食品・化粧品・医薬品・酒類を海外へ送る注意点|越境ECの輸入・販売規制を解説 DAY64

🌏 Lv.3 越境ECの仕組みを学習中 XP 640

【DAY64】食品・化粧品・医薬品・酒類を海外へ送る注意点

「配送できるか」だけではなく、相手国で輸入・販売するために何を確認する必要があるのかを整理する

越境ECにおける最大の罠:「送れる」と「売れる」の境界線|食品・化粧品・医薬品・酒類を海外へ適法に展開するためのコンプライアンス設計図(DAY64)
※本記事は2026年8月時点の公的機関の情報を確認して作成しています。食品・化粧品・医薬品・酒類の規制は国・地域・商品・成分・用途・表示によって大きく変わります。実際の販売前には、輸入国の税関・主管当局・輸入者等で最新条件を確認してください。
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🔊 音声で聞く「届くのに売れない越境ECの罠」

DAY63では、海外へ送れない商品(香水、スプレー、リチウム電池など)を学びました。確認したのは、日本から出せる?輸送規則上運べる?配送会社が受ける?相手国が輸入を認める?でした。では、配送会社から「発送できます」と言われれば、食品・化粧品・医薬品・酒類をそのまま海外ECで販売できるのでしょうか?答えは、いいえです。ここがDAY64の重要ポイントです。

「荷物として運べる」ことと「商品として売れる」ことは全く別である。配送会社が発送可能と回答しても、それは輸送規則をクリアしたに過ぎず、相手国で合法的に輸入・販売するためには現地の輸入規制・販売規制という別の壁を越える必要がある

例えば日本のお菓子。Carrierが発送可能だったとしても、輸入国側で食品輸入の手続、製造施設登録、食品表示、アレルゲン表示、輸入者の義務などが必要になる場合があります。米国では、輸入食品について原則としてFDAへのPrior Noticeが必要で、対象となる食品製造・加工等施設にはFDA登録が関係し、さらにFSVP対象輸入者には外国供給者を検証する義務があります。同じことが化粧品・医薬品・酒類にもあります。つまり「荷物として運べる」と「商品として輸入・販売できる」は、別の判定です。

「配送会社が“送れます”と言っても、“その国で売っていい”とは限らないよ!ここから先は商品カテゴリーごとのルールを見るんだ!」

DAY63は「この荷物を、国際輸送できる?」、DAY64は「輸入国で、この商品を合法的に輸入・販売できる?」です。DAY64では食品・化粧品・医薬品・酒類の4カテゴリーに絞ります。次回DAY65では動植物・木材・文化財など、検疫・自然保護・文化財保護など別系統の規制を整理します。

この記事で分かること

  • 配送可能と販売可能の違い
  • 商品分類・Importerとは
  • 施設登録・商品登録
  • Claims(効能表現)の影響
  • 米国食品のPrior Notice・FSVP
  • 米国化粧品のMoCRA
  • EU化粧品のResponsible Person・CPNP
  • 医薬品の商業販売と個人輸入の違い
  • 酒類のTTB Importer Permit・COLA
  • B2C直送とB2B輸入の違い
  • サンプル・ギフトの落とし穴
  • 規制マスタの設計

この学習シリーズでは、各国法令の専門家になることではなく、「海外へ発送できる商品」ではなく「この国で販売できる状態の商品」として管理できる状態を目指します。

「日本製だから大丈夫」というパラダイムを捨てる

Made in Japan(日本の品質)は世界向け販売を保証しない。商品AをUSAへ売るときは現地の法令(Local Law)を確認する。日本のOTC医薬品は海外のOTCとは限らない、日本の化粧品は海外の化粧品とは限らない、世界向けの設定は存在せず国別・商品別に判定する

確認すべきは「日本での状態」ではなく「現地の法規制と分類」です。まず、商品分類はその国では何として扱われるかを確認します。日本では健康食品として販売している商品が、販売国でもFoodになるとは限りません。成分・使用目的・販売表現によって、Dietary SupplementやDrugなど別区分になる可能性があります。日本:化粧品だから、アメリカ:Cosmeticとは限りません。FDAは、米国で化粧品か医薬品かを判断する重要な基準として「intended use(意図された用途)」を挙げ、疾病の治療・予防等をうたう表示・広告によって商品がDrugとして扱われる場合があると説明しています。

確認するものは商品だけではありません。商品名・成分・容量・パッケージ・ラベル・広告文・EC商品説明・使用方法・対象者まで含みます。4カテゴリー共通の最大ポイントは、商品→国を決める→現地分類→現地規制、という流れです。「世界向け食品販売」では広すぎます。「商品AをUSAへ」まで絞ります。

先に結論|4カテゴリーは「6段階」で確認する

越境EC販売可否の6段階確認フロー:1.商品分類→2.輸入者→3.施設・事業者→4.商品→5.表示→6.物流。初心者の視線はいきなり物流へ飛びつくが、プロの視線は商品分類から順に積み上げて最後に物流を確認する

商品分類

その国では何として扱われる?

輸入者

誰が、その商品を輸入する?

施設・事業者

登録・許可が必要?

商品

登録・承認・届出・証明が必要?

表示

成分・アレルゲン・効能・言語は適切?

物流

最後に、Carrierが運べる?

初心者は⑥から考えがちです。しかし本来は①〜⑤を確認したうえで、物流へつなげます。

Step1&2|商品分類の変換と輸入者の確定

Step1分類の変換:健康食品はFoodかDietary SupplementかDrugか、商品名ではなく現地法令の分類を見る。Step2輸入者の確定:誰が輸入者(Importer of Record)になるか、現地に責任主体がいなければB2BでもB2Cでも販売スキームは成立しない

商品名ではなく現地法令の分類を見ます。成分、用途、販売表現によって区分が変動します。次に、誰が輸入者(Importer of Record)になるのかを確定します。現地に責任主体がいなければ、B2BでもB2Cでも販売スキームは成立しません。日本メーカー→Commercial Importer(現地責任主体)→現地消費者、という流れの中で、Importerが誰かを明確にすることが重要です。

Step3&4|「作る場所」と「売るモノ」の二重登録

施設要件(Facility)はFDA Facility Registration等、対象となる製造・加工・保管施設自体の登録制度でメーカーの登録が必要。商品要件(Product)はProduct Listing/CPNP/Marketing Authorisation等、市場に出す商品そのものの事前登録・承認・通知制度で成分やラベルの審査を経て合法的な販売へ

確認は2種類に分かれます。施設要件(Facility)は、対象となる製造・加工・保管施設自体の登録制度で、FDA Facility Registration等が例です。メーカー側の登録が必要になります。商品要件(Product)は、市場に出す商品そのものの事前登録・承認・通知制度で、Product Listing、CPNP、Marketing Authorisation等が例です。成分やラベルの審査を経て、合法的な販売へ進みます。「施設は登録したが商品は未登録」という抜け漏れに注意します。

Step5|表示と「Claims(効能表現)」が引き起こす分類変化

The Claims Spectrum:「肌を美しく見せる」はCosmetics(安全領域)、「湿疹を治療する」はDrugs(高リスク/違法)。パッケージやECサイトの広告文(Claims)が製品の用途(Intended Use)を決定し、AI翻訳で不用意に治療・予防すると訳された瞬間、化粧品が医薬品(Drug)扱いとなり違法状態に陥るリスクがある

パッケージやECサイトの広告文(Claims)が、製品の用途(Intended Use)を決定します。例えばクリームAで、表現が「肌を美しく見せる」ならCosmetic側、「湿疹を治療する」など疾病治療を目的とする表現ならDrug規制が関係する可能性があります。米国FDAも、ラベル・広告・Webサイト等のClaimsが製品のIntended Useを示し、化粧品として売られていてもDrug扱いになる場合があるとしています。

⚠ AI翻訳でも法令責任は消えません。AIは翻訳はできますが、Legal Classificationを保証するものではありません。海外販売用商品ページが自動翻訳される場合、日本語の表現が現地で問題のあるDrug Claim等へ翻訳されないか、翻訳後の効能・警告・成分・単位を確認します。不用意に「治療・予防する」と訳された瞬間、化粧品が医薬品扱いとなり違法状態に陥るリスクがあります。

4大カテゴリー コンプライアンス・マトリクス

Category Regulatory Matrix:食品(FDA Facility Registration・FSVP Importer・HACCP、栄養成分表示・アレルゲン表示、特有のハードルはFDA Prior Notice)、化粧品(MoCRA Facility Registration・EU Responsible Person・GMP、MoCRA Product Listing・CPNP Notification、特有のハードルはMoCRA対応とEU Responsible Personの確保)、医薬品(医薬品製造業許可・GMP/GDP・Importer License、Marketing Authorisation・添付文書、特有のハードルはMarketing Authorisation取得の難易度とCommercial vs Personal Importの混同危険)、酒類(酒類製造免許・酒類販売業許可・TTB Importer Basic Permit、COLA・アルコール度数表示、特有のハードルはTTB Importer PermitとCOLAプロセスと州別規制)
カテゴリー施設・事業者商品・表示特有のハードル
食品FDA Facility Registration、FSVP Importer、HACCP等栄養成分表示、アレルゲン表示、添加物規制Prior Notice、FSVP、アレルゲン混入リスク
化粧品MoCRA Facility Registration、EU Responsible Person、GMPMoCRA Product Listing、CPNP Notification、全成分表示MoCRA規制対応、EU Responsible Personの確保
医薬品医薬品製造業許可、GMP/GDP、Importer LicenseMarketing Authorisation、添付文書、表示規制承認取得の難易度、Commercial/Personal Importの混同
酒類酒類製造・販売免許、TTB Importer Basic PermitCOLA、アルコール度数表示、健康警告表示TTB Importer Permit、COLAプロセス、州別規制

食品|「加工食品なら簡単」の罠

クッキーでも小麦・卵(アレルゲン確認)、保存料(添加物規制)、バター(動物由来成分/検疫)が関係する。USA輸入場面ではFDA Prior Notice(事前通知)→Cargo Arrival→FSVP(輸入者の安全検証義務)という流れ。保存温度の罠:食品規制がクリアできても物流で指定温度(Chilled/Frozen)を維持できなければ販売不可

食品では少なくとも、食品分類、原材料、添加物、アレルゲン、製造施設、保存方法、賞味期限、ラベル、輸入者、必要証明書を確認します。農林水産省は、輸出先国・地域別、品目別に輸出条件・証明書・施設認定等の情報を提供しており、「日本食品輸出ルール」という一枚の表だけでは世界中へ対応できません。お菓子、お茶、牛肉、水産物、乳製品、卵製品では確認内容が違い、動物由来食品・水産食品・植物等には追加の衛生・検疫条件が関係することがあります。

クッキーでも、小麦・卵・ナッツ等を使用していればアレルゲン・動物由来成分・添加物などの確認が必要です。米国へ食品を輸入する場合、原則としてFDAへのPrior Notice(事前通知)が関係し、対象となる外国食品施設にはFDA Food Facility Registrationが関係します。米国のFSVPでは、対象輸入者が外国供給者が米国の食品安全基準に適合するようリスクに基づく検証を行う仕組みがあり、日本側メーカーだけでは完結しません。保存温度の罠にも注意します。食品規制がクリアできても、物流で指定温度(Chilled/Frozen)を維持できなければ販売不可です。

化粧品|日米欧で異なるアプローチ

日本で売っているものをそのまま輸出しない。成分規制(禁止・制限・着色料)は国ごとに異なる。US(MoCRA規制)はFDAによる規制強化・対象施設のFacility Registration・製品情報のProduct Listing。EU(CPNP体制)は域内責任者の指定(Responsible Person)必須・製品情報の事前通知(CPNP Notification)・日本語ラベル+英語シールだけでは不可

化粧品では、商品分類、成分、用途、効能表現、製造施設、現地責任者、商品登録・Notification、安全性情報、ラベル、危険物を確認します。米国ではMoCRA(Modernization of Cosmetics Regulation Act)による化粧品規制の強化が進んでおり、対象となる化粧品製造・加工施設のRegistrationと、Responsible Personによる市場化製品のProduct Listingが制度として案内されています(小規模事業者等の例外あり)。

EUでは、EU域内にResponsible Personが指定されている化粧品だけが市場投入でき、商品はCPNP(Cosmetic Products Notification Portal)を通じてNotificationされます。「日本語ラベル+英語シール」だけでよいかは国によります。必要表示項目・言語・文字サイズ・貼付方法等を確認し、単なる翻訳問題として扱わないことが重要です。USA:MoCRAのRegistration・Listing等、EU:EU Responsible Person+CPNP等と、Country単位で登録状況を持ちます。なお香水はさらに、引火性等による危険物輸送規則(DAY63の領域)も確認する必要があります。

医薬品・酒類|ライセンスと承認の壁

医薬品(Drugs)は人命に関わるため最厳格領域。Commercial SaleはApproved、Personal ImportはRestricted。日本のOTC=海外のOTCではなく個人輸入と商業販売の混同は極めて危険でMarketing Authorisation等が必要。酒類(Alcohol)は食品規制+アルコール特有規制(免許・税・年齢制限・ラベル承認)が追加で乗り、米国ではTTB Importer PermitやCOLAが必須

医薬品は4カテゴリーの中でも、人の健康・生命へ直接影響するため特に慎重に扱います。日本でOTCとして販売されていても、輸入国で同じ商品が販売承認されているとは限りません。FDAは米国へ輸入されるHuman Drugsについて、Registration、Listing、Drug Application、Labeling、cGMP等への適合を輸入時に確認するとしており、処方箋不要のOTC医薬品であってもFD&C Actや21 CFRの適用要件へ従う必要があるとしています。個人輸入と商業販売を混同しないことが極めて重要です。一部の国には本人が自己使用する医薬品の個人輸入制度・運用がありますが、EC事業者が継続的に広告し注文を受け商品を販売する場合、単純に「購入者の個人輸入です」で規制判断を終えないようにします。EUでは、Medicinal Productを市場に出すためMarketing Authorisationが重要で、EMAの中央審査制度では承認が得られるとEU市場全体に有効となる仕組みがあります。

酒類は「食品+アルコール」です。食品規制に加えて、免許、輸入許可、税、ラベル、年齢制限、流通規制などが関係します。ワインがCarrier○でも、現地に酒類を商業輸入できる事業者がいなければ販売スキームが成立しない可能性があります。米国では、酒類を商業輸入する事業者にTTBのImporter's Basic Permitが関係し、多くのWine・Distilled Spirits・Malt Beveragesについて、輸入者が商品・ラベルごとにTTBのCOLA(Certificate of Label Approval)を取得する仕組みがあります。TTBは、輸入事業者がFDAの食品施設登録等も確認する必要がある場合を案内しており、Federal Ruleだけでなく州レベルの酒類規制も関係します。国税庁では、日本産酒類の輸出促進に関連して、輸出先国から要求される各種輸出証明書の発行手続を案内しています。

流通アーキテクチャ|B2C直送とB2B輸入

B2C Direct(High Burden):Japan EC→Overseas Consumer、個人向け直送だから輸入規制は免除されるという誤解に注意。B2B Import(Strategic Delegation):Japan Maker→Overseas Importer(Licence/Reg)→Local B2C→Overseas Consumer、現地のImporterに商品登録や通関(Importer of Record)を担ってもらう設計、事前契約必須

BtoCだから必ずしも簡単というわけではありません。1個ずつ消費者へ直送しても、食品・医薬品等の輸入規制が消えるとは限りません。「個人向け直送だから輸入規制は免除される」というのは誤解です。一方BtoBでは、日本メーカー→海外輸入会社→現地小売店という流れで、海外輸入会社が商品登録・輸入手続等を担当する設計ができます(事前契約必須)。日本メーカーは商品情報・SDS・成分・証明資料、海外Importerは輸入許可・現地商品登録・現地税・通関、Distributorは販売、というように、契約前に誰が何を担当するか決めます。メーカーへ全部任せず、海外Importerへも全部任せず、情報をつなぐことが重要です。

よくある失敗とエッジケース

無償サンプル・ギフトの罠:No Chargeだからといって商品規制が消えるわけではない。プラットフォームの罠:Amazonに出品登録できた=合法ではなくマーケットプレイスの審査と行政上の法的要件は別物。一度通関したの罠:過去に一度通関したから永続的にOKではなく成分・パッケージ・規制ルールの変更があれば再確認(REVIEW)が必須
⚠ ①無償サンプル・ギフトの罠:「No Charge(無料)」だからといって商品規制(Prior Notice等)が消えるわけではありません。サンプル専用の免除ルールを正しく確認します(例えば米国TTBには展示会・注文勧誘用の一定の酒類サンプルについてCOLA Waiverを申請できる仕組みがあります)。②プラットフォームの罠:「Amazonに出品登録できた=合法」ではありません。マーケットプレイスの審査と、行政上の法的要件は全く別物です。③「一度通関した」の罠:過去に一度通関したから永続的にOKではありません。成分、パッケージ、規制ルールの変更があれば再確認(REVIEW)が必須です。

「日本製だから輸入できる」も「Carrierが受け付けたから合法」も、「通関できたから販売許可済み」も誤りです。輸入通関と、市場販売のための商品登録・表示等は別制度になることがあります。商品仕様変更(原材料変更、配合変更、規格変更、ラベル変更)があれば、そのたびに販売国規制を再確認します。

実践|コンプライアンス・商品マスタの構築

Regulatory Master Data:SKU・国(Country)・現地分類(Category)・輸入責任者(Importer)・登録(Registration)・ラベル(Label Version)・Statusを一覧で管理。商品変更(成分・ラベル変更)が発生した際はステータスを即座にREVIEWに戻すこと

「発送できる商品」から「販売できる商品」へ、管理を昇華させます。SKU、Country、現地分類(Category)、輸入責任者(Importer)、登録状況(Registration)、ラベルバージョン(Label Version)、Status(APPROVED/REVIEW/BLOCKED/UNKNOWN)を一覧で管理します。商品変更(成分・ラベル変更)が発生した際は、ステータスを即座にREVIEWへ戻すことが重要です。「商品マスタだけ更新」にせず、規制マスタと連携させます。

実際のケースで考えてみよう

ケース①|日本のお菓子を米国へ販売

まず食品分類(Food)として確認し、原材料(小麦・砂糖・卵・乳成分・ナッツ等)を整理します。製造施設が米国向け食品輸出で必要となるFDA Facility Registration等の対象か確認し、FSVPの対象となる場合は誰がFSVP Importerになるか確認します。Shipmentごとに必要となるPrior Noticeを確認し、Ingredients・Allergens・Nutrition等について米国表示要件を確認します。最後に食品として利用Carrierで発送可能か確認します。「お菓子なのでEMSに入れて送る」ではなく、食品規制+通関+物流を通して販売します。

ケース②|日本製美容クリームをEUへ

まずEU Classificationとして化粧品扱いできるか確認し、治療表現等のClaimsがないか確認します。EU域内にResponsible Personを設定する必要性を確認し(EUではResponsible Personが指定されているCosmetic Productだけを市場投入できる仕組みです)、CPNPでの商品Notificationを確認します。EU化粧品成分規制、EU向け表示を確認し、液体か・危険物か・温度管理が必要かという物流面も確認します。

ケース③|日本のOTC医薬品を米国ECで売りたい

日本ではドラッグストアで普通に販売されていても、ここでUS Sale:○にはしません。US Drugとして確認し、FDAは輸入DrugについてRegistration、Listing、Drug Application、Labeling、cGMP等への適合を確認します。「購入者が個人だから個人輸入」と自動判断せず、商業販売制度として確認します。規制体制を作れないなら、その商品・国についてEC販売を開始しません。

ケース④|日本酒を米国へ販売

TTB Importer Permitを持つ輸入者等の体制を確認し、対象商品・ラベルについてCOLA要件を確認します。必要なFDA食品関連要件、販売先州等の規制も確認し、輸出先から要求される証明書があれば国税庁の輸出証明制度を確認します。アルコール度数・数量・梱包の危険物条件も確認したうえで、Federal・State・Importer・Label・Transportをすべて確認してから販売開始します。

やってみよう|4カテゴリー確認ポイントツール

商品カテゴリーを選ぶと、そのカテゴリーで最初に確認すべきポイントと、特有のハードルが表示されます。

食品 化粧品 医薬品 酒類

アウトプットワーク|4カテゴリー輸出・販売確認メモ

実際に海外販売したい商品を一つ選び、下の欄を埋めてみてください。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。

🅰 現地分類・Importer
🅱 施設・商品登録・表示
SKU「」を「」国で販売する場合、現地では「」として分類される。Importerは「」。

記入できたら完了にする

理解度チェッククイズ

第1問 配送会社が「発送可能」と回答しました。そのまま海外販売できるでしょうか?

A.輸入・販売規制を別に確認する
B.必ず販売できる
C.HSコードは不要になる
正解はAです。配送可能と販売可能は別の判定です。

第2問 日本で「化粧品」の商品は、海外でも必ず化粧品でしょうか?

A.販売国の分類を確認する
B.必ず同じ扱い
C.商品名だけで決まる
正解はAです。米国ではIntended UseによりCosmeticかDrugかが変わる場合があります。

第3問 米国へ食品を輸入するときに関係する制度として適切なのは?

A.Prior Notice
B.CPNP
C.COLAだけ
正解はAです。米国へ輸入される食品には原則としてPrior Noticeが必要です。

第4問 米国FSVPについて適切なのは?

A.対象輸入者が外国供給者の食品安全等を検証する仕組み
B.日本の宅配便サービス
C.化粧品の通知制度
正解はAです。日本側メーカーだけでは完結しません。

第5問 EU化粧品について重要なのは?

A.EU Responsible PersonとCPNP等
B.日本のJANコードだけ
C.EMSだけ
正解はAです。Responsible Personが指定された化粧品だけが市場投入できます。

第6問 化粧品の商品説明について正しいものは?

A.効能表現によってDrug規制が関係する場合がある
B.広告文は商品分類と無関係
C.日本語なら規制されない
正解はAです。FDAはClaimsがIntended Useを示す要素としています。

第7問 日本のOTC医薬品について正しいものは?

A.販売国の医薬品制度を確認する
B.世界中OTCとして自由販売できる
C.個人向けECなら規制なし
正解はAです。日本のOTCが海外でもOTCとは限りません。

第8問 米国へ酒類を商業輸入するときに関係するものは?

A.TTB Importer Permit等
B.CPNPだけ
C.医薬品承認だけ
正解はAです。TTBは酒類を輸入する事業者に事業開始前のPermitが必要と案内しています。

実務判断問題 日本製クリームを米国へ販売します。日本:化粧品、Carrier:発送可能、商品ページには「皮膚炎を治療します」と書いてあります。何を確認するべきでしょうか?

回答例を見る

まず「皮膚炎を治療します」というClaimを確認します。米国FDAでは、疾病を治療・予防する目的のClaimsは、DrugとしてのIntended Useを示す可能性があります。したがって、日本:Cosmetic、Carrier:○だけでは不足します。確認の流れは、US Classification→Claims→Cosmetic/Drug→適用制度→Facility→Product Registration/Listing/Approval→Label→Import、です。表現を修正してCosmetic領域に留めるか、Drug規制の手続を踏むかを判断する必要があります。

よくある質問

今回のまとめ

販売開始前のファイナル・チェックリスト:どこの国で売るか固定したか、その国の法令で何に分類されるか、誰が輸入責任を負うか、現地事業者のライセンス・施設登録は済んでいるか、商品自体の登録・承認・通知は完了しているか、成分・添加物は現地の基準内で使用可能か、ラベルは適合しているか、販売表現はDrugリスクを回避しているか、全てクリアした上でCarrierで安全に運べるか。次回DAY65は動植物・木材・文化財などの輸出規制へ続く

DAY64では、食品・化粧品・医薬品・酒類を海外へ販売するときの注意点を整理しました。今回覚えておきたいポイントは、次の5つです。

  1. 配送可能=販売可能ではない
  2. 日本の商品分類=海外の商品分類とは限らない
  3. 輸入者・現地責任者を決める
  4. 施設登録・商品登録・承認・証明・表示を確認する
  5. 最後に物流・Carrierを確認する

最も重要なのは「送れる?」から始めないことです。商品A→どの国へ売る?→その国では何の商品?→誰がImporter?→メーカー・工場登録は必要?→商品登録・承認は必要?→成分はOK?→証明書は必要?→ラベルはOK?→税・通関→Carrier、という順で確認します。食品なら米国ではFood Facility Registration・Prior Notice・FSVP等、化粧品なら米国のMoCRA(Facility Registration・Product Listing)やEUのResponsible Person・CPNP等、医薬品なら承認・Registration・Listing・GMP・Label等、酒類ならImporter・Licence・Label Approval・Tax・販売規制(米国ならTTB Importer Permit・COLA)が関係します。

4カテゴリーすべてに共通するのは「商品そのものだけを見ない」ことです。商品+成分+表示+Claims+メーカー+輸入者+販売国をセットで見ます。特に健康食品・化粧品・医薬品では「何を言って売るか」も重要です。米国FDAでは、疾病を診断・治療・軽減・予防する目的のClaimsなどにより、Drug規制が関係する場合があります。つまり翻訳も単なるマーケティング作業ではなく、販売国向け商品情報の一部です。最終的には、SKU × Country × Local Category × Importer × Registration × Label Version × Checked Dateで管理します。これができれば、「海外へ発送できる商品」ではなく「この国で販売できる状態の商品」として管理できるようになります。

「食品・コスメ・薬・お酒は、“箱に入れて送れるか”より前に、“その国で商品として認められるか”を確認するんだ!」

DAY64の実践課題

食品・化粧品・医薬品・酒類から商品を一つ選び、次を決めてください。

  • 販売国での現地分類(Local Category)と主管当局
  • Importer・現地責任者(Responsible Person等)
  • 施設登録・商品登録(Listing/Notification/Marketing Authorisation等)の要否
  • 成分・ラベル・Claimsの現地基準への適合状況

ここまで書ければ、「海外へ送れる?」から「海外で販売できる?」へ、一段進んだ判断ができるようになります。

販売開始前チェックリスト

販売開始前に、次の6項目を確認しましょう。タップでチェックできます。

販売国(Country)を固定した
その国での商品分類(Local Category)を確認した
Importer(輸入者)・現地責任者を確定した
施設登録・商品登録(Listing/Notification/Marketing Authorisation等)の要否を確認した
成分・添加物・ラベル表示・Claimsを現地基準で確認した
必要な証明書(Health Certificate等)とCarrier条件を確認した

確認した項目:0 / 6

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ワーク達成
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クイズクリア

次回 DAY65:動植物・木材・文化財などの輸出規制

食品・化粧品・医薬品・酒類とは別に、動物、植物、木材、野生生物由来商品、文化財などには、検疫・種の保護・文化財保護などの規制があります。「普通の雑貨に見えても、素材や由来によって輸出できない・証明が必要になる」ケースを整理します。

DAY65へ進む(公開後にリンクします)

文:横田和也/解決ドットコム編集部

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