API・CSV・手作業の違いとは?ECのデータ連携方法を分かりやすく解説 DAY21

【DAY21】API・CSV・手作業によるデータ連携の違い
リアルタイム連携・定期取込・手動更新の特徴と、ミス・費用・運用負担を整理する
DAY20では、自社EC、ECモール、実店舗で同じ商品を販売するときの在庫同期を学びました。在庫を同期するには、システムから別のシステムへ、商品や注文の情報を渡す必要があります。その代表的な方法が、APIによる連携、CSVファイルによる連携、担当者による手作業の3つです。
APIなら必ずリアルタイム、CSVなら古い、手作業なら使えない、という単純な話ではありません。APIを使っていても1時間ごとにしか更新しなければリアルタイムとはいえませんし、商品数が10件しかなく月に数回しか変更しない業務なら、手作業のほうが安くて分かりやすい場合があります。大切なのは、最も高度な方法を選ぶことではなく、連携する情報の重要度、更新頻度、間違えたときの影響、運用できる人員を見て選ぶことです。
「自動なら正解、手作業なら失敗とは限らないよ。業務に合う方法を選ぼう!」
この記事で分かること
- データ連携とは何か/API・CSV・手作業の基本的な違い
- APIとWebhookの違い/リアルタイム連携と定期連携
- 一方向連携と双方向連携/商品・注文・在庫・顧客情報の連携
- 上書き更新と差分更新/重複登録や二重処理を防ぐ方法
- 連携エラーを発見・再処理する仕組み/APIの認証・アクセス権限
- 導入費用以外に発生する運用コスト
- 事業規模に合わせた連携方法の選び方/組み合わせる方法
特定のECサービスやAPIの操作方法ではなく、システム連携を設計するときの共通する考え方を扱います。
- 先に結論|3つの方法には、それぞれ向いている仕事がある
- 身近な例で考えると「情報を届ける3つの方法」
- 1.データ連携とは何か
- 2.APIとは|システムが情報を受け渡すための窓口
- 4.Webhookとは|出来事が起きたことを相手へ知らせる仕組み
- 6.CSVとは|データを表形式でまとめたファイル
- 9.手作業による連携とは
- 11.一方向連携と双方向連携
- 13.全件上書きと差分更新
- 15.連携エラーを分ける
- 17.認証・アクセス権限
- 18.費用は「システム利用料」だけではない
- 20.3つを組み合わせる
- 実際のケースで考えてみよう|自社ECとモールの注文を倉庫へ渡す
- データ連携を設計する12の質問
- やってみよう|手作業コスト計算機&連携方法診断チェッカー
- アウトプットワーク|自社の連携方法を決めよう
- 理解度チェッククイズ
- よくある質問
- 今回のまとめ
- 獲得バッジ
先に結論|3つの方法には、それぞれ向いている仕事がある
| 方法 | 基本的な動き | 向いている仕事 |
|---|---|---|
| API | システム同士が決められた形式でデータを送受信する | 注文・在庫など頻繁に変わる情報 |
| CSV | ファイルにまとめて出力し、別システムへ取り込む | 商品情報・価格などの一括更新 |
| 手作業 | 担当者が画面や表を見て入力・更新する | 件数が少ない業務・例外判断 |
更新速度だけを比べると、一般的には「API・Webhook(速い)→定期的なCSV取込→担当者による手動更新(遅い)」の順です。しかし、比較すべきは速度だけではありません。
| 比較項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 正確性 | 誤入力・重複・上書きが起きないか |
| 費用 | 導入費・月額費・開発費はいくらか |
| 運用負担 | 誰が確認・修正するか |
| 復旧性 | 失敗時にやり直せるか |
| 柔軟性 | 例外注文へ対応できるか |
| 安全性 | 必要以上のデータへアクセスしないか |
身近な例で考えると「情報を届ける3つの方法」
学校から家庭へ連絡する場面を想像してください。
学校が予定を登録すると保護者のアプリへ自動で通知される「APIに近い方法」、児童の一覧を表にまとめて別の担当者へ渡す「CSVに近い方法」、担当者が名簿を見ながら一件ずつ電話する「手作業に近い方法」。ECのデータ連携でも、同じように特徴が異なります。
1.データ連携とは何か
データ連携とは、ある場所に登録された情報を、別のシステムでも利用できるように渡すことです。ECでは、次のような情報が連携されます。
| データ | 連携例 |
|---|---|
| 商品情報 | 商品管理表からECサイトへ登録 |
| 在庫情報 | 倉庫から自社EC・モールへ反映 |
| 注文情報 | ECから受注管理・倉庫へ送信 |
| 決済情報 | 決済サービスから注文状態へ反映 |
| 配送情報 | 倉庫から追跡番号をECへ登録 |
| 顧客情報 | ECから顧客管理システムへ登録 |
| 売上情報 | ECから会計・分析システムへ送信 |
単にデータを移すだけでなく、どの情報を、いつ、どの番号でつなぐかを決めることがデータ連携です。
2.APIとは|システムが情報を受け渡すための窓口
APIは、Application Programming Interfaceの略です。システムが別のシステムに対して、決められた方法で情報を取得・登録・変更するための仕組みです。たとえば、Google Sheets APIには、指定したスプレッドシートや範囲の値を取得したり、特定の範囲へ値を書き込んだり、複数範囲をまとめて更新したりする機能があります。
「この商品の現在在庫を教えてください」
「新しい注文を倉庫システムへ登録してください」
「注文状態を発送済みに変更してください」
「この予約情報を取り消してください」
実際に利用できる操作は、各サービスが公開しているAPIの仕様によって異なります。データは、JSONなどのシステムが読み取りやすい形式で受け渡されることが一般的です。
3.APIを使えば必ずリアルタイムになる?
APIを用意していても、いつ呼び出すかによって更新速度は変わります。注文のたびに呼び出せばリアルタイムに近くなりますが、5分ごとなら最大約5分、1日1回なら日次連携です。
リアルタイム性 = いつAPIを動かすか
「API対応」と書かれているだけでは、更新速度は分かりません。何をきっかけに動くか、何分ごとに確認するか、エラー時に再実行するか、相手側への反映に何分かかるか、夜間やメンテナンス中も動くかを確認します。
4.Webhookとは|出来事が起きたことを相手へ知らせる仕組み
Webhookは、注文作成、商品更新、返金などの出来事が発生したとき、サービス側から指定された送信先へ通知する仕組みです。Shopifyの公式開発資料でも、Webhookは店舗で特定の出来事が起きた際に、ほぼリアルタイムで通知を受け取る方法として説明されています。また、システム側から繰り返しAPIへ問い合わせる方法の代わりとして利用できます。
自社システムから定期的に「新しい注文はありますか?」と確認する方法をポーリングと呼びます。Webhookでは、ECで注文が発生した時点でシステム側から通知が届きます。Webhookで「注文が入った」と知らせてもらい、その後APIで詳しい情報を取得する設計もあり、Webhookは通知、APIは情報の取得・登録というように組み合わせて利用できます。
5.Webhookにも失敗はある
Webhookを使っても、通知を必ず一度だけ、正しい順番で受け取れるとは限りません。Shopifyの公式資料では、Webhookの配信順序は保証されず、重複配信を識別する仕組みや、取りこぼしに備えてAPIによる定期的な照合作業を行うことが推奨されています。同じ通知を複数回受け取る、通知の順番が入れ替わる、自社システム停止中に受信できないといったことが起こり得るため、通知IDの記録、二重処理の防止、更新日時の比較、失敗した処理の再実行、定期的な照合の仕組みが必要です。
「自動通知でも、届かなかった場合と2回来た場合の両方を考えるんだ!」
6.CSVとは|データを表形式でまとめたファイル
CSVは、Comma-Separated Valuesの略です。商品名、SKU、価格、在庫などを、決められた列に並べて保存します。
TS-001,Tシャツ白M,3000,10
BG-001,バッグ黒,5000,5
CSVファイルを使うと、多数の商品や在庫をまとめて出力・更新できます。Shopifyの公式機能でも、商品情報やロケーション別の在庫をCSVでインポート・エクスポートできます。APIのようにシステム同士が直接つながっていなくても、共通のCSV形式を用意すればデータを移せます(システムAからCSV出力→編集・変換→システムBへアップロード→取込結果を確認)。
7.CSVのメリット
1商品ずつ画面へ入力するよりも、100件、1,000件の商品をまとめて登録しやすくなります。
担当者が取込前に、商品名、価格、SKU、在庫などをスプレッドシートで確認できます。
サービス側にCSV入出力機能があれば、専用のシステム開発をしなくても連携できます。
更新前のデータをCSVとして保存すれば、変更前の状態を確認できます。
8.CSVの注意点
出力した直後から古くなる可能性があります。10時にCSVを出力し10時30分に取り込む間に、10時10分に2個販売されて実在庫が8個になっていても、古い「10個」で上書きすると販売可能在庫が2個増えてしまいます。Shopifyの在庫CSVには、現在値と更新後の値を比較し、エクスポート後に在庫が変わっていた行を取り込まない安全確認の仕組みがあります。
必須の列がない、列名が違う、SKUが空欄、数字の列に文字が入っている、文字コードが合わない、同じSKUが重複しているといった違いでエラーになることもあります。サービスによっては取込開始後に途中で止められない場合があるため、取込前にデータをバックアップする、少数の商品で試す、更新対象の列を確認する、取込後に件数とエラーを確認することが大切です。Shopifyの商品CSVについても、インポート開始後はキャンセルできないため、事前のバックアップが案内されています。
9.手作業による連携とは
たとえば、モールへ注文が入ったら、担当者がモールの注文画面を開き、注文番号・商品・住所を確認し、倉庫の管理表へ入力し、出荷後に追跡番号を確認して各ECへ手入力します。システム連携はありませんが、人が情報をつないでいます。
- 特別な開発が不要
- 少ない件数ならすぐ始められる
- 例外内容を確認しながら処理できる
- 自動化前の試験運用に向いている
- 入力間違い・コピー漏れ・二重登録
- 更新忘れ・担当者不在
- 作業履歴が残らない
- 件数増加に対応できない
手作業自体が問題なのではありません。誰が、いつまでに、何を見て、どこへ入力し、誰が確認するかが決まっていないことが問題です。
10.手作業が向いているケース
- 商品が数件しかない/月の注文が少ない
- 新しい販売方法を試している
- 業務手順がまだ決まっていない/例外対応が多い
- 連携先がAPIを提供していない/自動化費用を回収できない
- 在庫が残り1個の商品を複数サイトで販売
- 1日数百件の注文/当日出荷が必要
- 価格が頻繁に変わる/個人情報を何度もコピーする
- 追跡番号を大量に入力する/担当者が一人しかいない
必要な速度と件数が人の処理能力を超えたら、CSVやAPIへの移行を検討します。
11.一方向連携と双方向連携
一方向連携は、システムAからBへだけ送ります(商品管理→ECサイト、EC側で変更しても商品管理側へは戻りません)。双方向連携は、AとBの両方から変更できます。便利に見えますが、同じ項目を同時に変更すると、どちらを正しい値とするか分からなくなります。すべてを双方向にせず、項目ごとに「どこから更新するか」を決めます。
| 情報 | 正式な更新元 |
|---|---|
| 商品名 | 商品マスタ |
| 販売価格 | 価格管理表 |
| 在庫 | 在庫管理システム |
| 注文状態 | 受注管理 |
| 追跡番号 | 倉庫・配送システム |
| 顧客からの変更 | EC・CS受付 |
12.データをつなぐための共通番号
データ連携では、同じ商品・注文・顧客を識別する番号が必要です。商品は商品コード・SKU・JANコード・販売先の商品ID、注文は注文番号・販売先注文番号・出荷番号・決済ID、顧客は顧客番号・会員ID・メールアドレス、配送は出荷番号・荷物番号・追跡番号で識別します。
自社ECで「白いTシャツM」、モールで「ベーシックTシャツ/ホワイト/M」、倉庫で「Tシャツ白M」のように表示名が違っても、基準SKU「TS-001-WH-M」が同じなら同一商品として扱えます。商品名だけではつながりません。DAY20で作成した販売先別の商品コード対応表が、API・CSV・手作業のすべてで重要になります。
13.全件上書きと差分更新
現在の商品一覧や在庫を、すべて新しいデータへ置き換えます。全体をそろえやすい一方、変更していない商品まで影響し、古いデータで上書きする可能性があります。
変更されたデータだけを更新します。処理量を減らせる一方、何が変更されたかを記録し、削除・販売終了の扱いを決める必要があります。
更新日時を使い、「最終連携10時00分→それ以降に更新された注文だけ取得」という方法もあります。Shopifyも、Webhookだけに依存せず、更新日時などを使って定期的にデータを照合することを案内しています。
14.重複処理を防ぐ
同じ注文データを2回受け取った場合、そのまま登録すると注文が二重になり、商品を2回発送する、在庫を2回減らす、売上を2回計上するといった問題が起こります。注文番号ORD-001が登録済みかを確認し、未登録なら登録、登録済みなら二重登録しないという判定が必要です。注文番号だけでなく、通知ID、処理ID、返金IDなども記録し、同じ処理を何度実行しても結果が二重にならない設計を検討します。
15.連携エラーを分ける
「APIエラー」「CSVエラー」と一つにまとめると、原因が分かりません。
相手サービスへ接続できない・通信が途中で切れた・メンテナンス中
アクセストークンの期限切れ・APIキーが間違っている・権限不足
SKUがない・必須項目が空欄・金額形式が違う・存在しない注文番号
在庫不足・返金額が支払額を超えている・発送済み注文の取消し
同じ注文を再登録・同じ返品を2回反映・同じ追跡番号を複数登録
16.エラーが起きたら誰が対応する?
自動連携を作っても、エラーを確認する人がいなければ止まったままです。通知先、担当者、対応期限、暫定対応、再処理方法、エスカレーション先、完了条件、記録先を決めます。
17.認証・アクセス権限
API連携では、システムへ自由にアクセスできるわけではありません。一般的には、APIキー、アクセストークン、OAuthなどを使い、誰がどの情報へアクセスできるかを管理します。Google Sheets APIでは、アプリが利用する情報と操作範囲を認可スコープで指定します。Googleは、アプリに不要な広い権限を求めず、できる限り狭い範囲のスコープを選ぶことを推奨しています。
商品情報を取得・注文を確認・在庫を参照
商品情報を変更・在庫を増減・注文状態を変更・顧客情報を書き換える
在庫を見るだけの仕組みに、全ファイルを削除できる権限まで与える必要はありません。APIキーやアクセストークンを共有スプレッドシートやチャットへそのまま記載すると、閲覧した人がシステムへアクセスできる可能性があるため、保管場所を決める、閲覧できる人を限定する、ログへ表示しない、退職・契約終了時に無効化する、定期的に更新する、漏えい時の停止手順を用意することが必要です。
18.費用は「システム利用料」だけではない
API、CSV、手作業を比較するときは、月額料金だけで判断しません。APIは初期設計・開発費・サーバー・API利用料・保守・エラー監視などが、CSVは出力取込作業・ファイル変換・エラー修正・バックアップなどが、手作業は担当者の作業時間・二重確認・入力ミスの修正・誤出荷による損失などが費用として発生します。
1日10件×5分=50分
月20営業日:50分×20日=1,000分=約16時間40分
注文数が増えるほど、手作業の人件費と処理遅延が増えます。一方、月に2件しか注文がない業務へ高額なAPI連携を作ると、開発費を回収できない可能性があります。
19.どの方法を選ぶ?判断表
| 条件 | 選択候補 |
|---|---|
| 注文数が多く、即時処理が必要 | API・Webhook |
| 在庫が少なく、売り越しの影響が大きい | API・在庫一元管理 |
| 商品情報を月1回まとめて更新 | CSV |
| 商品数が多く、一括変更したい | CSV・API |
| 月数件の注文しかない | 手作業・CSV |
| 例外判断が多い | 手作業を一部残す |
| 連携先にAPIがない | CSV・手作業 |
| まず運用を試したい | 手作業から開始 |
| 夜間・休日も即時処理が必要 | 自動連携 |
20.3つを組み合わせる
実務では、一つの方法だけを使うとは限りません。商品名・説明・価格・画像URLなどはCSVで週1回まとめて更新し、頻繁に変わる注文・在庫はAPIで自動連携し、住所不備・在庫不足・名入れ確認などの例外注文は担当者が判断します。この組み合わせなら、すべてを自動化するよりも分かりやすく、手作業だけよりも負担を減らせます。
「繰り返しは自動、まとめて変更はCSV、判断が必要なら人に任せよう!」
21.自動化する順番
実際のケースで考えてみよう|自社ECとモールの注文を倉庫へ渡す
ある事業者は、自社ECとモールの注文を確認し、スプレッドシートへ転記して倉庫へメール送信、追跡番号を受領して各ECへ手入力する流れで出荷していました。1日の注文は5件でした。
注文が少ないため、すぐ始められました。しかし注文数が1日30件へ増え、住所のコピー間違い、同じ注文の二重入力、追跡番号の入力漏れ、担当者不在時の処理停止といった問題が起きました。
自社ECとモールから注文CSVを出力し、共通の倉庫用フォーマットへまとめました。1件ずつの転記は減りましたが、1日3回しか取り込まれない、出力後のキャンセルが反映されないという課題が残りました。
注文発生後、倉庫システムへ自動登録します。倉庫が出荷すると、追跡番号を各ECへ戻します(注文発生→API→倉庫登録→出荷→追跡番号→API→EC登録)。
住所不備、在庫不足、高額注文、名入れ未確定、キャンセル依頼、配送対象外は自動出荷せず、確認一覧へ分けます。通常注文は自動処理し、判断が必要な注文だけを人が扱う形になりました。
データ連携を設計する12の質問
- 何のデータを連携しますか?商品、注文、在庫、追跡番号などを分けます。
- 正式なデータ元はどこですか?項目ごとに更新元を決めます。
- 共通するIDはありますか?SKU、注文番号などを確認します。
- 何分以内に反映する必要がありますか?即時、5分、1時間、1日などを決めます。
- 1日に何件処理しますか?現在だけでなく、増加後も考えます。
- APIは提供されていますか?取得・登録・更新できる項目を確認します。
- CSVの入出力形式はありますか?必須列、ファイルサイズ、上書き範囲を確認します。
- 手作業では何分かかりますか?担当者の作業時間を計測します。
- 連携が失敗したら通知されますか?確認担当者と期限を決めます。
- 同じデータを二重処理しませんか?処理済みIDを記録します。
- 停止時に手動処理へ切り替えられますか?緊急用のCSVや作業表を用意します。
- アクセス権限は必要最小限ですか?閲覧・更新・削除権限を確認します。
やってみよう|手作業コスト計算機&連携方法診断チェッカー
1件あたりの処理時間から月間の作業時間を自動計算し、自動化を検討すべき目安を確認できます。さらに、反映速度・処理件数・例外判断の頻度から、API・CSV・手作業のどれが向いているかをすぐに診断できます。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。
① 手作業コスト計算機(TCO簡易版)
② 連携方法診断チェッカー
これは仕組みを理解するための簡易ツールです。実際の選定は、費用、開発体制、連携先の対応状況、失敗時の影響を踏まえて確認してください。
アウトプットワーク|自社の連携方法を決めよう
対象となる業務を一つ選んでください。分からない項目は推測で決めず、「未確認」と記録してください。
① 連携する情報を整理する
| データ | 更新元・連携先・更新頻度 |
|---|---|
| 商品情報 | |
| 在庫 | |
| 注文 | |
| 追跡番号 |
② 連携方法とエラー対応を決める
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 選ぶ方法(API/CSV/手作業)と理由 | |
| エラー通知先・初回確認担当 | |
| 停止時の代替方法(手動/CSV) | |
| 復旧後に照合する基準時刻 |
記入できたら完了にする
理解度チェッククイズ
第1問 APIの説明として最も近いものはどれでしょうか?
第2問 APIを使えば、必ずリアルタイム連携になるでしょうか?
第3問 Webhookの役割として最も近いものはどれでしょうか?
第4問 CSV連携が向いている作業はどれでしょうか?
第5問 CSVを出力したあとに注文が入った場合、何に注意しますか?
第6問 手作業が必ず不適切とは限らない理由はどれでしょうか?
第7問 同じ注文通知を2回受け取った場合、確認したいものはどれでしょうか?
第8問 APIの権限設定で大切な考え方はどれでしょうか?
第9問 通常注文は自動処理し、住所不備だけ人が確認する設計は可能でしょうか?
第10問|実務判断問題 商品在庫を1時間ごとにAPIで同期しています。在庫が残り1個の商品を、自社ECとモールで販売しています。この連携は「APIだから安全」といえるでしょうか?
回答例を見る
APIを使っていても、同期は1時間ごとです。自社ECで最後の1個が売れてからモールへ在庫0が反映されるまで、最大約1時間の差が発生します。その間にモールでも注文されると、売り越す可能性があります。対応例:注文発生時にWebhookや即時処理を使う/同期間隔を短くする/残り1個になったら販売先を一つへ絞る/連携用安全在庫を1個設定する/一点物は複数サイトへ同時掲載しない/在庫0以下でも販売できる設定を確認する。重要なのはAPIを使っているかではなく、実際に何分で反映されるかです。
第11問|実務判断問題 商品情報を毎月1回、約500商品分更新します。在庫と注文は別システムで管理し、商品情報は頻繁に変わりません。API、CSV、手作業のどれが候補になりますか?
回答例を見る
商品情報が毎月1回の更新で、約500商品をまとめて変更するなら、CSVが有力な候補です。理由:一度に多数の商品を更新できる/APIによる即時更新が必須ではない/1件ずつの手入力より負担が少ない/取込前にスプレッドシートで内容を確認できる。ただし、CSVの指定形式、商品を識別するSKU、上書きされる項目、更新前のバックアップ、取込エラーを確認します。在庫と注文は頻繁に動くため、商品情報のCSV連携とは別の方法で管理します。
よくある質問
同じではありません。APIは情報を取得・登録・更新するための窓口です。Webhookは、特定の出来事が起きたことを相手へ知らせる仕組みです。WebhookをきっかけにAPIを動かす設計もあります。
不要にはなりません。通信、認証、データ不備、重複処理、業務ルールなどのエラーが残ります。正常処理の自動化と、例外確認を分けます。
CSVは表形式のデータを文字として保存したファイルです。ExcelやGoogleスプレッドシートで開けますが、セルの色、数式、複数シートなどが保持されない場合があります。
可能ですが、列名、商品コード、数値形式、文字コードなどを変えると取込に失敗する場合があります。元データを保存し、少数件でテストしてから本番へ取り込みます。
一律の件数はありません。1件当たりの作業時間、締切、確認人数、休日対応、ミスの影響によって異なります。実際の作業時間とエラー件数を計測して判断します。
できます。変化が少なく一括更新したい情報はCSV、頻繁に変化する在庫や注文はAPIという使い分けがあります。
サービス間の連携アプリが用意されていれば、独自開発なしで利用できる場合があります。独自の業務や未対応サービスをつなぐ場合は、設定や開発が必要になることがあります。
影響する販売先・注文・SKUを確認し、必要に応じて販売を停止します。手動またはCSVで暫定処理し、復旧後は最後の正常処理以降を照合します。
通知の再送や再実行によって起こる可能性があります。注文番号、通知ID、処理IDなどを確認し、処理済みデータを二重登録しない仕組みが必要です。
多くの人が閲覧できる表へ直接記載するのは避けます。秘密情報を安全に保管し、閲覧権限を限定してください。
今回のまとめ
API、CSV、手作業には、それぞれ異なる役割があります。今回覚えておきたいポイントは、次の5つです。
- APIは、システム同士が決められた方法で情報を送受信する仕組み
- Webhookは、注文作成などの出来事を相手へ通知する仕組み
- CSVは、多数の商品や在庫をまとめて更新する作業に向いている
- 手作業は、少数件や例外判断の多い業務で利用できる
- 更新速度だけでなく、ミス・費用・権限・復旧方法を含めて選ぶ
APIだから必ず速く正確になるわけではなく、CSVだから必ず古くなるわけでもなく、手作業だから必ず廃止すべきでもありません。重要なのは、頻繁に繰り返す通常処理はAPI・Webhook、大量のデータをまとめて変更するときはCSV、個別の判断が必要な例外は担当者による確認、というように仕事を分けることです。
「連携方法を選ぶ前に、“何を、何分以内に、何件処理するか”を整理しよう!」
DAY21の実践課題
自社で行っている、または今後行うEC業務を一つ選び、連携方法を決めてください。現在の処理方法、1日の処理件数、1件の処理時間を記録し、「何分以内の反映が必要か」「正式な更新元はどこか」「通常処理と例外処理をどう分けるか」「連携停止時はどう切り替えるか」を書き出します。分からない項目は推測で決めず、「未確認」と記録してください。


