越境ECで販売する国の選び方|検索・SNS・問い合わせ・競合から海外需要を調べる方法 DAY45

🌏 Lv.3 越境ECの仕組みを学習中 XP 450

【DAY45】越境ECで販売する国の選び方

海外需要、検索、SNS、問い合わせ、競合から販売国を考える方法を整理する

解決.com公式 DAY45|カイピヨくんと学ぶ需要探求の実践ステップ。越境EC 最初の販売国の選び方
学習進捗 0 / 100 XP
🔊 音声で聞く「巨大市場の幻想を捨て勝てる国を選ぶ」

DAY44では、販売できるか、決済できるか、日本から輸出できるか、配送できるか、相手国へ輸入できるかを分けて確認しました。では、アメリカ、フランス、シンガポール、台湾、オーストラリアなど、複数の国へ販売できそうな場合、どの国から始めればよいのでしょうか?

ここで、人口が多い国、EC市場が大きい国、有名な国、英語が通じる国だけで決めるのは早すぎます。重要なのは、自分の商品を欲しそうな人がいるかです。例えば、海外EC市場が非常に大きい国でも、自分が販売する日本の伝統工芸品に関心を持つ人が少なければ、販売は簡単ではありません。逆に、国全体の市場規模は小さくても、その商品カテゴリー、日本文化、ブランド、用途に強い関心を持つ人がいる国なら、候補になる可能性があります。

DAY45では、検索、SNS、海外からの問い合わせ、競合、市場情報を使って、「なんとなく海外へ売る」のではなく、どの国から調べるべきかを整理します。

「“海外で売りたい!”だけじゃ国は決まらないよ。すでに誰かが探している、話している、問い合わせている国から見てみよう!」

DAY44との違い

「市場規模が大きい=売れる」ではない。左側は人口が多い・EC市場が大きい(世界EC市場ランキング上位だから、有名な国だから、英語が通じるから、だけで決めるのは早すぎます、と地球儀グラフに大きな×)。右側は自社商品への実際の需要(「自社の陶器」「自社の手ぬぐい」など、特定のカテゴリーや用途に対する「具体的な需要」がある国を探すことが重要です、とレーダーチャートで的を絞る様子)を対比

DAY44では、その国へ販売できるか、決済できるか、配送できるか、輸入できるかを確認しました。つまり、販売可能性の確認です。DAY45では、販売できそうな国が複数ある場合に、どの国で自分の商品への需要がありそうかを調べます。つまり、販売国の優先順位を決める回です。DAY46では、選んだ国へ商品情報を伝えるときに関係する、言語、通貨、時差、文化を整理します。DAY45では、翻訳や為替対応そのものには深入りしません。

この記事で分かること

  • 販売国を市場規模だけで決めない理由、「海外需要」とは何を見るのか
  • 検索から海外需要を確認する方法、Google Trendsの基本と注意点
  • SNSから海外需要を探す方法、「いいね数」だけで判断してはいけない理由
  • 海外からの問い合わせを需要の証拠として残す方法
  • 競合商品を探す方法、競合がいることを悪いことだと思わない理由
  • 候補国を比較し1~2か国へ絞る方法、テスト販売で確認すること

先に結論|「大きい市場」ではなく「需要の証拠がある国」を探す

需要を証明する「5つの証拠」。①検索②SNS③問い合わせ④競合⑤市場情報の5つをメーターアイコンで並べる。「一つだけで判断せず、複数の証拠が同じ方向を向いているか確認しよう!」とカイピヨくんが解説

販売国を決めるときは、世界でEC市場が大きい国ランキングだけを見ないようにします。見る順番は、商品を決める→販売可能な候補国を出す→検索されているか→SNSで話題になっているか→海外から問い合わせがあるか→競合商品が販売されているか→現地市場の情報を確認→候補国を比較→1~2か国から小さく検証です。

DAY45では、需要を次の5つの証拠で見ます。①検索:その商品や関連商品を探している人がいるか。②SNS:商品カテゴリーや日本の商品について投稿・反応があるか。③問い合わせ:すでにその国から購入希望・配送希望等の問い合わせが来ていないか。④競合:似た商品が実際に販売され、レビュー等が付いているか。⑤市場情報:その国のEC市場、消費者動向、商品カテゴリーについて公的・専門的な調査情報があるか。一つだけで判断せず、複数の証拠が同じ方向を向いているかを確認します。

販売国選びは「需要」と「販売可能性」の2軸で考える

国選びは「販売可能性」×「需要」の2軸で決まる。横軸に販売可能性(DAY44:決済、配送、輸入規制のクリア)、縦軸に需要の強さ(DAY45:検索数、SNSの反応など)を取った2×2マトリクスで、両方が高い右上のゾーンが「最初の進出候補国(スイートスポット)」だと図解。DAY44で「売れるか」を確認し、DAY45で「売れる需要があるか」を掛け合わせて優先順位を決定します、と説明

DAY44で確認したものは、販売可能性です。例えば、アメリカ、フランス、シンガポールがそれぞれ販売○・決済○・配送○・輸入○だったとします。この3か国は、販売できる可能性があるという状態です。しかし、どこから始めるべきかはまだ決まっていません。DAY45では、ここへ需要を追加します。販売可能性×需要の2軸で考えます。

経済産業省の2024年の調査では、日本・米国・中国3か国間の越境EC市場はいずれも増加しており、中国の消費者が日本事業者から越境ECで購入した金額は2兆6,372億円と推計されています。しかし、この数字から、自社の陶器が中国で売れる、自社の衣料品が中国で売れる、自社の雑貨が中国で売れるとは判断できません。市場規模は、その市場にEC取引があることを見る材料です。自社商品への需要は、別に確認します。つまり、市場規模≠自社商品の需要です。

まず「商品」を一つ決める・候補国を3~5か国出す

Step0:商品の解像度を上げる。「日本の商品」という曖昧な状態では、海外の需要は測れません。検索やSNSで調べる前に、カテゴリー、素材、用途、特徴を一つに絞り込みます。「日本の商品を売りたい」というモヤのかかった雲がNGで、素材・用途・価格帯・購入理由の4つのフィルターを通して「日本製 綿100% 手ぬぐい(インテリア・ギフト用途)」という具体的な商品像に絞り込むとOKになる漏斗のイラストで図解

販売国を選ぶ前に、どの商品を海外へ販売するのかを具体化します。悪い例は「日本の商品を海外へ売りたい」、良い例は「日本製の手ぬぐいを海外へ販売したい」です。さらに、商品名、カテゴリー、素材、用途、価格帯、特徴、日本らしさ、購入する理由を整理します。商品が曖昧なままでは、検索需要、SNS、競合を調べられません。

最初から世界中を比較する必要はありません。例えば、アメリカ、フランス、シンガポール、台湾、オーストラリアなど、3~5か国程度を候補として並べます。候補を作るきっかけは、既存問い合わせ、SNS反応、アクセス、過去の購入実績、展示会、知人・取引先、競合の販売国などでも構いません。この段階では、候補です。まだ販売国を確定しません。

まず自社の中に需要の証拠がないか探す

海外市場調査というと、いきなり海外の巨大な統計データを探したくなります。しかし、その前に、自社がすでに持っている情報を見ます。例えば、海外から問い合わせが来ている、海外からSNSをフォローされている、海外住所から購入希望が来た、外国語で商品について質問された、海外の店舗から取引相談が来た、海外旅行者が商品を購入した、などです。これは、自分の商品に対して実際に起きた反応です。一般的な市場統計より、小さくても具体的な需要の証拠になる場合があります。

証拠②SNS|「いいね数」の罠

証拠②SNS(「いいね数」の罠)。単なる興味(認知)として「Beautiful!」「かわいい」というコメント、強い需要シグナル(購買意向)として「Where can I buy this?」「Do you ship to US?」というコメントを対比。いいね数が多いだけでは、10万個売れるわけではない。保存・シェア、購入先や配送に関する質問こそが、販売需要の強い証拠と結ぶ

次にSNSを確認します。検索するものは、商品名、商品カテゴリー、日本文化、用途、ハッシュタグ、ブランド名、競合商品などです。見るのは、投稿数だけではありません。投稿内容、コメント、保存されそうな内容、シェア、質問、購入先を聞くコメントなどを見ます。

SNSで、10万いいねの投稿があったとしても、10万人が購入するという意味ではありません。SNSでは、面白い、きれい、珍しい、かわいいという理由でも反応されます。販売需要を見るなら、Where can I buy this?、Do you ship to ○○?、How much is it?、Is this available in ○○?のような、購入・配送に近い反応があるかを確認します。

例えば、日本の工芸品について、アメリカから「Where can I buy this?」というコメントが複数見つかったとします。これは、商品への関心だけでなく、購入先を探している可能性を示すヒントになります。一方、「Beautiful!」だけなら、興味はあるものの購入需要までは分かりません。反応を、認知、興味、購入意向に分けて見ると整理しやすくなります。

英語コメントが多いから、アメリカ需要とは判断できません。英語は多くの国で使われます。可能な範囲で、投稿者プロフィール、使用言語、投稿地域、コメント内容、現地クリエイター、現地ショップなどを確認します。「海外から人気」ではなく、どの国・地域から反応されているかを見ます。

一般的な投稿だけではなく、自社商品のSNSも確認します。例えば、海外アカウントからフォロー、海外からコメント、海外からDM、配送について質問、価格について質問、卸売について問い合わせなどです。これは、自社商品そのものへの反応です。国別に記録します。

証拠③問い合わせ&証拠④競合

証拠③問い合わせ&証拠④競合。証拠③問い合わせ:Messy Pile of Inquiries(雑多な問い合わせの山)からStructured Database(構造化されたデータベース)へ矢印。過去の「アメリカへ送れますか?」は宝の山。担当者の記憶ではなく、記録(日付・国別・内容別)としてデータベースに残す。証拠④競合:競合ゼロ(需要なしの可能性)と一定の競合(市場が存在する証拠)を天秤で対比。「競合ゼロ」は必ずしもチャンスではない。競合のレビューから「購入理由」と「不満」を抽出し、市場の存在を確認すると結ぶ

次の問い合わせがあったとします。アメリカへ送れますか?、フランスで購入できますか?、海外向け価格はいくらですか?、この商品をシンガポールで取り扱いたいです、海外卸売はできますか?。これらは、検索やSNSより購入行動に近い情報です。特に、同じ国から複数回問い合わせがある場合は、候補国として確認する価値があります。

問い合わせが来ても、「海外から問い合わせあった気がする」では市場調査に使えません。最低限、日付、国、商品、問い合わせ内容、購入希望、配送希望、卸売希望、結果を記録します。問い合わせは、商品について、価格について、配送について、購入方法について、在庫について、卸売について、返品についてのように分類します。例えば「配送できますか?」が多い場合、商品への興味はあるが購入方法が分からない可能性があります。つまり、需要なしではなく、販売導線が不足している可能性があります。

次に、同じ国で似た商品が売られているかを確認します。見る場所は、現地ECモール、検索エンジン、現地ブランドEC、SNSショップ、専門店、小売店サイトなどです。調べるものは、商品、価格帯、レビュー、販売者、商品説明、配送方法、在庫状況、評価などです。

初心者は、競合がいない国を狙いたくなることがあります。しかし、競合がいるということは、すでにその商品カテゴリーを買っている人がいる可能性を示します。例えば、Japanese potteryの商品が複数販売され、レビューも付いているなら、市場が存在する可能性があります。競合ゼロより、一定の競合がいる市場の方が需要を確認しやすい場合があります。

競合がまったく見つからない場合、チャンスとは限りません。可能性①まだ誰も販売していない市場、可能性②そもそも需要が少ない市場です。そのため、競合なし=ブルーオーシャンとは判断しません。検索、SNS、問い合わせ、市場情報を合わせて確認します。

競合商品のレビューには、購入者が評価している点、不満、使用目的、購入理由が書かれている場合があります。例えば、デザインが良い、ギフトに使った、日本製なのが良い、サイズが小さい、配送が遅かった、などです。ここから、何が購入理由になるのか、何が購入障壁になるのかを整理できます。単に、星4.8だから売れている、で終わらせません。レビュー100件だから、100個売れたという意味ではありません。レビュー率はサービスや商品によって異なります。また、レビューが少ない=売れていないとも限りません。レビューは、需要の証拠の一つとして使います。単独で販売数を推測しすぎないようにします。

証拠⑤市場情報|マクロとミクロの融合

証拠⑤市場情報(マクロとミクロの融合)。公的レポート(JETRO等)は「大きな地図」として使う。「日本商品への関心が高い」という記述だけで販売を開始しない。大きな地図(マクロ情報)と、自社商品に対する直接の反応(ミクロな需要シグナル)を掛け合わせて判断する、と検索・SNS・問い合わせ・競合の4アイコンを虫眼鏡で世界地図上に重ねて図解

検索・SNS・競合だけでなく、国別のEC市場情報も確認します。ジェトロでは国・地域別に、越境EC市場、関連制度、売れ筋、消費者動向などの情報を公開しています。さらに、2026年時点でも国別・商品分野別の越境EC調査レポートや市場分析が継続して公開されています。こうした資料を使い、EC利用状況、消費者動向、商品カテゴリー、市場の特徴を確認します。

ただし、レポートに「日本商品への関心が高い」と書いてあるから販売開始とはしません。市場レポートは、大きな地図です。検索、SNS、問い合わせ、競合は、自社商品に近い情報です。両方を使います。

5つの証拠を並べる・候補国比較マトリクス

SYNTHESIS - 販売候補国比較マトリクス。候補国(米国/フランス/シンガポール)×DAY44販売可否/①検索/②SNS/③問い合わせ/④競合/⑤市場情報の一覧表。米国は検索強・SNS強・問い合わせあり・競合多い・市場情報あり。フランスは検索中・SNS強・問い合わせなし・競合中・市場情報あり。シンガポールは検索中・SNS中・問い合わせあり・競合少ない・市場情報あり。これは売上予測ではなく、優先順位を整理するための「一次評価」です。点数だけで自動的に国を決定せず、運用負荷も考慮しますと結ぶ

販売候補国について、次の表を作ります。

項目米国フランスシンガポール
検索強い
SNS強い強い
問い合わせありなしあり
競合多い少ない
市場情報ありありあり

これは、アメリカが必ず一番売れるという表ではありません。複数の需要シグナルを、同じ画面で比較するための表です。比較しにくい場合は、簡易的に点数を付ける方法もあります。0(証拠なし・未確認)、1(弱い)、2(一定の証拠あり)、3(強い証拠あり)とし、検索3、SNS2、問い合わせ3、競合2、市場情報2、のようにします。ただし、この点数は売上予測ではありません。候補国の優先順位を整理するための、一次評価です。

例えば、国A(需要スコア12)、国B(需要スコア9)だったとします。しかしDAY44の確認で、国A(配送△・輸入△)、国B(配送○・輸入○)なら、国Bから始めるという判断もあります。つまり、需要×実行しやすさで考えます。需要が大きくても、運用負荷が非常に高い国を最初に選ぶ必要はありません。最終的には、販売可否・決済・配送・輸入というDAY44の確認結果と、検索需要・SNS反応・問い合わせ・競合・市場情報というDAY45の需要情報を、一枚の表にまとめると、需要はあるか、実際に運用できるか、を同時に確認できます。

実際のケースで考えてみよう|日本製手ぬぐいの国選び

ケーススタディ-「手ぬぐい」の国選び。商品:日本製手ぬぐいについて、検索需要:強・購入に関するSNS反応:強・問い合わせ:複数ありの条件を満たす米国が第1候補としてハイライトされる一覧表。選定理由:検索需要:強、購入に関するSNS反応:強、問い合わせ:複数あり。「アメリカが世界一だから選んだんじゃないよ。複数の証拠が揃っていて、一番仮説検証しやすいから選んだんだ!」とカイピヨくんが解説

日本の事業者が、日本製の手ぬぐいを海外へ販売するとします。DAY44で、アメリカ、フランス、シンガポールの3か国について、販売、決済、配送、輸入を確認できたとします。ここから、どこを最初の販売国にするかを考えます。

Step1|商品を具体化
商品:日本製手ぬぐい、素材:綿、特徴:日本の伝統柄、用途:タオル・インテリア・ギフト・ファッション小物。まず、「日本商品」ではなく具体的な商品にします。

Step2|検索語を考える
例えば、tenugui、Japanese towel、Japanese cotton towel、Japanese traditional textile、Japanese fabric giftなどです。一つの検索語だけではなく、商品名、カテゴリー、用途に分けます。

Step3|Google Trendsを見る
候補国ごとに、検索関心、期間、関連検索を確認します。ここでは、100、50、20という数字を検索回数として扱いません。相対的な関心を見る材料にします。

Step4|検索結果そのものも見る
検索エンジンで、商品名、関連語を検索します。EC商品、記事、SNS、現地ショップ、競合、レビューが出てくるか、検索結果から購入できる商品として認識されているかも確認します。

Step5|SNSを見る
SNSで、tenugui、Japanese textile、Japanese designなどを確認します。現地ユーザーの投稿、コメント、保存・シェア、購入先についての質問、利用方法、ギフト利用を見ます。

Step6|問い合わせ履歴を見る
過去1年間に、海外配送について問い合わせがなかったか確認します。仮に、アメリカ:複数あり、フランス:少数あり、シンガポール:あり、だったとします。問い合わせ件数だけで決定せず、需要シグナルの一つにします。

Step7|競合を探す
各国のECで、tenugui、Japanese towel等を検索します。販売商品があるか、現地販売者か、日本から発送か、レビューがあるか、どんな使い方を訴求しているかを見ます。

Step8|レビューを見る
競合商品のレビューから、ギフト、デザイン、品質、日本製、用途、配送など、何が評価されているか整理します。例えば、インテリア利用が多いと分かれば、タオルとして販売するという見せ方だけでは不足する可能性があります。

Step9|市場レポートを見る
ジェトロ等で、候補国のEC市場、消費者動向、日本商品、小売・EC事情などを確認します。一般市場と、ここまで集めた商品固有データを組み合わせます。

Step10|比較表を作る
仮の調査結果から、アメリカを最初の候補にするとします。ただし、アメリカが世界で一番良いという意味ではありません。今回の商品と自社の状況では、最初に検証しやすそうという判断です。

Step11|1か国だけ設定する
まず、商品:手ぬぐい、販売国:アメリカでテストします。他の国は、候補として残します。

Step12|販売後の反応を記録
商品閲覧、問い合わせ、注文、購入理由、配送、返品、レビューを記録します。これが、インターネット上の推測ではなく、自社の実際の海外販売データになります。

実行戦略|小さく始めて運用を完成させる

実行戦略-小さく始めて運用を完成させる。1カ国での検証(ページ閲覧・注文・配送・評価)から2~3カ国への拡張、世界展開へと同心円状に広がる的の図。1.最初から10カ国を狙わない。国が増えると通関・決済・問い合わせ等の対応が急増する。2.商品1つ×1~2カ国に絞り、「仮説が合っていたか」と「海外販売の運用フロー」を検証する。3.注文ゼロでも即撤退せず、価格や購入導線のボトルネックを分析する、という3つのポイントを提示

候補国を調べた結果、5か国とも可能性ありとなっても、全部同時に始める必要はありません。国が増えると、配送条件、問い合わせ、返品、通関、商品ページ、決済、確認情報が増えます。初心者なら、商品1つ×国1~2か国から検証すると原因を追いやすくなります。

販売開始国は、市場規模最大である必要はありません。例えば、需要は中程度でも、問い合わせ実績がある、配送が安定、競合情報が豊富、確認しやすいという国から始める方法があります。最初の目的は、世界市場を一気に取ることではありません。海外販売の運用を一つ完成させることです。

例えば、商品:日本製手ぬぐい、候補国:アメリカ、仮説:日本文化や和柄に関心のある消費者から需要があるのではないか、根拠:検索反応あり・SNS投稿あり・問い合わせあり・競合商品あり、とします。これなら、販売後に、仮説が合っていたかを確認できます。

テスト販売では、売れた・売れないだけを見ません。商品ページを見られたか、商品に反応があったか、問い合わせが来たか、カートまで進んだか、購入されたか、配送できたか、返品されたか、どんな質問が来たかを確認します。注文が0だから、需要0と即断しません。商品ページ、価格、配送費、説明、購入導線など別の問題も考えられます。

例えば、海外から100件アクセスではなく、アメリカ_件、フランス_件、シンガポール_件と分けます。問い合わせも、海外問い合わせ10件ではなく、国、商品、内容で分けます。国単位で比較できる形にします。検索トレンド、SNS、競合、市場状況は変わります。そのため、2026年8月確認など、いつ調べたかを残します。後から再調査したときに、変化を確認できます。

よくある失敗

失敗1|人口が多い国を選ぶ
人口と自社商品への需要は別です。
失敗2|EC市場規模だけで決める
市場全体の大きさと商品カテゴリーの需要を分けます。
失敗3|Google Trendsの100を検索100件と思う
Google Trendsは相対的な検索関心を示します。
失敗4|商品名1語だけ検索する
カテゴリー、用途、現地語なども確認します。
失敗5|SNSの「いいね」だけを見る
購入場所や配送を尋ねる反応なども確認します。
失敗6|英語コメントを全部アメリカ需要にする
国・地域を可能な範囲で確認します。
失敗7|海外からの問い合わせを記録しない
国・商品・問い合わせ内容を残します。
失敗8|競合がいる国を避ける
競合は需要が存在する証拠になる場合があります。
失敗9|競合ゼロをチャンスだと決めつける
そもそも需要がない可能性も確認します。
失敗10|市場レポートだけで商品需要を判断する
検索・SNS・問い合わせ・競合と組み合わせます。
失敗11|一気に10か国へ販売する
最初は少数国で運用を確認します。
失敗12|DAY45で言語・通貨対応まで全部設計する
DAY45は販売国選定です。言語・通貨・時差・文化はDAY46で整理します。

販売国を選ぶ12の質問

  1. 何の商品を販売しますか?商品を一つ具体化します。
  2. 販売可能な候補国はどこですか?DAY44の結果から候補を出します。
  3. すでに海外問い合わせがありますか?国・商品・内容を確認します。
  4. どの国からSNS反応がありますか?自社アカウントも確認します。
  5. 商品名は検索されていますか?商品名だけでなく関連語も調べます。
  6. どの国で検索関心がありますか?Google Trends等を使います。
  7. 関連検索は何ですか?購入目的や使い方を探します。
  8. 現地SNSではどのように使われていますか?投稿・コメント・用途を確認します。
  9. 競合商品はありますか?ECモール・検索・専門店等を確認します。
  10. 競合レビューでは何が評価されていますか?購入理由・不満・用途を確認します。
  11. 公的・専門的な市場情報がありますか?国別EC市場や消費動向を確認します。
  12. 最初に検証する1~2か国はどこですか?需要と販売可能性を合わせて判断します。

やってみよう|需要の証拠診断&確認チェックリスト

需要を確認する5つの証拠のどれかを選ぶと、確認のポイントの目安が分かります。あわせて、候補国の調査が一通りできているかもチェックできます。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。

① 需要の証拠診断

検索
SNS
問い合わせ
競合
市場情報
需要×販売可能性

② 候補国調査チェックリスト

①商品を一つ具体化した(カテゴリー・素材・用途)
②DAY44の結果から候補国を3~5か国出した
③商品名だけでなく関連語・現地語でも検索確認した
④SNSで購入に近い反応(購入先・配送の質問)を確認した
⑤海外からの問い合わせを国・内容別に記録した
⑥競合商品とレビューを確認した
⑦需要と販売可能性を組み合わせて1~2か国に絞った
できている項目
0 / 7
判定

これは自己チェック用の簡易ツールです。実際の需要は、複数の証拠と自社の販売実績を継続的に確認しながら判断してください。

アウトプットワーク|販売候補国比較シートを作ろう

DAY44で確認した商品を一つ使ってください。「市場が大きそうだから」だけで終わらせず、検索・SNS・問い合わせ・競合・市場情報のうち、どの証拠からその国を候補にしたのかを書いてください。

① 商品・候補国

② 需要調査

③ 競合・最終判断

記入できたら完了にする

理解度チェッククイズ

第1問 越境ECの販売国を選ぶ方法として適切なのはどれでしょうか?

A.需要と販売可能性を合わせて確認する
B.人口だけで決める
C.一番遠い国を選ぶ
正解はAです。販売国は、需要と、DAY44で確認した販売・決済・配送・輸入等の実行可能性を合わせて検討します。

第2問 EC市場規模が大きい国について正しいものはどれでしょうか?

A.自社商品への需要は別に確認する
B.すべての商品が必ず売れる
C.競合調査は不要
正解はAです。国全体のEC市場が大きくても、自社の商品カテゴリーへの需要があるとは限りません。

第3問 海外需要を確認する材料として適切なのはどれでしょうか?

A.検索・SNS・問い合わせ・競合
B.会社のロゴの色
C.担当者の好み
正解はAです。DAY45では、検索、SNS、海外問い合わせ、競合、市場情報を組み合わせて確認します。

第4問 Google Trendsの「100」は何を意味するでしょうか?

A.期間・地域内で正規化された相対的な検索関心
B.検索100回
C.購入100件
正解はAです。Google Trendsのデータは、期間や地域の総検索数に対する割合を基に正規化され、0~100で表示されます。検索回数そのものではありません。

第5問 商品が「手ぬぐい」の場合、検索方法として適切なのはどれでしょうか?

A.商品名・カテゴリー・用途を複数調べる
B.「手ぬぐい」だけ検索する
C.検索しない
正解はAです。購入者が日本の商品名称を知らない可能性があります。商品名だけでなく、カテゴリー、用途、現地語なども確認します。

第6問 SNS投稿に「10万いいね」が付きました。ここから分かることとして適切なのはどれでしょうか?

A.高い関心は考えられるが購入数とは別
B.10万個必ず売れる
C.10万人全員が同じ国に住んでいる
正解はAです。SNSの反応は関心の証拠になりますが、いいね数=購入数ではありません。購入場所や配送を尋ねるコメントなども確認します。

第7問 競合が存在する国について正しいものはどれでしょうか?

A.商品カテゴリーへの需要が存在する証拠になる場合がある
B.必ず参入してはいけない
C.必ず価格を半額にする
正解はAです。競合が存在することは、すでにそのカテゴリーを購入する市場が存在する可能性を示します。競合の多さだけで参入可否を判断しません。

第8問 競合商品が一つも見つからない国について正しいものはどれでしょうか?

A.新市場の可能性と需要がない可能性の両方を確認する
B.必ず大チャンス
C.必ず販売禁止
正解はAです。競合がない理由は、まだ市場が開拓されていない場合と、需要自体が少ない場合があります。検索、SNS、問い合わせ等で確認します。

第9問 海外から「この商品をアメリカへ送れますか?」という問い合わせが複数来ています。適切な対応はどれでしょうか?

A.国・商品・内容を記録し需要シグナルとして調べる
B.無視する
C.自動的に世界販売を開始する
正解はAです。実際の海外問い合わせは、自社商品への具体的な需要のヒントです。国・商品・問い合わせ内容を残します。

第10問 最初の越境EC販売について適切なのはどれでしょうか?

A.商品と国を絞って小さく検証する
B.初日から全世界へ全商品を販売する
C.販売国を決めない
正解はAです。国が増えるほど、配送、問い合わせ、返品、決済、規制確認などが増えます。最初は少数国で運用を確認します。

第11問|比較問題 候補国A(販売可能○・検索需要強・SNS強・問い合わせあり・競合あり)と候補国B(販売可能○・検索需要弱・SNS弱・問い合わせなし・競合なし)。現時点で、先に詳しく調査する候補としてどちらが適切でしょうか?

回答例を見る

現時点では、候補国Aを優先して詳しく調査する理由があります。検索、SNS、問い合わせ、競合という複数の需要シグナルが確認できているからです。ただし、国Aなら必ず売れるという意味ではありません。DAY44の配送・輸入条件や、実際の販売テストも確認します。

第12問|実務判断問題 Google Trendsで、商品に関する検索関心が国Aで100、国Bで50と表示されました。担当者が、「国Aでは国Bの2倍検索されているので、国Aに決定します」と言いました。何が問題でしょうか?

回答例を見る

Google Trendsの100と50を、実際の検索数の2倍と解釈している点が問題です。Google Trendsは相対的な検索関心を示すデータです。

さらに、検索関心だけで販売国を確定している点も問題です。SNS、問い合わせ、競合、市場情報、販売可能性も合わせて確認します。

よくある質問

今回のまとめ

越境ECで販売国を選ぶとき、人口が多い、EC市場が大きい、有名な国という理由だけで決めないようにします。今回覚えておきたいポイントは次の5つです。

  1. 市場規模と自社商品の需要は別
  2. 検索・SNS・問い合わせ・競合から需要の証拠を集める
  3. Google Trendsは絶対検索数ではなく相対的な関心を見る
  4. 競合がいることも需要を確認する材料になる
  5. DAY44の販売可能性とDAY45の需要を組み合わせて判断する

販売国を選ぶ基本の流れは、商品を決める→販売可能な候補国を出す→海外問い合わせを確認→検索需要を確認→Google Trendsを確認→関連検索を確認→SNSを確認→購入に近い反応を確認→競合商品を確認→レビューを確認→国別市場情報を確認→候補国を比較→需要と販売可能性を合わせる→1~2か国へ絞る→小さく販売→実際の反応を記録→次の国を検討です。大切なのは、海外市場について完璧に予測してから販売することではありません。検索されている、SNSで反応されている、問い合わせがある、競合が販売している、市場情報があるという複数の証拠から、需要がありそうな国の仮説を作ります。そのうえで、DAY44で確認した、販売、決済、輸出、配送、輸入が実行可能な国から、小さく検証します。市場調査の役割は、絶対に売れる国を当てることではありません。「なぜこの国から試すのか」を説明できる状態にすることです。

「“アメリカなら売れそう!”じゃなくて、“検索・SNS・問い合わせ・競合を見ると、この商品はアメリカから試す理由がある”って説明できるようにしよう!」

Next Steps-アクションと次回の準備。国選びのチェックリスト:商品の用途や特徴を一つに絞り込んだか?Google Trendsの相対値を正しく読んだか?競合レビューから購入理由を抽出したか?比較表を作り、1~2カ国に絞り込んだか?Next Module次回予告:DAY46。国が決まったら次は「ローカライズ」。言語・通貨・時差・文化の違いを整理し、購入者へ正しく情報を伝える準備をします

DAY45の実践課題

DAY44で確認した商品を一つ使ってください。商品名、カテゴリー、用途、特徴を書き出し、候補1~3を挙げます。検索語1~3と、国別の検索関心(強/中/弱/未確認)を確認します。SNSでの国別反応と、購入に近いコメントの有無・内容を確認します。国別の問い合わせの有無と主な内容、国別の競合の多さと競合レビューで分かったことを整理します。確認した市場情報の資料と分かったことを記録し、DAY44で確認した販売・決済・配送・輸入の状況と合わせて、最初に販売テストする国、選んだ理由、需要の根拠、まだ分からないことを書いてください。「市場が大きそうだから」だけで終わらせず、検索、SNS、問い合わせ、競合、市場情報のうち、どの証拠からその国を候補にしたのかを明確にすることがDAY45の実践ポイントです。

獲得バッジ

音声で学んだ
需要探索マスター
比較シート完成
FAQマスター
クイズクリア

次回 DAY46:越境ECの言語・通貨・時差・文化

翻訳、表示通貨、為替、問い合わせ時間、商習慣の違いを整理します。

DAY46へ進む(公開後にリンクします)

文:横田和也/解決ドットコム編集部

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