越境ECで販売する国の選び方|検索・SNS・問い合わせ・競合から海外需要を調べる方法 DAY45
【DAY45】越境ECで販売する国の選び方
海外需要、検索、SNS、問い合わせ、競合から販売国を考える方法を整理する
DAY44では、販売できるか、決済できるか、日本から輸出できるか、配送できるか、相手国へ輸入できるかを分けて確認しました。では、アメリカ、フランス、シンガポール、台湾、オーストラリアなど、複数の国へ販売できそうな場合、どの国から始めればよいのでしょうか?
ここで、人口が多い国、EC市場が大きい国、有名な国、英語が通じる国だけで決めるのは早すぎます。重要なのは、自分の商品を欲しそうな人がいるかです。例えば、海外EC市場が非常に大きい国でも、自分が販売する日本の伝統工芸品に関心を持つ人が少なければ、販売は簡単ではありません。逆に、国全体の市場規模は小さくても、その商品カテゴリー、日本文化、ブランド、用途に強い関心を持つ人がいる国なら、候補になる可能性があります。
DAY45では、検索、SNS、海外からの問い合わせ、競合、市場情報を使って、「なんとなく海外へ売る」のではなく、どの国から調べるべきかを整理します。
「“海外で売りたい!”だけじゃ国は決まらないよ。すでに誰かが探している、話している、問い合わせている国から見てみよう!」
DAY44との違い
DAY44では、その国へ販売できるか、決済できるか、配送できるか、輸入できるかを確認しました。つまり、販売可能性の確認です。DAY45では、販売できそうな国が複数ある場合に、どの国で自分の商品への需要がありそうかを調べます。つまり、販売国の優先順位を決める回です。DAY46では、選んだ国へ商品情報を伝えるときに関係する、言語、通貨、時差、文化を整理します。DAY45では、翻訳や為替対応そのものには深入りしません。
この記事で分かること
- 販売国を市場規模だけで決めない理由、「海外需要」とは何を見るのか
- 検索から海外需要を確認する方法、Google Trendsの基本と注意点
- SNSから海外需要を探す方法、「いいね数」だけで判断してはいけない理由
- 海外からの問い合わせを需要の証拠として残す方法
- 競合商品を探す方法、競合がいることを悪いことだと思わない理由
- 候補国を比較し1~2か国へ絞る方法、テスト販売で確認すること
- 先に結論|「大きい市場」ではなく「需要の証拠がある国」を探す
- 販売国選びは「需要」と「販売可能性」の2軸で考える
- まず「商品」を一つ決める・候補国を3~5か国出す
- まず自社の中に需要の証拠がないか探す
- 証拠①検索|キーワードから需要を探る
- 証拠②SNS|「いいね数」の罠
- 証拠③問い合わせ&証拠④競合
- 証拠⑤市場情報|マクロとミクロの融合
- 5つの証拠を並べる・候補国比較マトリクス
- 実際のケースで考えてみよう|日本製手ぬぐいの国選び
- 実行戦略|小さく始めて運用を完成させる
- よくある失敗
- 販売国を選ぶ12の質問
- やってみよう|需要の証拠診断&確認チェックリスト
- アウトプットワーク|販売候補国比較シートを作ろう
- 理解度チェッククイズ
- よくある質問
- 今回のまとめ
- 獲得バッジ
先に結論|「大きい市場」ではなく「需要の証拠がある国」を探す
販売国を決めるときは、世界でEC市場が大きい国ランキングだけを見ないようにします。見る順番は、商品を決める→販売可能な候補国を出す→検索されているか→SNSで話題になっているか→海外から問い合わせがあるか→競合商品が販売されているか→現地市場の情報を確認→候補国を比較→1~2か国から小さく検証です。
DAY45では、需要を次の5つの証拠で見ます。①検索:その商品や関連商品を探している人がいるか。②SNS:商品カテゴリーや日本の商品について投稿・反応があるか。③問い合わせ:すでにその国から購入希望・配送希望等の問い合わせが来ていないか。④競合:似た商品が実際に販売され、レビュー等が付いているか。⑤市場情報:その国のEC市場、消費者動向、商品カテゴリーについて公的・専門的な調査情報があるか。一つだけで判断せず、複数の証拠が同じ方向を向いているかを確認します。
販売国選びは「需要」と「販売可能性」の2軸で考える
DAY44で確認したものは、販売可能性です。例えば、アメリカ、フランス、シンガポールがそれぞれ販売○・決済○・配送○・輸入○だったとします。この3か国は、販売できる可能性があるという状態です。しかし、どこから始めるべきかはまだ決まっていません。DAY45では、ここへ需要を追加します。販売可能性×需要の2軸で考えます。
経済産業省の2024年の調査では、日本・米国・中国3か国間の越境EC市場はいずれも増加しており、中国の消費者が日本事業者から越境ECで購入した金額は2兆6,372億円と推計されています。しかし、この数字から、自社の陶器が中国で売れる、自社の衣料品が中国で売れる、自社の雑貨が中国で売れるとは判断できません。市場規模は、その市場にEC取引があることを見る材料です。自社商品への需要は、別に確認します。つまり、市場規模≠自社商品の需要です。
まず「商品」を一つ決める・候補国を3~5か国出す
販売国を選ぶ前に、どの商品を海外へ販売するのかを具体化します。悪い例は「日本の商品を海外へ売りたい」、良い例は「日本製の手ぬぐいを海外へ販売したい」です。さらに、商品名、カテゴリー、素材、用途、価格帯、特徴、日本らしさ、購入する理由を整理します。商品が曖昧なままでは、検索需要、SNS、競合を調べられません。
最初から世界中を比較する必要はありません。例えば、アメリカ、フランス、シンガポール、台湾、オーストラリアなど、3~5か国程度を候補として並べます。候補を作るきっかけは、既存問い合わせ、SNS反応、アクセス、過去の購入実績、展示会、知人・取引先、競合の販売国などでも構いません。この段階では、候補です。まだ販売国を確定しません。
まず自社の中に需要の証拠がないか探す
海外市場調査というと、いきなり海外の巨大な統計データを探したくなります。しかし、その前に、自社がすでに持っている情報を見ます。例えば、海外から問い合わせが来ている、海外からSNSをフォローされている、海外住所から購入希望が来た、外国語で商品について質問された、海外の店舗から取引相談が来た、海外旅行者が商品を購入した、などです。これは、自分の商品に対して実際に起きた反応です。一般的な市場統計より、小さくても具体的な需要の証拠になる場合があります。
証拠①検索|キーワードから需要を探る
次に、その国の人が商品を検索しているかを調べます。例えば、日本製の手ぬぐいなら、tenugui、Japanese towel、Japanese cotton towel、Japanese traditional textileなど、複数の検索語を考えます。ただし、商品名1つだけで判断しません。購入者は、販売者が使う商品名を知らない場合があります。例えば「手ぬぐい」を知らない人は、Japanese towel、Japanese fabric、Japanese wall decorationなど、用途から探すかもしれません。
検索語は、少なくとも3種類考えます。商品名(tenugui)、カテゴリー(Japanese textile)、用途(Japanese wall hanging)です。例えば陶器なら、Japanese pottery、Japanese ceramic cup、Japanese tea cupなどです。一つの名称だけで、検索されていない=需要がないと判断しないようにします。
Google Trendsでは、検索キーワードやトピックについて、地域別の検索関心、時間による変化、関連検索などを確認できます。Googleの公式説明でも、検索語を調べると、その検索語への関心が比較的高い地域を確認できるとされています。そのため、どの国で検索されている可能性が高いかを見る材料になります。ただし、Google Trendsには重要な注意があります。
Google Trendsの数字は、実際の検索回数ではありません。Googleは、地域や期間ごとの検索量を正規化し、その中での相対的な人気度を0~100で表示しています。したがって、アメリカ100、フランス50だったから、アメリカの検索回数がフランスの2倍とは判断できません。さらに、同じ値でも地域ごとの総検索数が同じとは限りません。Google Trendsは、絶対需要ではなく、検索関心の傾向を見る道具として使います。
Google Trendsでは、検索語とトピックを選べる場合があります。検索語は、入力した文字列そのものに近い検索を見ます。トピックは、関連する概念をまとめて比較できる場合があります。例えば同じ商品でも、英語、現地語、日本語表記、ローマ字で検索のされ方が変わります。Google公式も、検索語ではスペル違い、単数・複数、同義語等が自動的にすべて含まれるわけではないと説明しています。したがって、1語だけ検索→需要なしとは判断しません。
例えばフランスを候補にする場合、英語の検索語だけでは現地の検索行動を十分に捉えられない可能性があります。英語、現地語、商品固有名称を分けて確認します。ただし、機械翻訳した言葉が本当に現地で使われているかも確認します。これはDAY46の言語・文化にもつながりますが、DAY45では、検索語は言語によって変わると理解しておけば十分です。
検索量は、一年中同じとは限りません。例えば、ギフト商品、夏用品、冬用品、季節行事、イベント関連商品には季節性があります。Google Trendsでは期間を変更し、過去12か月、過去5年などで検索関心の変化を確認できます。一時的に急上昇しただけなのか、毎年同じ時期に増えるのか、継続して検索されているのかを分けます。SNSや検索で突然話題になった商品があります。しかし、一時的なニュース、有名人の投稿、テレビ番組、短期的な流行による可能性もあります。そのため、現在の検索だけではなく、過去の推移も確認します。短期需要なのか、継続需要なのかを分けます。
検索では、商品名の検索数だけではなく、関連検索も重要です。例えば、Japanese pottery gift、Japanese pottery handmade、Japanese pottery teaのような検索が出れば、ギフト、手作り、お茶など、購入目的の仮説を作れます。つまり、何人検索しているかだけではなく、何を求めて検索しているかを見ます。
証拠②SNS|「いいね数」の罠
次にSNSを確認します。検索するものは、商品名、商品カテゴリー、日本文化、用途、ハッシュタグ、ブランド名、競合商品などです。見るのは、投稿数だけではありません。投稿内容、コメント、保存されそうな内容、シェア、質問、購入先を聞くコメントなどを見ます。
SNSで、10万いいねの投稿があったとしても、10万人が購入するという意味ではありません。SNSでは、面白い、きれい、珍しい、かわいいという理由でも反応されます。販売需要を見るなら、Where can I buy this?、Do you ship to ○○?、How much is it?、Is this available in ○○?のような、購入・配送に近い反応があるかを確認します。
例えば、日本の工芸品について、アメリカから「Where can I buy this?」というコメントが複数見つかったとします。これは、商品への関心だけでなく、購入先を探している可能性を示すヒントになります。一方、「Beautiful!」だけなら、興味はあるものの購入需要までは分かりません。反応を、認知、興味、購入意向に分けて見ると整理しやすくなります。
英語コメントが多いから、アメリカ需要とは判断できません。英語は多くの国で使われます。可能な範囲で、投稿者プロフィール、使用言語、投稿地域、コメント内容、現地クリエイター、現地ショップなどを確認します。「海外から人気」ではなく、どの国・地域から反応されているかを見ます。
一般的な投稿だけではなく、自社商品のSNSも確認します。例えば、海外アカウントからフォロー、海外からコメント、海外からDM、配送について質問、価格について質問、卸売について問い合わせなどです。これは、自社商品そのものへの反応です。国別に記録します。
証拠③問い合わせ&証拠④競合
次の問い合わせがあったとします。アメリカへ送れますか?、フランスで購入できますか?、海外向け価格はいくらですか?、この商品をシンガポールで取り扱いたいです、海外卸売はできますか?。これらは、検索やSNSより購入行動に近い情報です。特に、同じ国から複数回問い合わせがある場合は、候補国として確認する価値があります。
問い合わせが来ても、「海外から問い合わせあった気がする」では市場調査に使えません。最低限、日付、国、商品、問い合わせ内容、購入希望、配送希望、卸売希望、結果を記録します。問い合わせは、商品について、価格について、配送について、購入方法について、在庫について、卸売について、返品についてのように分類します。例えば「配送できますか?」が多い場合、商品への興味はあるが購入方法が分からない可能性があります。つまり、需要なしではなく、販売導線が不足している可能性があります。
次に、同じ国で似た商品が売られているかを確認します。見る場所は、現地ECモール、検索エンジン、現地ブランドEC、SNSショップ、専門店、小売店サイトなどです。調べるものは、商品、価格帯、レビュー、販売者、商品説明、配送方法、在庫状況、評価などです。
初心者は、競合がいない国を狙いたくなることがあります。しかし、競合がいるということは、すでにその商品カテゴリーを買っている人がいる可能性を示します。例えば、Japanese potteryの商品が複数販売され、レビューも付いているなら、市場が存在する可能性があります。競合ゼロより、一定の競合がいる市場の方が需要を確認しやすい場合があります。
競合がまったく見つからない場合、チャンスとは限りません。可能性①まだ誰も販売していない市場、可能性②そもそも需要が少ない市場です。そのため、競合なし=ブルーオーシャンとは判断しません。検索、SNS、問い合わせ、市場情報を合わせて確認します。
競合商品のレビューには、購入者が評価している点、不満、使用目的、購入理由が書かれている場合があります。例えば、デザインが良い、ギフトに使った、日本製なのが良い、サイズが小さい、配送が遅かった、などです。ここから、何が購入理由になるのか、何が購入障壁になるのかを整理できます。単に、星4.8だから売れている、で終わらせません。レビュー100件だから、100個売れたという意味ではありません。レビュー率はサービスや商品によって異なります。また、レビューが少ない=売れていないとも限りません。レビューは、需要の証拠の一つとして使います。単独で販売数を推測しすぎないようにします。
証拠⑤市場情報|マクロとミクロの融合
検索・SNS・競合だけでなく、国別のEC市場情報も確認します。ジェトロでは国・地域別に、越境EC市場、関連制度、売れ筋、消費者動向などの情報を公開しています。さらに、2026年時点でも国別・商品分野別の越境EC調査レポートや市場分析が継続して公開されています。こうした資料を使い、EC利用状況、消費者動向、商品カテゴリー、市場の特徴を確認します。
ただし、レポートに「日本商品への関心が高い」と書いてあるから販売開始とはしません。市場レポートは、大きな地図です。検索、SNS、問い合わせ、競合は、自社商品に近い情報です。両方を使います。
5つの証拠を並べる・候補国比較マトリクス
販売候補国について、次の表を作ります。
| 項目 | 米国 | フランス | シンガポール |
|---|---|---|---|
| 検索 | 強い | 中 | 中 |
| SNS | 強い | 強い | 中 |
| 問い合わせ | あり | なし | あり |
| 競合 | 多い | 中 | 少ない |
| 市場情報 | あり | あり | あり |
これは、アメリカが必ず一番売れるという表ではありません。複数の需要シグナルを、同じ画面で比較するための表です。比較しにくい場合は、簡易的に点数を付ける方法もあります。0(証拠なし・未確認)、1(弱い)、2(一定の証拠あり)、3(強い証拠あり)とし、検索3、SNS2、問い合わせ3、競合2、市場情報2、のようにします。ただし、この点数は売上予測ではありません。候補国の優先順位を整理するための、一次評価です。
例えば、国A(需要スコア12)、国B(需要スコア9)だったとします。しかしDAY44の確認で、国A(配送△・輸入△)、国B(配送○・輸入○)なら、国Bから始めるという判断もあります。つまり、需要×実行しやすさで考えます。需要が大きくても、運用負荷が非常に高い国を最初に選ぶ必要はありません。最終的には、販売可否・決済・配送・輸入というDAY44の確認結果と、検索需要・SNS反応・問い合わせ・競合・市場情報というDAY45の需要情報を、一枚の表にまとめると、需要はあるか、実際に運用できるか、を同時に確認できます。
実際のケースで考えてみよう|日本製手ぬぐいの国選び
日本の事業者が、日本製の手ぬぐいを海外へ販売するとします。DAY44で、アメリカ、フランス、シンガポールの3か国について、販売、決済、配送、輸入を確認できたとします。ここから、どこを最初の販売国にするかを考えます。
Step1|商品を具体化
商品:日本製手ぬぐい、素材:綿、特徴:日本の伝統柄、用途:タオル・インテリア・ギフト・ファッション小物。まず、「日本商品」ではなく具体的な商品にします。
Step2|検索語を考える
例えば、tenugui、Japanese towel、Japanese cotton towel、Japanese traditional textile、Japanese fabric giftなどです。一つの検索語だけではなく、商品名、カテゴリー、用途に分けます。
Step3|Google Trendsを見る
候補国ごとに、検索関心、期間、関連検索を確認します。ここでは、100、50、20という数字を検索回数として扱いません。相対的な関心を見る材料にします。
Step4|検索結果そのものも見る
検索エンジンで、商品名、関連語を検索します。EC商品、記事、SNS、現地ショップ、競合、レビューが出てくるか、検索結果から購入できる商品として認識されているかも確認します。
Step5|SNSを見る
SNSで、tenugui、Japanese textile、Japanese designなどを確認します。現地ユーザーの投稿、コメント、保存・シェア、購入先についての質問、利用方法、ギフト利用を見ます。
Step6|問い合わせ履歴を見る
過去1年間に、海外配送について問い合わせがなかったか確認します。仮に、アメリカ:複数あり、フランス:少数あり、シンガポール:あり、だったとします。問い合わせ件数だけで決定せず、需要シグナルの一つにします。
Step7|競合を探す
各国のECで、tenugui、Japanese towel等を検索します。販売商品があるか、現地販売者か、日本から発送か、レビューがあるか、どんな使い方を訴求しているかを見ます。
Step8|レビューを見る
競合商品のレビューから、ギフト、デザイン、品質、日本製、用途、配送など、何が評価されているか整理します。例えば、インテリア利用が多いと分かれば、タオルとして販売するという見せ方だけでは不足する可能性があります。
Step9|市場レポートを見る
ジェトロ等で、候補国のEC市場、消費者動向、日本商品、小売・EC事情などを確認します。一般市場と、ここまで集めた商品固有データを組み合わせます。
Step10|比較表を作る
仮の調査結果から、アメリカを最初の候補にするとします。ただし、アメリカが世界で一番良いという意味ではありません。今回の商品と自社の状況では、最初に検証しやすそうという判断です。
Step11|1か国だけ設定する
まず、商品:手ぬぐい、販売国:アメリカでテストします。他の国は、候補として残します。
Step12|販売後の反応を記録
商品閲覧、問い合わせ、注文、購入理由、配送、返品、レビューを記録します。これが、インターネット上の推測ではなく、自社の実際の海外販売データになります。
実行戦略|小さく始めて運用を完成させる
候補国を調べた結果、5か国とも可能性ありとなっても、全部同時に始める必要はありません。国が増えると、配送条件、問い合わせ、返品、通関、商品ページ、決済、確認情報が増えます。初心者なら、商品1つ×国1~2か国から検証すると原因を追いやすくなります。
販売開始国は、市場規模最大である必要はありません。例えば、需要は中程度でも、問い合わせ実績がある、配送が安定、競合情報が豊富、確認しやすいという国から始める方法があります。最初の目的は、世界市場を一気に取ることではありません。海外販売の運用を一つ完成させることです。
例えば、商品:日本製手ぬぐい、候補国:アメリカ、仮説:日本文化や和柄に関心のある消費者から需要があるのではないか、根拠:検索反応あり・SNS投稿あり・問い合わせあり・競合商品あり、とします。これなら、販売後に、仮説が合っていたかを確認できます。
テスト販売では、売れた・売れないだけを見ません。商品ページを見られたか、商品に反応があったか、問い合わせが来たか、カートまで進んだか、購入されたか、配送できたか、返品されたか、どんな質問が来たかを確認します。注文が0だから、需要0と即断しません。商品ページ、価格、配送費、説明、購入導線など別の問題も考えられます。
例えば、海外から100件アクセスではなく、アメリカ_件、フランス_件、シンガポール_件と分けます。問い合わせも、海外問い合わせ10件ではなく、国、商品、内容で分けます。国単位で比較できる形にします。検索トレンド、SNS、競合、市場状況は変わります。そのため、2026年8月確認など、いつ調べたかを残します。後から再調査したときに、変化を確認できます。
よくある失敗
販売国を選ぶ12の質問
- 何の商品を販売しますか?商品を一つ具体化します。
- 販売可能な候補国はどこですか?DAY44の結果から候補を出します。
- すでに海外問い合わせがありますか?国・商品・内容を確認します。
- どの国からSNS反応がありますか?自社アカウントも確認します。
- 商品名は検索されていますか?商品名だけでなく関連語も調べます。
- どの国で検索関心がありますか?Google Trends等を使います。
- 関連検索は何ですか?購入目的や使い方を探します。
- 現地SNSではどのように使われていますか?投稿・コメント・用途を確認します。
- 競合商品はありますか?ECモール・検索・専門店等を確認します。
- 競合レビューでは何が評価されていますか?購入理由・不満・用途を確認します。
- 公的・専門的な市場情報がありますか?国別EC市場や消費動向を確認します。
- 最初に検証する1~2か国はどこですか?需要と販売可能性を合わせて判断します。
やってみよう|需要の証拠診断&確認チェックリスト
需要を確認する5つの証拠のどれかを選ぶと、確認のポイントの目安が分かります。あわせて、候補国の調査が一通りできているかもチェックできます。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。
① 需要の証拠診断
② 候補国調査チェックリスト
これは自己チェック用の簡易ツールです。実際の需要は、複数の証拠と自社の販売実績を継続的に確認しながら判断してください。
アウトプットワーク|販売候補国比較シートを作ろう
DAY44で確認した商品を一つ使ってください。「市場が大きそうだから」だけで終わらせず、検索・SNS・問い合わせ・競合・市場情報のうち、どの証拠からその国を候補にしたのかを書いてください。
① 商品・候補国
② 需要調査
③ 競合・最終判断
記入できたら完了にする
理解度チェッククイズ
第1問 越境ECの販売国を選ぶ方法として適切なのはどれでしょうか?
第2問 EC市場規模が大きい国について正しいものはどれでしょうか?
第3問 海外需要を確認する材料として適切なのはどれでしょうか?
第4問 Google Trendsの「100」は何を意味するでしょうか?
第5問 商品が「手ぬぐい」の場合、検索方法として適切なのはどれでしょうか?
第6問 SNS投稿に「10万いいね」が付きました。ここから分かることとして適切なのはどれでしょうか?
第7問 競合が存在する国について正しいものはどれでしょうか?
第8問 競合商品が一つも見つからない国について正しいものはどれでしょうか?
第9問 海外から「この商品をアメリカへ送れますか?」という問い合わせが複数来ています。適切な対応はどれでしょうか?
第10問 最初の越境EC販売について適切なのはどれでしょうか?
第11問|比較問題 候補国A(販売可能○・検索需要強・SNS強・問い合わせあり・競合あり)と候補国B(販売可能○・検索需要弱・SNS弱・問い合わせなし・競合なし)。現時点で、先に詳しく調査する候補としてどちらが適切でしょうか?
回答例を見る
現時点では、候補国Aを優先して詳しく調査する理由があります。検索、SNS、問い合わせ、競合という複数の需要シグナルが確認できているからです。ただし、国Aなら必ず売れるという意味ではありません。DAY44の配送・輸入条件や、実際の販売テストも確認します。
第12問|実務判断問題 Google Trendsで、商品に関する検索関心が国Aで100、国Bで50と表示されました。担当者が、「国Aでは国Bの2倍検索されているので、国Aに決定します」と言いました。何が問題でしょうか?
回答例を見る
Google Trendsの100と50を、実際の検索数の2倍と解釈している点が問題です。Google Trendsは相対的な検索関心を示すデータです。
さらに、検索関心だけで販売国を確定している点も問題です。SNS、問い合わせ、競合、市場情報、販売可能性も合わせて確認します。
よくある質問
人口は市場を見る一つの情報ですが、自社商品の需要とは別です。人口が多くても商品への関心が低い場合があります。検索、SNS、問い合わせ、競合などを確認します。
市場規模だけでは決めません。市場全体が大きくても、自社商品やカテゴリーへの需要があるとは限りません。市場情報と商品固有の需要シグナルを組み合わせます。
決められません。Google Trendsは検索関心の傾向を見る道具です。検索数そのものでも売上予測でもありません。SNS、問い合わせ、競合などと組み合わせます。
必ずしもそうとは限りません。検索語が現地で使われていない可能性や、商品が別の名称・用途で検索されている可能性があります。関連語や現地語も確認します。
SNS人気は需要を考える材料になりますが、閲覧・いいね・シェアと購入は別です。購入先、価格、配送について尋ねるコメントなど、購入に近い反応も確認します。
1件だけで市場があるとは判断できません。ただし、自社商品への具体的な需要の証拠なので記録します。検索やSNS、競合なども合わせて調査します。
必ずしも避ける必要はありません。競合が存在することは、その商品カテゴリーを購入する人がいる可能性を示します。自社商品との違い、レビュー、購入理由などを確認します。
競合がいない理由を確認します。未開拓市場の可能性もありますが、需要が少ない可能性もあります。競合不在だけで販売国を決めません。
最初は3~5か国程度を候補にすると整理しやすくなります。その中から需要と販売可能性を比較し、実際のテスト販売は1~2か国程度へ絞る方法があります。
最初の仮説づくりなら、検索エンジン、Google Trends、SNS、自社問い合わせ、競合EC、ジェトロなどの公開情報から始められます。必要に応じて詳しい調査へ進みます。
必ずしもそうとは限りません。商品への需要以外に、価格、送料、商品説明、認知、決済、購入導線などが原因の場合があります。どこまで購入者が進んだかを確認します。
候補国が決まったら、その国の購入者へ商品情報をどう伝えるかを整理します。言語、表示通貨、為替、問い合わせ時間、文化・商習慣などを確認します。
今回のまとめ
越境ECで販売国を選ぶとき、人口が多い、EC市場が大きい、有名な国という理由だけで決めないようにします。今回覚えておきたいポイントは次の5つです。
- 市場規模と自社商品の需要は別
- 検索・SNS・問い合わせ・競合から需要の証拠を集める
- Google Trendsは絶対検索数ではなく相対的な関心を見る
- 競合がいることも需要を確認する材料になる
- DAY44の販売可能性とDAY45の需要を組み合わせて判断する
販売国を選ぶ基本の流れは、商品を決める→販売可能な候補国を出す→海外問い合わせを確認→検索需要を確認→Google Trendsを確認→関連検索を確認→SNSを確認→購入に近い反応を確認→競合商品を確認→レビューを確認→国別市場情報を確認→候補国を比較→需要と販売可能性を合わせる→1~2か国へ絞る→小さく販売→実際の反応を記録→次の国を検討です。大切なのは、海外市場について完璧に予測してから販売することではありません。検索されている、SNSで反応されている、問い合わせがある、競合が販売している、市場情報があるという複数の証拠から、需要がありそうな国の仮説を作ります。そのうえで、DAY44で確認した、販売、決済、輸出、配送、輸入が実行可能な国から、小さく検証します。市場調査の役割は、絶対に売れる国を当てることではありません。「なぜこの国から試すのか」を説明できる状態にすることです。
「“アメリカなら売れそう!”じゃなくて、“検索・SNS・問い合わせ・競合を見ると、この商品はアメリカから試す理由がある”って説明できるようにしよう!」
DAY45の実践課題
DAY44で確認した商品を一つ使ってください。商品名、カテゴリー、用途、特徴を書き出し、候補1~3を挙げます。検索語1~3と、国別の検索関心(強/中/弱/未確認)を確認します。SNSでの国別反応と、購入に近いコメントの有無・内容を確認します。国別の問い合わせの有無と主な内容、国別の競合の多さと競合レビューで分かったことを整理します。確認した市場情報の資料と分かったことを記録し、DAY44で確認した販売・決済・配送・輸入の状況と合わせて、最初に販売テストする国、選んだ理由、需要の根拠、まだ分からないことを書いてください。「市場が大きそうだから」だけで終わらせず、検索、SNS、問い合わせ、競合、市場情報のうち、どの証拠からその国を候補にしたのかを明確にすることがDAY45の実践ポイントです。

