海外へ送れない商品とは?危険物・航空輸送禁止品・国別禁制品の確認方法を解説 DAY63

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【DAY63】海外へ送れない商品

危険物・航空輸送禁止品・国別輸入禁止品など、「販売できても配送できない商品」がある理由と確認方法

「売れる」のに「送れない」!?海外発送に潜む4つの関門|越境EC担当者が知るべき隠れた法的・実務的リスクと正しい判定プロセス(DAY63)
※本記事は2026年8月11日時点の公式情報を確認して作成しています。危険物規則、配送会社の引受条件、各国の輸入規制は変更されるため、実際の発送前には必ず最新情報を再確認してください。
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🔊 音声で聞く「香水や電池が海外へ送れない理由」

DAY62では、海外住所・電話番号・配送ラベルを整理しました。正しい住所を正しい配送ラベルへ反映する方法を学びました。では、住所も、電話番号も、Invoiceも、HSコードも、すべて正しければ海外へ発送できるのでしょうか?答えは、いいえです。

「決済完了」は「国境を越えられる」ことを意味しない。ECシステム上で商品登録や決済が成功しても物理的に輸送できるとは限らず、両者は全く別の判断基準で動いている

ECサイトでは普通に販売できる商品でも、国際配送では受け付けてもらえないことがあります。日本郵便が現在、国際郵便で「全世界共通で送れないもの」の代表例として挙げているものには、スプレー缶、香水、花火・クラッカー、一定のアルコール濃度を超える日焼け止め・ヘアトニック・酒類、マニキュア、電子タバコ、モバイルバッテリーなどがあります。「香水って商品として普通に売っているよね?」と思うかもしれません。その通りです。商品として販売できることと、航空機や国際郵便で輸送できることは、別の判断です。

さらに、配送会社Aは受付不可でも、配送会社Bは危険物契約があれば受付可能というケースもあります。FedExは危険物を9つのクラスに分類し、塗料や香水、リチウム電池を搭載した商品など、日常の商品にも危険物規則が関係すると案内しています。UPSでも危険物を発送するには契約や適用規則・UPS独自条件への適合が必要とされ、DHL Expressも危険物は事前登録・承認など一定条件のもとで取り扱うとしています。つまり「危険物」と「絶対に送れない」も、完全に同じ意味ではありません。

「“お店で売ってる商品だから送れるよね?”は危ないよ!販売できるか、輸出できるか、運送会社が受けるか、相手国が輸入できるかは別々なんだ!」

DAY62は「どこへ届ける?」、DAY63は「そもそも、その荷物を運んでいい?」です。個別業法の詳細(食品・化粧品・医薬品・酒類はDAY64、動植物・木材・文化財はDAY65)ではなく、DAY63では「送れる・送れないを判定する仕組み」そのものに集中します。

この記事で分かること

  • Prohibited・Restrictedの違い
  • Dangerous Goods(危険物)9クラス
  • IATA・ICAOとは
  • リチウム電池の状態別ルール
  • SDS・UN番号の見方
  • 日本郵便・DHL・FedEx・UPSの違い
  • 日本からの輸出禁止・輸出管理
  • 国別禁制品の確認方法
  • Gift・Sample表記の落とし穴
  • 商品マスタのDGフラグ設計
  • 発送可否判定フロー
  • 公式情報の確認先一覧

この学習シリーズでは、危険物の専門家になることではなく、「送れるかもしれない」を放置せず、正しい確認先へたどり着ける状態を目指します。

先に結論|海外発送は「4つの関門」を通す

荷物が国境を越えるための4つの関門:①日本輸出規制②国際輸送規則(Dangerous Goods)③配送会社ルール(Carrier Rules)④輸入国規制(Destination Rules)。すべてクリアして初めて配送ラベル作成へ

関門1

日本の輸出規制

日本から、輸出してよい商品か。

関門2

国際輸送規則

航空・船などの輸送規則上、運べる商品か。

関門3

配送会社ルール

利用する配送会社が受け付ける商品か。

関門4

輸入国規制

相手国が輸入を認める商品か。

商品→日本の輸出規制→国際輸送規則→Carrier規則→輸入国規則、という順番です。どれか一つでも×なら、その方法では送れません。「販売できる」と「海外へ送れる」は別、「ECサイトに出品できた」も配送会社の危険物判定とは別、「輸出できる」と「配送できる」も別、「Carrierが受ける」と「輸入できる」もまた別です。UPSも、国ごとに異なる配送規制があるため、国別の制限・サービス条件を事前確認するよう案内しています。

Prohibited(禁止)は、そのサービスでは原則として受け付けないという意味です。例えばUPSは花火、現金、危険廃棄物、象牙、マリファナ等を禁止品の例として掲載しています。Restricted(制限品)は完全禁止ではなく、事前承認・契約・許可・数量・梱包・配送先等の条件を満たせば扱える場合があります。DHL ExpressもDangerous/Hazardous Goodsなどを、事前合意なしでは受け付けないRestricted Itemsとして整理しています。つまり危険物=Prohibitedではありません。専門Carrier・危険物契約・専用梱包・正しいラベル・正しい申告で輸送可能という場合があります。

私たちの日常は「Dangerous Goods(危険物)」で溢れている

爆発物だけが危険物ではない。香水・マニキュア(アルコール/引火性液体)、日焼け止め・化粧品(アルコール濃度)、モバイルバッテリー(リチウムイオン)、スプレー缶(圧縮ガス)など一般向け消費者商品も輸送中には航空機に危害を与える危険物として厳しく規制される

危険物というと、爆弾や劇薬を想像しがちです。しかし実際には、スマートフォン、ノートPC、香水、マニキュア、スプレー、一部洗剤、電池など、一般消費者向け商品にも含まれます。日本郵便ではモバイルバッテリーを国際郵便として送れない代表例として掲載しています。「小さいから大丈夫」ではありません。

スマートフォンにもリチウムイオン電池が入っていますが、モバイルバッテリー単体と、機器に取り付けられた電池では扱いが同じではありません。日本郵便では、一定条件を満たす「機器に取り付けられたリチウム電池」について、一部の国・地域宛に限り国際郵便で差し出せる例外を設けています。電池は単体・機器と一緒に梱包・機器に内蔵で規則が違う場合があり、IATAのBattery Shipping Regulationsも電池の種類・容量・梱包形態等によって分類・包装・表示等の条件を分けています。

関門①|日本からの輸出規制

飛行機に乗る前に。日本からの輸出自体がNGな商品:知財侵害品(偽ブランド品等)は日本の法律で輸出自体が禁止、関税法違反物品(麻薬や児童ポルノ等)は厳重にブロック、安全保障貿易管理(ドローンや先端部品は該非判定の対象)

Carrier以前に、日本の法律で輸出できないものがあります。日本税関は、関税法上の輸出禁止品として、麻薬等、児童ポルノ、知的財産権侵害物品、一定の不正競争を組成する物品を挙げています。例えば偽物ブランド商品は、Carrierが物理的に運べるとしても、知的財産権侵害物品なら日本からの輸出自体が禁止対象になります。

また「輸出禁止」と「輸出許可必要」も違います。完全禁止だけでなく、一定貨物について経済産業大臣等の許可・承認が必要になる場合があります。経済産業省は安全保障貿易管理という輸出管理制度を設けており、先端機器・特定部品・材料・技術等では対象になる可能性があります。経済産業省は、リスト規制対象かどうかを確認する該非判定を輸出者が責任を持って行う制度を案内しています。多くの日用品では大きく意識しないケースもありますが、ドローン・電子部品・通信関連・高性能機器・材料等では、販売前に輸出管理確認が必要になる場合があります。該非判定を経済産業省が代わりに行うわけではなく、輸出者が責任をもって行うと明記されています。

関門②|国際輸送規則(IATA危険物9クラス)

IATA(国際航空運送協会)が定める危険物9クラス:Class1爆発物、Class2ガス、Class3引火性液体、Class4可燃性固体、Class5酸化性物質、Class6毒物等、Class7放射性物質、Class8腐食性物質、Class9その他。2026年版DGR 67th Edition適用中、規則は毎年更新

危険物は、輸送中に人・航空機・船舶・施設・財産・環境などへ危害を与える可能性がある物品・物質です。ICAOは航空危険物についてTechnical Instructionsで詳細な安全輸送要件を定めており、2025-2026版は2025年1月1日から2026年12月31日まで有効です。IATA(International Air Transport Association、国際航空運送協会)は、航空会社等が実務で使用するDangerous Goods Regulations(DGR)を発行しています。2026年8月11日時点で有効なのはIATA DGR 67th Edition(有効期間2026年1月1日〜12月31日)です。2026年版ではバッテリー関連の変更が主要更新事項として挙げられています。危険物ルールは一度覚えれば終わりではありません。

Class 1:爆発物

花火、クラッカー、弾薬

Class 2:ガス

ガスボンベ、一部スプレー、消火器

Class 3:引火性液体

香水、一部塗料、マニキュア

Class 4:可燃性固体等

マッチ、ライター、炭

Class 5:酸化性物質

漂白剤、過酸化剤

Class 6:毒物・感染性物質

農薬、感染性物質

Class 7:放射性物質

ウラン、ラジウム、セシウム等

Class 8:腐食性物質

水銀、液体バッテリー

Class 9:その他の危険物

リチウム電池が代表例

⚠ 致命的な誤解に注意:日本郵便では、IATA危険物規則の対象となる航空危険物は、国際郵便では航空便だけでなく船便扱いでも原則送れないと明記されています。「飛行機がダメなら国際郵便の船便で」は通用しません。これは一般の海上危険物輸送(専門的な国際規則・輸送条件による別の仕組み)とは別の話です。

リチウム電池は「状態」でルールが変わる

同じリチウム電池でも状態でルールが変わる。状態A単体:日本郵便では完全にNGで国際郵便で送れない代表例。状態B機器と同梱:IATA2026年バッテリー規則等の厳格な要件(充電率30%以下など)が適用。状態C機器内蔵:日本郵便でも一定条件を満たせば一部の国へ発送可能な例外が存在

「小さいから大丈夫」ではなく、電池は状態によってルールが変わります。単体(日本郵便では完全にNG、国際郵便で送れない代表例)、機器と同梱(IATA 2026年版Battery Shipping Regulationsの厳格な要件が適用され、機器と一緒に梱包される一定のリチウムイオンセル・電池について、原則として定格容量の30%以下のState of Chargeなど新たな要件が盛り込まれています)、機器内蔵(日本郵便でも一定条件を満たせば一部の国・地域へ発送可能な例外が存在)の3パターンです。

「去年送れたバッテリーだから今年も送れる」は危険です。IATA規則は毎年更新されており、2026年版DGRは第67版で2026年1月1日から適用されています。確認する項目は、Battery Type(種類)、Wh(容量)、Lithium Content、Configuration(単体/機器と同梱/機器内蔵)、Quantity(数量)です。商品マスタには確認日を残します。

危険物か分からない商品はSDSで確認する

安全の証明書。商品名Cleaning Liquidだけでは成分が不明。Safety Data Sheet(SDS)のSection14 Transport Informationに記載されるUN Number・Proper Shipping Name・Class・Packing Groupを確認する

商品名だけで判断できない場合があります。例えば「Cleaning Liquid」だけでは成分が分かりません。そこで使う資料の一つがSDS(Safety Data Sheet、安全データシート)です。厚生労働省は、化学物質や混合物について物理化学的性質、危険性・有害性、取扱方法等を記載する文書と説明しています。SDSの「輸送上の注意」欄には、UN番号(国際輸送で危険物を識別するための番号)、Proper Shipping Name、Class、Packing Group、航空・海上規則等が記載されることがあります。

⚠ SDSがあれば自動判定できるわけではありません。最終的な輸送可否は、商品の状態・数量・梱包・輸送モード・Carrier条件・国別規則まで確認します。厚生労働省掲載のSDS例でも、輸送危険物の該否は製品状態等によって異なり、個々の貨物について関係規則に沿って判断する必要があるとされています。自社がメーカーでない場合は、仕入先・メーカーへSDS、UN番号、電池仕様、アルコール濃度、危険物該当性等を確認します。「見た目では危険そうじゃない」で判断しません。

関門③|配送会社(Carrier)ごとの受入スタンス

Carrierごとの受入スタンスの違い。Prohibited(絶対禁止)はそのサービスでは原則受け付けない。Restricted(条件付き許容)は事前承認・契約・専用梱包等で運べる余地あり。配送会社スタンス比較表(香水の場合):日本郵便は不可、DHLは事前承認が必要、FedExは専用梱包・ラベルが必要、UPSは危険物契約が必要
配送会社香水の場合のスタンス(例)
日本郵便× 国際郵便では送れない代表例
DHL⚠ 事前承認が必要(Restricted扱い)
FedEx⚠ 専用梱包・ラベルが必要
UPS⚠ 危険物契約が必要

「Carrier Aで送れないから世界中送れない」わけでも、「Carrier Bで送れるからEMSでも送れる」わけでもありません。日本郵便では、航空危険物・麻薬類・生きた動物・わいせつ物品・一定の貴重品等について制限があり、硬貨・紙幣・金・銀・宝石等の貴重品もEMSでは送れません。DHL Expressは現金、地金、一定の生きた動物、違法薬物、偽造品、銃器・弾薬・爆発物等をProhibited Commoditiesとして挙げ、香水・エアゾール・可燃性物質・ドライアイス・生物学的物質等は事前合意なしでは受け付けないRestricted Itemsとしています。FedExも危険物9クラスを案内し、分類・適切な梱包・ラベル・Air Waybill・必要に応じたShipper's Declaration等を求めています。UPSでDangerous Goodsを発送するには原則として契約し、適用規則とUPS独自条件を満たす必要があり、International Dangerous Goodsサービスは承認された国・地域間に限定されます。つまり判定はOrigin × Destination × Service × Productで行う必要があります。

「船便なら安全」という致命的な誤解

致命的な誤解「飛行機がダメなら郵便の船便で」は通用しない。日本郵便ではIATA危険物は国際郵便の船便扱いでも原則送れない。一般の海上危険物輸送専門船は全く別の国際規則と契約で動いている

航空危険物のため国際郵便が使えないと分かったとき、「じゃあ国際小包の船便で」とはできません。日本郵便は、IATA危険物規則の対象品について、国際郵便では輸送手段にかかわらず受け付けないとしています。これは「危険物は世界中の船で一切運べない」という意味ではなく、一般の海上貨物には別の国際規則・輸送条件があります。国際郵便の船便と、専門的な危険物海上輸送を同じものとして扱わないようにしましょう。

関門④|相手国(輸入国)の輸入規制

相手国(Destination)の輸入規制と条件。日本側で輸出OK、キャリアも受入OKであっても、相手国が輸入を禁止していれば税関で止まる。2026年4月の規制変更によりベネズエラ向けドローン・部品が輸入禁止・返送対象に追加された例

日本側は輸出OK、IATAもOK、Carrierも受付OKでも、相手国の税関がNGなら輸入できません。日本郵便の国際郵便条件表では、各国から通知された禁止物品・条件付許容物品等を確認できます。同じ商品でも国によって扱いが違う場合があり、日本郵便も「全世界共通で送れないもの」と「あて先国によって送れないもの」を分けて確認するよう案内しています。

⚠ 国別条件は本当に更新されます。2026年だけでも日本郵便は国際郵便条件表を複数回変更しており、直近では2026年7月24日に条件表の変更が実施されています。2026年4月1日の変更では、ベネズエラ向けについてドローン・ドローン部品が禁止物品として追加されました。「この商品は前に送れた」は証拠になりません。また、商品が禁制品でなくても、その国へのEMS・航空便・船便自体が現在停止している場合があるため、商品判定とサービス稼働状況は別に確認します。

ただし郵便条件表だけで全法律を断定しないことも重要です。商品によっては、輸入国の税関・食品当局・医薬品当局・農業当局・環境当局など、別機関の規制確認が必要になります(DAY64・DAY65で詳しく扱います)。「アメリカに配送可能」は、すべての商品が配送可能という意味ではなく、SKUごとに送付可否を分けて管理します。

よくある致命的な実務ミス(Myth-Busting)

内容品検査(X線等)で発覚した場合、発送遅延・返送・アカウント停止・甚大な罰金リスクに直結する。NG1品名の偽装(GiftやMiscellaneous Goodsと誤魔化して申告)、NG2過去の実績への依存(去年送れたから今年もという判断)、NG3担当者の勘(成分や仕様を確認せずSDSやUN番号の取得を怠る)

NG1:品名の偽装

品名を「Gift」や「Miscellaneous Goods(雑貨)」と誤魔化して申告する。発送目的を変えても、商品の物理的・化学的性質は変わりません。

NG2:過去の実績への依存

「去年送れたから今年も送れるだろう」と過去の実績だけで判断する。IATA規則や国別条件表は毎年・毎月のように更新されています。

NG3:担当者の勘

「なんとなく危険じゃなさそう」という担当者の勘に依存する。成分や仕様を確認せず、SDSやUN番号の取得を怠るのは危険です。

日本郵便は、引受後にX線検査等で内容品を検査し、国際郵便で送れないものが含まれていれば、外国へ発送する前に返送等する場合があると案内しています。「窓口を通ったからOK」とも限りません。隠して送ると、発送遅延、返送、通関保留、Carrier契約上の問題、法令違反などにつながる可能性があります。DHLも、規制違反が差止め・遅延・罰金その他の法的問題につながり得ると注意しています。商品名ではなく「商品仕様」(Battery Type・Wh・アルコール濃度・容器がガス加圧式かなど)で判定することが重要です。

実際のケースで考えてみよう

ケース①|モバイルバッテリーをアメリカへ販売したい

国内では普通に販売されている商品でも、ここで「海外配送○」とはしません。まず商品カテゴリーを確認するとBattery(電池)なのでDGレビューへ。日本郵便の「国際郵便として送れないもの」を確認すると、モバイルバッテリーは送れない代表例として掲載されており、Japan Post:×です。「じゃあ電池内蔵PCと同じ?」ではなく、モバイルバッテリー単体と機器に装着された電池は扱いが異なります(日本郵便は一定条件の機器内蔵電池に例外あり)。そこでFedEx・DHL・UPS等のLithium Battery / Dangerous Goods規則を確認します。FedExではリチウム電池はDangerous Goodsとして専用の発送ガイドが用意されています。Battery Type・Wh・Configuration・Quantityの仕様を確認し、2026年有効のIATA DGR 67th EditionおよびBattery Shipping Regulationsを踏まえてCarrierへ仕様資料を用意して確認します。発送ルートが確保できるまで、EC側の販売設定はUSA:Shipping Pendingとし、「注文を受けてから配送方法を探す」にはしません。

ケース②|香水

日本郵便では香水は国際郵便不可です。DHLでは香水がDangerous/Hazardous GoodsとしてRestricted扱いになり得るため事前承認・条件確認が必要、FedExでも引火性液体としてDangerous Goodsに該当する可能性があるため危険物条件の確認が必要です。メーカーからSDS・成分・引火点・輸送情報等を確認し、相手国側の化粧品輸入規制も確認します(詳しくはDAY64)。結論は「香水は海外へ絶対送れない」ではなく、「日本郵便:不可、専門Carrier:条件確認、Destination:別途輸入確認」という整理です。

ケース③|普通の木製雑貨

Dangerous Goods:NOでも、木材・植物検疫、希少種、輸入規制が関係する可能性があります(DAY65で詳しく整理)。つまりDG NO ≠ 世界中配送OKです。

やってみよう|発送可否・4関門チェックツール

明日から使える発送可否判定アルゴリズム:1.商品特定・成分確認(液体・ガス・電池等?)→SDS/メーカー資料確認へ、2.SDS/UN番号確認(日本の輸出禁止・規制対象?)→輸出STOP/手続へ、3.IATA規則・Carrierの禁止/制限対象?→Carrier承認手続へ、4.相手国の輸入禁止・条件確認?→Permit/証明書確認へ、5.すべてクリア→商品マスタ更新・配送ラベル作成へ

4つの質問に「はい」「いいえ」で答えると、どの関門に注意が必要かをまとめて確認できます。

Q1. この商品は液体・ガス・電池・化学品など、危険性が疑われますか?

もう一度診断する

商品マスタ設計|「多次元」で管理する

究極のゴール「多次元商品マスタ」によるシステム管理。海外発送可否は商品×国×配送会社×サービス×日付の5次元で管理する。UNKNOWNの排除:分からないをNOにせず不明な場合はREVIEWフラグにして注文を一時保留(Shipping Pending)にする仕組みを構築する

海外発送可否はSKU × Country × Carrier × Service × Dateという多次元で管理します。商品マスタにDangerous Goods項目を作り、DG Status:NO/YES/REVIEW/UNKNOWNとします。一番危険なのは、不明なのにNOへすることです。分からない商品はUNKNOWNまたはREVIEWにし、確認後にYES/NOへ更新します。国別判定(Country Restriction)、Carrier別判定(Carrier Restriction)もそれぞれ別に持ち、Checked Date・Sourceを必ず記録します。IATA DGRは毎年更新され、日本郵便の国際郵便条件表も2026年7月に変更されているため、販売開始時に一度確認するだけでは不足します。

理想は、海外販売開始前にSKU登録→DGチェック→輸出規制→販売国規制→Carrier→販売可能国設定、という順で確認することです。可能なら購入者のCountryからそのSKUを販売不可・配送不可にし、注文後キャンセルを減らします。セット商品や同梱でも、液体量・電池数・総数量等によって条件が変わる可能性があるため、セットSKUでも判定します。倉庫のピッキング画面にDGフラグを表示し、一般発送ラインへ流さない工夫も有効です。「担当者の経験」に依存せず、システム側で最新確認が必要な状態を可視化しましょう。

アウトプットワーク|海外発送可否判定メモ

実際に海外販売したい商品を一つ選び、下の欄を埋めてみてください。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。

🅰 商品特性・DG判定
🅱 4つの関門の確認結果
SKU「」は、「」国向けに、Carrier「」を使用する場合、「」条件を満たせば発送可能。

記入できたら完了にする

理解度チェッククイズ

第1問 日本国内で普通に販売できる商品なら、必ず海外発送できるでしょうか?

A.できない場合がある
B.必ずできる
C.価格だけで決まる
正解はAです。販売できることと海外輸送できることは別です。

第2問 Dangerous GoodsとProhibitedについて正しいものはどれでしょうか?

A.同じ意味とは限らない
B.完全に同じ
C.どちらも関税率のこと
正解はAです。危険物でも条件・契約によって扱える場合があります。

第3問 日本郵便で航空危険物に該当する商品を船便に変更すれば送れるでしょうか?

A.原則送れない
B.必ず送れる
C.商品価格による
正解はAです。日本郵便ではIATA危険物対象品は輸送手段にかかわらず送れません。

第4問 モバイルバッテリーについて、日本郵便の現在の案内として正しいものは?

A.国際郵便で送れない代表例
B.世界中EMSで自由に送れる
C.危険物ではない
正解はAです。「小さいから大丈夫」ではありません。

第5問 リチウム電池について適切なのは?

A.単体・同梱・機器内蔵等によって条件が異なる
B.すべて同じ扱い
C.商品価格だけで決まる
正解はAです。IATA Battery Shipping Regulationsも分類・包装・表示等を分けています。

第6問 SDSとは何でしょうか?

A.化学物質等の危険性・取扱情報等を記載した安全データシート
B.送料表
C.注文番号
正解はAです。厚生労働省が物理化学的性質・危険性・取扱方法等を記載する文書と説明しています。

第7問 Carrier Aで危険物が送れない場合について正しいものは?

A.他Carrierでも条件を確認する
B.世界中絶対発送不能と即断する
C.商品名をGiftへ変更する
正解はAです。Carrierごとに受入スタンスが違う場合があります。

第8問 相手国の禁制品について正しいものは?

A.国別に確認する
B.全世界同じ
C.日本で販売できれば確認不要
正解はAです。日本郵便も国別に禁制品を分けて案内しています。

実務判断問題 商品:香水、販売先:アメリカ。担当者は「日本郵便で送れないので、商品名をCosmetic SampleにしてEMSで発送します」と言いました。何が問題でしょうか?

回答例を見る

問題は、商品名を変えることで危険物規制を回避しようとしていることです。日本郵便では香水自体が国際郵便で送れない危険物の代表例です。Sample・Cosmetic・Giftと発送目的・説明を変えても、香水の可燃性は変わりません。正しい流れは、Japan Post不可を確認→SDS・商品仕様を確認→別CarrierのDangerous Goods対応を確認→Destination規則を確認→条件を満たす配送方法が存在するか確認、です。DHLやFedExでは香水等をDangerous Goodsとして取り扱う場合があるため、危険物対応条件を確認します。

よくある質問

今回のまとめ

まとめ:この商品は送れるか?という単一の質問を捨てよう。どの国へ、どの配送会社で、どの条件なら送れるのかという多次元的な思考へシフトし、最終確認日(Checked Date)の記録を忘れずに。次回DAY64は食品・化粧品・医薬品・酒類を海外へ送るための条件を深掘り

DAY63では、海外へ送れない商品を整理しました。今回覚えておきたいポイントは、次の5つです。

  1. 販売できる商品でも国際配送できない場合がある
  2. 危険物・禁止品・制限品は同じ意味ではない
  3. 日本郵便・DHL・FedEx・UPSで受付条件は異なる
  4. 同じ商品でも配送国によって輸入可否が変わる
  5. 危険物・国別条件は更新されるため発送時に最新情報を確認する

最も重要なのは、「送れる?」を一つの質問にしないことです。日本から出せる?→輸送規則上運べる?→Carrierが受ける?→相手国が入れる?の順で確認します。危険物は見た目では判断しません。香水、マニキュア、スマートフォン、モバイルバッテリー、スプレー、塗料、洗剤など、一般商品にもDangerous Goodsが含まれます。化学品ならSDS、電池ならBattery Type・Wh・Configurationを確認し、IATA・Carrier・Destinationを確認します。

2026年8月現在、IATA Dangerous Goods Regulationsは第67版が適用されており、2026年1月1日から12月31日まで有効です。バッテリーについても2026年版Battery Shipping Regulationsで重要な変更があります。日本郵便についても2026年7月24日に国際郵便条件表が更新されています。「去年調べた」では不足するということです。商品マスタには、Allowed:○だけでなく、Checked Date、Carrier、Service、Country、Sourceを保存し、海外発送可否はSKU × Country × Carrier × Service × Dateで考えます。これがDAY63で最も重要な考え方です。

「“この商品は海外発送OK!”って永久に決めないことが大事だよ。商品・国・配送会社・サービス・確認日、この5つをセットで管理しよう!」

DAY63の実践課題

実際に海外販売したい商品を一つ選び、次を決めてください。

  • 商品仕様(液体・ガス・電池・化学品の有無)とSDS・UN Numberの有無
  • 日本からの輸出禁止・輸出許可対象かどうか
  • Carrier別(日本郵便/クーリエ2社以上)の判定と条件
  • 販売国の輸入禁止・Permit要否

ここまで書ければ、「この商品は送れるらしい」から「どの国へ、どの配送会社で、どの条件なら送れるのか」まで管理できるようになります。

海外発送前チェックリスト

発送前に、次の6項目を確認しましょう。タップでチェックできます。

商品を具体的に特定し、液体・ガス・電池・化学品等の危険性を確認した
SDS・メーカー仕様書・UN番号を確認した
日本からの輸出禁止・輸出許可対象でないか確認した
IATA規則・利用Carrierの禁止品/制限品に該当しないか確認した
相手国の輸入禁止・条件付き品に該当しないか確認した
確認日・参照元を商品マスタへ記録した

確認した項目:0 / 6

獲得バッジ

音声で学んだ
関門クリア
ワーク達成
FAQマスター
クイズクリア

次回 DAY64:食品・化粧品・医薬品・酒類を海外へ送る注意点

DAY63で作った「危険物・Carrier・国別禁制品」の確認方法をもとに、4カテゴリーについて配送できるかだけでなく、相手国で輸入・販売するために何を確認する必要があるのかを整理します。

DAY64へ進む(公開後にリンクします)

文:横田和也/解決ドットコム編集部

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