DDP・DAPとは?違いと関税・輸入税・輸入通関の負担者をわかりやすく解説 DAY54
【DAY54】DDP・DAPとは
関税・輸入税・輸入手続を、売主と買主のどちらが負担・対応するのかを整理する
DAY53では、輸出申告・輸入申告という税関手続そのものを整理しました。日本からアメリカへ商品を販売するとき、日本側の輸出申告、アメリカ側の輸入申告という2つの手続があります。では、アメリカ側の輸入申告は誰がやるのでしょうか。関税は誰が払うのでしょうか。同じ「日本からアメリカの購入者宅まで届けます」という販売でも、輸入通関・関税・輸入税を購入者が対応するのか、販売者側が対応するのかで意味が大きく変わります。この違いを整理する代表的な条件が、DAPとDDPです。
DAP・DDPは、国際商業会議所(ICC)が定めるIncoterms® 2020という11の貿易取引ルールの中にあります。ICCはIncoterms®を、売主と買主の間で商品の引渡しに関する費用・リスク・手続の分担を明確にするルールとして位置付けており、2026年8月現在の現行版はIncoterms® 2020です。
「DAPとDDPは似ているけど、"輸入通関を誰がやる?"を見ると違いが分かりやすいよ!」
DAY53との違い
DAY53では輸出申告・輸入申告という税関手続そのものを整理しました。DAY54では、その手続を売主と買主のどちらが担当・負担する条件なのかを整理します。つまりDAY53は「何を申告する?」、DAY54は「誰が担当する?」です。次回DAY55では、DAP・DDPだけでなくEXW・FCA・CPT・CIP・DPUなど、Incoterms® 2020全体の基本を整理します。DAY54ではDAPとDDPに絞ります。
この記事で分かること
- Incoterms®とは何か、何を決めて何を決めないのか
- DAPとは何か、DDPとは何か、共通点と一番大きな違い
- 輸入通関・関税・輸入VAT/GSTを誰が負担するのか
- 指定仕向地とは何か、なぜ具体的に書く必要があるのか
- 荷卸しはDAP・DDPどちらでも原則買主側という注意点
- DDPで売主が輸入者になれるかを先に確認する理由
- DDP価格に含めるべき費用項目
- 「送料込み」「関税込み」表示とIncoterms®は同じではない理由
- BtoBとBtoCで変わる選び方
- 先に結論|核心は「輸入通関」を誰がやるか
- Incoterms®とは|何を決めて何を決めないのか
- DAPとは|輸入の壁は買主が越える
- DDPとは|売主が輸入まで対応する条件
- 要注意の「荷卸しの罠」|DDPでも荷卸しは買主責任
- DAP vs DDP|責任・費用負担の完全比較
- DDP最大の壁|「輸入者(Importer)」になれるか
- DDPの価格設計|送料を足すだけでは赤字になる
- 契約の鉄則|「指定仕向地」はピンポイントで書く
- B2BとB2Cで変わる、最適な条件の選び方
- よくある誤解
- クレームを防ぐECカートのチェックアウト表示
- DAP/DDP判定フローチャート
- 実際のケースで考えてみよう|日本製陶器をアメリカへ販売する
- よくある失敗
- DAP・DDPを決める12の質問
- やってみよう|DAP・DDP診断&確認チェックリスト
- アウトプットワーク|DAP・DDP判断シートを作ろう
- 理解度チェッククイズ
- よくある質問
- 今回のまとめ
- 獲得バッジ
先に結論|核心は「輸入通関」を誰がやるか
最も簡単に分けると、DAPは、売主が指定された仕向地まで商品を運びます。輸出通関は売主、輸入通関は買主、輸入関税・税金は原則として買主側、荷卸しも原則として買主側です。DDPも、売主が指定された仕向地まで商品を運ぶ点は同じですが、輸出通関・輸入通関ともに売主が担当し、輸入関税・税金も売主側が負担します。荷卸しは、DDPでも原則として買主側です。ICCによれば、DAPでは売主が指定仕向地まで運送し、到着した輸送手段上で荷卸しできる状態にした時点で引渡しとなり、輸入通関とその費用は買主が担当します。DDPも引渡し地点自体は同様に指定仕向地ですが、輸出・通過・輸入の税関手続まで売主が担当し、DDPはIncoterms®の中で売主側の負担が最も大きいルールとされています。
DAP(仕向地持込渡し)
「あなたのところまで運びます。ただし輸入する手続と輸入時費用は買主側です」
DDP(関税込持込渡し)
「あなたのところまで運び、輸入通関と輸入時費用も売主側で対応します」
Incoterms®とは|何を決めて何を決めないのか
Incoterms®は、International Commercial Termsの略で、国際商業会議所(ICC)が定める商品の売買に使われる3文字の取引条件です。現行のIncoterms® 2020には11のルールがあり、DAY54ではそのうちDAPとDDPだけを学びます。Incoterms®では、売主と買主の間で誰が何をするか、誰がどの費用を負担するか、どこで商品の損失・損傷リスクが移るか、輸出・輸入通関を誰が行うかを整理します。つまり物流・費用・リスク・通関の役割分担です。
重要なのは、Incoterms®が売買契約のすべてを決めるルールではないという点です。代金をいつ払うか、商品の所有権がいつ移るか、どこの国の法律を適用するか、紛争をどう解決するかなどは、Incoterms®だけでは決まりません。ICC Academyも、Incoterms®は商品の所有権移転や準拠法・紛争解決まで決めるものではないと説明しています。また、費用負担と危険移転も別の概念で、売主が送料を支払ったからといって、その区間のすべてのリスクも必ず売主とは限りません。DAY54のDAP・DDPでは、どちらも売主が指定仕向地までリスクを負うルールなので、比較的分かりやすい部類です。
DAPとは|輸入の壁は買主が越える
DAPは、Delivered at Placeの略で、日本語では仕向地持込渡しなどと説明されます。売主が指定された仕向地まで商品を運び、到着した輸送手段上で商品が荷卸し可能な状態になったところで、売主の引渡し義務を果たします。DAPで一番大切なポイントは、輸入通関を買主が行うということです。輸入申告・輸入許可・必要な輸入ライセンス等・関税・輸入時の税は、原則として買主側の役割・費用になります。DAY53で学んだ輸入申告が、DAPでは買主側へ割り当てられると考えると分かりやすくなります。
DDPとは|売主が輸入まで対応する条件
DDPは、Delivered Duty Paidの略で、日本語では関税込持込渡しなどと説明されます。売主が指定仕向地まで商品を運び、さらに輸入通関・関税・輸入時の税金等まで対応します。Incoterms® 2020の中で、DDPは売主側の義務・費用・リスクが非常に大きい条件で、ICC AcademyもDDPを売主側の最大負担に近い条件として説明しています。購入者から見ると「輸入のことをほとんど意識せず受け取れる」状態に近づきます。
DAP・DDPには共通点もあります。どちらも売主が指定された仕向地までの運送を手配・負担し、到着した輸送手段上で荷卸しできる状態になったところで、売主から買主へリスクが移ります。違いは「輸入」で、DAPは輸入通関が買主、DDPは輸入通関が売主です。ICCもDAPとDDPの主要な違いを、輸入通関の責任と説明しています。輸出通関はどちらも売主が担当し、DDPではさらに通過国の必要な税関手続・輸入国での輸入通関も売主が担当します。関税だけでなく、DAY49・50で学んだ輸入VAT・GST等も、DAPでは原則として買主側、DDPでは売主側が対応する基本になります。
要注意の「荷卸しの罠」|DDPでも荷卸しは買主責任
DAP・DDPの両方で、商品は到着した輸送手段上で荷卸しできる状態で引き渡され、荷卸しのリスクは原則として買主側です。DDPは売主負担が最大と聞くと、荷卸しまで全部売主だと思うかもしれませんが、DDPでも最終輸送手段からの荷卸しリスクは買主側です。ここはよく間違えるポイントです。ただし、売主が契約した運送費の中に荷卸し費用が含まれている場合があり、その場合は費用としては売主が支払済みということもありますが、荷卸し時のリスク負担は別です。ICC Academyも、DAP・DDPで荷卸し費用が運送契約に含まれる場合と買主負担になる場合を区別しています。指定された仕向地で、商品が到着した輸送手段上にあり荷卸しできる状態になった時点が、売主から買主へリスクが移る重要なポイントです。
DAP vs DDP|責任・費用負担の完全比較
| 項目 | DAP(仕向地持込渡し) | DDP(関税込持込渡し) |
|---|---|---|
| 輸出通関 | 売主 | 売主 |
| 指定仕向地までの運送 | 売主 | 売主 |
| 輸入通関の手配 | 買主 | 売主 |
| 関税・輸入税等の負担 | 買主 | 売主 |
| 危険移転のタイミング | 指定場所で荷卸し準備完了時 | 指定場所で荷卸し準備完了時 |
| 荷卸しのリスク | 買主 | 買主 |
なお、DAPだから関税が高くなる、DDPだから税率が安くなるという話ではありません。DDPは関税率を変更する制度ではなく、同じ商品・同じ原産国・同じ輸入国なら税率自体は変わりません。違うのは、誰がその手続・費用を負担するかです。税率は、DAY48〜51で学んだHSコード・原産国・課税価格・輸入国制度等から確認します。
DDP最大の壁|「輸入者(Importer)」になれるか
購入者から見るとDDPは便利ですが、売主から見ると輸入国での輸入申告・税関手続・税金・許認可などを対応する必要があります。輸入国によっては、海外にしか拠点がない販売者が輸入者として通関することを禁止または制限している場合があります。ICC Academyも、DDPでは外国の売主が輸入通関を行えない国や、税務・行政手続が大きな負担になる国があると注意しています。DDPを選ぶ前に、非居住者でもImporterになれるか、現地税番号が必要か、現地法人が必要か、代理人が必要か、輸入ライセンスが必要かを確認します。「配送会社がDDP対応と書いてある」だけで、自社が法的に輸入者になれるとは決めません。ICC Academyも、売主が輸入国で輸入手続を行えない場合、DAPを代替として検討することを説明しています。ただしDAPなら何も調べなくてよいわけではなく、その商品が相手国で輸入可能なのか、購入者が必要な許可を取得できるのかは、DAPでも販売者側の確認が必要です。
DDPの価格設計|送料を足すだけでは赤字になる
DDPでは、商品価格+国際送料だけを計算してDDP価格を作ることはできません。輸出通関費用、輸入通関費用、関税、輸入税、配送関連費用、必要な許認可対応費用などを確認します。ICC AcademyもDDPでは、売主が輸送・輸出・輸入・通過税関手続等を負担する構造を示しています。例えば関税5%・VAT20%だから25%を足せばDDPというわけではなく、税率をかける課税価格が異なる場合があり、さらに通関費・立替手数料・登録費用などが発生する場合もあります。DAY49〜51で整理した情報を使います。輸入税を現地通貨で支払う場合、為替変動で実際の負担額が変わり、DAY50で学んだ低価格貨物制度やVAT/GST制度、関税制度が変更されればDDPの売主負担額へ直接影響することもあるため、税マスタの更新が重要です。一方DAPでは、売主側価格に商品代金・梱包・輸出側手続・指定仕向地までの輸送を考えればよく、輸入通関・輸入税等は原則として買主側です。ただしDAPでも売主は指定仕向地まで商品を運ぶため、「DAP=海外送料を購入者が全部払う」ではありません。
契約の鉄則|「指定仕向地」はピンポイントで書く
「DAP USA」では広すぎます。アメリカのどこか、空港か港か倉庫か購入者の店舗か住所か分かりません。Incoterms®では、Named Place(指定場所)を具体的に決めることが重要です。ICC Academyも、都市名だけを書くような曖昧な指定は紛争リスクを高めるとして、具体的な場所・地点を定めることを推奨しています。例えば「DAP Buyer Warehouse, ○○ Street, New York, USA Incoterms® 2020」のように、条件+具体的な仕向地+Incoterms®の版をセットで明記します。DAP Los Angeles Airportと DAP Buyer Warehouseでは、どちらもDAPですが売主が手配する輸送範囲が大きく違い、DDP Portと DDP Buyer Warehouseでも輸入許可後の国内輸送距離が違います。つまりDAP・DDPという3文字だけで価格は決まりません。
B2BとB2Cで変わる、最適な条件の選び方
BtoBでは、海外の販売代理店・輸入会社・企業の購買担当者が自社で輸入通関できる場合、売主は指定場所まで運送、買主は自国の輸入通関という分担ができ、DAPを使いやすくなります。BtoCでは、購入者が輸入手続に慣れているとは限らないため、購入時に最終支払額が分かり商品到着時の追加税負担がない設計は理解しやすく、DDPが分かりやすい場合があります。ただし販売者が輸入国でDDPを実行できることが前提です。DAPで販売する場合、購入者へ配送会社から関税を払ってください等の連絡が入る可能性があるため、購入前の案内が重要です。高額商品では、関税率・輸入税が想定よりずれると差額も大きくなるため、通関業者等から事前に見積りを取ることも検討します。そして、規制商品ではDAP/DDP以前に、輸入可能か・誰がImporterかを先に確認する順番が重要です。
よくある誤解
「送料無料」=DDPではありません。商品価格が送料無料でも、輸入関税が購入者負担ならDDPとは限らず、送料無料は販売価格上の送料設定にすぎません。「関税込み」表示だけでもDDPとは限らず、輸入VAT・通関手数料・その他税を誰が負担するのかが分からない場合があります。配送会社の「Duties Paid」サービスは配送会社の料金支払設定を示している場合があり、正式な売買条件としてDDP Incoterms® 2020を採用したかは契約・注文条件を確認します。またIncoterms®は所有権移転を決めるものではなく、DDPでリスクが購入者宅で移ったからといって、その瞬間に所有権が移るとは限りません。支払時期(前払い・後払い等)も、DAP・DDPだけでは決まらず売買契約で別に決めます。返品条件・商品不良責任も同様に、Incoterms®だけで決まるものではありません。
クレームを防ぐECカートのチェックアウト表示
Incoterms®は主にBtoB売買のルールで、ICCも商品のBtoB売買契約実務を反映する11のルールとして説明しています。そのため一般消費者向けECで「DDP」と3文字だけ表示すればすべて伝わるとは考えません。DAPで販売する場合は「輸入時の関税・輸入税等、通関手数料はお客様(受取人)のご負担となります。配達時に配送会社へお支払いください」のように、一般購入者が理解できる言葉で説明します。DDPで販売する場合も「表示価格には関税およびすべての輸入税が含まれています。商品到着時の追加費用は一切ありません」のように、実際に何が販売価格へ含まれているかを明確にします。モール販売では、税金徴収・輸入者・配送条件についてモール独自のルールがある場合があり、Incoterms®だけでなくモールの販売条件と整合させます。特に、モールがVAT徴収済みなのにDDP費用計算で同じVATをもう一度販売者が支払う状態になれば、二重徴収・二重負担の問題につながるため、DAY50で学んだ税徴収者の確認が重要です。
DAP/DDP判定フローチャート
整理すると、商品を決める→販売国を確認→輸入可能性を確認→輸入規制を確認→Importer要件を確認→購入者は輸入できる?→売主は輸入できる?→輸入税を確認→物流費を確認→DAP候補またはDDP候補→指定仕向地を具体化→費用分担確認→危険移転確認→荷卸し条件確認→契約・注文へ記録→購入者表示→テスト配送→実績コスト確認→条件見直し、という判断フローになります。まず輸入できるかどうかが前提で、輸入できないなら取引自体が止まります。次に売主が輸入者になれるかどうかでDAP一択かDDPを検討できるかが分かれ、関税・輸入税を正確に見積もれるかどうか、そして顧客体験としてDDPを優先したいかどうかで、最終的な選択が決まります。
実際のケースで考えてみよう|日本製陶器をアメリカへ販売する
商品:日本製陶器カップ、価格:10,000円、販売先:アメリカ、配送先:購入者宅とします。
ケースA|DAP
条件は「DAP Buyer Address, California, USA Incoterms® 2020」とします。日本企業(売主)が日本の輸出通関を手配し、カリフォルニアの指定場所まで運送を手配・負担します。輸入通関・関税・輸入時費用は買主側です。購入時に「輸入時に関税・税金等が発生する場合は購入者側で対応する条件」であることを案内し、配送会社から購入者へ税金・輸入情報の確認連絡が入る場合は購入者が対応します。通関後、商品が指定された購入者住所へ到着し、到着した輸送手段上で荷卸しできる状態になった時点が引渡し地点で、荷卸しは原則購入者側です。
ケースB|DDP
条件は「DDP Buyer Address, California, USA Incoterms® 2020」とします。まず、日本の販売者が米国側で必要な輸入手続を履行できる物流・契約体制なのかを確認します。「DDPと表示したい」だけでは足りません。HSコード・原産国・課税価格・関税率を確認し、輸入時に必要となる税・費用も確認したうえで、商品原価+利益+国際送料+輸出関連費用+輸入関連費用+関税+輸入税+その他必要費用を考慮してDDP販売価格を作ります。現地通関業者等を使い、売主側の責任として必要な輸入手続を進め、税金は売主側で負担します。輸入許可後に購入者宅へ運び、商品が指定住所で荷卸しできる状態になったところでリスクが買主へ移ります。まとめると、DAPは売主が指定場所まで配送、買主が輸入通関・関税等を担当し、DDPは売主が指定場所までの配送に加えて輸入通関・関税等まで担当し、買主は主に受取・荷卸しを担当します。
よくある失敗
DAP・DDPを決める12の質問
- 商品を相手国へ輸入できますか?最初に輸入可否を確認します。
- 誰がImporterになりますか?買主・売主・現地事業者を確認します。
- 買主は輸入通関できますか?DAP候補の判断材料です。
- 売主は輸入通関できますか?DDP候補の判断材料です。
- 外国販売者がImporterになれますか?輸入国制度を確認します。
- 関税はいくらですか?DAY48〜51の情報を使います。
- VAT・GST等はいくらですか?輸入時税を確認します。
- 指定仕向地はどこですか?住所・倉庫・空港等を具体化します。
- 誰が荷卸ししますか?DAP・DDPとも原則買主側です。
- 配送会社のサービスで実行できますか?通関・税金支払スキームを確認します。
- 購入者へ追加費用をどう表示しますか?DAP/DDPに合わせます。
- 条件を契約・注文へ記録していますか?口頭だけにしません。
やってみよう|DAP・DDP診断&確認チェックリスト
6つのテーマから確認したい項目を選ぶと、確認すべきポイントの目安が分かります。あわせて、DAP・DDPまわりの確認が一通りできているかもチェックできます。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。
① DAP・DDP診断
② DAP・DDP確認チェックリスト
これは自己チェック用の簡易ツールです。実際の取引条件・輸入要件は、通関業者やICC公式の情報で確認してください。
アウトプットワーク|DAP・DDP判断シートを作ろう
DAY53で使った商品と販売国を使って、DAPとDDPのどちらが実行可能かを書き出してください。「DDPにしたい」ではなく「DDPを実行できる」かどうかを確認することがポイントです。
① 商品・国・関係者
② 輸入可否・Importer要件
③ DAP・DDPそれぞれの実行可否
④ 指定仕向地・費用試算
⑤ 購入者表示・契約記録
記入できたら完了にする
理解度チェッククイズ
第1問 DAPの正式名称はどれでしょうか?
第2問 DDPの正式名称はどれでしょうか?
第3問 DAPで輸入通関を担当するのは原則どちらでしょうか?
第4問 DDPで輸入通関を担当するのは原則どちらでしょうか?
第5問 DAP・DDPで指定仕向地までの運送を手配するのは原則どちらでしょうか?
第6問 DAP・DDPで最終輸送手段から荷卸しするリスクを原則負うのはどちらでしょうか?
第7問 DDPについて正しいものはどれでしょうか?
第8問 DAPについて正しいものはどれでしょうか?
第9問 Incoterms®について正しいものはどれでしょうか?
第10問 「DDP USA Incoterms® 2020」という条件について適切なのはどれでしょうか?
第11問|判断問題 日本の販売者が、アメリカ購入者の自宅まで商品を配送します。ただし、アメリカの輸入申告・関税・輸入税は購入者が対応します。DAPとDDPのどちらに近いでしょうか?
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DAPです。売主:購入者宅まで運送、買主:輸入通関・関税・輸入税という分担だからです。ただし実際の契約では、Named Place・Incoterms®の版・その他条件まで明確にします。
第12問|実務判断問題 日本のEC事業者が「購入者に追加料金を払わせたくないからDDPにします」と決めました。しかし、販売先国で日本企業が輸入者になれるか、税登録が必要か、輸入ライセンスが必要かを確認していません。何が問題でしょうか?
回答例を見る
DDPを実行できるか確認せず、条件だけDDPにしていることが問題です。DDPでは売主が輸入通関を行う義務があります。したがって、販売国で非居住者がImporterになれるか、税務登録が必要か、現地代理人が必要か、輸入許可が必要か、配送会社が対応できるかを確認します。売主側で輸入通関できないのであれば、DAPなど別条件を検討する必要があります。
よくある質問
Delivered at Placeの略です。売主が指定仕向地まで商品を運び、到着した輸送手段上で荷卸しできる状態にして引き渡します。輸入通関・輸入時費用は原則として買主が担当します。
Delivered Duty Paidの略です。売主が指定仕向地まで商品を運び、輸出・輸入を含む税関手続や輸入関税等も売主側で対応します。Incoterms® 2020の中でも売主側の負担が非常に大きい条件です。
輸入通関です。DAPでは買主、DDPでは売主が輸入通関を担当します。ICCもこれをDAPとDDPの主要な違いとして説明しています。
原則として買主側です。輸入通関と、そのための関税・輸入税等を買主が担当します。
原則として売主側です。売主は輸入通関を行い、必要な関税・税金等を負担します。
完全に何もしないわけではありません。指定仕向地で商品を受け取り、原則として最終輸送手段からの荷卸しリスクを負います。輸入当局が必要とする情報提供等で協力が必要になる場合もあります。
はい。DAPの指定仕向地は、買主の倉庫・店舗・住所などにすることもできます。ただし輸入通関は買主側です。
そうとは限りません。輸入国によっては外国の売主が輸入通関を行えない、または現地での税務・行政手続が難しい場合があります。DDP採用前に輸入国制度を確認します。
DAP・DDPとも、Incoterms®上は売主が買主のために保険契約を行う義務はありません。ただし売主は指定仕向地までリスクを負うため、自社のリスク管理として保険を検討できます。
必ずしも同じではありません。「関税込み」が配送会社の料金設定を示しているだけの場合もあります。DDPは売買契約上、売主が輸入通関まで担うIncoterms®の条件で、契約内容を確認します。
購入者体験として分かりやすい場合はありますが、常にDDPが正解ではありません。売主が輸入国で輸入通関を実行できるか、税金・通関費を正しく見積もれるか、利益を確保できるかを確認し、実行できない国ではDAP等を検討します。
ICCはIncoterms®をBtoBの商品売買実務を反映したルールとして位置付けています。一般消費者向けECでは、考え方を物流契約等に利用しつつ、購入者には「税金は誰が払うのか」を分かりやすい言葉でも説明し、消費者向け法令・モール規約等も別に確認します。
今回のまとめ
DAY54では、DAPとDDPを整理しました。今回覚えておきたいポイントは次の5つです。
- DAPもDDPも売主が指定仕向地まで商品を運ぶ
- DAPでは輸入通関・輸入時費用を原則買主が担当する
- DDPでは輸入通関・輸入時費用を売主が担当する
- DAP・DDPとも荷卸しリスクは原則買主側
- DDPは販売先国で売主が本当に輸入通関できるか確認する
最も簡単にすると、DAPは、売主が輸出+指定場所まで配送、買主が輸入通関+関税+輸入税+荷卸しを担当します。DDPは、売主が輸出+指定場所まで配送+輸入通関+関税+輸入税、買主が荷卸しを担当します。ただし、DAPだから販売者は輸入国のことを知らなくてよいわけではなく、商品が相手国へ輸入できるか、購入者が輸入手続できるかを確認します。また、DDPだから購入者に優しいという理由だけで選ぶこともできません。売主が、輸入国側でImporterになれるのか、現地登録が必要なのか、許可が必要なのかを確認します。つまり、「DDPにしたい」ではなく「DDPを実行できる」ことが必要です。そして、DAP・DDPのどちらを選んでも、指定場所を明確にします。Incoterms®は費用・通関・リスクの分担を整理しますが、所有権・代金支払条件・返品条件・品質保証・準拠法まで、DAP・DDPだけで決まるわけではありません。
「DAPとDDPは"どこまで届ける?"だけじゃないよ。一番大事なのは、"輸入通関と税金を誰が担当する?"なんだ!」
DAY54の実践課題
DAY53で使った商品と販売国を使ってください。商品(商品名・SKU・HSコード・原産国・販売価格)、販売国(国・販売相手・輸入規制・必要許可)、Importer(購入者は可能か・販売者は可能か・現地法人の有無・輸入代理人の要否)を確認したうえで、DAP(実行可能か・購入者への説明)とDDP(実行可能か・実行できない理由)をそれぞれ検討し、DDPを選ぶ場合は商品原価・梱包・輸出費用・国際送料・輸入通関費・関税・輸入税・現地配送等からDDP総費用と利益を試算してください。指定仕向地(国・都市・住所・倉庫・引渡地点)を具体化し、最後に次の2つを文章にしてください。DAPの場合:「私たちは____まで商品を運びます。輸入通関・関税・輸入税は____が対応します。」DDPの場合:「私たちは____まで商品を運び、輸入通関・関税・輸入税も____が対応します。」この2つを説明できれば、DAPとDDPの基本は理解できています。

