ECの特定商取引法に基づく表記とは?販売価格・送料・返品条件を解説 DAY35

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【DAY35】ECと特定商取引法・消費者契約

販売者情報・価格・送料・支払時期・配送時期・返品条件の表示を整理する

解決.com DAY35実践編|ECの基礎知識:法令遵守と信頼のUI設計。特定商取引法・消費者契約法に基づく「正しい表示」の完全ガイド
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🔊 音声で聞く「注文ボタンの裏に潜む法律の正体」

DAY34では、ECに関係する会社の中から、メーカー、販売会社、ECモール、決済会社、物流倉庫を分け、購入者との売買契約の相手となる「売主」を確認しました。DAY35では、その売主が購入者へ何を、どの画面で、どのように表示するのかを整理します。

ECでは購入者が商品を直接手に取れません。購入判断に使えるのは、商品画像、商品説明、価格、送料、配送予定、支払条件、返品条件、販売者情報といった画面上の情報だけです。例えば、商品価格が3,000円と表示されていても、注文直前に送料800円、代引手数料330円、冷蔵配送費500円、離島追加送料1,000円が加わり、実際の支払額が5,630円になる場合があります。「入金確認後に発送します」とだけ書かれていても、3日後に届くのか1か月後に届くのか分かりません。「返品はご相談ください」だけでは、どのような場合に返品できるのか判断できません。

特定商取引法では、通信販売の広告に、販売価格、送料、支払時期・方法、商品の引渡時期、返品条件、販売業者の氏名・名称、住所、電話番号などを表示することが求められています。さらに、インターネット通販の最終確認画面でも、注文内容や契約条件を確認できる表示が必要です。

なぜECでは「画面の表示」がすべてなのか?実店舗=商品を直接手に取って確認できる。ECサイト=判断材料は「画面上の情報」のみ。DAY34では『誰が売主か』を整理したね。DAY35では、その売主が『何を、どの画面で、どう表示するか』を設計するよ!

「特商法ページを1枚作るだけでは終わりじゃないよ。商品ページ・カート・最終確認画面でも、必要な条件を確認できるようにしよう!」

DAY34との違い

DAY34は、誰が購入者へ商品を販売するのか、誰が販売責任を持つのかを整理しました。DAY35は、その販売者が何を購入者へ表示するのかを整理します。DAY34は責任主体の確認、DAY35は販売条件と契約表示の整備です。

この記事で分かること

  • 特定商取引法がECに関係する理由、消費者契約法との違い
  • 「特定商取引法に基づく表記」に必要な情報、販売者名・住所・電話番号の表示
  • 販売価格の税込表示、送料・代引手数料などの表示方法
  • 配送時期と発送時期の違い、「入荷次第」が不十分になる理由
  • 返品特約に必要な内容、通信販売とクーリング・オフの関係
  • 最終確認画面に表示する事項、注文ボタンで注意すること
  • 定期購入の表示、消費者契約法による契約取消し・無効な条項

ECを守る2つの法的フレームワーク

ECを守る2つの法的フレームワーク。特定商取引法(表示のルール):通信販売における「表示する事項」や「販売方法」のルールを規定。商品ページ、特商法ページ、最終確認画面での必須表示項目を定める。消費者契約法(不当契約の規制):消費者との契約において、不当な説明や一方的な条項(免責など)を無効化するルールを規定。注意:「特商法ページ」を作ったからといって、利用規約に何を書いても許されるわけではありません。両方の遵守が必要です

特定商取引法とは

特定商取引法は、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売など、消費者トラブルが生じやすい取引について、事業者が守るべきルールや消費者を保護する仕組みを定めた法律です。インターネット上の商品ページを見た購入者が、ウェブサイトから注文する一般的なECは、通常「通信販売」に該当します。営利の意思を持って反復継続して販売する場合、法人だけでなく個人も販売業者に該当することがあります。

消費者契約法とは

消費者契約法は、消費者と事業者の情報量や交渉力の差を踏まえ、事業者の不当な勧誘による契約の取消しや、不当な契約条項の無効などを定めています。特定商取引法=通信販売で表示する事項や販売方法のルール、消費者契約法=消費者との契約で不当な説明や条項を規制するルール、という違いがあり、両方に対応する必要があります。特商法ページを作ったからといって、利用規約に何を書いてもよいという関係ではありません。

消費者契約法の「消費者」とは

消費者契約法上の消費者は、原則として個人ですが、事業として、または事業のために契約する個人は除かれます。自宅で使う椅子を購入すれば消費者としての購入になり得ますが、個人事業の店舗で使う椅子を購入すれば事業のための契約になり得ます。同じ商品でも、購入目的により扱いが変わる可能性があります。

先に結論|表示する場所は1か所ではない

法令遵守のカスタマージャーニー:5つの表示ステージ。1.商品ページ(商品、価格、主な送料・納期・返品条件)2.特商法ページ(販売業者の正式情報と販売条件の全体像)3.カート画面(数量、小計、送料、追加費用の計算)4.最終確認画面(注文内容と契約条件の最終確認・訂正)5.注文後メール(確定した注文内容と問い合わせ先)。特商法ページに書いたから他の画面には不要、というのはNGだよ!

ECの販売条件は、次の5段階で確認できるようにします。

場所主に表示する内容
商品ページ商品、価格、主な送料・納期・返品条件
特商法ページ販売者情報と販売条件の全体
カート数量、小計、送料、追加費用
最終確認画面注文内容と契約条件の最終確認
注文後確定した注文内容と問い合わせ先

特商法ページに書いた=他の画面では表示不要とは限りません。特定商取引法は、通信販売の広告だけでなく、インターネット上で申込みを行う最終確認画面にも、分量、販売価格、支払時期・方法、引渡時期、返品・解除条件などを表示するよう定めています。

特定商取引法上、通信販売の広告では主に、販売価格、送料、その他に購入者が負担する金銭、支払時期、支払方法、商品の引渡時期、申込期間がある場合はその内容、返品・解除条件、販売業者の氏名・名称、住所、電話番号、法人の代表者または通販業務責任者を表示します。そのほか、定期購入、販売数量の制限、ソフトウェアの動作環境など、取引内容によって追加表示が必要になります。

「送料無料」に潜む罠|価格・送料・追加費用の設計

「送料無料」に潜む罠:支払総額のブラックボックス化。商品価格3,000円(送料無料)+冷蔵配送費500円+梱包料300円+代引手数料330円=実際の支払額4,130円(購入者の想定とのズレ)。デザインの原則:原則「税込総額表示」が必須(例:3,300円税込)。「送料は注文後に連絡」「送料実費」という曖昧な表現は避ける。手数料(代引、梱包料)は具体的な金額で事前に明示する

販売価格は税込総額で表示する

購入者に商品価格を表示するときは、実際に支払う価格を分かりやすく表示します。消費者にあらかじめ価格を表示する場合は、原則として消費税を含んだ総額表示が必要です。「3,300円」「3,300円(税込)」「3,300円(税抜3,000円)」のように表示し、「3,000円+税」のように税込総額が分からない表示は避けます。セール価格を表示する場合は、通常価格と販売価格に加え、セールの終了日時、対象商品・数量、適用条件、クーポンとの併用可否も確認します。

送料は金額で示す

商品価格に送料を含めない場合は、送料を別に表示します。「送料実費」のような表現だけではなく、購入者が負担する金額を明確にするため、送料を金額で表示する必要があります。「全国一律800円」「北海道1,300円/沖縄1,500円/その他800円」のように示し、重量や注文金額により変わる場合は、購入者が注文前に計算できるようにします。「送料は注文後にお知らせします」だけでは、購入者は支払総額を判断できません。大型商品など事前に確定できない場合は、送料の計算方法、対象地域、見積りの時期、購入申込みになる前に確認できるかを明確にします。最終確認画面では、購入者が負担する販売価格と送料を確認できる必要があります。

送料以外の追加費用も金額で示す

代引手数料、後払い手数料、振込手数料、梱包料、冷蔵・冷凍料金、ギフト包装料、離島追加料金などを購入者へ負担させる場合があります。販売価格や送料以外に負担させる金銭がある場合は、その内容と金額を表示します。「代引手数料、梱包料がかかります」とだけ書くのではなく、具体的な金額まで表示する必要があります。

実際のケースで考えてみよう|価格3,000円の商品で追加費用が判明した

あるECサイトでは、商品ページに「商品価格3,000円」「送料無料」とだけ表示されていました。購入者が注文を進めると、最終確認画面で冷蔵配送費500円、梱包料300円、代引手数料330円が加わり、支払総額は3,000+500+300+330=4,130円になりました。

Step1〜2|問題と費用の名称を整理する

商品ページでは「送料無料」と表示されていましたが、実際には配送に関連する500円が必要でした。さらに梱包料300円も、注文前の分かりやすい位置に表示されていませんでした。「送料無料」だけを強調すると、配送に関する費用が一切かからないように見える可能性があります。通常送料0円、冷蔵配送費500円、梱包料300円、代引手数料330円というように、費用の名称を分けて整理します。

Step3〜5|商品ページ・カート・最終確認画面を変更する

変更後は、商品価格3,000円、通常送料無料、冷蔵配送費500円、代金引換を選択した場合の代引手数料330円、専用梱包料300円というように、追加費用を具体的な金額で表示しました。カートでは商品・冷蔵配送・梱包料・代引手数料・合計4,130円を一覧表示し、最終確認画面では商品、数量、各費用、支払総額、支払方法、配送時期、返品条件を一覧で表示し、「注文を確定する」ボタンの前に契約内容を確認できるようにしました。

Step6|社内設定も確認する

表示だけ変更しても、送料設定が間違っていれば注文金額は合いません。商品ページ、送料設定、決済手数料設定、カート、最終確認画面、注文確認メールのすべての金額を一致させる必要があります。

支払方法と支払時期を具体的に示す

利用できる支払方法を表示します。クレジットカード、銀行振込、代金引換、コンビニ払い、後払い、各種ウォレットなど、複数の支払方法がある場合は、一部だけではなく利用できる方法を整理して表示します。支払方法ごとに、手数料、注文確定時期、発送開始条件、返金方法が異なる場合もあります。

支払方法だけでなく、いつ支払うのかも示します。クレジットカードなら注文確定時に決済、商品発送時に売上確定など自社の処理に合わせます。銀行振込なら注文後7日以内に前払い、後払いなら商品到着後14日以内というように、金融機関やコンビニで支払う場合は、前払い・後払いの別と具体的な期限を表示する必要があります。

「発送」と「到着」は違う|配送時期・引渡時期の表示

納期表示のルール:「発送」と「到着」は違う。注文確定→発送作業(引渡時期の起点)→配送期間→購入者へ到着(引渡時期)。法的に不十分なNG表示:入金確認後発送/入荷次第発送/準備でき次第(いつ届くか全く分からないためNG)。具体的なOK表示:入金確認後3営業日以内に発送/注文確定から2〜6日程度でお届け/9月下旬入荷、入荷後3営業日以内に発送(発送日と到着目安をセットで伝えることが重要)

特定商取引法でいう商品の引渡時期は、注文後、商品が購入者の元へ届く時期です。「注文確定後3営業日以内に発送します」「発送後1~3日程度で到着します」のように、期間または期限として明確に表示します。より分かりやすくするなら、「通常、注文確定から2~6日程度でお届け」など、発送と到着の関係を示します。「3日以内に発送」は「3日以内に届く」という意味ではありません。購入者に到着予定を伝える場合は、発送までの日数、配送にかかる目安、休日・繁忙期の扱いを分けます。

予約商品について「入荷次第発送します」とだけ表示しても、購入者にはいつ届くか分かりません。「入荷次第」は期間または期限を示したことにはならず、「2026年9月下旬入荷予定」「入荷後3営業日以内に発送」など、具体的な表示が必要です。仕入先の状況により変わる場合は、変更時の連絡方法も決めます。受注後に製造する商品では、通常商品と同じ納期を表示しないようにし、製造期間、支払時期、仕様確定後の変更可否、キャンセル期限、材料不足時の連絡を確認します。「完成次第」「準備でき次第」だけで終わらず、期間・期限を示します。

申込期間・数量制限の表示

期間限定販売、予約受付、抽選販売、数量限定販売などでは、申込期間を設定する場合があります。「受付期間 2026年8月10日10時から 2026年8月20日23時59分まで」のように、申込みの期間に定めがある場合は、その旨と内容を表示します。「1人3点まで」「先着100個」「一住所につき1回」といった販売数量の制限など、特別な販売条件がある場合も表示事項になります。「購入後に制限へ気づいた」という状態を避けるため、商品ページと最終確認画面の両方で確認できるようにします。

返品特約とクーリング・オフの誤解

返品特約のマトリクス:クーリング・オフの誤解。EC(通信販売)に法的なクーリング・オフ制度はない!※特約がない場合は8日間の法定返品ルールが適用される。購入者都合(例:イメージと違う、サイズ間違い)→対応:返品可否を明記/期限:到着後7日以内など/送料:購入者負担。販売側の問題(例:破損、誤配送、不良品)→対応:交換または返金を明記/期限:連絡期限を明記/送料:販売者(当社)負担。NGワード:「返品はご相談ください」「いかなる場合も返品不可」→不良品対応まで拒否しているように読めるためNG

返品条件では、返品できるか、返品できる期間、返品できる条件、連絡方法、返送先、返品送料の負担者、返金方法を少なくとも明確にします。返品特約がある場合は、返品の可否、期間などの条件、送料負担を明示する必要があります。「返品はご相談ください」という表示だけでは、事前に返品可否を判断できないため不十分とされています。

返品条件では、イメージと違う、サイズを間違えた、不要になったといった「購入者都合」と、注文と違う商品、数量不足、破損、初期不良、説明と異なるといった「販売側の問題」を分けます。例えば、購入者都合は未開封品に限り商品到着後7日以内・返送料は購入者負担、不良・誤配送は商品到着後7日以内に連絡・返送料は当社負担、というように分けて表示します。「返品不可」と表示する場合でも、どのような返品を認めないのかを明確にし、「商品に欠陥がある場合を除き、購入者都合による返品には応じません」のように示します。契約内容に適合している商品の返品を認めない場合は、その旨を広告に明示する必要があります。

通信販売には、訪問販売や電話勧誘販売のような一般的なクーリング・オフ制度はありません。ただし、返品特約が表示されていない場合には、原則として商品を受け取った日から8日以内に、購入者の送料負担で申込みの撤回や契約解除ができる仕組みがあります。事業者が返品に関する特約をあらかじめ適切に表示している場合は、その特約によります。「通信販売にはクーリング・オフがない=どのような返品条件でもよい」という意味ではありません。ECでは、購入者が必ず特商法ページを開くとは限らないため、返品特約については省略が認められず、インターネット通販では最終確認画面でも表示するよう定められています。

特商法ページの必須項目|販売者情報の設計

「特商法ページ」必須項目のワイヤーフレーム。販売業者名:[×]カイピヨストア(ショップ名のみは不可)→[○]株式会社○○(正式な事業者名・法人名)。所在地:自宅住所等の省略条件には、請求時に遅滞なく開示できる体制が必要。電話番号:確実に連絡が取れる番号。責任者名:代表者または通販業務責任者。備考:リンクは「会社概要」等ではなく、「特定商取引法に基づく表記」など内容が明確にわかる名称にし、全ページから容易に到達できるようにする

基本的に確認する項目は、販売業者の正式名称、所在地、電話番号、代表者または通販業務責任者です。ショップ名が「カイピヨストア」でも、運営法人が「株式会社○○」であれば、販売業者として正式な事業者名を確認できる表示が必要です。特商法ページへのリンクは、「特定商取引法に基づく表記」「会社概要」など、何が記載されているか分かる名称にし、サイトから容易に到達できるようにします。消費者庁は、リンク先が見つけにくい場合や、リンク先の内容が不明瞭な場合には、必要な表示が行われているとは解されないことがあると説明しています。

個人事業主が自宅でECを運営する場合でも、単に「住所は請求があれば開示します」と書けば必ず問題ない、とは判断できません。広告表示事項には一定の省略制度がありますが、省略できる条件や、請求を受けた際に遅滞なく提供できる体制が必要です。また、返品特約や一部の販売条件は省略できません。住所表示を省略できるか、プラットフォームの表示機能を使えるかなどは、事業形態と販売方法を確認して判断します。

最終確認画面のUI解剖学

クライマックス:「最終確認画面」のUI解剖学。①分量・数量と訂正機能:意図しない注文を防ぐため、数量変更や「カートへ戻る」ボタンが必須。②支払総額の明示:商品代金、送料、すべての追加費用を合算した「購入者の最大支払額」を提示。③支払・引渡時期:いつ支払い、いつ届くのかをこの画面で再表示する。④注文確定ボタン:[×]次へ/送信→[○]注文を確定する。ボタンを押せば契約が成立することを誤認させない明確な文言

最終確認画面は、購入者が注文を確定する直前の画面です。商品をカートへ入れる→住所を入力→支払方法を選ぶ→最終確認画面→注文を確定、という流れの中で、購入者が契約内容を一覧で確認できるようにします。主な確認事項は、商品の分量・数量、販売価格、送料、支払総額、支払時期、支払方法、引渡時期、申込期間、返品・解約条件です。特定商取引法は、最終確認画面でこれらを表示し、契約の申込みになることや販売条件について誤認させる表示を禁止しています。

最終確認画面では、購入者が商品、数量、配送先、支払方法、クーポンを確認・訂正できるようにします。消費者が申込み内容を容易に確認・訂正できない仕組みは、「顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為」として行政処分の対象になり得ます。「数量を変更する」「カートへ戻る」「配送先を修正する」「支払方法を変更する」のような導線を用意します。

注文ボタンは、押すと申込みが完了することが分かる表現にします。「注文を確定する」「支払いを確定して注文する」のような分かりやすい表現にし、「次へ」「送信」「続ける」のようなボタンだけで判断させるのではなく、直前に「このボタンを押すと注文が確定します」などと示す方法があります。申込みになることを誤認させる表示は禁止されています。

定期購入の罠|初回価格だけを目立たせない

定期購入(サブスク)の罠:初回価格だけを目立たせない。必須表示項目:定期購入であることの明記/各回の価格と送料/配送回数と契約期間/全体の「支払総額」/解約方法と期限(電話が一切繋がらない窓口は違法リスク大)。初回500円+(2〜6回目4,000円×5回)=支払総額20,500円

定期購入では、初回価格だけを大きく表示すると、1回限りの商品と誤認される可能性があります。定期購入であること、各回の価格、送料、支払総額、配送回数、配送間隔、契約期間、解約方法、解約期限、違約金・キャンセル料を表示します。複数回の購入が必要な契約では、その旨と販売条件を表示する必要があります。最終確認画面でも、初回だけでなく、その後の支払や契約条件を確認できる表示が求められます。

例えば、初回500円、2回目以降4,000円、最低6回購入という条件では、購入者が支払う総額は、初回500円+2〜6回目4,000円×5回=合計20,500円です。初回価格だけではなく、継続回数と支払総額を確認できるようにします。定期購入の解約方法として電話のみを指定する場合は、実際につながる窓口を用意します。消費者庁は、解約受付の電話番号が一切つながらない場合や、折り返しを依頼しても連絡がない場合には、解除に関する事項の表示義務に違反するおそれがあると説明しています。解約方法、受付時間、電話番号・申請画面、次回発送の何日前までか、解約後の費用を表示します。

消費者契約法による利用規約の「無効化」

消費者契約法による利用規約の「無効化」。「規約に書けば何でも許される」は間違い。消費者の利益を一方的に害する条項は法的に無効となります。全面免責→「当社はいかなる場合も一切責任を負いません」(事業者の過失責任まで免れることは不可)は無効(VOID)。過大な違約金→「発送前のキャンセルでも商品代金の100%を請求」(平均的な損害を超えるキャンセル料は無効)は無効(VOID)。不利な情報の隠蔽→高額な解約料や自動更新条件を、見えにくい小さな文字やリンク先に隠す行為

販売条件を表示していても、事実と違う説明をして契約させた場合には問題が残ります。消費者契約法では、重要事項について事実と異なることを告げ、消費者がその内容を事実だと誤認して契約した場合などに、契約を取り消せることがあります。実際は中古品なのに新品と説明する、通常は1か月かかるのに必ず明日届くと説明する、といった例です。

返品不可、自動更新、最低購入回数、高額な解約料、一部地域への追加送料、長い納期といった条件は、購入判断へ大きく影響します。商品ページの下部や、開きにくいリンク先だけに置くのではなく、購入者が契約前に認識できる位置へ表示します。最終確認画面で必要事項を表示しなかったり、誤認させたりしたことにより消費者が申込みをした場合、意思表示を取り消せることがあります。

利用規約へ「当社は、いかなる場合も一切責任を負いません」と書けば、すべての責任を免れられるわけではありません。消費者契約法では、事業者の債務不履行などにより生じた損害について、事業者の責任を全面的に免除する条項などは無効になることがあります。キャンセル料を定める場合は、金額や計算方法を明確にします。消費者契約法では、契約解除に伴う違約金・損害賠償額が、その事業者に生じる平均的な損害を超える場合、超える部分が無効となることがあります。利用規約に書いてあることと、その条項が法的に有効であることは別です。消費者の権利を制限したり、義務を加重したりする条項で、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、消費者契約法により無効となる場合があります。返品不可、返金不可、当社は責任を負わない、キャンセル料100%と一律に記載するのではなく、商品・販売方法・責任の原因を確認して設計します。

ECモール・メーカー直送・予約受注生産での注意点

ECモールでは、モールが共通のカートや最終確認画面を用意することがあります。それでも、出店者側で商品ページの価格、送料設定、発送日数、返品条件、販売者情報、定期購入設定を確認します。モールの共通規約と、自店舗独自の条件が矛盾しないようにします。

メーカー直送では、販売者の表示と、メーカーの出荷条件を一致させます。商品ページで「3営業日以内に発送」と表示していても、メーカーの実績が通常7営業日であれば、購入者への表示と実際の運用が一致しません。在庫回答、発送までの日数、休業日、返品先、初期不良対応を確認します。

予約販売や受注生産では、通常商品よりキャンセル条件が厳しくなる場合があります。ただし、「受注生産品のため一切返金しません」と表示するだけでは、販売側の誤配送や契約内容に適合しない商品まで同じ扱いになるように読めます。購入者都合と販売者側の問題を分けて表示します。

運用とデバイス|モバイルUIの死角と変更履歴

運用とデバイス:モバイルUIの死角と変更履歴。モバイル表示の罠:返品条件が折り畳まれていて読めない/重要事項が固定ボタンの下に隠れている/横スクロールしないと見えない表組はNG。変更履歴の保存:価格、送料、条件を変更した場合は「いつ変えたか」のログを残す。過去の注文トラブルには、注文時点での提示条件が適用されるため

注文後は、確定した取引内容を購入者が確認できるようにします。注文番号、商品・数量、商品価格、送料、手数料、支払総額、支払方法、配送先、配送予定、返品・問い合わせ先です。注文確認メールは、商品ページの情報が後から変更されても、注文時の条件を確認する記録になります。

商品価格、送料、支払条件、発送日数、返品条件、定期購入条件を変更した場合は、日付と変更前後を残します。例えば、8/1に送料を700円から800円へ、8/5に発送を2日以内から4日以内へ変更した記録です。過去の注文には、注文時に提示した条件が関係します。

パソコンでは表示されていても、スマートフォンでは文字が小さい、横へスクロールしないと読めない、返品条件が折り畳まれている、注文ボタンより下に重要事項がある、固定ボタンが表示を隠しているといった状態になることがあります。法令上の項目を置くだけでなく、購入者が容易に認識できるかを確認します。

よくある失敗

失敗1|特商法ページを作って終了する
商品ページや最終確認画面でも重要条件を確認できる必要があります。
失敗2|ショップ名だけを販売者名として表示する
正式な事業者名を確認できない場合があります。
失敗3|価格を税抜だけで表示する
消費者向けの価格表示では、原則として税込総額を表示します。
失敗4|送料を「実費」とだけ書く
購入者が負担額を判断できません。
失敗5|手数料がかかることだけを書く
代引手数料・梱包料などは具体的な金額を示します。
失敗6|「入金確認後発送」とだけ書く
いつ届くか分かりません。
失敗7|「入荷次第」とだけ書く
予約商品の期限・期間が分かりません。
失敗8|「返品は相談」と書く
返品可否、期間、条件、送料負担が不明です。
失敗9|通信販売だからすべて返品不可だと思う
返品特約の表示内容や商品の状態を確認する必要があります。
失敗10|最終確認画面に合計金額だけを出す
数量、支払条件、配送、返品条件なども確認できるようにします。
失敗11|定期購入の初回価格だけを目立たせる
継続回数、各回価格、総額、解約条件を表示します。
失敗12|利用規約に書けばすべて有効だと思う
消費者契約法により無効となる条項があります。

表示を設計する12の質問

EC表示設計:自己診断のための12の質問ダッシュボード。販売業者の正式名称は?連絡先と責任者は明確?税込の総額表示?送料は事前に計算可能?隠れた追加手数料はない?支払時期は具体的?到着目安はわかる?返品条件は具体的?不良品と購入者都合を分けている?最終確認画面で全条件を一覧できる?注文前に内容を訂正できる?規約に一方的な免責条項はない?
  1. 販売業者の正式名称は表示されていますか?ショップ名だけで終わらせません。
  2. 住所・電話番号・責任者を確認できますか?購入者が連絡できる情報を整えます。
  3. 税込の販売価格が分かりますか?支払う商品価格を明確にします。
  4. 送料を事前に計算できますか?地域、重量、温度帯を確認します。
  5. 送料以外の追加費用はありますか?梱包料、代引手数料等を金額で示します。
  6. 支払時期は具体的ですか?前払い、後払い、期限を示します。
  7. 商品がいつ届くか分かりますか?発送日だけでなく、到着までの目安を確認します。
  8. 返品条件は具体的ですか?可否、期間、条件、送料負担を表示します。
  9. 不良品と購入者都合を分けていますか?返品・交換ルールを混同しません。
  10. 最終確認画面で条件を一覧確認できますか?注文直前に内容を再表示します。
  11. 注文内容を訂正できますか?数量、住所、支払方法を戻って修正できるようにします。
  12. 利用規約に一方的な条項がありませんか?全面免責や過大なキャンセル料を確認します。

やってみよう|NG表示チェッカー&支払総額シミュレーター

よく使われがちな表示文言が特定商取引法上どう扱われやすいかを確認できるほか、商品価格に送料・手数料を足した支払総額をその場で計算できます。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。

① NG表示チェッカー

送料実費
入金確認後発送
入荷次第発送します
返品はご相談ください
当社は一切責任を負いません
注文ボタン=「次へ」

② 支払総額シミュレーター

購入者の支払総額
0円

これは自己チェック用の簡易計算です。この合計額を、商品ページ・カート・最終確認画面のどこかで購入者が確認できているかを見直してみましょう。

アウトプットワーク|EC表示確認表を作ろう

実践ワーク:自社ECサイト表示確認シート。①販売者情報(正式名称・所在地・電話・責任者)②価格と費用(税込価格・送料・各種手数料)③支払と配送(支払時期・発送までの日数・到着目安)④返品条件(購入者都合の可否・期限、不良品対応)⑤最終確認(訂正機能の有無・明確な注文ボタン)。スクショして、自社の設定と見比べてみてね!

運営中または想定するECについて、表示内容を確認してください。分からない内容は推測せず、現在のEC設定、決済条件、配送契約、返品運用、モール規約、消費者庁の特定商取引法ガイドを確認してください。

① 販売者情報

② 価格・支払・配送

③ 返品条件

④ 表示場所の確認

商品ページ
特定商取引法に基づく表記
カート
最終確認画面
注文確認メール

記入できたら完了にする

理解度チェッククイズ

第1問 ECの通信販売で表示するものはどれでしょうか?

A.販売価格・送料・支払条件・配送時期・返品条件
B.商品の色だけ
C.会社の社内目標だけ
正解はAです。購入者が注文前に販売条件を判断できるようにします。

第2問 送料の表示として注意が必要なものはどれでしょうか?

A.送料実費
B.全国一律800円
C.沖縄1,500円
正解はAです。「実費」だけでは、購入者が負担する金額を事前に判断できません。

第3問 「入荷次第発送します」だけで十分でしょうか?

A.期間・期限を具体的に示す必要がある
B.常に十分
C.商品価格を削除すればよい
正解はAです。「○日以内」「○月○日まで」など、期間または期限を示します。

第4問 返品条件へ記載するものはどれでしょうか?

A.返品の可否・期間・条件・送料負担
B.会社の売上目標
C.倉庫の広さ
正解はAです。返品できる条件だけでなく、返送費用の負担者も明確にします。

第5問 通信販売に一般的なクーリング・オフ制度はあるでしょうか?

A.ない
B.すべて20日間ある
C.すべて30日間ある
正解はAです。通信販売には、訪問販売等と同じ一般的なクーリング・オフ制度はありません。

第6問 最終確認画面で確認するものはどれでしょうか?

A.数量・価格・支払・配送・返品条件
B.商品画像だけ
C.会社ロゴだけ
正解はAです。購入者が注文直前に契約内容を一覧確認できるようにします。

第7問 注文内容の訂正について適切なものはどれでしょうか?

A.注文確定前に数量や住所を訂正できるようにする
B.一度カートへ入れたら変更できない
C.販売者だけが確認できればよい
正解はAです。購入者が意図しない注文をしないように、確認・訂正できる仕組みを用意します。

第8問 定期購入で必要な表示はどれでしょうか?

A.各回価格・回数・総額・解約条件
B.初回価格だけ
C.商品画像だけ
正解はAです。1回限りと誤認しないように、継続条件を表示します。

第9問 「当社は一切責任を負いません」と書けば、すべて有効でしょうか?

A.消費者契約法上、無効となる場合がある
B.必ず有効
C.表示しなくても有効
正解はAです。事業者の責任を全面的に免除する条項などは、無効になる場合があります。

第10問 キャンセル料について適切なのはどれでしょうか?

A.条件と金額を明確にし、平均的な損害を超えないか確認する
B.常に商品代金の10倍にする
C.金額を購入後に決める
正解はAです。キャンセル料の条件と根拠を確認します。

第11問|計算問題 商品価格5,500円、送料800円、冷蔵配送費500円、後払い手数料250円のとき、支払総額はいくらでしょうか?

計算例を見る

5,500+800+500+250=7,050円。支払総額は7,050円です。この合計額を、最終確認画面で購入者が一覧で確認できるようにします。

第12問|実務判断問題 商品ページに「商品価格2,000円」「発送 入金確認後」「返品 ご相談ください」とだけ表示されています。この表示で十分でしょうか?

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十分とはいえません。送料、その他の費用、支払期限、発送までの日数、到着時期、返品の可否・期限・条件・送料負担が不足しています。

変更例:商品価格2,000円(税込)/送料全国一律800円/支払時期は注文後7日以内に前払い/配送時期は入金確認後3営業日以内に発送/購入者都合の返品は未開封品に限り商品到着後7日以内・返品送料は購入者負担/不良・誤配送は当社負担で交換または返金、というように具体的に示します。

よくある質問

今回のまとめ

ECでは、販売者情報と販売条件を、購入者が注文前に理解できる形で表示する必要があります。今回覚えておきたいポイントは、次の5つです。

  1. 販売者名・住所・電話番号などを確認できるようにする
  2. 商品価格だけでなく、送料・手数料を金額で示す
  3. 支払時期と配送時期を具体的な期間・期限で示す
  4. 返品の可否・期間・条件・送料負担を分けて表示する
  5. 最終確認画面で注文内容と契約条件を再確認できるようにする

基本的な流れは、売主を確定→販売者情報を整備→商品価格・送料・手数料を設定→支払方法・時期を設定→発送・到着時期を設定→返品条件を作成→商品ページへ表示→特商法ページへ表示→カート・最終確認画面へ反映→注文内容を訂正できるか確認→スマートフォンで表示確認→実際の運用と一致するか定期確認、という順です。大切なのは、法律上必要な文章をページのどこかへ置くことではありません。購入者が注文を確定する前に、誰から、いくらで、いつ届く商品を買い、どのような場合に返品できるのかを理解できる状態にすることが重要です。

「価格だけでは契約条件は分からないよ。送料・納期・返品まで確認できて、初めて安心して注文できるんだ!」

法律を守ることは、顧客の信頼を設計すること。「法律上必要な文章をページのどこかに置くこと」がゴールではありません。注文確定前に、誰から・いくらで・いつ届き・どう返品できるかが「一目で理解できる状態」を作ること。それこそが、最高のカスタマーエクスペリエンスです。次回DAY36予告:ECで取り扱う「個人情報」の安全な管理方法について学びます

DAY35の実践課題

運営中または想定するECについて、表示内容を確認してください。販売者の正式名称、住所、電話番号、代表者・通販責任者を書き出し、商品価格(税込)、送料、追加手数料、購入者の最大支払額を整理します。支払方法・支払時期、発送時期・到着時期を確認し、購入者都合の返品可否・期間、返品送料の負担者、不良品の対応(交換/返金/修理)、連絡先を決めます。商品ページ、送料案内、特定商取引法に基づく表記、利用規約、カート、最終確認画面、注文確認メールのどこに何を表示しているかをチェックしてください。分からない内容は推測せず、現在のEC設定、決済条件、配送契約、返品運用、モール規約、消費者庁の特定商取引法ガイドを確認してください。

獲得バッジ

音声で学んだ
表示ルールマスター
表示確認表完成
FAQマスター
クイズクリア

次回 DAY36:ECで取り扱う個人情報

氏名、住所、電話番号、購入履歴、決済情報を安全に扱う方法を整理します。

DAY36へ進む(公開後にリンクします)

文:横田和也/解決ドットコム編集部

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