ECの特定商取引法に基づく表記とは?販売価格・送料・返品条件を解説 DAY35

【DAY35】ECと特定商取引法・消費者契約
販売者情報・価格・送料・支払時期・配送時期・返品条件の表示を整理する
DAY34では、ECに関係する会社の中から、メーカー、販売会社、ECモール、決済会社、物流倉庫を分け、購入者との売買契約の相手となる「売主」を確認しました。DAY35では、その売主が購入者へ何を、どの画面で、どのように表示するのかを整理します。
ECでは購入者が商品を直接手に取れません。購入判断に使えるのは、商品画像、商品説明、価格、送料、配送予定、支払条件、返品条件、販売者情報といった画面上の情報だけです。例えば、商品価格が3,000円と表示されていても、注文直前に送料800円、代引手数料330円、冷蔵配送費500円、離島追加送料1,000円が加わり、実際の支払額が5,630円になる場合があります。「入金確認後に発送します」とだけ書かれていても、3日後に届くのか1か月後に届くのか分かりません。「返品はご相談ください」だけでは、どのような場合に返品できるのか判断できません。
特定商取引法では、通信販売の広告に、販売価格、送料、支払時期・方法、商品の引渡時期、返品条件、販売業者の氏名・名称、住所、電話番号などを表示することが求められています。さらに、インターネット通販の最終確認画面でも、注文内容や契約条件を確認できる表示が必要です。
「特商法ページを1枚作るだけでは終わりじゃないよ。商品ページ・カート・最終確認画面でも、必要な条件を確認できるようにしよう!」
DAY34との違い
DAY34は、誰が購入者へ商品を販売するのか、誰が販売責任を持つのかを整理しました。DAY35は、その販売者が何を購入者へ表示するのかを整理します。DAY34は責任主体の確認、DAY35は販売条件と契約表示の整備です。
この記事で分かること
- 特定商取引法がECに関係する理由、消費者契約法との違い
- 「特定商取引法に基づく表記」に必要な情報、販売者名・住所・電話番号の表示
- 販売価格の税込表示、送料・代引手数料などの表示方法
- 配送時期と発送時期の違い、「入荷次第」が不十分になる理由
- 返品特約に必要な内容、通信販売とクーリング・オフの関係
- 最終確認画面に表示する事項、注文ボタンで注意すること
- 定期購入の表示、消費者契約法による契約取消し・無効な条項
- ECを守る2つの法的フレームワーク
- 先に結論|表示する場所は1か所ではない
- 「送料無料」に潜む罠|価格・送料・追加費用の設計
- 実際のケースで考えてみよう|価格3,000円の商品で追加費用が判明した
- 支払方法と支払時期を具体的に示す
- 「発送」と「到着」は違う|配送時期・引渡時期の表示
- 申込期間・数量制限の表示
- 返品特約とクーリング・オフの誤解
- 特商法ページの必須項目|販売者情報の設計
- 最終確認画面のUI解剖学
- 定期購入の罠|初回価格だけを目立たせない
- 消費者契約法による利用規約の「無効化」
- ECモール・メーカー直送・予約受注生産での注意点
- 運用とデバイス|モバイルUIの死角と変更履歴
- よくある失敗
- 表示を設計する12の質問
- やってみよう|NG表示チェッカー&支払総額シミュレーター
- アウトプットワーク|EC表示確認表を作ろう
- 理解度チェッククイズ
- よくある質問
- 今回のまとめ
- 獲得バッジ
ECを守る2つの法的フレームワーク
特定商取引法とは
特定商取引法は、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売など、消費者トラブルが生じやすい取引について、事業者が守るべきルールや消費者を保護する仕組みを定めた法律です。インターネット上の商品ページを見た購入者が、ウェブサイトから注文する一般的なECは、通常「通信販売」に該当します。営利の意思を持って反復継続して販売する場合、法人だけでなく個人も販売業者に該当することがあります。
消費者契約法とは
消費者契約法は、消費者と事業者の情報量や交渉力の差を踏まえ、事業者の不当な勧誘による契約の取消しや、不当な契約条項の無効などを定めています。特定商取引法=通信販売で表示する事項や販売方法のルール、消費者契約法=消費者との契約で不当な説明や条項を規制するルール、という違いがあり、両方に対応する必要があります。特商法ページを作ったからといって、利用規約に何を書いてもよいという関係ではありません。
消費者契約法の「消費者」とは
消費者契約法上の消費者は、原則として個人ですが、事業として、または事業のために契約する個人は除かれます。自宅で使う椅子を購入すれば消費者としての購入になり得ますが、個人事業の店舗で使う椅子を購入すれば事業のための契約になり得ます。同じ商品でも、購入目的により扱いが変わる可能性があります。
先に結論|表示する場所は1か所ではない
ECの販売条件は、次の5段階で確認できるようにします。
| 場所 | 主に表示する内容 |
|---|---|
| 商品ページ | 商品、価格、主な送料・納期・返品条件 |
| 特商法ページ | 販売者情報と販売条件の全体 |
| カート | 数量、小計、送料、追加費用 |
| 最終確認画面 | 注文内容と契約条件の最終確認 |
| 注文後 | 確定した注文内容と問い合わせ先 |
特商法ページに書いた=他の画面では表示不要とは限りません。特定商取引法は、通信販売の広告だけでなく、インターネット上で申込みを行う最終確認画面にも、分量、販売価格、支払時期・方法、引渡時期、返品・解除条件などを表示するよう定めています。
特定商取引法上、通信販売の広告では主に、販売価格、送料、その他に購入者が負担する金銭、支払時期、支払方法、商品の引渡時期、申込期間がある場合はその内容、返品・解除条件、販売業者の氏名・名称、住所、電話番号、法人の代表者または通販業務責任者を表示します。そのほか、定期購入、販売数量の制限、ソフトウェアの動作環境など、取引内容によって追加表示が必要になります。
「送料無料」に潜む罠|価格・送料・追加費用の設計
販売価格は税込総額で表示する
購入者に商品価格を表示するときは、実際に支払う価格を分かりやすく表示します。消費者にあらかじめ価格を表示する場合は、原則として消費税を含んだ総額表示が必要です。「3,300円」「3,300円(税込)」「3,300円(税抜3,000円)」のように表示し、「3,000円+税」のように税込総額が分からない表示は避けます。セール価格を表示する場合は、通常価格と販売価格に加え、セールの終了日時、対象商品・数量、適用条件、クーポンとの併用可否も確認します。
送料は金額で示す
商品価格に送料を含めない場合は、送料を別に表示します。「送料実費」のような表現だけではなく、購入者が負担する金額を明確にするため、送料を金額で表示する必要があります。「全国一律800円」「北海道1,300円/沖縄1,500円/その他800円」のように示し、重量や注文金額により変わる場合は、購入者が注文前に計算できるようにします。「送料は注文後にお知らせします」だけでは、購入者は支払総額を判断できません。大型商品など事前に確定できない場合は、送料の計算方法、対象地域、見積りの時期、購入申込みになる前に確認できるかを明確にします。最終確認画面では、購入者が負担する販売価格と送料を確認できる必要があります。
送料以外の追加費用も金額で示す
代引手数料、後払い手数料、振込手数料、梱包料、冷蔵・冷凍料金、ギフト包装料、離島追加料金などを購入者へ負担させる場合があります。販売価格や送料以外に負担させる金銭がある場合は、その内容と金額を表示します。「代引手数料、梱包料がかかります」とだけ書くのではなく、具体的な金額まで表示する必要があります。
実際のケースで考えてみよう|価格3,000円の商品で追加費用が判明した
あるECサイトでは、商品ページに「商品価格3,000円」「送料無料」とだけ表示されていました。購入者が注文を進めると、最終確認画面で冷蔵配送費500円、梱包料300円、代引手数料330円が加わり、支払総額は3,000+500+300+330=4,130円になりました。
Step1〜2|問題と費用の名称を整理する
商品ページでは「送料無料」と表示されていましたが、実際には配送に関連する500円が必要でした。さらに梱包料300円も、注文前の分かりやすい位置に表示されていませんでした。「送料無料」だけを強調すると、配送に関する費用が一切かからないように見える可能性があります。通常送料0円、冷蔵配送費500円、梱包料300円、代引手数料330円というように、費用の名称を分けて整理します。
Step3〜5|商品ページ・カート・最終確認画面を変更する
変更後は、商品価格3,000円、通常送料無料、冷蔵配送費500円、代金引換を選択した場合の代引手数料330円、専用梱包料300円というように、追加費用を具体的な金額で表示しました。カートでは商品・冷蔵配送・梱包料・代引手数料・合計4,130円を一覧表示し、最終確認画面では商品、数量、各費用、支払総額、支払方法、配送時期、返品条件を一覧で表示し、「注文を確定する」ボタンの前に契約内容を確認できるようにしました。
Step6|社内設定も確認する
表示だけ変更しても、送料設定が間違っていれば注文金額は合いません。商品ページ、送料設定、決済手数料設定、カート、最終確認画面、注文確認メールのすべての金額を一致させる必要があります。
支払方法と支払時期を具体的に示す
利用できる支払方法を表示します。クレジットカード、銀行振込、代金引換、コンビニ払い、後払い、各種ウォレットなど、複数の支払方法がある場合は、一部だけではなく利用できる方法を整理して表示します。支払方法ごとに、手数料、注文確定時期、発送開始条件、返金方法が異なる場合もあります。
支払方法だけでなく、いつ支払うのかも示します。クレジットカードなら注文確定時に決済、商品発送時に売上確定など自社の処理に合わせます。銀行振込なら注文後7日以内に前払い、後払いなら商品到着後14日以内というように、金融機関やコンビニで支払う場合は、前払い・後払いの別と具体的な期限を表示する必要があります。
「発送」と「到着」は違う|配送時期・引渡時期の表示
特定商取引法でいう商品の引渡時期は、注文後、商品が購入者の元へ届く時期です。「注文確定後3営業日以内に発送します」「発送後1~3日程度で到着します」のように、期間または期限として明確に表示します。より分かりやすくするなら、「通常、注文確定から2~6日程度でお届け」など、発送と到着の関係を示します。「3日以内に発送」は「3日以内に届く」という意味ではありません。購入者に到着予定を伝える場合は、発送までの日数、配送にかかる目安、休日・繁忙期の扱いを分けます。
予約商品について「入荷次第発送します」とだけ表示しても、購入者にはいつ届くか分かりません。「入荷次第」は期間または期限を示したことにはならず、「2026年9月下旬入荷予定」「入荷後3営業日以内に発送」など、具体的な表示が必要です。仕入先の状況により変わる場合は、変更時の連絡方法も決めます。受注後に製造する商品では、通常商品と同じ納期を表示しないようにし、製造期間、支払時期、仕様確定後の変更可否、キャンセル期限、材料不足時の連絡を確認します。「完成次第」「準備でき次第」だけで終わらず、期間・期限を示します。
申込期間・数量制限の表示
期間限定販売、予約受付、抽選販売、数量限定販売などでは、申込期間を設定する場合があります。「受付期間 2026年8月10日10時から 2026年8月20日23時59分まで」のように、申込みの期間に定めがある場合は、その旨と内容を表示します。「1人3点まで」「先着100個」「一住所につき1回」といった販売数量の制限など、特別な販売条件がある場合も表示事項になります。「購入後に制限へ気づいた」という状態を避けるため、商品ページと最終確認画面の両方で確認できるようにします。
返品特約とクーリング・オフの誤解
返品条件では、返品できるか、返品できる期間、返品できる条件、連絡方法、返送先、返品送料の負担者、返金方法を少なくとも明確にします。返品特約がある場合は、返品の可否、期間などの条件、送料負担を明示する必要があります。「返品はご相談ください」という表示だけでは、事前に返品可否を判断できないため不十分とされています。
返品条件では、イメージと違う、サイズを間違えた、不要になったといった「購入者都合」と、注文と違う商品、数量不足、破損、初期不良、説明と異なるといった「販売側の問題」を分けます。例えば、購入者都合は未開封品に限り商品到着後7日以内・返送料は購入者負担、不良・誤配送は商品到着後7日以内に連絡・返送料は当社負担、というように分けて表示します。「返品不可」と表示する場合でも、どのような返品を認めないのかを明確にし、「商品に欠陥がある場合を除き、購入者都合による返品には応じません」のように示します。契約内容に適合している商品の返品を認めない場合は、その旨を広告に明示する必要があります。
通信販売には、訪問販売や電話勧誘販売のような一般的なクーリング・オフ制度はありません。ただし、返品特約が表示されていない場合には、原則として商品を受け取った日から8日以内に、購入者の送料負担で申込みの撤回や契約解除ができる仕組みがあります。事業者が返品に関する特約をあらかじめ適切に表示している場合は、その特約によります。「通信販売にはクーリング・オフがない=どのような返品条件でもよい」という意味ではありません。ECでは、購入者が必ず特商法ページを開くとは限らないため、返品特約については省略が認められず、インターネット通販では最終確認画面でも表示するよう定められています。
特商法ページの必須項目|販売者情報の設計
基本的に確認する項目は、販売業者の正式名称、所在地、電話番号、代表者または通販業務責任者です。ショップ名が「カイピヨストア」でも、運営法人が「株式会社○○」であれば、販売業者として正式な事業者名を確認できる表示が必要です。特商法ページへのリンクは、「特定商取引法に基づく表記」「会社概要」など、何が記載されているか分かる名称にし、サイトから容易に到達できるようにします。消費者庁は、リンク先が見つけにくい場合や、リンク先の内容が不明瞭な場合には、必要な表示が行われているとは解されないことがあると説明しています。
最終確認画面のUI解剖学
最終確認画面は、購入者が注文を確定する直前の画面です。商品をカートへ入れる→住所を入力→支払方法を選ぶ→最終確認画面→注文を確定、という流れの中で、購入者が契約内容を一覧で確認できるようにします。主な確認事項は、商品の分量・数量、販売価格、送料、支払総額、支払時期、支払方法、引渡時期、申込期間、返品・解約条件です。特定商取引法は、最終確認画面でこれらを表示し、契約の申込みになることや販売条件について誤認させる表示を禁止しています。
最終確認画面では、購入者が商品、数量、配送先、支払方法、クーポンを確認・訂正できるようにします。消費者が申込み内容を容易に確認・訂正できない仕組みは、「顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為」として行政処分の対象になり得ます。「数量を変更する」「カートへ戻る」「配送先を修正する」「支払方法を変更する」のような導線を用意します。
注文ボタンは、押すと申込みが完了することが分かる表現にします。「注文を確定する」「支払いを確定して注文する」のような分かりやすい表現にし、「次へ」「送信」「続ける」のようなボタンだけで判断させるのではなく、直前に「このボタンを押すと注文が確定します」などと示す方法があります。申込みになることを誤認させる表示は禁止されています。
定期購入の罠|初回価格だけを目立たせない
定期購入では、初回価格だけを大きく表示すると、1回限りの商品と誤認される可能性があります。定期購入であること、各回の価格、送料、支払総額、配送回数、配送間隔、契約期間、解約方法、解約期限、違約金・キャンセル料を表示します。複数回の購入が必要な契約では、その旨と販売条件を表示する必要があります。最終確認画面でも、初回だけでなく、その後の支払や契約条件を確認できる表示が求められます。
例えば、初回500円、2回目以降4,000円、最低6回購入という条件では、購入者が支払う総額は、初回500円+2〜6回目4,000円×5回=合計20,500円です。初回価格だけではなく、継続回数と支払総額を確認できるようにします。定期購入の解約方法として電話のみを指定する場合は、実際につながる窓口を用意します。消費者庁は、解約受付の電話番号が一切つながらない場合や、折り返しを依頼しても連絡がない場合には、解除に関する事項の表示義務に違反するおそれがあると説明しています。解約方法、受付時間、電話番号・申請画面、次回発送の何日前までか、解約後の費用を表示します。
消費者契約法による利用規約の「無効化」
販売条件を表示していても、事実と違う説明をして契約させた場合には問題が残ります。消費者契約法では、重要事項について事実と異なることを告げ、消費者がその内容を事実だと誤認して契約した場合などに、契約を取り消せることがあります。実際は中古品なのに新品と説明する、通常は1か月かかるのに必ず明日届くと説明する、といった例です。
返品不可、自動更新、最低購入回数、高額な解約料、一部地域への追加送料、長い納期といった条件は、購入判断へ大きく影響します。商品ページの下部や、開きにくいリンク先だけに置くのではなく、購入者が契約前に認識できる位置へ表示します。最終確認画面で必要事項を表示しなかったり、誤認させたりしたことにより消費者が申込みをした場合、意思表示を取り消せることがあります。
利用規約へ「当社は、いかなる場合も一切責任を負いません」と書けば、すべての責任を免れられるわけではありません。消費者契約法では、事業者の債務不履行などにより生じた損害について、事業者の責任を全面的に免除する条項などは無効になることがあります。キャンセル料を定める場合は、金額や計算方法を明確にします。消費者契約法では、契約解除に伴う違約金・損害賠償額が、その事業者に生じる平均的な損害を超える場合、超える部分が無効となることがあります。利用規約に書いてあることと、その条項が法的に有効であることは別です。消費者の権利を制限したり、義務を加重したりする条項で、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、消費者契約法により無効となる場合があります。返品不可、返金不可、当社は責任を負わない、キャンセル料100%と一律に記載するのではなく、商品・販売方法・責任の原因を確認して設計します。
ECモール・メーカー直送・予約受注生産での注意点
ECモールでは、モールが共通のカートや最終確認画面を用意することがあります。それでも、出店者側で商品ページの価格、送料設定、発送日数、返品条件、販売者情報、定期購入設定を確認します。モールの共通規約と、自店舗独自の条件が矛盾しないようにします。
メーカー直送では、販売者の表示と、メーカーの出荷条件を一致させます。商品ページで「3営業日以内に発送」と表示していても、メーカーの実績が通常7営業日であれば、購入者への表示と実際の運用が一致しません。在庫回答、発送までの日数、休業日、返品先、初期不良対応を確認します。
予約販売や受注生産では、通常商品よりキャンセル条件が厳しくなる場合があります。ただし、「受注生産品のため一切返金しません」と表示するだけでは、販売側の誤配送や契約内容に適合しない商品まで同じ扱いになるように読めます。購入者都合と販売者側の問題を分けて表示します。
運用とデバイス|モバイルUIの死角と変更履歴
注文後は、確定した取引内容を購入者が確認できるようにします。注文番号、商品・数量、商品価格、送料、手数料、支払総額、支払方法、配送先、配送予定、返品・問い合わせ先です。注文確認メールは、商品ページの情報が後から変更されても、注文時の条件を確認する記録になります。
商品価格、送料、支払条件、発送日数、返品条件、定期購入条件を変更した場合は、日付と変更前後を残します。例えば、8/1に送料を700円から800円へ、8/5に発送を2日以内から4日以内へ変更した記録です。過去の注文には、注文時に提示した条件が関係します。
パソコンでは表示されていても、スマートフォンでは文字が小さい、横へスクロールしないと読めない、返品条件が折り畳まれている、注文ボタンより下に重要事項がある、固定ボタンが表示を隠しているといった状態になることがあります。法令上の項目を置くだけでなく、購入者が容易に認識できるかを確認します。
よくある失敗
表示を設計する12の質問
- 販売業者の正式名称は表示されていますか?ショップ名だけで終わらせません。
- 住所・電話番号・責任者を確認できますか?購入者が連絡できる情報を整えます。
- 税込の販売価格が分かりますか?支払う商品価格を明確にします。
- 送料を事前に計算できますか?地域、重量、温度帯を確認します。
- 送料以外の追加費用はありますか?梱包料、代引手数料等を金額で示します。
- 支払時期は具体的ですか?前払い、後払い、期限を示します。
- 商品がいつ届くか分かりますか?発送日だけでなく、到着までの目安を確認します。
- 返品条件は具体的ですか?可否、期間、条件、送料負担を表示します。
- 不良品と購入者都合を分けていますか?返品・交換ルールを混同しません。
- 最終確認画面で条件を一覧確認できますか?注文直前に内容を再表示します。
- 注文内容を訂正できますか?数量、住所、支払方法を戻って修正できるようにします。
- 利用規約に一方的な条項がありませんか?全面免責や過大なキャンセル料を確認します。
やってみよう|NG表示チェッカー&支払総額シミュレーター
よく使われがちな表示文言が特定商取引法上どう扱われやすいかを確認できるほか、商品価格に送料・手数料を足した支払総額をその場で計算できます。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。
① NG表示チェッカー
② 支払総額シミュレーター
これは自己チェック用の簡易計算です。この合計額を、商品ページ・カート・最終確認画面のどこかで購入者が確認できているかを見直してみましょう。
アウトプットワーク|EC表示確認表を作ろう
運営中または想定するECについて、表示内容を確認してください。分からない内容は推測せず、現在のEC設定、決済条件、配送契約、返品運用、モール規約、消費者庁の特定商取引法ガイドを確認してください。
① 販売者情報
② 価格・支払・配送
③ 返品条件
④ 表示場所の確認
記入できたら完了にする
理解度チェッククイズ
第1問 ECの通信販売で表示するものはどれでしょうか?
第2問 送料の表示として注意が必要なものはどれでしょうか?
第3問 「入荷次第発送します」だけで十分でしょうか?
第4問 返品条件へ記載するものはどれでしょうか?
第5問 通信販売に一般的なクーリング・オフ制度はあるでしょうか?
第6問 最終確認画面で確認するものはどれでしょうか?
第7問 注文内容の訂正について適切なものはどれでしょうか?
第8問 定期購入で必要な表示はどれでしょうか?
第9問 「当社は一切責任を負いません」と書けば、すべて有効でしょうか?
第10問 キャンセル料について適切なのはどれでしょうか?
第11問|計算問題 商品価格5,500円、送料800円、冷蔵配送費500円、後払い手数料250円のとき、支払総額はいくらでしょうか?
計算例を見る
5,500+800+500+250=7,050円。支払総額は7,050円です。この合計額を、最終確認画面で購入者が一覧で確認できるようにします。
第12問|実務判断問題 商品ページに「商品価格2,000円」「発送 入金確認後」「返品 ご相談ください」とだけ表示されています。この表示で十分でしょうか?
回答例を見る
十分とはいえません。送料、その他の費用、支払期限、発送までの日数、到着時期、返品の可否・期限・条件・送料負担が不足しています。
変更例:商品価格2,000円(税込)/送料全国一律800円/支払時期は注文後7日以内に前払い/配送時期は入金確認後3営業日以内に発送/購入者都合の返品は未開封品に限り商品到着後7日以内・返品送料は購入者負担/不良・誤配送は当社負担で交換または返金、というように具体的に示します。
よくある質問
特定商取引法上の通信販売を行う販売業者には、販売条件等の表示が求められます。具体的な適用や省略可否は、販売方法を確認して判断します。
購入者が容易に到達できることが重要です。リンク名や位置が分かりにくい場合は、必要な表示に到達できない可能性があります。
商品ページや送料案内から、購入者が負担額を事前に確認できるようにします。最終確認画面でも送料と支払総額を表示します。
同じではありません。発送作業にかかる日数と配送日数を分けて表示します。
購入者都合の返品と、商品が契約内容に適合しない場合の対応は分けて表示・判断します。
返品特約の表示や商品の状態によって異なります。返品特約が表示されていない場合には、法定の返品ルールが関係することがあります。
重要な価格、送料、納期、返品条件などは、購入者が申込み前に容易に確認できるようにします。最終確認画面にも必要事項を表示します。
押すことで注文が確定することが明確かを確認します。画面全体で、申込みになることを誤認させない表示が必要です。
無期限契約などでは一定期間の目安額を示し、その期間が契約期間ではなく目安であることも分かるようにする方法が案内されています。
商品価格、送料、発送日数、返品条件、販売者情報など、自店舗が設定する内容を確認します。
消費者契約法上、平均的な損害を超える部分が無効となる場合があります。
販売条件、商品、契約形態により判断が変わるため、消費者庁・特定商取引法ガイドの最新情報を確認し、必要に応じて弁護士などの専門家へ相談します。
今回のまとめ
ECでは、販売者情報と販売条件を、購入者が注文前に理解できる形で表示する必要があります。今回覚えておきたいポイントは、次の5つです。
- 販売者名・住所・電話番号などを確認できるようにする
- 商品価格だけでなく、送料・手数料を金額で示す
- 支払時期と配送時期を具体的な期間・期限で示す
- 返品の可否・期間・条件・送料負担を分けて表示する
- 最終確認画面で注文内容と契約条件を再確認できるようにする
基本的な流れは、売主を確定→販売者情報を整備→商品価格・送料・手数料を設定→支払方法・時期を設定→発送・到着時期を設定→返品条件を作成→商品ページへ表示→特商法ページへ表示→カート・最終確認画面へ反映→注文内容を訂正できるか確認→スマートフォンで表示確認→実際の運用と一致するか定期確認、という順です。大切なのは、法律上必要な文章をページのどこかへ置くことではありません。購入者が注文を確定する前に、誰から、いくらで、いつ届く商品を買い、どのような場合に返品できるのかを理解できる状態にすることが重要です。
「価格だけでは契約条件は分からないよ。送料・納期・返品まで確認できて、初めて安心して注文できるんだ!」
DAY35の実践課題
運営中または想定するECについて、表示内容を確認してください。販売者の正式名称、住所、電話番号、代表者・通販責任者を書き出し、商品価格(税込)、送料、追加手数料、購入者の最大支払額を整理します。支払方法・支払時期、発送時期・到着時期を確認し、購入者都合の返品可否・期間、返品送料の負担者、不良品の対応(交換/返金/修理)、連絡先を決めます。商品ページ、送料案内、特定商取引法に基づく表記、利用規約、カート、最終確認画面、注文確認メールのどこに何を表示しているかをチェックしてください。分からない内容は推測せず、現在のEC設定、決済条件、配送契約、返品運用、モール規約、消費者庁の特定商取引法ガイドを確認してください。


