一次産業をECで扱う注意点とは?農業・漁業・畜産・食品加工の特徴をわかりやすく解説 DAY67
【DAY67】生産者・一次産業の特徴
農業、漁業、畜産、食品加工と、天候や旬による生産量の変化を整理する
DAY66までで、Lv.3「越境ECの仕組み」を一通り学びました。ここから、Lv.4へ進みます。Lv.4では、ECサイトや物流だけではなく、「商品を作る側」を見ていきます。最初のテーマは、農業・漁業・畜産・食品加工です。
例えば、EC事業者が農家からトマトを仕入れて販売するとします。EC担当者「毎週100箱売れているから、来週も100箱お願いします」。生産者「来週は、70箱くらいになるかもしれません」。EC担当者「なぜですか?先週100箱あったのに」という会話が起きました。
工場で作る商品なら、材料・設備・人員をそろえ、一定量を計画的に生産できる商品があります。しかし農産物は、天候・気温・日照・雨・病害虫・生育状況などの影響を受けます。実際、農林水産省は野菜・果樹・米などについて、毎年、作付面積・収穫量・出荷量を継続的に調査しています。農産物では「収穫量」と「実際に販売へ回る出荷量」も同じとは限りません。
水産物なら、さらに海水温・魚群・漁場・資源量・天候・操業などが関係します。水産庁も、近年の海洋環境変化により魚種の分布域や漁獲量が変化し、それが漁業だけでなく水産加工・流通にも影響していると整理しています。畜産なら、家畜を育てる時間・飼料・疾病・繁殖・生育などがあります。農林水産省には、飼料価格上昇が畜産経営へ与える影響を緩和するための制度が設けられているほど、飼料は畜産経営の重要な要素です。
さらに、食品加工業でも、加工設備があるから好きなだけ作れるとは限りません。加工するための農産物・水産物・畜産物などの原材料が必要だからです。農林水産省も、食品産業について産地との連携や調達先の多角化などによる「食品原材料の安定調達」を課題として扱っています。つまり、一次産業の商品では、売れた数量から次回仕入数量を単純計算するだけでは、うまくいかないことがあります。
「工場の商品みたいに、“昨日100個あったから明日も100個ある”とは限らないんだ。自然が生産に参加している商品は、在庫の考え方も変わるよ!」
DAY66との違い
DAY66では、分からない問題を誰へ相談するかを整理しました。DAY67からは、実際に商品を供給してくれる生産者側を理解していきます。DAY67は「一次産業には、どんな特徴がある?」、次回DAY68は「食品を継続してEC販売するには、何を整える?」です。DAY67では、まず現場の特徴を理解します。
この記事で分かること
- 工業製品と一次産業商品の根本的な違い
- 農業・漁業・畜産・食品加工それぞれの供給特性
- Forecast Quantity(見込み数量)とCommitted Quantity(確定数量)の分け方
- 規格外品・余剰・不足への商品設計での対応
- 一次産業向けの拡張商品マスタと生産者との情報共有
先に結論|一次産業は「在庫」より先に「供給」を見る
一般的なECでは、現在庫100個・販売20個・残80個と考えます。しかし一次産業では、その前に供給可能量を考えます。例えば、現在庫30箱、今週収穫見込50箱、来週収穫見込40〜70箱、天候リスク高、という状態です。商品在庫だけでなく、生産→収穫・水揚げ→選別→加工→出荷可能量を見ます。
DAY67で覚えてほしい式は、
一次産業とは
一般的には、農業・林業・漁業など、自然資源から直接生産物を得る産業を一次産業と呼びます。DAY67ではECとの関係を理解しやすくするため、農業・漁業・畜産に加え、そこから生まれた原料を扱う食品加工まで一緒に整理します。
計画=確約数量ではない
工業製品では、部品・設備・人員がそろえば一定数量を計画的に作りやすい商品があります。一次産業には、そこに自然条件が入ります。農業なら気象、漁業なら海況、畜産なら生き物の成長です。だから、計画数量と実際数量に差が出る可能性があります。生産者の「来月100箱くらい出せそうです」を、EC側で在庫100として販売してはいけない場合があります。見込みか確定かを確認します。
Forecast QuantityとCommitted Quantity
見込み数量(Forecast Quantity)は予測数量です。確約数量(Committed Quantity)は、実際に販売へ割り当てられることがある程度確定した数量です。この2つを分けます。Forecast:100、Committed:60なら、EC販売可能在庫を100にするとは限りません。
一次産業は「不足」と「余剰」の両方が起きます。不足は売りたいのに商品がない状態、余剰は商品はあるのに売り切れない状態です。EC広告がヒットして注文が3倍になっても、畑の面積・作付け・生育状況は急には変えられません。逆に、予想以上に収穫できたのに注文が少なければ余剰が発生します。
農業の特徴
農業は、作付け→生育→収穫→選別→出荷という流れがあります。種をまいた翌日に売れないため、注文が増えたからといって今日作付け・明日100箱追加とはできません。生育期間があるからです。逆に、予想以上に収穫できたのに注文は少ない、という余剰も発生します。
野菜は気象条件によって、生産量や出荷時期が変動します。農林水産省の資料でも、野菜について「天候等により生産量が大幅に変動しやすい」という特性が指摘されています。高温は生育・品質・収穫時期へ影響し、農林水産省では近年の高温を踏まえ野菜の高温対策を独立した課題として扱っています。低温なら生育が遅れ、出荷時期が後ろへずれることがあります。雨(雨不足・長雨・豪雨)は収量・品質・収穫作業・物流へ、台風は畑だけでなくビニールハウス・道路・物流にも影響します。EC側では「入荷遅延」に見えても、実際は生産段階で遅れていることがあり、ECの管理画面だけ見ても原因は分かりません。
旬とは、収穫量と出荷量の違い
旬は、その商品が多く出回りやすい時期・品質が良くなりやすい時期などですが、品種・産地・栽培方法によって変わります。旬は在庫保証ではなく、今年の天候で前後する可能性があります。商品ページを「9月1日から必ず販売」と日付固定しすぎず、収穫状況によって販売開始日を調整する設計も考えます。
農林水産省の野菜作況調査でも、「収穫量」と、販売用等として実際に出荷された「出荷量」を分けています。これはECでも重要です。収穫100kgでも、選別後80kg、加工用10kg、EC用50kg、直売所20kgなどに分かれます。市場・スーパー・飲食店・加工会社・EC・直売所へ出荷している場合、ECが全量を自由に使えるとは限りません。Total Shipment:100、EC Allocation:20なら、EC在庫は20として考えます。
品質差と規格外
農産物では、大きさ・形・色・重量などに個体差があります。りんごのS・M・Lを完全固定数量で作れるとは限らず、今年はMサイズが多くLサイズが少ない、ということもあります。重量販売なら個体数も変わる可能性があるため、「必ず20個」か「約○個」か、商品仕様を決めます。糖度・硬さ・色・脂・サイズ等の自然なばらつきは、工業製品の「不良」と同じにしません。少し形が曲がった野菜でも食味に問題なければ、規格外として販売できる場合があります。ただし、傷・形・サイズ・色等、何が通常品と違うかを明確にします。豊作時は通常5kg箱に加えて10kgお得箱・規格外セット・加工向けなど、ECが需給調整の一つの出口になる可能性があります。不作時は販売数制限・予約販売・販売期間短縮などを使います。一次産業では、在庫0が正常な場合もあり、通年供給できない商品に365日常時販売を前提とした運用を押し付けないようにします。
漁業の特徴
漁業はさらに予測が難しいことがあります。魚は畑に固定されておらず、海を移動します。漁場(魚が実際に漁獲される場所)は海況によって変化し、海水温の変化によって魚種の分布域等が変化することもあります。水産庁は近年、サンマ・スルメイカ等の分布変化や漁獲減少、ブリ・サワラ等の変化が漁業・加工・流通へ影響しているとしています。「昨年獲れた場所」で今年も獲れるとは限らず、魚群が移動するためです。
漁期(魚種や漁法による主な操業期間)は季節だけでも決まらず、旬が秋でも今年の来遊量が少ない可能性があります。水産庁では魚種ごとに長期漁海況予報などを発表しており、例えば2026年7月に発表されたサンマの予報では、2026年8〜12月の来遊量や魚体等について見通しが示されています。つまり漁業では「旬カレンダー」だけでなく、その年の漁況も見ます。計画100kgに対し水揚げ20kgという不漁も、予想以上に大量に水揚げされる豊漁もあり得ます。
加工による平準化
魚は待ってくれません。大量に獲れたから1か月後に販売、とはできない生鮮品があり、鮮度管理が必要です。そこで、鮮魚→冷凍・干物・缶詰・加工品など、保存性を高める方法があります。漁獲が多い時期に加工して在庫化し、漁獲が少ない時期にも販売する設計が可能になります。ただし、水揚げが大量でも加工場の処理上限があります。水産庁も、魚種や分布の変化が漁業だけでなく水産加工業・流通業に大きな影響を及ぼすとしています。魚A中心から魚Bへ転換が必要になる場合もあり、「この地域では必ず魚A」というブランド設計だけでは環境変化に対応しにくい場合があります。
畜産の特徴
畜産は「生産リードタイム」が長い産業です。牛・豚・鶏など、生き物を育てる時間が必要で、注文が増えたから明日2倍にはできません。飼養頭数・繁殖・成長期間・施設容量があります。飼料は家畜を育てるための重要な投入物で、農林水産省では配合飼料価格の上昇が畜産経営に与える影響を緩和するため、配合飼料価格安定制度を運用しています。畜産物原価は動物だけを見ても分からず、輸入飼料原料を利用する場合は国際的な需給・原料価格・輸送・為替等の影響を受ける可能性があります。だから、長期固定価格が生産者側には大きなリスクになる場合があります。疾病リスクもあり、疾病・防疫等によって一時的に供給へ影響する場合があります。
肉質・重量・脂肪・サイズなどにも個体差があり、部位別在庫という考え方が重要です。牛肉なら一頭から同じ部位だけ大量には取れません。サーロインだけが売れても、他部位は余剰が起きる可能性があります。ECで人気部位だけを売るより、セット・加工品・他部位商品も含め全体を販売する設計があります。人気部位は単品販売、その他はカレー・ハンバーグ・セット・加工原料など、商品開発が在庫調整になります。EC側が売りやすい商品だけ仕入れると、生産者側に売れない部位・規格が残る場合があるため、購入者の欲しい商品・ECの利益・生産者の生産物全体の販売を組み合わせるWin-Winを考えます。
食品加工の特徴
加工業は工場だから、一次産品より生産数量を調整しやすい部分があります。しかし原材料が必要です。いちごが不作なら、いちごジャムの原料不足が起きます。いちご価格が高騰すれば、ジャム原価も上昇します。農林水産省も、食品産業について国産原材料の利用促進、産地連携、調達先の多角化などを通じた安定調達を政策課題としています。
加工は「安定化装置」にもなります。生鮮品は保存期間が短いですが、加工すれば保存期間を延ばせます。トマトが豊作ならトマトソース・ジュースへ、形が悪くても味に問題なければ加工原料にできる場合があります。ただし加工すれば何でも売れるわけではなく、製造・衛生・表示・賞味期限等の管理があります(DAY68で詳しく整理します)。加工量にも限界があり、設備能力1日500kgに対し原料1日2tなら全部加工できません。冷蔵庫・冷凍庫にも上限があり、加工できても保管できなければ在庫化できません。物流にも上限があり、冷凍商品1,000個でも発送作業能力200件/dayなら一日に全部出荷できません。ECの「販売数量」は、生産数量だけでなく加工・保管・発送まで考えて最後に決まります。
一次産業の在庫管理と予約販売
在庫を3種類に分けます。①現物在庫(Available Stock:すでに出荷可能)②確定入荷(Committed Incoming:収穫・水揚げ等がほぼ確定)③見込入荷(Forecast Incoming:まだ変動する可能性あり)です。全部足して販売しません。販売可能数量は、リスクを考えて設定します。入荷確定のタイミング(収穫後・選別後・箱詰め後等)も商品によって違い、米は収穫後大量保管可能、葉物野菜は保存期間短い、鮮魚は鮮度重要、冷凍加工品は在庫可能というように、在庫戦略も商品別(生鮮は低在庫・高速回転、冷凍は一定在庫、乾燥品は長期在庫)に考えます。一つの在庫ルールで全商品を管理しません。
予約販売との相性
一次産業と予約販売は、相性がよい場合があります。例えば「収穫後、順次発送」です。予約=在庫確定ではなく、予約上限を予想収穫量100%にしない方法があります。Forecast:1,000箱、EC予約上限:700箱など、残りを天候リスク・品質差・既存販売先のために残します。何%残すべきかは商品・生産安定度によって違い、固定で30%とは決めません。過去3年の実績(例えば予測1,000に対し実績900、850、1,050)から予測誤差を把握し、悪条件時の最低ケース(850)を基準に予約上限を考えます。「天候・生育状況により、発送時期が前後する場合があります」など実態に合った案内をしつつ、何でも免責文で済ませず、遅延時には購入者へ案内する運用を作ります。「9月10日発送確定」より「9月上旬〜中旬順次発送」のように、予定発送日を幅で持つ設計を検討します。
供給変動への対応と複数産地
供給:少ない、需要:高い、なら市場価格が上がる場合があります。逆に豊作なら供給増・価格下落もあります。EC販売価格を年中固定するブランド戦略もありますが、原価変動を誰が吸収するかを確認します。シーズン・仕入・サイズによって価格を変える変動価格の方法もあります。毎月同じ価格・同じ数量を約束する定期便は特に注意が必要で、供給変動への対応を設計します。商品Aが欠品したら商品Bへ変更可能かという代替商品も、勝手に代替せず、購入者へ商品変更条件を明確にします。
産地Aだけに依存すると、ストーリーは強い一方、天候リスクが集中します。複数産地(A県・B県・C県)で収穫時期をずらす方法もあり、南から北へ収穫時期が移動する商品なら、複数産地で販売期間を伸ばせる場合があります。ただし産地・品種・味・ブランドが変わるため、同じSKUにするか別SKUにするか考えます。「○○県産」として売っている商品を、在庫不足だからと別県産に勝手に変更しません。食品加工原料でも、農林水産省は産地との連携や調達先の多角化を推進しています。
やってみよう|供給可能量シミュレーター
見込み数量から、EC側の推奨割当数量を試算します。数値を入力し、天候・海況リスクを選んでください。
実際のケースで考えてみよう
ケース1|桃農家の商品をEC販売する
商品:桃、生産者:A農園、販売時期:夏、予定:1,000箱。EC担当は「1,000箱販売できる」とはまだ考えません。生産者へ確認すると「天候が通常なら1,000箱程度収穫見込み」との回答(Forecast:1,000)。ただし、EC向け贈答用規格に入るのは全体の70%程度の見込み(700箱)。直売所へ200箱予定のため、EC割当候補は500箱。台風時期でRiskはHIGHのため、初期予約は300箱までに抑えます。
収穫2週間前
予測を900箱へ修正。贈答用600箱−直売所200箱=EC確定候補400箱。100箱を追加販売。
収穫・選別
実際920箱。贈答用610・家庭用200・加工用80・ロス30に分かれる。
商品を分ける
SKU-A贈答用/SKU-B家庭用/SKU-C加工用。外観差があっても味に問題なければ別商品として販売。
余剰・加工
家庭用はECで追加販売。傷あり等の一部はジャム加工へ。収穫物全体をより有効に販売できる。
ケース2|鮮魚EC
魚Aの予定水揚げ100kgに対し、海況悪化で結果20kg。EC注文80kg分を40件キャンセルするのではなく、事前に予約数を確約量以下へ抑える設計を検討します。一方、魚Bが豊漁なら「本日の鮮魚セット」のような、魚種を固定しすぎない商品設計で供給変動へ対応できる場合があります(購入者へ商品内容・変更条件を適切に案内することが前提)。豊漁分は冷凍・加工し、将来の不漁期へ在庫として使います。商品企画そのものが、生産変動への対応になります。
ケース3|畜産EC
ブランド牛のサーロインに注文100件が集中しても、一頭から取れる数量には限界があり、肉牛をサーロインだけにすることはできません。赤身・切り落とし・挽肉等の他部位も発生するため、ステーキ・焼肉セット・切り落とし・ハンバーグ・カレーなど、一頭全体を商品ポートフォリオで販売します。価格は部位需要・飼料・生産コスト等も見ながら設定し、広告が当たっても翌週に供給量2倍にはならないため、広告・販売量も供給側に合わせます。
供給確認チェックリスト
該当する項目をタップしてチェックしてください。
チェック済み:0 / 6
アウトプットワーク|生産・供給確認シート
農産物・水産物・畜産物・加工食品から一つ商品を選んでください。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。
記入できたら完了にする
理解度チェッククイズ
第1問 農産物の収穫予測が100箱です。すぐEC在庫を100にしてよいでしょうか?
第2問 農産物の特徴として適切なのは?
第3問 漁業の特徴として適切なのは?
第4問 畜産について適切なのは?
第5問 食品加工について正しいものは?
第6問 Forecast Quantityとは?
第7問 規格外品について適切なのは?
第8問 一次産業の商品と予約販売について適切なのは?
第9問|実務判断問題 農家から「来月1,000箱くらい収穫できそうです」と言われました。EC担当者は、その日に1,000箱を在庫登録しました。何が問題でしょうか?
回答例を見る
「1,000箱くらい」は見込み数量(Forecast Quantity)であり、確定数量(Committed Quantity)ではありません。実際の収穫量、選別後の規格内数量、既存の直売所等への出荷分を確認したうえで、EC Allocation(EC割当数量)を決める必要があります。
天候・病害虫等でForecastそのものが変動する可能性もあるため、収穫が進むにつれて数量を見直し、確定した分から順にEC在庫へ反映する運用が安全です。農林水産省も農作物について作付面積・収穫量・出荷量を年ごとに調査しており、農産物供給が一定数量の工業製品とは異なることが統計上も確認できます。
よくある質問
天候、気温、日照、雨、病害虫、生育状況等の影響を受けるためです。農林水産省でも作物ごとに毎年の作付面積、収穫量、出荷量等を調査しています。
必ずしも同じではありません。選別、規格、加工利用、自家消費、他販売先等があります。農林水産省の野菜統計でも収穫量と出荷量は別に定義されています。
必ずではありません。旬は販売時期を考える重要な情報ですが、その年の天候・生育状況等によって数量や時期が変化する可能性があります。
資源量に加え、海水温、海流、魚の分布、漁場、天候等の影響があります。水産庁も近年の海洋環境変化が魚種の分布・漁獲や加工・流通へ影響しているとしています。
単純には比較できません。畜産にも飼養期間、繁殖、疾病、飼料、設備能力等の制約があります。特に飼料は経営へ与える影響が大きく、農林水産省も価格安定制度を設けています。
生鮮品より在庫化しやすくなる場合がありますが、原材料調達、加工能力、保管能力等の制約があります。農林水産省も食品産業の原材料安定調達を政策課題として扱っています。
商品として販売できる品質であり、表示・説明等に問題がないことが前提ですが、形・サイズ等の違いを明確にして「家庭用」「訳あり」等として別商品化する方法があります。
単純な収穫予測だけではなく、「ECへ実際に販売できる確定数量」です。そのためForecast Quantity、Committed Quantity、Current Stock、EC Allocationを分けて管理すると整理しやすくなります。
今回のまとめ
DAY67では、農業・漁業・畜産・食品加工の特徴を整理しました。今回覚えてほしいポイントは、次の5つです。
- 一次産業は自然条件によって供給量が変動する
- 旬と在庫確定は同じではない
- 収穫・漁獲量とEC販売可能量を分ける
- 生鮮・加工・規格外を組み合わせて供給を調整する
- ForecastとCommittedを分けて管理する
最も重要なのは、EC側から「何個売りたい?」だけを見ないことです。ECは需要、生産者は供給です。両方をつなぎます。注文予測1,000箱だから生産者へ「1,000箱ください」ではなく、まずForecast Production、Committed、Selection Rate、Existing Channels、EC Allocationを確認します。農業では天候・生育、漁業では海況・資源・魚群、畜産では飼育期間・飼料・疾病、食品加工では原材料・加工能力・保存能力があります。つまり、EC上の在庫数は一番最後に出てくる数字です。
一次産業の商品には、変動するからこその価値もあります。旬、採れたて、水揚げ、産地、季節限定、今年の出来という、工業製品にはない商品価値です。EC側の仕事は、その変動を無理やり消すことだけではなく、変動を理解して予約・限定販売・入荷通知・規格外品・加工商品・セットなど、販売設計として変えることです。自然変動→予測→確定→割当→販売へ変えることが重要です。
「一次産業は“在庫が不安定な商品”じゃなくて、“供給の仕組みが違う商品”なんだ。自然の変化を理解して、EC側の売り方を合わせよう!」

