越境ECとは?日本の商品を海外へ販売する流れと国内ECとの違いを解説 DAY42
【DAY42】越境ECとは何か
日本の商品を海外の購入者へ販売する流れと、国内ECとの違いを整理する
DAY41までで、国内ECについて、商品、在庫、注文、決済、配送、返品、法律、個人情報、広告、利用規約まで一通り整理しました。DAY42からは、いよいよ越境ECへ進みます。
越境ECと聞くと、「日本のECサイトを英語にして、海外へ発送すればいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、実際にはそれだけではありません。国内ECなら、日本の販売者→日本の購入者で完結していた取引が、越境ECでは、日本の販売者→日本から輸出→国境→相手国へ輸入→海外の購入者になります。つまり、これまで学んできたEC運用に、国際物流、輸出手続、輸入手続、関税・輸入税、海外の規制、通貨、言語、時差という新しい条件が加わります。
ジェトロも、国内ECと越境ECでは「出品→購入・決済→注文確認→梱包→発送」という販売フロー自体は共通する一方、越境ECでは物流・税金・輸入規制について事前調査と対応が必要になると整理しています。
「越境ECは“海外へ荷物を送ること”だけじゃないよ。注文・お金・輸出・輸入・配送まで全部つながっているんだ!」
DAY41までの国内ECとの違い
国内ECでは、基本的に商品は国内を移動します(販売者→国内倉庫→国内配送会社→購入者)。越境ECでは、この間に国境が入ります(販売者→日本国内の出荷→輸出側の手続→国際輸送→相手国の輸入手続→現地配送→海外購入者)。国内で発送できる商品だから、海外にもそのまま発送できるとは限りません。これがDAY42で最も重要なポイントです。
この記事で分かること
- 越境ECとは何か、国内ECと共通する部分・大きく異なる部分
- 日本の商品が海外購入者へ届くまでの流れ、「販売できる」「発送できる」「輸入できる」の違い
- 海外向け価格に追加される費用、海外決済で確認すること
- 税関が関係する理由、相手国の関税・輸入税の基本
- 海外で受取拒否が起こる理由、海外返品が国内返品より難しい理由
- 国によって販売できない商品がある理由、越境ECの代表的な販売方法
- 最初から全世界販売しない方がよい理由、越境ECで管理する情報
- 先に結論|越境ECは「国内EC+国境を越える確認」
- 越境ECとは・市場は実際に存在する
- 国内ECとの共通点・大きく違うところ
- 越境ECの商品が届くまでの15ステップ
- 「販売できる」「送れる」「輸入できる」はすべて別物
- 商品ページは翻訳だけでは足りない
- 海外向け価格と購入者が支払う金額
- 海外決済と注文後に確認する情報
- 梱包から国際配送・税関・インボイスまで
- 輸入側の確認と関税の基本
- 税金を購入者が知らないと受取拒否につながる
- 海外返品は国内返品より複雑
- 海外へ送れない商品と梱包品の注意
- モノだけでなく「情報」も国境を越える
- 「売れた」で終わらない・本当の成功とは
- 実際のケースで考えてみよう|日本の工芸品をアメリカへ販売する
- 越境ECの販売方法と段階的な拡大
- 「商品×国マスタ」という管理の考え方
- よくある失敗
- 越境ECを始める前の12の質問
- やってみよう|越境ECの壁診断&スターターチェックリスト
- アウトプットワーク|越境EC全体整理シートを作ろう
- 理解度チェッククイズ
- よくある質問
- 今回のまとめ
- 獲得バッジ
先に結論|越境ECは「国内EC+国境を越える確認」
越境ECを難しく考えすぎる必要はありません。基本のEC運用は国内ECと同じです。
商品を登録→購入者が注文→決済→在庫を確保→梱包→発送→購入者へ配送→返品・問い合わせ対応。ここまではDAY14~41で学んだ内容です。
越境ECでは、その途中に次が加わります。販売国の確認→輸出できるか確認→国際配送できるか確認→相手国へ輸入できるか確認→通関→関税・輸入税→現地配送。
したがって、国内ECを全部捨てて、別の商売を始めるのではありません。国内ECの仕組みを土台にして、国境を越えるための条件を追加すると理解すると整理しやすくなります。
越境ECとは・市場は実際に存在する
越境ECとは、インターネットを利用して、国・地域をまたいで商品やサービスを売買する電子商取引です。今回の講座では主に、日本の事業者からECを通じて海外の購入者へ商品を販売するケースを扱います。例えば、日本の工芸品をアメリカの購入者へ、日本の食品をシンガポールの購入者へ、日本の雑貨をフランスの購入者へ、といった形です。海外モールを利用する方法もあれば、自社ECから海外へ直接販売する方法もあります。
経済産業省の最新公表済み「令和6年度電子商取引に関する市場調査」では、2024年の日本・米国・中国3か国間の越境EC市場はいずれの国間でも増加しています。中国の消費者が日本事業者から越境ECで購入した金額だけでも、2兆6,372億円と推計されています。ただし、この数字を見て「海外市場は大きい→とりあえず世界中へ販売しよう」と考えるのは危険です。国によって、需要、言語、配送費、関税、税制、輸入規制、決済方法、返品事情が異なるためです。市場規模より先に、誰に、どの商品を、どの国へ売るのかを決める必要があります。販売国の具体的な選び方はDAY45で詳しく扱います。
国内ECとの共通点・大きく違うところ
国内ECと越境ECで共通する業務は多くあります。商品登録、SKU管理、在庫管理、注文管理、決済、梱包、配送、問い合わせ、返品・返金、個人情報管理は、いずれも越境ECで必要です。つまり、DAY14~41で学んだ国内ECは、そのまま越境ECの基礎になります。ジェトロも、出品から購入・決済、注文確認、梱包、発送までの基本販売フローは国内ECと共通すると整理しています。
一方、配送(国内配送→国際配送+現地配送)、税関(通常なし→輸出・輸入で関係)、関税・輸入税(通常なし→商品・国により発生)、商品規制(日本中心→日本+販売先国)、通貨(円中心→外貨対応あり)、言語(日本語中心→翻訳が必要)、住所・電話番号(日本形式→国ごとに異なる)、配送日数(比較的短い→長期化しやすい)、返品(国内返送→国際返品)、問い合わせ(同じ時間帯→時差あり)は、越境ECで特に重要になります。ここから先のLv.3では、この違いを一つずつ分解して学びます。
越境ECの商品が届くまでの15ステップ
基本的な流れを一度、全部つなげてみます。①海外向け商品を登録→②海外購入者が商品を注文→③決済→④注文内容を確認→⑤在庫を確保→⑥商品を梱包→⑦輸出に必要な情報・書類を準備→⑧日本から発送→⑨日本側の輸出手続→⑩国際輸送→⑪相手国へ到着→⑫輸入通関→⑬必要に応じ関税・輸入税→⑭現地配送会社へ引渡し→⑮海外購入者へ配達。
国内ECでは、発送→配送→到着だった部分が、越境ECではかなり長くなります。
「販売できる」「送れる」「輸入できる」はすべて別物
ここは今後の越境EC学習で非常に重要です。例えばECシステム上、配送先にアメリカを選択可能になっていても、それだけでは販売可能とは判断できません。EC上で販売できるか→配送会社が運べるか→日本から輸出できるか→相手国へ輸入できるか、を確認します。したがって、サイトに国を追加した=その国へ販売可能ではありません。この違いは、正規カリキュラムのDAY44「販売できる国と配送できる国は違う」で詳しく扱います。
例えば、日本の配送会社が荷物を受け付けてくれたとしても、相手国で輸入禁止、数量制限、許可が必要、成分規制、検疫が必要となる可能性があります。日本郵便も、国際郵便には各国共通の禁制品だけでなく、国・地域ごとの禁制品・送達条件があり、掲載条件を満たしていても、相手国の法令や税関判断で返送・没収等となる場合があると案内しています。つまり、「日本から発送できたから問題ない」ではなく、「相手国へ輸入できるか」まで確認する必要があります。
商品ページは翻訳だけでは足りない
国内商品ページの商品名、価格、商品説明、サイズ、素材、配送日を英語へ翻訳するだけでは不足することがあります。海外購入者には、さらに発送元の国、配送可能国、国際送料、到着までの目安、関税等が発生する可能性、返品方法、サイズの単位、重量、素材・成分、原産国が重要になります。また、cm・kg・℃だけではなく、販売国によってはinch・lb・°Fなど、購入者が理解しやすい単位への対応も検討します。言語・通貨・時差・文化についてはDAY46で詳しく扱います。
海外向け価格と購入者が支払う金額
国内販売価格が商品価格5,000円だったとします。国内ECなら、主な追加費用は国内送料、決済手数料、販売手数料などでした。越境ECでは、さらに国際送料、国際配送用梱包、通関関連費用、海外決済手数料、為替、関税、輸入税、返品時の国際送料などが関係します。ジェトロも越境EC特有の費用として、国際配送料、関税、VAT、認証取得費用などを挙げています。したがって、国内価格5,000円→海外でも5,000円と単純には決められません。
海外購入者が負担する可能性があるお金を分けると、商品代金+国際送料+販売時の税+輸入時の関税+輸入時の税+配送会社の取扱手数料等になります。ただし、誰が、いつ、どこで支払うのかは販売方法によって変わります。例えば関税・輸入税を、販売者側で処理する方法と、購入者が輸入時に支払う方法があります。この具体的な条件がDAY54の「DDP・DAP」です。DAY42では、商品価格だけで購入者の最終負担額が決まらないことがあると覚えておけば十分です。
海外決済と注文後に確認する情報
国内ECでは、クレジットカード、銀行振込、代引き、コンビニ払いなどを使いました。越境ECでは、国によって一般的な決済方法が異なります。また、海外発行カード、外貨、不正注文、チャージバック、住所不一致などの確認も増えます。ジェトロも越境ECでは、代金引換を利用できない地域が多いことなど、国内とは決済事情が異なる点を挙げています。海外決済と不正注文は、DAY47で詳しく整理します。
海外注文では、単に商品、数量、住所を見るだけでは足りません。購入者の国、配送可能地域、郵便番号、州・省、電話番号、氏名表記、住所表記、商品数量、商品価格、商品内容、配送方法を確認します。国によって住所の構造も違います。例えば、都道府県・市区町村・丁目番地という日本式住所の考え方を、そのまま海外へ当てはめられない場合があります。海外住所・電話番号・配送ラベルはDAY62で詳しく扱います。
梱包から国際配送・税関・インボイスまで
国内配送と違い、国際配送では、距離、国境、航空輸送、税関検査、現地配送を通ります。そのため、破損、液漏れ、箱潰れ、温度変化、長期間輸送への対策も必要になります。例えば国内では翌日に届く商品でも、海外では数日~数週間かかる可能性があります。商品自体が国際輸送に耐えられるかを確認します。
一般貨物を輸出する場合は、原則として税関へ輸出申告を行い、必要な審査・検査を経て輸出許可を受けます。通関業者へ代理申告を依頼することもできます。ただし、国際郵便には別の取扱いがあります。例えば、価格が20万円以下の郵便物を外国へ送る場合、税関への通常の輸出申告は不要ですが、税関告知書を作成して郵便物へ付け、税関検査を経て海外へ送り出されます。価格が20万円を超える郵便物では、原則として輸出申告が必要です。したがって、海外へ商品を発送=すべて同じ通関手続ではありません。配送方法、貨物の価格、商品等によって手続が変わります。
越境ECでは、商品名、数量、価格、発送者、受取人、原産国などを記載した、通関用の書類が必要になります。代表的なものが、コマーシャルインボイスです。国内ECの購入者向け請求書とは役割が違います。詳しくは、DAY52「コマーシャルインボイスと輸出書類」で扱います。DAY42では、国際配送では荷物だけでなく「税関へ説明する商品情報」も一緒に動くと覚えてください。
輸入側の確認と関税の基本
商品が相手国へ到着すると、次に輸入側の手続があります。海外へ到着→輸入申告・税関確認等→輸入できる商品か確認→関税・輸入税等を確認→輸入許可等→現地配送。ここで問題になるのが、この商品は輸入できるのか、税金はいくらか、誰が輸入者なのか、です。日本側が「輸出できる」と判断しても、相手国側で輸入できない可能性があります。
海外へ商品を販売すると、商品分類、商品価格、原産国、輸入国などによって、輸入時に関税が発生する場合があります。ただし、海外発送=必ず関税がかかるではありません。国、商品、価格、制度によって変わります。ここでは仕組みだけ理解してください。詳細は、DAY48「HSコードとは」、DAY49「関税・輸入税・輸入消費税の違い」、DAY50「VAT・GST・免税基準とは」、DAY51「原産国と課税価格」で順番に学びます。
税金を購入者が知らないと受取拒否につながる
例えば購入者が、商品10,000円、送料3,000円だけ支払ったつもりだったとします。商品到着時に「税金と手数料を追加で支払ってください。」と言われたら、「聞いていない」「高すぎる」「商品を受け取らない」となる可能性があります。2026年7月のジェトロの越境EC物流セミナーでも、物流・通関・関税支払い・返品は事業者の主要課題として挙げられ、輸入税の支払い方法によっては受取拒否につながり得ることが指摘されています。越境ECでは、税金が発生する可能性だけではなく、誰が負担するのかを購入前に分かるようにすることが重要です。
海外返品は国内返品より複雑
国内返品なら、購入者→宅配便→国内倉庫で済むことが多くあります。海外返品では、購入者→国際配送→輸出側手続→日本へ再輸入→国内倉庫となる場合があります。さらに、返品送料、関税、輸入税、返送書類、商品の再輸入、配送事故を確認する必要があります。したがって、1,000円の商品を返品するために5,000円の国際送料がかかることも考えられます。場合によっては、商品返送ではなく、返金のみ、再発送、部分返金の方が合理的なケースもあります。
返品の際は、注文番号、商品、数量、返品理由、商品の写真、配送番号、返送日、返金額を記録します。特に越境ECでは、商品不良、配送事故、通関拒否、購入者都合、関税支払い拒否を分けないと、原因が分からなくなります。後から「アメリカ向けだけ返品率が高い」と分かれば、サイズ表示、配送方法、関税説明、梱包、商品説明のどこに問題があるか調べられます。
海外へ送れない商品と梱包品の注意
国際配送には、配送そのものが禁止・制限される商品があります。日本郵便では、国際郵便で扱えない危険物として、火薬類、ガス類、引火性液体、可燃性物質、毒物、放射性物質、腐食性物質などを挙げています。さらに相手国ごとに、食品、健康食品、酒類、植物、医薬品、化粧品など独自の制限が存在する場合があります。詳細はDAY63~65で扱います。
例えば、商品(雑貨)自体には問題がなくても、香水をおまけ、アルコール入り液体、スプレー、電池、ライターを同梱すると、国際配送上の制限に該当する可能性があります。つまり確認単位は、販売商品だけではなく、荷物の中に入っているもの全部です。キャンペーンのおまけや試供品まで確認します。
モノだけでなく「情報」も国境を越える
動くのは商品だけではありません。注文情報、購入者氏名、海外住所、電話番号、メール、決済情報、配送情報、通関情報も複数の会社・国をまたぐことがあります。例えば、ECシステム→決済会社→物流会社→配送会社→通関業者へ必要な情報が連携されます。DAY36で学んだ個人情報管理も、越境ECでは外部サービスや海外処理を含めて再確認します。
問い合わせも国内ECとは変わる
海外購入者からは、「いつ届きますか?」「追跡できません」「関税はいくらですか?」「税金を請求されました」「住所を変更したい」「税関で止まっています」「商品が破損しています」「返品したいです」といった問い合わせが増えます。したがって、商品知識だけではなく、配送、通関、税金、返品の基本情報をCS担当者も理解する必要があります。ただし、税額や輸入可否について断定できない場合は、配送会社、通関業者、税関、専門家へ確認します。相談先の整理はDAY66で扱います。
「売れた」で終わらない・本当の成功とは
越境ECでは注文が入った瞬間を成功と考えない方がよいです。本当に重要なのは、注文→決済成功→輸出→輸入→配達→受取まで完了することです。途中で、配送不可、通関停止、関税支払い拒否、住所不備、受取拒否、破損が起きれば、売上が返品・返金へ変わる可能性があります。したがって、越境ECでは、注文数だけでなく「無事に届いたか」まで見ることが重要です。
DAY42で覚える越境ECの全体地図
今後のLv.3を一枚にすると、【販売】国を決める・商品を決める・価格を決める・言語通貨を整える→【注文】海外購入者が注文・決済・不正注文確認→【輸出】商品分類・輸出書類・輸出手続→【国際配送】配送会社・送料・重量・追跡・保険→【輸入】輸入者・輸入申告・関税・輸入税・規制確認→【現地配送】購入者へ配送→【購入後】問い合わせ・返品・返金・配送事故、という流れになります。これからDAY43~66で、この地図を一つずつ分解していきます。
実際のケースで考えてみよう|日本の工芸品をアメリカへ販売する
日本のEC事業者が、5,000円の工芸品をアメリカへ販売したいと考えました。国内ECではすでに販売しています。
Step1|商品を決める
商品は木製の工芸品、販売価格5,000円、発送元は日本。国内販売の実績はあります。しかし、「国内で販売できる=アメリカにも販売できる」とは判断しません。
Step2|販売国を決める
今回は、販売国をアメリカだけにします。最初から、アメリカ、カナダ、フランス、ドイツ、中国、シンガポールへ同時販売しません。国ごとの条件確認を一つずつ行います。
Step3|商品が送れるか確認する
配送会社が扱えるか、商品の材質、サイズ、重量、梱包、輸入規制を確認します。木製品の場合は、商品の種類や材質によって植物検疫等を含む追加確認が必要になる可能性もあるため、商品を具体的にして確認します。
Step4|海外向け価格を計算する
商品5,000円、国際送料3,000円、梱包300円、販売手数料500円、決済手数料300円のように、少なくとも国内販売価格+国際販売に追加される費用を確認します。関税等を誰が負担するかは別に決めます。
Step5|商品ページを作る
商品名、写真、サイズ、重量、素材、原産国、発送元、配送方法、送料、到着目安、返品条件、関税等に関する案内を掲載します。単なる日本語ページの機械翻訳ではなく、海外購入者が購入判断できる内容にします。
Step6|注文が入る
アメリカの購入者から注文が入りました。氏名、住所、州、郵便番号、電話番号、商品、数量、決済を確認します。住所を日本式に変換せず、配送会社が要求する形式で登録します。
Step7|発送する
商品確認→梱包→通関用情報を作成→国際配送会社へ引渡し、の順で行います。商品内容や価格を正確に申告します。
Step8|アメリカ側へ到着
米国へ到着→輸入側の確認→現地配送→購入者、という流れです。必要な税金・手続があれば、この途中で処理されます。
Step9|配達完了まで確認
注文ステータスを「発送済み」で終了せず、海外到着、通関、現地配送、配達完了まで追跡します。
Step10|結果を記録する
商品価格、国際送料、発送日、到着日、配送日数、配送事故、関税問い合わせ、返品を記録します。これを複数注文で蓄積すれば、この商品をアメリカへ販売する運用が現実的かを判断できるようになります。
越境ECの販売方法と段階的な拡大
越境ECには代表的に次のような形があります。「日本から直接発送」は、海外購入者の注文を受けて日本の販売者が日本から直接発送する方法で、在庫を日本で管理できますが、注文ごとに国際配送します。「海外モールを利用」は、モールの集客・決済等を利用できますが、モール独自のルールや手数料があります。「海外へ在庫を置く」は、日本からまとめて海外倉庫へ輸送し、現地購入者へは現地から配送する方法で、購入後の配送は速くできますが、先に海外へ在庫を輸出・保管する必要があります。商品をどこに置き、注文後どこから発送するかでも仕組みが変わると理解しておけば十分です。
ECシステムによっては、世界200か国へ販売可能のように多くの国を選択できることがあります。しかし、実際の販売条件を200か国分確認するのは簡単ではありません。国ごとに、配送、関税、税制、輸入規制、決済、返品、言語が違います。初心者の場合は、商品を1つ×販売国を1つから確認すると整理しやすくなります。例えば、日本の工芸品×アメリカから始めます。問題なく運用できたら、商品を増やす、国を増やす、という順番で拡大します。
「商品×国マスタ」という管理の考え方
国内ECでは、商品単位の管理が中心でした。越境ECでは、商品×販売国で管理する必要があります。例えば、工芸品Aは米国○・フランス○・シンガポール○、食品Bは米国要確認・フランス×・シンガポール○、化粧品Cはいずれも要確認、という形です。さらに、販売可否、配送可否、輸入可否、必要書類、配送会社、送料、税金を国別に整理します。「商品マスタ」だけではなく、「商品×国マスタ」という考え方が重要になります。
よくある失敗
越境ECを始める前の12の質問
- 何を販売しますか?商品名だけでなく、材質・成分・用途まで整理します。
- どの国へ販売しますか?「海外」ではなく国を決めます。
- その国で需要がありますか?具体的な市場確認はDAY45で行います。
- 日本から輸出できますか?商品に輸出制限がないか確認します。
- 配送会社は運べますか?国・商品・サイズ・重量を確認します。
- 相手国へ輸入できますか?現地の禁止・制限・許認可を確認します。
- 海外向け価格はいくらですか?国際送料・手数料等を含めて計算します。
- 関税等は誰が負担しますか?購入前に分かるようにします。
- どの決済方法を使いますか?海外カード・不正利用も確認します。
- 何日で届きますか?発送だけでなく通関・現地配送を考えます。
- 返品されたらどうしますか?国際返品費用と返金方法を決めます。
- 問題が起きたら誰へ確認しますか?物流会社、通関業者、税関、専門家等を整理します。
やってみよう|越境ECの壁診断&スターターチェックリスト
越境ECで新しく確認が必要になる項目を選ぶと、確認すべきポイントの目安が分かります。あわせて、販売を始める前に最低限確認できているかもチェックできます。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。
① 越境ECの壁診断
② スターターチェックリスト
これは自己チェック用の簡易ツールです。実際の輸出入可否・関税・法規制は、配送会社・通関業者・税関等への確認に基づいて判断してください。
アウトプットワーク|越境EC全体整理シートを作ろう
販売してみたい商品を一つ決めて、商品、販売国、費用、配送、税関・税金、購入後対応を整理してください。現時点で分からない項目は、無理に埋めなくて構いません。DAY43以降で、誰が輸出者なのか、誰が輸入者なのか、関税はいくらか、どの書類が必要か、どの配送方法を使うかを一つずつ埋めていきます。
① 商品・販売国
② 費用・配送
③ 税関・購入後対応
記入できたら完了にする
理解度チェッククイズ
第1問 越境ECについて正しいものはどれでしょうか?
第2問 国内ECと越境ECで共通するものはどれでしょうか?
第3問 越境ECで国内ECより追加確認が必要になるものはどれでしょうか?
第4問 日本の配送会社が荷物を受け付けた場合、その商品は必ず相手国へ輸入できるでしょうか?
第5問 ECサイトで配送国として選択できる場合、その国へ必ず販売できるでしょうか?
第6問 越境ECの商品価格について適切なのはどれでしょうか?
第7問 国際郵便で20万円以下の商品を外国へ送る場合について正しいものはどれでしょうか?
第8問 海外発送の商品に関税が発生する場合、誰が払うでしょうか?
第9問 海外返品について正しいものはどれでしょうか?
第10問 越境EC初心者の販売国として適切な考え方はどれでしょうか?
第11問|流れ問題 次の順番を正しく並べてください。A:現地配送/B:海外購入者が注文/C:日本から発送/D:相手国で輸入側の手続/E:購入者へ配達
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正しい順番は、B(海外購入者が注文)→C(日本から発送)→D(相手国で輸入側の手続)→A(現地配送)→E(購入者へ配達)です。
第12問|実務判断問題 日本のECサイトで販売している健康食品があります。配送会社の画面では「アメリカへ発送可能」と表示されています。この情報だけでアメリカ向け販売を開始してよいでしょうか?
回答例を見る
販売開始してはいけません。「配送会社が発送を受け付けること」と、「アメリカで健康食品を輸入できるか」は別の確認です。少なくとも、商品の成分、数量、用途、輸入規制、配送条件、必要な表示・手続を確認します。
つまり、配送可能≠輸入可能≠販売可能です。これはDAY44以降で繰り返し使う重要な考え方です。
よくある質問
それだけでは足りません。配送、輸出、輸入、関税・税金、商品規制、決済、返品まで確認します。
商品登録、SKU、在庫、注文、決済、返品などの基本は共通するため、国内ECの仕組みを理解していると越境ECも整理しやすくなります。
どちらも、国境を越えて販売すれば越境ECになり得ます。販売方法や責任関係は別に確認します。
商品を日本から外国へ送り出す場合、税関・輸出に関する手続が関係します。ただし国際郵便など、配送方法・価格によって具体的な手続は異なります。
関係します。例えば20万円以下の国際郵便では通常の輸出申告は不要でも、税関告知書や税関検査があります。
販売条件によって異なります。誰が輸入者になるか、DDP・DAPなどの条件も関係します。DAY43、DAY54で順番に学びます。
配送が止まったり、受取拒否・返送につながったりする可能性があります。販売前に負担条件を明確にします。
できません。国際配送上の禁制品に加え、各国独自の輸入規制があります。
相手国側の食品規制・輸入条件を別に確認します。
商品、国、販売方法、モール規約等により異なります。単純に全面返品不可とするのではなく、不良品、誤配送、購入者都合等を分けます。
需要、競合、配送、規制、税金、決済などを比較して選びます。DAY45「越境ECで販売する国の選び方」で詳しく扱います。
物流会社が配送・通関に詳しい場合はありますが、税務、法務、商品規制まで一社で判断できるとは限りません。内容に応じて税関、通関業者、税理士、弁護士、行政機関等へ確認します。
今回のまとめ
越境ECは、国内ECとは完全に別の仕組みではありません。基本は、商品登録、注文、決済、在庫、梱包、発送、返品という国内ECと同じ流れです。そこへ、販売国、輸出、国際配送、輸入、関税・輸入税、商品規制、言語・通貨、海外返品が加わります。今回覚えておきたいポイントは5つです。
- 越境ECは国内ECの仕組みに国境を越える条件が加わる
- 「販売できる」「発送できる」「輸入できる」を分ける
- 商品だけでなく販売国を決めて確認する
- 商品価格以外に国際送料・税金等が発生する可能性がある
- 発送で終わらず、輸入・配達・受取まで管理する
全体の流れは、商品を決める→販売国を決める→販売可能か確認→配送可能か確認→輸入可能か確認→海外向け商品ページを作成→海外購入者が注文→決済→梱包・輸出情報作成→日本から発送→輸出側の手続→国際輸送→相手国の輸入手続→関税・輸入税等→現地配送→購入者へ配達→問い合わせ・返品・返金、という順です。大切なのは、海外へ発送する方法だけを覚えることではありません。日本を出るところから海外購入者が受け取るところまで、商品・情報・お金・責任がどう動くのかを一本の流れで理解することが越境ECの第一歩です。
「“日本から送れた!”で終わりじゃないよ。相手の国へ入って、購入者が受け取るまでが越境ECなんだ!」
DAY42の実践課題
販売してみたい商品を一つ決めてください。商品名、商品カテゴリー、原産国、材質・成分、重量を書き出し、最初に販売する国とその理由を整理します。販売できる、配送できる、輸入できるをそれぞれ○/△/×/未確認で確認します。注文受付、決済、発送元、配送会社、輸出側、輸入側、現地配送までの流れと、販売価格、国際送料、到着予定、税金負担、返品条件といった購入者への表示内容を整理してください。現時点で分からない項目は、無理に埋めなくて構いません。DAY43以降で、誰が輸出者なのか、誰が輸入者なのか、関税はいくらか、どの書類が必要か、どの配送方法を使うかを一つずつ埋めていきます。


