VAT・GST・免税基準とは?越境ECの少額貨物と海外の消費税をわかりやすく解説 DAY50

🌏 Lv.3 越境ECの仕組みを学習中 XP 500

【DAY50】VAT・GST・免税基準とは

国ごとに異なる付加価値税と少額貨物の免税制度を整理する

解決.com公式 DAY50|越境EC税制サバイバルガイド。「○○円以下なら免税」の罠と、VAT・GST・少額貨物ルールの完全攻略。数字だけを暗記するのは危険だよ、とカイピヨくんが解説
学習進捗 0 / 100 XP
🔊 音声で聞く「越境ECの少額免税に潜む罠」

DAY49では、関税、輸入時の消費税、その他の税金を分けて整理しました。特に、関税0%=税金0円ではないことを学びました。では、日本から海外へ商品を販売するとき、関税以外にはどのような税金があるのでしょうか。海外ECを調べていると、VAT、GST、Import VAT、Sales Tax、De Minimis、IOSS、Low Value Goodsなど、知らない言葉が一気に出てきます。EUではVAT、シンガポールやオーストラリアではGSTという言葉が使われ、さらに「150ユーロ以下」「135ポンド以下」「1,000豪ドル以下」「400シンガポールドル以下」など、国・地域ごとに異なる金額も出てきます。

ここで「○○円以下なら税金がかからないのか!」と理解すると危険です。なぜなら、その金額が、関税の基準、VAT・GSTを販売時に徴収する基準、低価格商品として扱う基準、税登録の基準のどれを意味するのか、制度ごとに違うからです。例えばEUでは、低価格商品のVAT免税は2021年に廃止されています。さらに2026年7月1日からは、従来の「150ユーロ以下の低価格貨物に対する関税免除」も変更され、対象となる越境ECの150ユーロ以下の貨物に暫定的な3ユーロの関税が導入されています。つまり、昔の記事で見た免税基準を、現在の越境ECへそのまま使うことはできません。

「“○○円以下なら免税!”だけ覚えちゃダメだよ。何の税金が、いつ、誰に免除される基準なのかまで確認しよう!」

DAY49との違い

DAY49では、輸入時には関税、VAT・GST・消費税等、その他税が別々に存在することを学びました。DAY50では、その中のVAT、GSTと、少額貨物に関する課税・免税・徴収制度を詳しく整理します。つまり、DAY49は「税金の種類を分ける」、DAY50は「消費税型の税と少額貨物ルールを理解する」です。DAY51では、原産国、製造国、発送国、販売国、課税価格、申告価格を整理します。DAY50では、商品の原産国判定や課税価格の詳しい計算には進みません。

この記事で分かること

  • VATとGSTとは何か、それぞれの違いと日本の消費税との違い
  • 関税とVAT・GSTが別の税である理由、Import VATとは何か
  • 少額貨物・De Minimis・Low Value Goodsとは何を意味するのか
  • IOSS、購入時徴収と輸入時徴収の違い
  • EU・英国・オーストラリア・シンガポール・ニュージーランドの低価格商品ルール
  • ECモールが税を徴収する仕組みと二重徴収を防ぐ方法
  • 税マスタの作り方、CSが税金の質問へ答えるときの確認順序

先に結論|「免税基準」という数字を単独で覚えない

免税基準の氷山図。水面上に見えるのは「€150以下なら免税!」という危険な誤解。水面下で確認すべきは、税の種類(関税?VAT?GST?)、対象単位(1商品?貨物全体?)、徴収者(販売者?モール?税関?)、タイミング(購入時?輸入時?)、送料の扱い(含む?含まない?)、例外(酒・たばこ・B2B?)の6項目

DAY50で最も大切なのは、○○ドル以下、○○ユーロ以下という金額だけを覚えないことです。確認するものは、①何の税金の基準か(関税?VAT?GST?その他税?)、②何を基準に判定するか(商品1個?貨物全体?取引全体?)、③送料を含むか、④誰が徴収するか(販売者?ECモール?配送会社?税関?)、⑤いつ徴収するか(購入時?輸入時?配達時?)、⑥例外商品はあるか(酒類?たばこ?その他特定商品?)です。

つまり、免税基準:150ユーロだけでは情報不足です。少なくとも、税金、対象、基準額、基準単位、徴収者、徴収時点、例外、確認日まで整理します。

VATとは・GSTとは

VATは、Value Added Taxの略です。日本語では、付加価値税と呼ばれます。EUではVATが広く使われています。欧州委員会はVATについて、商品の生産・流通やサービス提供など幅広い商取引に課され、最終的には消費者が負担する消費税として説明しています。簡単に考えると、商品を買った消費者が負担し、事業者が取引の中で徴収・申告する税です。日本の消費税と、考え方が似ている部分があります。

GSTは、Goods and Services Taxの略です。日本語では、物品・サービス税などと訳されます。オーストラリア、シンガポール、ニュージーランドなどで、GSTという名称が使われています。GSTも、商品・サービスの消費に関係する税として使われています。シンガポール税務当局も、GSTをシンガポール国内で消費される商品・サービスに対する税として位置付けています。

VATとGSTは同じ税率ではない・日本の消費税とも別

消費税型の税:VATとGSTの違い。VAT(Value Added Tax/付加価値税)は主にEUなどで採用、最終的に消費者が負担する仕組み。GST(Goods and Services Tax/物品・サービス税)は豪州・シンガポール・NZなどで採用、商品・サービスの消費に対する税。要注意ポイントは「名前が違うだけで世界共通」ではないこと、国ごとに標準税率・軽減税率が異なり、一定売上規模に達すると海外販売者でも税登録(徴収・申告義務)が発生する

VATとGSTは、消費に対して課税する考え方として似ています。しかし、名前が違うだけで世界共通制度ではありません。国によって、税率、軽減税率、非課税品、登録義務、申告方法、越境ECルール、低価格商品の扱いが異なります。したがって、EUのVATを理解した→シンガポールのGSTも同じ、とは考えません。

日本にも消費税があります。VAT・GSTと、消費に対する間接税という点では似ていますが、税率、登録制度、インボイス制度、越境EC販売者の扱い、輸入時の徴収方法などは国ごとに違います。DAY50では、日本の消費税を海外へコピーするのではなく、販売国の制度を確認すると覚えてください。

関税とVAT・GSTは別・Import VATとは

関税とVAT/GSTは「全く別のシステム」。関税(Customs Duty)は「輸入」という行為に対する税。VAT/GST等は「消費」に対する税(日本の消費税に近い性質)。関税率が0%でも、VATが課税されることは普通にある、「関税なし=完全無税」ではない

DAY49の復習です。関税は輸入される商品に対する税、VAT・GSTは消費に対する税という違いがあります。例えば、関税率0%、VAT課税ということがあります。したがって、関税なしとVATなしは別です。海外から商品を輸入するときに課されるVATを、Import VAT・輸入VATなどと呼ぶことがあります。EUでは2021年7月1日から、22ユーロ以下の輸入品にあったVAT免税が廃止され、輸入商品の価格が低くてもVATの対象となる仕組みに変わりました。つまり、安い商品だからVATなしとは限りません。

VAT・GSTの税率構造|標準税率・軽減税率・商品別税率

国によっては、標準税率、軽減税率、ゼロ税率、非課税などがあります。一般商品、食品、書籍、医薬品などで扱いが異なる場合があります。そのため、その国のVATは○%だけでは足りません。確認するものは、販売国、商品カテゴリー、HSコード、商品の用途、適用税率です。自社商品が食品、書籍、医療関連商品などの場合、標準税率がそのまま適用されるとは限らないため、商品別税率を確認します。つまり、国×商品で管理します。

VAT登録・GST登録とは・登録基準は商品基準と別

国によっては、海外の販売者であっても、一定条件を満たすと、その国のVAT・GST制度へ登録する必要が生じる場合があります。登録すると、購入者へVAT・GSTを請求→販売者が徴収→対象国へ申告・納付という仕組みになります。つまり、日本企業だから海外税務は関係ないとは限りません。一方、その国へ1件商品を売っただけで必ず登録とも限りません。国ごとに、販売額、取引形態、BtoC・BtoB、商品の所在地、ECモール利用などの条件があります。登録義務を判断するときは、販売数だけではなく、制度上の登録基準を確認します。

ここは非常に重要です。低価格商品:400ドル以下と、海外事業者の登録基準:年間売上○○ドル以上が同じ制度に存在する場合があります。シンガポールでは、Low-Value Goodsの基準は400シンガポールドル以下ですが、海外事業者のGST登録基準は別に設定されています。2026年時点では、海外事業者について、世界売上高が年間100万シンガポールドルを超え、シンガポール向けの対象BtoC売上が年間10万シンガポールドルを超える場合、GST登録が必要となる仕組みがあります。つまり、400ドルと100万ドルと10万ドルは、全部意味が違います。例えばネット記事に「Singapore GST threshold: S$400」と書かれていても、それだけで年間400ドルまで税金なしとは判断できません。数字を見るときは、商品価値か、貨物価値か、年間売上か、登録基準かを確認します。

少額貨物とDe Minimisとは・「免税」を分解する

国際配送では、Low Value Consignment、Low Value Goodsなど、価値が一定以下の商品・貨物に特別な取扱いを設ける制度があります。理由は、低価格商品1件ごとに、高額商品と同じ複雑な手続を行うと、行政・事業者双方の負担が大きくなるためです。ただし、低価格だから何も申告しないという意味ではありません。越境ECでは、De Minimisという言葉を目にすることがあります。一般的には、一定額以下の低価格貨物について、関税等を免除・簡素化する基準の文脈で使われますが、何が免除されるかは国によって違います。関税だけ免除、VAT等は課税という場合もあります。したがって、De Minimis=完全無税とは覚えません。

「免税」と書いてあった場合、関税:免税?VAT:免税?GST:免税?その他税:免税?通関申告:不要?を確認します。税金が免除されても、通関申告、輸入規制、商品安全規制がなくなるわけではありません。

関税免税とVAT免税は別・2026年のEUは特に注意

EU税制のパラダイムシフト(2026年問題)。Before:〜2026年6月は€150以下の一定貨物=関税免除ゲートを通過。After:2026年7月〜は対象の€150以下EC貨物に「暫定€3関税」が導入。3ユーロは「1箱3ユーロ」ではなく関税分類(item)ごとに加算される仕組みで、同じTシャツ5枚→€3、Tシャツ+時計→€6という例が示されている

例えば過去のEUでは、VAT側は22ユーロ以下の輸入免税、関税側は150ユーロ以下の免税という別の基準が存在していました。VAT側の22ユーロ免税は2021年7月1日に廃止され、さらに関税側の150ユーロ免税も2026年7月1日に変更されました。つまり、同じEUでも、VATの基準と関税の基準は別々に変わっています。

2026年6月30日までは、150ユーロ以下の一定の貨物について関税免除制度がありました。しかし2026年7月1日から、EU域外から消費者へ販売される150ユーロ以下の対象EC貨物について、暫定的に3ユーロの関税が導入されています。この3ユーロは、単純に1箱につき3ユーロではありません。欧州委員会は、関税分類上の「item」ごとに適用する仕組みを示しています。例として、同じTシャツ5枚→3ユーロ、Tシャツ+時計→6ユーロという説明がされています。つまり、数量、荷物、関税分類の関係を確認します。この暫定3ユーロ関税は、2028年7月1日までの暫定制度として導入されており、その後は商品分類に応じた通常の関税制度へ移行する予定です。2026年の記事を2028年にそのまま使うこともできません。なお、3ユーロの関税が導入されたからVATがなくなったわけではありません。EUでは、150ユーロ以下の一定の越境EC貨物について、IOSSという簡易的なVAT申告・納付制度を利用できます。

IOSSとは・購入時徴収と輸入時徴収

徴収のタイミングによる顧客体験(CX)の違い。ルートA購入時徴収(IOSS等):商品+送料+VATをまとめて支払い→通関→スムーズに自宅へ配達。ルートB輸入時徴収:商品+送料のみ支払い→通関でストップ→突然の税金請求。販売時に税を払っても、商品規制(食品・化粧品など)の通関チェックがなくなるわけではない

IOSSは、Import One Stop Shopの略です。EU域外からEUの消費者へ販売される、原則150ユーロ以下の一定の貨物について、販売時にVATを徴収し、まとめて申告・納付するための仕組みです。ここを間違えやすいですが、IOSS=税金免除ではありません。むしろ、購入時にVATを徴収しやすくする制度です。つまり、150ユーロ以下→VAT無料ではなく、150ユーロ以下の対象取引→IOSSを使って販売時にVATを徴収可能という違いがあります。

購入時徴収では、商品、VAT、送料、合計のように、ECのチェックアウト画面で税金を表示・徴収します。購入者は購入時に一定の税負担を確認でき、商品到着時に突然税金を払ってくださいと言われる可能性を減らせます。別の方法では、EC購入時は商品代金+送料のみ→商品輸入→税関・配送会社→VAT・GST等を計算→購入者へ請求という流れになることがあります。つまり、購入時徴収と輸入時徴収は、税金を払うタイミングが違います。例えばIOSSを使って購入時にVATを支払っていても、商品は国境を通ります。税関申告、商品規制、配送などは別に存在するため、税金を先払い=税関チェックなしではありません。

英国の135ポンド基準・Consignmentという考え方

基準額の単位トラップ:「商品1個」か「貨物全体」か。1つの箱(Consignment)に商品A(£80)+商品B(£70)=£150で£135を超過し少額貨物ルールの対象外になる。免税狙いの箱分割(厳禁):税逃れのための不自然な注文分割はNG、取引・発送の実態で判断される

英国では、英国外にある商品を、Great Britainの消費者へ直接販売する場合、貨物価値が135ポンド以下なら、原則として販売時に英国VATを徴収・申告する仕組みがあります。ここでも重要なのは、135ポンド以下だからVAT免税ではなく、販売者側が購入時にVATを徴収する制度だという点です。英国政府は、135ポンド基準について、輸入される貨物全体に適用し、その中の商品1個ずつへ135ポンド基準を適用するわけではないと説明しています。例えば、商品A:£80、商品B:£80を同じ貨物として送れば、合計:£160となり、「1個ずつ135ポンド以下」だけでは判断できません。

越境ECの税制度では、Consignmentという言葉がよく出ます。簡単には、一つの輸送単位としてまとめて発送される貨物というイメージです。免税・低価格基準では、商品1個ではなくConsignment全体を見る制度があるため、注文、商品、荷物を区別します。税金を避ける目的で、1つの注文を不自然に複数貨物へ分割することは適切ではありません。実際の制度では、取引、発送、貨物などの実態から判断されるため、「基準以下にするために箱を分ければよい」という運用にしないようにします。

送料を基準額へ含めるかも制度ごとに違います。例えば英国の135ポンド基準では、原則として商品販売価格を基礎とし、別表示される輸送費・保険料等はintrinsic valueから除外する考え方が示されています。ニュージーランドのLow Value Goodsでも、NZ$1,000基準はcustoms valueを基礎とし、判定時に送料・保険料を除くと説明されています。ただし全世界共通ルールではないため、「商品+送料」で勝手に合算判定しないようにします。どの費用を基準額へ含めるかは、制度上の評価方法を確認します。DAY51では、課税価格・申告価格をさらに詳しく整理します。

オーストラリア・シンガポール・ニュージーランドのLow Value Goods

オーストラリアでは、customs valueが1,000豪ドル以下の商品について、Low Value Imported GoodsのGST制度があります。オーストラリア税務当局は、非居住事業者が1,000豪ドル以下の商品をオーストラリアへ販売する場合、GSTルールの対象になり得ると案内しています。ここでも逆で、Low Value Goods制度は低価格商品へGSTを課税しない制度という意味ではなく、一定条件を満たす海外事業者等が販売時にGSTを徴収する仕組みです。一方、1,000豪ドルを超える輸入品では、GST等を国境で徴収する仕組みが関係します。

シンガポールでは、一定条件を満たし、販売時の価値が400シンガポールドル以下の商品を、Low-Value Goodsとして扱う制度があります。主な条件には、シンガポール国外にある商品、航空便または郵便でシンガポールへ配送、400シンガポールドル以下などがあります。GST登録された海外販売者から、対象となるLow-Value Goodsを購入する場合、購入時にGSTが課される仕組みがあり、400シンガポールドル以下=GST免税ではありません。商品側の400シンガポールドル基準と、海外販売者の世界売上高・シンガポール向け売上高によるGST登録基準は、同じ「免税ライン」として扱わないようにします。

ニュージーランドでは、1商品あたりのcustoms valueが1,000NZドル以下の一定の商品を、Low Value Goodsとして扱います。海外事業者は一定条件で、こうした低価格商品について、販売時にGSTを徴収・納付する必要があります。オーストラリアのA$1,000とニュージーランドのNZ$1,000は、どちらも「1,000」ですが、通貨、制度、対象、税務処理は同じではありません。数字だけを一覧表からコピーしないようにします。

国比較はこう見る

主要市場の少額貨物(Low Value)ルール比較。EUは低価格基準€150、低価格なら税免除?いいえ、販売時徴収は条件によりありIOSS等、関税は別確認、モール徴収は場合あり。英国は£135、いいえ、一定の直接BtoCであり。豪州はA$1,000、いいえ、登録条件等によりあり。シンガポールはS$400、いいえ、登録条件等によりあり。低価格基準=税金ゼロラインではない、現代の越境ECは少額でも購入時に税を徴収する方向に進化している
地域・国低価格貨物の代表的基準ポイント
EU€150以下IOSS対象になり得る。VAT免税ではない。2026年7月から暫定€3関税も導入
英国£135以下一定のBtoC直接販売では販売時VAT徴収
豪州A$1,000以下Low Value GoodsのGST制度
シンガポールS$400以下対象LVGは登録販売者が販売時GST徴収
ニュージーランドNZ$1,000以下対象Low Value Goodsで海外販売者がGST徴収する場合あり

ただし、この表だけで販売判断はしません。取引条件、BtoC・BtoB、商品、販売者登録、モール、例外商品、最新制度を確認します。

BtoCとBtoBを分ける

越境EC税制では、一般消費者向け(BtoC)と、税登録された事業者向け(BtoB)で、扱いが変わる場合があります。例えば英国では、135ポンド以下の商品でも、VAT登録された英国事業者への一定のBtoB販売では、販売者が通常のBtoCと同じ形でVATを徴収しない仕組みがあります。シンガポールでも、BtoCと、GST登録事業者向けBtoBを区別しています。したがって、配送国:シンガポールだけでは税判定できません。個人購入か、法人購入か、税登録事業者か、事業利用かを確認します。ECの顧客マスタに、BtoC/BtoB、税番号などを保持する場合があります。

ECモールが税金を徴収する場合・二重徴収を防ぐ

「二重徴収」の悪夢:誰が税を徴収・申告するのか?ECモール(プラットフォーム)が①購入時にVAT/GSTを徴収→購入者。②販売者(自社)から税関/配送会社への「税徴収済み」データ連携ミスが起きると、③到着時に再度VATを請求され二重徴収が発生する。対策はIOSS番号や税徴収者のフラグを、配送データへ正確に連携すること

Amazon等のモールや、その他の電子マーケットプレイスでは、一定条件で、販売者ではなくプラットフォーム側がVAT・GSTを徴収・納付する仕組みが採用されている国があります。英国では、一定の海外商品をオンラインマーケットプレイス経由で販売する場合、マーケットプレイス側がVATの納税責任を負う場合があります。シンガポールでも、一定条件を満たす電子マーケットプレイス運営者が、供給者としてGSTを徴収する仕組みがあります。自社ECはVAT対応、モールAはモールが徴収、モールBは別制度、という場合があるため、商品×国だけでなく、商品×国×販売チャネルで整理する必要があります。

モール注文でVAT徴収済みなのに、販売者側でも追加VATを請求すると、二重徴収につながります。注文データでは、税徴収者(モール、販売者、その他)を確認します。EC購入時にGSTを支払ったのに、輸入時にも配送会社からGSTを請求されたというケースも考えられます。この場合、購入時に徴収したことを、輸入時の申告情報へ正しく連携できているかを確認します。ニュージーランド税務当局でも、Low Value GoodsについてGSTを購入時に徴収した場合の表示・記録や、二重徴収に関する手続を案内しています。最低限、注文番号、販売国、商品、商品価格、税区分、税率、税額、税徴収者、VAT/GST登録番号、モール注文か、購入時徴収済みか、輸入時徴収予定かを注文データに残します。

免税でも申告・規制はなくならない・例外商品を確認する

基準額以外に見るべき「例外」トラップ。BtoBかBtoCかは、法人(税登録事業者)相手だと徴収ルールやVATの扱いが変わり国だけの判定は不可。送料の扱いは、基準額の判定に送料・保険料を含める国と含めない国があり勝手に合算して判定しない。物品税(酒・たばこ等)は免税や少額貨物ルールの「例外」になりやすく安くても国境で全額課税・規制対象になる。無料サンプルは価格0円でも税関価値は0ではなく勝手に「No Commercial Value」としない

税額がゼロでも、輸入申告、税関申告、データ提出が必要な場合があります。EUでは、2021年のVAT改革以降、価値にかかわらずEUへ入る商品について輸入申告が必要となる仕組みが導入されています。つまり、税金0≠税関手続0です。商品価格が10ユーロだったとしても、食品、化粧品、医薬品、植物、危険物などの規制がなくなるわけではありません。税金の基準と商品規制は別です。DAY63〜65で、商品別の輸出・輸入規制を詳しく扱います。

Low Value Goods制度では、酒類、たばこなど、物品税が関係する商品が対象外・特別扱いになる場合があります。例えばニュージーランドのLow Value Goodsルールでは、酒類・たばこ等は低価格商品制度の対象外で、価格にかかわらずGST・物品税・関税等が国境で適用されると案内されています。シンガポールでもLVGには対象条件があります。500円のTシャツ、500円の酒類、500円のたばこ、500円の化粧品では、同じ500円でも税・規制は同じとは限らず、商品×価格×国で確認します。免税基準以下にするため、実際200ユーロなのに申告100ユーロとすることは適切ではありません。取引内容に基づき正しい価格を申告します。サンプル、プレゼント、無料商品でも、輸入時に価値の確認が必要になる場合があり、販売価格0円=税関価値0とは限りません。サンプル・贈答品は、DAY56で詳しく扱います。

税表示・税マスタ・EC設定を最新に保つ

自社システム&CS対応チェックリスト。ECカート設定は、カート画面での最終金額(商品+送料+税金)の透明化、「Tax Included」は何の税が含まれているか明記、税率マスタは「適用開始日」を設けてバージョン管理、販売国×商品×チャネル(自社/モール)で設定を分岐。配送・データ連携は、購入時徴収済み(IOSS等)のフラグを配送会社へ正確に連携

商品ページに「Tax Included」と表示する場合、何の税金が含まれているのかを確認します。販売VATか、GSTか、関税か、輸入時手数料か、すべてかです。「税込み」という日本語だけを翻訳しないようにします。VAT Includedでも、Customs Dutyは別かもしれません。逆にDuties Includedでも、配送会社手数料まで含むとは限らないため、購入者へ何が含まれているかを明確にします。海外向けテスト注文では、商品、送料、VAT/GST、関税、その他、合計を確認し、購入画面と実際の販売条件が一致しているか確認します。

国の税率が変更されても、ECシステムが旧税率のままだと税額がずれます。制度変更確認→税マスタ更新→EC設定更新→テスト注文→公開という流れを作ります。2026年のEUのように、150ユーロ以下の一定貨物→関税免除だった制度が、対象となる150ユーロ以下の越境EC貨物→暫定3ユーロ関税へ変更されることもあります。古いECロジック、古いFAQ、古い記事をそのまま使っていれば、購入者への案内が間違います。税マスタには、確認日だけでなく適用開始日を管理すると便利です。例えば、国:EU、制度:低価格EC貨物暫定関税、対象:一定の€150以下貨物、適用開始:2026年7月1日、終了予定:2028年7月1日、確認日:2026年8月10日とします。

販売国ごとの税マスタ・商品×国×チャネルで管理する

販売国ごとの税マスタには、税名称、標準税率、商品税率、Low Value基準、通貨、関税免税の有無、VAT/GST免税の有無、販売時徴収、輸入時徴収、販売者登録、モール徴収、例外商品、適用開始、確認日、確認先を整理します。例えば、商品:陶器A、国:英国で、自社ECでは販売者VAT対応、モールではモール側処理となる可能性があるため、商品×国×販売チャネルという管理が必要になります。

海外VAT・GST登録が年間販売額を基準とする制度では、最初は登録不要でも、売上増加により途中から登録対象になる可能性があります。したがって、販売開始時だけ確認では不十分で、月次で対象国売上を確認します。例えば、登録基準:年間○○、現在:80%到達なら、超えてから慌てるのではなく、事前に税登録、システム設定、申告方法を確認します。海外税務登録について判断が必要な場合は、対象国制度に詳しい税務専門家へ確認します。

CS対応の鉄則|税率を担当者に暗記させない

カスタマーサポート(CS)の鉄則。Don't(NGな対応):「税金はかかりますか?」に対し担当者の古い記憶や曖昧な推測で「1万円以下なのでたぶん免税です」と断言する。Do(正しい対応):最新の制度マスタを参照し、「販売国×商品×チャネルの最新マスタを確認します」「最終的な輸入時課税は現地税関の判断となります」と断言を避ける仕組み化

フランスVAT○%、英国VAT○%、豪州GST○%を担当者が暗記して案内する運用は避けます。制度変更、商品別税率、例外があるため、CSは国、商品、注文、税マスタを確認して回答します。「税金はかかりますか?」と聞かれたら、販売国→商品→商品価格→販売チャネル→BtoC/BtoB→VAT・GST制度→Low Value基準→関税制度→誰が徴収→いつ徴収、を確認します。「たぶん免税です」と回答せず、不明な場合は、現時点では確定できない、最終的な輸入時課税は現地当局の判断が関係すると説明し、公式情報、利用サービス、配送会社、専門家へ確認します。

DAY50の判断フロー

越境ECオペレーション判断フローチャート。1.対象特定(商品/販売国/BtoC・BtoB/販売チャネル)→2.制度確認(VAT・GST制度/Low Value基準額・単位/送料有無)→3.徴収判定(誰が徴収するか?販売者/モール/いつ徴収するか?購入時/輸入時)→4.システム反映(カート購入画面への反映/配送業者へのデータ連携)

VAT・GST・Low Value確認フロー

商品を決める→販売国を決める→BtoC/BtoBを確認→販売チャネルを確認→VAT・GST制度を確認→商品税率を確認→Low Value Goodsの対象か確認→基準額を確認→何の基準か確認→送料等を含むか確認→例外商品を確認→販売者登録義務を確認→モール徴収か確認→販売時徴収か確認→輸入時徴収か確認→関税を別に確認→購入画面へ反映→配送・通関データへ連携→テスト注文→定期的に制度更新を確認

実際のケースで考えてみよう|日本の雑貨を海外3市場へ販売する

商品:日本製雑貨A、商品価格:日本円換算で約8,000円、販売候補:EU、英国、シンガポールとします。※実際の税率は商品・国・時期等によって確認する必要があるため、ここでは税率計算ではなく制度判定の流れを学びます。

Step1|商品を確認
商品:一般雑貨、HSコード:DAY48で確認済み、原産国:日本とします。

Step2|EUを確認
日本→EU消費者のBtoCです。商品価値:150ユーロ以下とします。低価格だから免税とはしません。EUでは低価格輸入品のVAT免税はすでに廃止されています。

Step3|IOSSを確認
IOSSを利用するのか、モール側が対応するのか、その他の方法なのかを確認します。IOSS対象となる場合、購入時にVATを徴収する設計を確認します。

Step4|EU関税を確認
「150ユーロ以下→関税免税」という古い資料は使いません。2026年8月現在、対象となる低価格EC貨物には2026年7月1日から暫定3ユーロ関税が導入されています。

Step5|英国を確認
英国向けは、貨物価値£135以下の直接BtoC販売を想定します。販売者側でVATを販売時に徴収・申告するルールを確認します。「£135以下だから免税」とはしません。

Step6|貨物単位を確認
商品A£80、商品B£70を一緒に送るとします。商品1個ずつは135ポンド以下ですが、貨物合計は£150です。英国の£135基準は貨物全体を確認します。

Step7|シンガポールを確認
商品価値:S$400以下、配送:航空便、BtoCとします。Low-Value Goodsの条件に該当するか確認します。

Step8|販売者登録を確認
商品がS$400以下だから自動的に日本の販売者がGST登録必要とはしません。海外販売者の、世界売上、シンガポール向け対象売上等の登録基準を別に確認します。

Step9|モール利用を確認
シンガポール向け販売を一定条件を満たす電子マーケットプレイス経由で行う場合、モール側がGSTを徴収する場合があります。誰が税を徴収するのか確認します。

Step10|3市場を表にする

項目EU英国シンガポール
消費税型VATVATGST
低価格基準€150£135S$400
低価格なら税免除?いいえいいえいいえ
販売時徴収条件によりあり一定条件であり登録条件等によりあり
関税別確認別確認別確認
販売者登録要確認要確認要確認
モール徴収場合あり場合あり場合あり

ここで、低価格基準=税金ゼロラインではないことが見えます。

Step11|EC設定
国別に、税表示、税率、徴収者を設定します。購入時に税を徴収する市場では、商品、送料、税、合計が購入前に確認できるようにします。

Step12|配送データを確認
購入時VAT・GST徴収済みの場合、配送・通関へ必要情報が連携されるか確認します。

Step13|テスト注文
EU、英国、シンガポールそれぞれ、購入者として注文画面を確認します。税金は正しいか、通貨は正しいか、二重計上はないかを確認します。

Step14|制度更新日を記録
EU:2026年7月制度変更のように、適用開始日を記録します。

Step15|定期確認
制度変更、税率変更、販売額増加、販売国追加、モール変更があった場合に再確認します。

よくある失敗

失敗1|VATと関税を同じ税金だと思う
別の税です。
失敗2|GSTはVATと名前が違うだけで世界共通制度だと思う
国ごとに制度が違います。
失敗3|低価格商品ならVAT・GSTは免税だと思う
販売時に徴収する制度もあります。
失敗4|「150ユーロ以下はEU関税免税」と案内する
2026年7月1日に制度が変わっています。
失敗5|IOSSを免税制度だと思う
VATを販売時に徴収・申告する仕組みです。
失敗6|135ポンドを商品1個ごとの基準だと思う
英国では貨物全体を確認します。
失敗7|Low Value Goods基準と税登録基準を混同する
別の金額です。
失敗8|モールが税を徴収しているのに自社でも徴収する
二重徴収を防ぎます。
失敗9|販売時にVATを徴収したので通関不要だと思う
通関・輸入規制は別です。
失敗10|酒・たばこも一般雑貨と同じ少額制度で考える
例外商品を確認します。
失敗11|古いブログの免税基準を使う
必ず現在の公式情報を確認します。
失敗12|DAY50で課税価格を詳しく計算する
課税価格・申告価格はDAY51で整理します。

VAT・GST・免税基準を確認する12の質問

  1. 販売国ではVAT・GSTのどちらを使いますか?正式な税名を確認します。
  2. 商品に適用される税率はいくらですか?標準税率だけで判断しません。
  3. BtoCですか、BtoBですか?取引区分を確認します。
  4. Low Value Goods制度がありますか?対象商品・金額を確認します。
  5. その金額は何の基準ですか?関税・VAT・GST・商品区分を分けます。
  6. 基準は商品単位ですか、貨物単位ですか?Consignmentの考え方を確認します。
  7. 送料・保険料を基準額へ含めますか?制度上の価値計算を確認します。
  8. 販売者に税登録義務がありますか?年間売上等の条件を確認します。
  9. モールが税を徴収しますか?販売チャネルを確認します。
  10. 税金は購入時・輸入時のどちらで徴収しますか?徴収時点を確認します。
  11. 関税は別に発生しますか?VAT・GSTと分けます。
  12. 制度をいつ確認しましたか?適用開始日・確認日を記録します。

やってみよう|VAT・GST診断&確認チェックリスト

6つのテーマから確認したい項目を選ぶと、確認すべきポイントの目安が分かります。あわせて、税金まわりの確認が一通りできているかもチェックできます。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。

① VAT・GST診断

VAT・GST・関税の違い
Low Value Goods・基準単位
EU・IOSS・2026年改定
購入時徴収・輸入時徴収
モール徴収・二重徴収防止
例外商品・BtoB・登録基準

② VAT・GST確認チェックリスト

①VAT・GSTと関税を別の税として確認した
②Low Value基準が何の基準か(税・単位)を確認した
③基準は商品単位か貨物単位かを確認した
④誰が・いつ税を徴収するか(販売者/モール、購入時/輸入時)を確認した
⑤モールと自社での二重徴収がないか確認した
⑥酒類・たばこ等の例外商品、BtoB扱いを確認した
⑦制度の適用開始日・確認日をマスタへ記録した
できている項目
0 / 7
判定

これは自己チェック用の簡易ツールです。実際のVAT・GST税率・免税基準・登録義務の判断は、各国の公式情報や専門家への確認で行ってください。

アウトプットワーク|VAT・GST・Low Value確認表を作ろう

DAY49で使った商品について、販売国を一つ選んでください。「○○以下は免税」という情報を見つけても、そのまま記入しないでください。何の税が免税なのか、VAT・GSTは別に課税されないか、誰が徴収するのか、現在もその制度が有効なのかまで確認してください。

① 商品・販売国

② VAT・GST・Low Value

③ 登録・徴収・例外・記録

記入できたら完了にする

理解度チェッククイズ

第1問 VATとは何でしょうか?

A.付加価値税
B.国際送料
C.配送追跡番号
正解はAです。VATは、Value Added Taxの略で、付加価値税です。最終消費者が負担する消費税型の税としてEU等で利用されています。

第2問 GSTについて正しいものはどれでしょうか?

A.国によってGoods and Services Taxという消費税型の税が使われている
B.世界共通の関税名称
C.HSコードの一種
正解はAです。GSTは、オーストラリア、シンガポール、ニュージーランドなどで使われています。

第3問 関税とVAT・GSTについて正しいものはどれでしょうか?

A.別の税として確認する
B.必ず同じ税
C.どちらか一つしか発生しない
正解はAです。関税とVAT・GSTは別の税です。関税が0でも、VAT・GST等が発生する場合があります。

第4問 Low Value Goodsについて正しいものはどれでしょうか?

A.低価格商品の特別な課税・徴収ルールが設けられる場合がある
B.世界中で完全免税
C.通関不要の商品
正解はAです。低価格=完全無税という意味ではありません。

第5問 「150ユーロ以下ならEUの関税は免税」という説明について、2026年8月現在正しいでしょうか?

A.2026年7月から制度変更されているため、そのまま使えない
B.永久に正しい
C.VATも必ず無料
正解はAです。EUでは2026年7月1日から、対象となる150ユーロ以下の越境EC貨物に暫定的な3ユーロ関税が導入されています。

第6問 IOSSについて正しいものはどれでしょうか?

A.一定の低価格輸入EC商品についてVATを販売時に徴収・申告する仕組み
B.関税を永久に免除する制度
C.国際配送会社
正解はAです。IOSSは免税制度ではありません。

第7問 英国の135ポンド基準について適切なのはどれでしょうか?

A.一定の直接BtoC販売では貨物全体の価値を確認する
B.商品1個ずつ135ポンドまで必ず無税
C.年間売上135ポンドの登録基準
正解はAです。英国政府は、135ポンドの基準を、原則として輸入されるConsignment全体の価値で判定すると説明しています。

第8問 シンガポールの400シンガポールドルについて適切なのはどれでしょうか?

A.Low-Value Goodsの判定基準の一つ
B.海外販売者の世界売上登録基準
C.関税率400%
正解はAです。販売者のGST登録基準とは別です。

第9問 ECモールがVAT・GSTを徴収する場合について正しいものはどれでしょうか?

A.販売者側で二重徴収しないよう確認する
B.販売者も必ず同額を追加徴収する
C.税情報は不要
正解はAです。モールが税を徴収する制度では、販売者側で同じ税を重ねて請求しないよう、注文時の税徴収情報を確認します。

第10問 低価格商品について適切なのはどれでしょうか?

A.免税でも申告・規制確認が必要な場合がある
B.どの国でも通関不要
C.輸入禁止品でも価格が安ければ輸入可能
正解はAです。税金が免除されても、税関申告、輸入禁止・制限、商品安全規制がなくなるとは限りません。

第11問|判断問題 販売国:EU/商品価格:100ユーロ/ネット記事:「150ユーロ以下は関税免税」(記事作成日2024年、現在2026年8月)。担当者は「100ユーロなので関税もVATもかかりません」と購入者へ案内しました。何が問題でしょうか?

回答例を見る

複数の問題があります。①2024年の記事を2026年へそのまま適用している(EUでは2026年7月1日に低価格貨物の関税制度が変更)。②関税とVATを混同している(低価格輸入品のVAT免税は2021年7月にすでに廃止)。③100ユーロだから完全無税と断定している。現在の関税制度、VAT、IOSS利用、商品分類、販売方法を確認し、購入者表示を修正する必要があります。

第12問|実務判断問題 海外モールでシンガポール向けに商品を販売しました。購入者はチェックアウト時にGSTを支払っていますが、商品到着時にも配送会社からGSTを請求されたと問い合わせが来ました。何を確認するべきでしょうか?

回答例を見る

二重徴収の可能性を確認します。注文番号→販売チャネル→購入時のGST額→誰が徴収したか→モール側GST処理→配送・通関データへGST徴収済み情報が連携されたか→配送会社からの請求書→GSTなのか別手数料なのか、の順に確認します。

単に配送会社が間違えたと決めず、購入時に支払った項目と到着時に請求された項目を照合します。

よくある質問

今回のまとめ

DAY50で最も重要なのは、低価格商品=税金なしと思わないことです。今回覚えておきたいポイントは次の5つです。

  1. VAT・GSTは関税とは別の消費税型の税
  2. Low Value Goodsの金額は「完全免税ライン」とは限らない
  3. 関税免税・VAT/GST課税・販売者登録を分ける
  4. 販売者・モール・税関の誰が徴収するかを確認する
  5. 少額貨物制度は頻繁に変更されるため現在の公式情報を確認する

基本の流れは、商品を確認→販売国を確認→BtoC/BtoB確認→VAT・GST制度確認→商品税率確認→Low Value Goods制度確認→基準額確認→何の基準か確認→貨物単位・商品単位確認→送料等の扱い確認→関税免税を別確認→販売者登録確認→モール徴収確認→販売時徴収確認→輸入時徴収確認→例外商品確認→EC設定→配送・通関情報連携→テスト購入→定期的に最新制度を確認です。150ユーロ、135ポンド、1,000豪ドル、400シンガポールドルという数字を見ても、それだけでは意味が分かりません。確認するべきなのは、何の税?何の商品?何の金額?商品1個?貨物全体?誰が徴収?いつ徴収?です。

むしろ現在の越境ECでは、少額商品を免税にするのではなく、EC購入時に販売者やモールがVAT・GSTを徴収する方向へ制度を設計している国・地域があります。EU、英国、オーストラリア、シンガポール、ニュージーランドには、それぞれ低価格輸入品に対する独自の徴収制度があります。そして2026年のEUのように、去年まで免税だった制度が、今年は課税へ変わることもあります。越境ECでは、税率を暗記することより、現在の制度を確認してEC設定へ反映する仕組みを作ることが重要です。

「“150ユーロ”“135ポンド”“400ドル”だけ覚えないでね。その数字が何の基準なのかを確認できれば、制度が変わっても調べ直せるよ!」

THE GOLDEN RULE。「低価格商品=税金なし」の時代は終わった。現代の越境ECは、少額貨物であっても「購入時に税を徴収する」方向へシフトしている。税率の「数字」を暗記するのではなく、自社に影響する「制度」を確認し、ECシステムと配送データに正しく反映する仕組みを作ることが真のサバイバル術である

DAY50の実践課題

DAY49で使った商品について、販売国を一つ選んでください。商品名、SKU、HSコード、原産国、商品価格を書き出し、販売国・通貨・BtoC/BtoB・販売チャネルを整理します。税名称(VAT/GST/その他)、商品税率、標準税率、軽減税率の有無を確認します。Low Value制度名、基準額、通貨、商品単位/貨物単位、送料・保険の扱いを整理し、少額関税免除の有無、現在の制度、適用開始日も確認します。販売者登録の要否、登録基準、現在の対象国売上を書き出し、販売者・モール・輸入時・配送会社それぞれの徴収有無、購入時税額、輸入時税額を整理します。商品価格、VAT/GST、国際送料、関税、税込み/税別、徴収者、徴収時点、税番号連携、配送情報連携、テスト注文をチェックし、制度確認日、適用開始日、確認先、次回確認も記録してください。

獲得バッジ

音声で学んだ
VAT・GST診断マスター
確認表完成
FAQマスター
クイズクリア
税制の全体像はつかめましたか?次回予告DAY51「原産国と課税価格」。製造国・発送国・販売国の違いと、申告価格の正しい計算方法を解き明かします

次回 DAY51:原産国と課税価格

製造国、発送国、販売国、申告価格の違いを整理します。

DAY51へ進む(公開後にリンクします)

文:横田和也/解決ドットコム編集部

\ 最新情報をチェック /