用サービス、決済は決済会社・ECサービス、配送は配送会社、輸出は税関・関係行政機関等、輸入は相手国税関・関係行政機関等を主な確認先とします。必要に応じて、通関業者、専門家、現地事業者へ確認します。誰かの記憶ではなく、確認先を残します。

実際のケースで考えてみよう|木製雑貨を海外3か国へ販売する

ケーススタディ:日本の木製雑貨(Wooden Goods)を海外3カ国へ販売する。STEP1 EC&決済:US/FR/SGすべてECシステム設定○・決済○。STEP2 配送・輸出:US/FR/SGすべて配送会社の対応○。STEP3 輸入・税関:USは○、FRは未確認(植物由来の素材に対するフランスの規制未確認)、SGは○。Final Judgement最終判定として、US&SGは販売開始候補!、FRは保留。「フランスは『×』じゃないよ。まだ調べていない『未確認』だから、輸入条件がクリアになるまで保留にしよう!」とカイピヨくんが解説

日本のEC事業者が、商品:木製雑貨Aを海外販売したいと考えました。候補国は、アメリカ、フランス、シンガポールです。

Step1|ECサイトで国を設定できるか確認
EC管理画面では、アメリカ○、フランス○、シンガポール○を選択できました。ここではまだ、販売可能とは判断しません。分かったのは、ECシステム上、配送先候補として設定できるということだけです。

Step2|決済を確認
各国の購入者が、現在利用している決済方法で注文できるか確認します。カード決済、利用通貨、海外発行カード、決済サービスの対応条件、購入者側で利用できる方法を確認し、アメリカ○、フランス○、シンガポール○とします。

Step3|日本から輸出できるか確認
次に商品を具体化します。商品名:木製雑貨A、材質:木材、用途:室内雑貨、原産国:日本。「雑貨だから大丈夫」ではなく、材質まで含めて確認します。

Step4|配送会社の対応国を確認
利用予定の配送会社で、アメリカ○、フランス○、シンガポール○へ配送サービスがあることを確認しました。しかし、配送会社が3か国へ行くという確認ができただけです。

Step5|商品を運べるか確認
次に、木製雑貨Aそのものを取り扱えるか確認します。重量、サイズ、材質、梱包内容、付属品を確認します。例えば商品本体が問題なくても、おまけとして、スプレー、液体、電池などを同梱すると別条件になる可能性があります。

Step6|輸入条件を確認
ここで初めて、アメリカへこの木製品を輸入できるか、フランスへこの木製品を輸入できるか、シンガポールへこの木製品を輸入できるかを確認します。特に木材・植物由来品などでは、商品内容によって追加確認が必要になる可能性があります。「木製雑貨」という大分類だけで判断せず、材質、加工状態、用途などを具体化します。

Step7|結果を表にする
米国は販売○・決済○・配送○・輸入○。フランスは販売○・決済○・配送○・輸入未確認。シンガポールは販売○・決済○・配送○・輸入○です。この時点では、アメリカ・シンガポールは販売開始候補です。フランスは、輸入条件を確認していないため、まだ販売開始しません。

Step8|フランスを「×」にしない
確認していないから×ではありません。未確認です。×は販売できないことを確認済み、未確認は判断する情報がない、という違いがあります。

Step9|EC設定へ反映
確認済みの国だけ、配送対象国として有効にします。未確認国は、購入者が注文できない状態にしておきます。

Step10|テスト注文
アメリカ向けにテストします。商品選択→配送先をアメリカ→住所入力→送料表示→決済方法表示→注文総額確認→注文確定まで動作確認します。

Step11|発送前にも再確認
販売設定時だけではなく、実際の発送時にも、配送停止情報、最新の配送条件、商品内容、住所を確認します。

Step12|記録を残す
販売国:アメリカ、商品:木製雑貨A、販売:○、決済:○、配送:○、輸入:○、確認日、確認先、次回確認日、と残します。

システムと現実の同期|フロントとバックを一致させる

システムと現実の同期:フロントとバックを一致させる。危険:エラーの悪循環(ECサイトで全世界配送ON→未確認国から注文発生→配送できずキャンセル→無駄な返金・謝罪の手間、が循環)と、安全:正しい同期(現実の法規制・物流でフランスは「未確認」のため不可、ECシステム設定でフランスの配送対象国スイッチを強制OFF、が対応)を対比。現実の物流・法規制の確認が終わった範囲と、ECサイト上の「配送可能国」設定を完全に一致させる。もし一時的に配送が停止(災害等)した場合は、即座にECサイトの注文受付も停止する連携が必須と結ぶ

避けたい状態があります。ECサイト:世界中から注文可能、実際:アメリカしか配送条件を確認していない。この状態では、未確認国から注文→配送できない→注文キャンセル→返金が発生します。販売対象国を確認したら、ECサイトの配送国設定も同じ範囲へ合わせます。

反対に、配送○・輸入○なのに、ECサイトの配送国設定×となっていれば、購入者は注文できません。したがって、販売判断→EC設定だけでなく、EC設定→テスト注文まで確認します。

販売国を追加したら、購入者側の画面から確認します。国を選択できるか、住所を入力できるか、郵便番号を入力できるか、電話番号を入力できるか、送料が表示されるか、決済方法が表示されるか、注文総額が分かるか、注文完了まで進めるか。商品側の確認が終わっていても、購入画面で注文できないという問題を発見できます。

販売可能になったら、購入者にも条件を表示します。配送対象国、利用可能な配送方法、国際送料、発送までの日数、到着目安、追跡の有無、関税・輸入税等が発生する可能性、配送対象外地域、商品ごとの配送制限などです。重要なのは、「海外発送対応」という一言だけで終わらせないことです。

例えば、昨日まで配送○だった国が、一時的に配送×になったとします。その場合、商品ページを残したまま注文を受け続けるのではなく、配送国設定を停止、注文受付を停止、注意表示、既存注文を確認、などの対応を検討します。配送条件とEC設定を連動させる運用が必要です。販売国条件が変わった場合、新規注文と、すでに受けた注文を分けます。新規注文は受付を停止、既存注文は配送可能か個別確認、発送済みは追跡・通関状況を確認、というように整理します。単純に国設定をOFFにしただけでは、既存注文の対応は終わりません。

越境EC販売開始までの「12ステップ・パイプライン」

越境EC販売開始までの「12ステップ・パイプライン」。1.商品・国を決定2.販売可能か3.決済可能か4.日本から輸出可能か5.配送会社が運べるか6.その商品を運べるか7.相手国へ輸入できるか8.必要条件(許可等)の確認9.送料・配送条件の設定10.ECの販売国設定11.テスト注文(顧客視点での動作確認)12.販売開始・定期確認、という12ステップを道のように図解。全ての準備が整っても、最後に必ず「実際の購入者画面からのテスト注文」を行い、システムが正しく動くか確認すると注記

販売国を追加するときは、次の順番で考えると整理しやすくなります。商品を決める→国を決める→販売対象にできるか確認→購入者が決済できるか確認→日本から輸出できるか確認→配送会社が取り扱えるか確認→その商品を配送できるか確認→相手国へ輸入できるか確認→必要条件・許可等を確認→送料・配送条件を設定→ECの販売国を設定→テスト注文→販売開始→定期確認。

ジェトロの2026年版越境EC基礎資料でも、国内ECと販売フロー自体は共通する一方、越境ECでは物流・税金・輸入規制の事前確認が必要と整理されています。

失敗を防ぐセルフチェック|よくあるバイアスを排除する

失敗を防ぐセルフチェック:よくあるバイアスを排除する。カテゴリーバイアス(「雑貨だから大丈夫」と判断していないか?材質・成分・用途まで確認を)、一国OK=全部OKバイアス(一つの国で送れたから、全世界OKだと思っていないか?)、去年OK=今年OKバイアス(「去年送れたから今年も送れる」と思い込んでいないか?最新情報を確認)、システム過信(「ECの管理画面に国名がある=販売可能」と勘違いしていないか?)、記憶頼み(誰かの「たぶん大丈夫」で進めていないか?確認先と確認日を記録する)、一部OK=全部OKバイアス(一つの商品がOKだから、全商品が同じ条件だと思い込んでいないか?)の6つのバイアスを提示
バイアスチェック内容
カテゴリーバイアス「雑貨だから大丈夫」と判断していないか。材質・成分・用途まで確認する。
一国OK=全部OKバイアス一つの国で送れたから、全世界OKだと思っていないか。
去年OK=今年OKバイアス「去年送れたから今年も送れる」と思い込んでいないか。最新情報を確認する。
システム過信「ECの管理画面に国名がある=販売可能」と勘違いしていないか。
記憶頼み誰かの「たぶん大丈夫」で進めていないか。確認先と確認日を記録する。
一部OK=全部OKバイアス一つの商品がOKだから、全商品が同じ条件だと思い込んでいないか。
失敗1|EC管理画面に国があるので販売可能だと思う
システム設定と販売可否は別です。
失敗2|配送会社の対応国一覧だけを見る
その商品を取り扱えるかも確認します。
失敗3|日本から発送できれば輸入できると思う
相手国の法令・税関判断は別です。
失敗4|決済確認を忘れる
商品・配送が問題なくても、購入者が支払えなければ注文できません。
失敗5|商品カテゴリーだけで判断する
食品、木製品、化粧品などの名前だけでなく、成分・材質・用途まで確認します。
失敗6|一つの商品を確認したら全商品OKにする
商品ごとに条件が異なります。
失敗7|一つの国でOKなら全世界OKだと思う
国・地域ごとに輸入条件が異なります。
失敗8|去年送れたので今年も送れると思う
配送・規制条件は変更される可能性があります。
失敗9|「未確認」を「○」にする
分からない項目は未確認として残します。
失敗10|確認先を記録しない
後から、なぜ○と判断したのか分からなくなります。
失敗11|配送停止後もECで注文を受け続ける
EC設定と実際の配送状況を一致させます。
失敗12|DAY44で具体的な各国規制を全部調べようとする
今回は判断方法を作る回です。国の選定はDAY45、商品別規制はDAY63~65で順番に学びます。

販売国を追加するときの12の質問

  1. 何の商品ですか?商品名だけでなく、材質・成分・用途を整理します。
  2. どの国・地域へ販売しますか?「海外」とまとめず、国・地域を特定します。
  3. ECサイト上でその国を設定できますか?販売システム側の機能を確認します。
  4. 購入者は決済できますか?決済方法・対応条件を確認します。
  5. 日本から輸出できますか?輸出禁止・規制・必要な許可等を確認します。
  6. 配送会社はその国へ配送していますか?国際配送サービスの対応地域を確認します。
  7. その配送サービスで商品を運べますか?商品内容・サイズ・重量・危険物等を確認します。
  8. 相手国へ商品を輸入できますか?禁止・制限・許可等を確認します。
  9. 条件付きの場合、何が必要ですか?証明書・許可・検査等の条件を整理します。
  10. ECサイトの設定と確認結果は一致していますか?未確認国から注文できないようにします。
  11. いつ確認しましたか?確認日を記録します。
  12. 何を根拠に判断しましたか?公式情報・問い合わせ先を記録します。

やってみよう|4つの壁診断&確認チェックリスト

販売国を追加するときに確認すべき4つの壁のどれかを選ぶと、確認ポイントの目安が分かります。あわせて、確認が一通りできているかもチェックできます。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。

① 4つの壁診断

販売できるか
決済できるか
日本から輸出できるか
配送会社が運べるか
相手国へ輸入できるか
EC設定とテスト注文

② 確認チェックリスト

①商品の材質・成分・用途まで具体化した
②販売対象国・地域を特定した
③購入者が決済できる方法を確認した
④日本から輸出できるか確認した
⑤配送会社がその国×商品を運べるか確認した
⑥相手国へ輸入できるか確認した
⑦ECサイトの設定とテスト注文で一致を確認した
できている項目
0 / 7
判定

これは自己チェック用の簡易ツールです。実際の販売・決済・配送・輸入の可否は、各サービスの公式情報や所管機関への確認に基づいて判断してください。

アウトプットワーク|販売可否・最終確認カルテを作ろう

実務アウトプット:販売可否・最終確認カルテ。商品定義(商品名、材質、原産国、重量)と、各種ゲート(販売・決済・輸出・配送・輸入それぞれのステータス・確認日・確認先)、EC同期(配送国設定・テスト注文完了のチェック)、最終判定(保留(未確認あり)/販売開始可能/販売不可)を記入する1枚のカルテ様式。「これらすべてに根拠(確認先)と確認日を埋めて、初めて自信を持って販売ボタンを押せます。」手元に保存して実務で活用してくださいと結ぶ

DAY42・DAY43で選んだ商品と販売国を使います。現時点で分からないところは、分からない条件を推測して○にせず「未確認」と記載してください。未確認を見える状態にすることがDAY44の実践ポイントです。

① 商品・販売国

② 決済・輸出

③ 配送・輸入

記入できたら完了にする

理解度チェッククイズ

第1問 ECサイトの配送先一覧にアメリカが表示されています。これだけでアメリカへ全商品を販売できるでしょうか?

A.商品・配送・輸入等を別に確認する
B.必ず販売できる
C.送料が表示されれば必ず販売できる
正解はAです。ECシステム上で国を選択できることは、その商品の販売・配送・輸入がすべて確認済みという意味ではありません。

第2問 「配送できる国」と「輸入できる国」について正しいものはどれでしょうか?

A.別々に確認する
B.必ず同じ
C.配送会社が決めるので輸入確認は不要
正解はAです。配送会社が荷物を運べることと、相手国の法令上その商品を輸入できることは別です。

第3問 配送会社がフランス向けサービスを提供しています。次に確認するものは何でしょうか?

A.その商品を取り扱えるか
B.会社のロゴ
C.サイトの背景色
正解はAです。国への配送サービスがあっても、商品内容によって取り扱えない場合があります。

第4問 日本から商品を発送できました。これだけで相手国への輸入が保証されるでしょうか?

A.相手国の輸入条件を別に確認する
B.必ず輸入できる
C.購入者が代金を払えば必ず輸入できる
正解はAです。日本側で発送受付された場合でも、相手国の法令・税関判断等により輸入できない場合があります。

第5問 販売○、決済○、配送○、輸入未確認の場合、適切なのはどれでしょうか?

A.輸入条件を確認してから販売開始する
B.○として販売開始する
C.輸入確認は不要
正解はAです。「未確認」を自動的に○としてはいけません。確認が終わってから販売開始します。

第6問 「未確認」と「×」の違いとして正しいものはどれでしょうか?

A.未確認はまだ判断材料がない状態
B.同じ意味
C.未確認の方が販売不可
正解はAです。×は対応できないことを確認した状態です。未確認は、まだ判断できていない状態です。

第7問 同じ商品を複数国へ販売するときに適切なのはどれでしょうか?

A.商品×国で確認する
B.1か国確認すれば全世界○
C.商品名だけ確認する
正解はAです。越境ECでは、商品×国で条件を確認します。

第8問 配送条件について適切なのはどれでしょうか?

A.条件が変わる可能性があるため確認日を残す
B.一度確認すれば永久に同じ
C.配送会社の名前だけ記録する
正解はAです。国際配送条件は変更される可能性があります。確認日と確認先を残します。

第9問 ECサイトで米ドル表示ができました。これだけで米ドル決済ができるでしょうか?

A.決済条件を別に確認する
B.必ずできる
C.通貨表示と決済は完全に同じ
正解はAです。画面上の表示通貨と、決済サービスが実際に処理する通貨・支払方法は別に確認します。

第10問 商品本体は発送可能ですが、同梱するおまけに配送制限がある可能性があります。何を確認するべきでしょうか?

A.荷物に入れる物品全体
B.商品本体だけ
C.箱の色だけ
正解はAです。国際配送では、商品本体だけでなく、付属品、おまけ、梱包内の物品も確認します。

第11問|判定問題 商品Aについて次の結果になりました。販売○、決済○、輸出○、配送○、輸入△(輸入条件:事前確認が必要)。この状態でどうするべきでしょうか?

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まだ販売開始しません。輸入△の条件を確認します。必要な手続が実行可能で輸入○になれば販売開始を検討します。条件を満たせない場合は、輸入×として販売対象から外します。

第12問|実務判断問題 昨日までアメリカ向けの配送が可能でした。今日、利用している配送サービスが一時的にアメリカ向け受付を停止しました。ECサイトでは現在もアメリカから注文できます。どのように対応するべきでしょうか?

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EC設定と実際の配送条件が一致していません。まず、新規注文の受付範囲を見直す→アメリカ向け配送設定を停止・変更→商品ページ等へ必要な案内→すでに受けている注文を確認→別の配送方法があるか確認→購入者への案内、という順番で対応します。

配送再開後は、最新条件を再確認→テスト注文→販売再開とします。

よくある質問

今回のまとめ

越境ECでは、「この国へ販売できます」という一つの○だけでは不十分です。今回覚えておきたいポイントは次の5つです。

  1. ECシステムで国を設定できることと販売できることは別
  2. 販売・決済・配送・輸入を分けて確認する
  3. 「国への配送」と「その商品の配送」を分ける
  4. 日本から発送できても相手国へ輸入できるとは限らない
  5. 商品×国で○・△・×・未確認を管理する

基本の確認順序は、商品を決める→国を決める→販売できるか→決済できるか→日本から輸出できるか→その国へ配送できるか→その商品を配送できるか→相手国へ輸入できるか→必要な条件を満たせるか→EC設定→テスト注文→販売開始です。特に重要なのは、配送可能≠輸入可能≠販売可能という考え方です。配送会社が「この国へ荷物を運んでいます」と案内していても、その商品の取り扱い、日本側の輸出条件、相手国の輸入条件は別に確認します。さらにECでは、購入者が決済できることも必要です。したがって、販売、決済、輸出、配送、輸入を一本につないで確認することで、注文が入った後に、送れない、輸入できない、決済できないという問題が起こる可能性を減らせます。

「“海外対応”って一つの○じゃないんだ。販売○・決済○・配送○・輸入○を一つずつ確認して、全部つながっているか見よう!」

まとめ:越境ECの海外対応は「1つの○」ではない。システムの設定完了は、販売開始の合図ではない。「販売・決済・輸出・配送・輸入」の5つの連鎖を個別に確認する。常に「商品×国」の単位で評価し、未確認を放置しない。次回予告DAY45:越境ECで販売する国の選び方

DAY44の実践課題

DAY42・DAY43で選んだ商品と販売国を使います。商品名、材質・成分、用途、原産国、国・地域を書き出し、ECサイト設定と販売可否、決済方法と可否、日本からの輸出可否を整理します。配送会社・配送サービス、国への配送、商品の配送、相手国への輸入、必要な許可等を確認し、確認日と、販売・決済・配送・輸入それぞれの確認先を記録します。最終結果として、販売・決済・輸出・配送・輸入それぞれを○/△/×/未確認で判定し、販売開始が可能・保留・不可のいずれかを決めます。「未確認」が一つでも残っている場合は、誰へ、何を、確認すれば判断できるのかを書いてください。分からない条件を推測して○にせず、未確認を見える状態にすることがDAY44の実践ポイントです。

獲得バッジ

音声で学んだ
4つの壁マスター
確認カルテ完成
FAQマスター
クイズクリア

次回 DAY45:越境ECで販売する国の選び方

海外需要、検索、SNS、問い合わせ、競合から販売国を考える方法を整理します。

DAY45へ進む(公開後にリンクします)

文:横田和也/解決ドットコム編集部

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