職人・伝統工芸・メーカーの商品をECで売る注意点|受注生産・納期・個体差・修理を解説 DAY70
【DAY70】職人・伝統工芸・メーカーの特徴
製造時間、材料、生産数量、個体差、受注生産、修理の考え方を整理する
DAY69では、農家・漁業者・食品メーカーなどに、写真撮影・商品説明・在庫更新・受注確認・問い合わせ対応まで、EC運用を全部任せるのではなく、Producer・EC・Logisticsで役割を分けることを学びました。DAY70では、商品の作られ方そのものを見ます。
例えば、ECで木製の器を販売するとします。商品ページ:在庫10個。注文:10個。EC担当者「売り切れたので、来週また10個お願いします」。職人「来週は無理です。乾燥と仕上げまで、3週間くらい必要です」。EC担当者「では、20個まとめて作ってください」。職人「材料の状態と、他の注文もあるので、20個すぐには作れません」。さらに、完成した10個を並べると、木目・色・わずかな形が少しずつ違う。EC担当者「同じSKUなのに、全部同じじゃないんですか?」という問題が起こります。
これは製造ミスとは限りません。職人・工芸品・少量生産メーカーの商品では、製造工程・材料・人の手・乾燥・焼成・染色・仕上げなどによって、一定の個体差が生じる商品があります。もちろん、すべての工芸品が一点物という意味でもありません。同じ規格で繰り返し製造できる商品もあります。だから「手作りだから全部違います」でも「同じSKUだから完全に同じです」でもありません。どこまで同じで、どこから違ってよいのかを決めることが重要です。
経済産業省が指定する「伝統的工芸品」でも、主要な製造工程が手工業的であること、伝統的な技術・技法、伝統的に使用されてきた原材料などが指定要件になっています。また、伝統的な技術・技法については原則100年以上の歴史を有し、今日まで継続していることが要件として説明されています。つまり工芸品では、製造工程そのものが商品の価値である場合があります。
「工芸品は“完成品だけ”を見るんじゃなくて、“どう作るか”まで商品なんだ!だからECの在庫や納期も、作り方から考えよう!」
DAY69との違い
DAY69では「誰が運用する?」を学びました。DAY70では「何をどう作る商品?」を整理します。つまり、DAY69は人の役割、DAY70は商品の製造特性です。そして次回DAY71では、こうした日本の商品を、海外の購入者にも価値が伝わる形へ、どう商品改良し、どうストーリーとして伝えるかを整理します。
この記事で分かること
- MTS・MTO・ONE-OFF・SEMI-CUSTOM・FULL-CUSTOMという5つの生産タイプ
- 作業時間(Work Time)とリードタイム(Lead Time)の違い
- 生産能力(Capacity)から受注可能枠(Available Slots)を計算する方法
- 個体差(Variation)と不良品(Defect)の境界線
- 名入れ・カスタマイズ・修理を商品設計へ組み込む考え方
先に結論|職人・工芸品ECは「完成品在庫」だけでは管理できない
DAY70で覚えてほしいのは、この式です。
普通の在庫管理なら、在庫10・販売3・残7。しかし受注生産なら、完成在庫0でも販売可能かもしれません。一方、材料なし・職人3か月先まで受注済みなら、商品ページがあっても今は販売できない場合があります。つまり、Stockだけでなく、Capacityを見る必要があります。
職人・工芸品・メーカーの違いと生産タイプ
DAY70では職人・伝統工芸・メーカーを扱いますが、全部同じではありません。職人は人の技能への依存度が高い商品、工芸は技法・材料・地域等に特徴を持つ商品、メーカーは設備・人員・工程を組み合わせ製品を生産する事業者、というように作り方が違います。メーカーだから必ず大量生産とは限らず、多品種少量・受注生産・特注品を扱うメーカーもあります。中小企業庁の資料でも、高付加価値な多品種少量生産を強みにする中小製造業の事例が取り上げられています。逆に職人が作る商品でも、規格を決めて繰り返し作ることができるため、職人品=全部一点物ではありません。
5つの生産タイプ
まず、商品ごとに何型の商品なのかを決めます。MTS(Make to Stock:先に作って在庫して販売)、MTO(Make to Order:注文後に製造開始、受注生産)、ONE-OFF(一点物:完成した現物をそのまま販売)、SEMI-CUSTOM(基本形は決まっているが色・名入れ・サイズの一部などを選べる)、FULL-CUSTOM(仕様そのものを購入者と決める)です。この5つでは在庫の意味が違い、MTS:完成品在庫、MTO:受注可能枠、ONE-OFF:現物在庫、SEMI-CUSTOM:材料+生産能力、FULL-CUSTOM:相談受付枠、となります。
製造時間とリードタイム
職人が実際に手を動かす時間は5時間でも、完成までは10日ということがあります。工程間に乾燥・硬化・焼成・冷却・養生・外注工程などが入る商品があるからです。Work Time(実作業時間)とLead Time(注文から完成・出荷可能になるまでの期間)は分けて考えます。例えばWork Time:8時間、Lead Time:21日という商品があります。
ECで重要なのはLead Timeです。購入者が知りたいのは職人が何時間働くかより「いつ届く?」だからです。しかし価格には材料だけでなく職人の作業時間も関係するため、Work Timeも重要です。1日8時間勤務だからといって、他商品の製造・打合せ・仕入・検品・修理・梱包などがあるため、毎日8時間分の商品を1個作れるとは限りません。1日8時間勤務でも製作可能な時間は5時間、という実稼働時間の考え方をします。
次の注文の納期はBacklog(受注残)で変わります。注文0件なら3週間、注文30件なら2か月という可能性があります。商品ページの納期を「必ず14日」と固定しすぎず、通常は3〜4週間・繁忙期は5〜7週間のように、現在の受注状況に応じた納期レンジで更新します。製造完了日・検品日・発送日も分けて管理します。
受注生産と生産能力(Capacity)
1商品につき製作5時間、1週間の製作可能時間25時間なら、理論上は5個です。ただし不良・修理・急ぎ案件・設備トラブル・材料問題などがあるため100%は使わず、Capacity Buffer(余裕)を持たせます。理論5個・販売可能4個、というように設計します。「受注生産だから在庫∞」という設定は危険です。今月10件・来月20件というように、販売上限(受注枠)を持ちます。すでに入っている注文はBacklog(受注残)と呼び、注文0件なら3週間、注文30件なら2か月というように、次の注文の納期はBacklogで変わります。
大量注文・法人注文の扱い
法人から500個、通常は月30個なら、通常ECとは別に判断します。Quantity・Desired Date・Specificationを確認してからCapacity Checkを行うという法人注文用フローを用意し、EC在庫からそのまま500個受注せず、「大量注文はお問い合わせ」という導線も使えます。
材料と個体差
工芸品では材料自体が商品の特徴になります。木、土、漆、金属、繊維、革、ガラスなど。経済産業省の指定要件でも、伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として使用されることが要件の一つになっています。同じ作り方でも材料が変われば、色・質感・重さ・耐久性等が変わることがあります。天然木・革・天然石などは、同じ種類でも状態が完全に同じとは限りません。木材なら木目・節・色・密度、革ならシボ・色・傷跡、陶磁器なら土・釉薬・焼成が仕上がりに影響します。同じSKUでも材料Lotによって微妙に色が変わることがあり、ECでは「同じ色」をどこまで保証するかを決めます。
代表写真は濃い木目、実商品は薄い木目、では購入者が「写真と違う」となる可能性があるため、木目・色調等に個体差がある場合は商品ページへ分かりやすく事前説明します。ただし、割れ・大きな欠け・機能不良などまで「手作りなので個体差です」にはしません。Acceptable Variation(許容基準)を決め、例えば木目は個体差あり・色は一定範囲・直径は±○mm・大きな亀裂は不可、というように、Variation(正常範囲)とDefect(品質基準外)を分けます。職人の感覚だけでなく、EC・出荷側でも最低限判断できる検品基準を作ります。
材料不足と材料変更
材料は無限に調達できません。希少材・特定産地・特定品質などでは調達に時間がかかる場合があります。職人は作れても材料がなければ製造できません。完成品在庫とは別に材料在庫を見て、例えば完成品0・木材20個分・Capacity月10個なら、受注可能候補は10個/月です。次回材料が2か月後なら、先まで受注しすぎないようにします。材料Aが入手困難だから材料Bへ変更、は簡単には決めず、風合い・品質・伝統性・商品説明・原価などへの影響を確認します。経済産業省の案内では、伝統的原材料が枯渇・入手困難となった場合でも、工芸品の持ち味を変えない範囲で同種材料へ転換できる場合があると説明されています。重要なのは、勝手に代替するのではなく、商品の持ち味や要件を維持できるかです。
カスタマイズと名入れ
名入れ(Name:KAZUYAなど)では、購入者:KAZUYA→EC:KAZUYA→Production:KAZYAのような転記ミスが困ります。Customer Input→Order→Production Instructionをそのままつなぎ、手入力を減らします。カスタム項目はColor、Size、Name、Pattern、Materialなどですが、選択肢を増やしすぎず、10×10×10で1,000通りのような複雑さは生産現場の負担になります。ECの自由入力欄で何でも受け付けるのではなく、職人が無理なく作れる選択肢(Standard Custom)を事前に定義します。
受注生産のメリットは、完成品在庫を大量に持たずに済むことで、高単価・少量・カスタムと相性がよい商品があります。デメリットは購入者が待つ必要があることで、「受注生産です」だけでは不足し、製造開始時期・完成予定・発送予定を、決済後ではなく注文前に見せます。カスタム仕様確認がある場合、仕様が確定してから製造開始(Specification Lock)ということがあり、Order→Specification→Confirm→Production→Inspection→Shipという流れになります。製造開始後のColor変更・Size変更・Name変更が可能か不可能かは事前に決め、受注生産・名入れ等では通常在庫商品と同じ運用にできない場合があるため、注文前にキャンセル・変更条件を明確にします。受注生産だから返品不可と一律に決めず、契約条件や適用されるルールを確認したうえで分かりやすく表示します。
価格の考え方
材料費だけで価格を決めると不足します。例えば材料3,000円だから販売価格6,000円、では、職人の製作時間、設備・燃料・外注・加工などの工程コスト、10個作って9個商品化のような歩留まり(失敗分も事業全体ではコスト)、箱・保護・説明書などの梱包、決済・EC手数料・広告などの販売コスト、修理対応コストを販売価値へ含めるならその運用費用が考慮されていません。「手作りだから高い」だけでは伝わらず、なぜこの価格かを、工程・材料・技法・耐久性・修理などから説明します。通常月20個のところ半額セールで注文200個が来ても供給できない可能性があるため、安売りで量を増やしても作れないことを踏まえ、Advertising→Expected Orders→Production Capacity→Campaign Quantityという順で、販促前にCapacity Checkを行います。
修理という商品価値
工芸品の特徴になり得るのが修理です。商品によっては、壊れたら捨てるではなく直して使うという価値を持ちます(すべての工芸品が修理可能という意味ではありません)。販売前にRepairable(YES/NO/CONDITIONAL/UNKNOWN)を確認し、表面仕上げ・部品・柄・金具・研ぎ・塗りなど何を直せるか、大きな破損・材料消失・構造破壊など何を直せないかを商品ごとに整理します。「永久保証」とは安易に言わず、職人・部品・材料・設備が将来も同じとは限らないため、Parts Available Untilなどの部品保有情報や、材料が将来入手できなくなる可能性も考慮します。
修理受付フローは、Customer→EC→写真→Product ID→Craftsperson/Manufacturer→Repairability→Quote→Customer Approval→Repair→Returnです。いきなり商品を送らせず、まず写真・症状・購入時期・商品番号を確認します。Repair ID、SKU・Serial・Lotなどの商品ID、修理前写真(Before Photo)を残し、Repair Cost・Shipping・Estimated Lead Timeの見積りを出し、保証対象か経年劣化か事故かをルールに従って判断します。修理納期もCapacityを見て、新品製造が忙しいから修理は後回し、では購入者が困るため、新品:月20、Repair:月5のようにCapacityを分ける方法があります。本当に修理体制があるなら、商品ページで長く使える理由として伝えられますが、「修理可能」を曖昧に書かず、対象・費用・受付方法・期間をできる範囲で整理します。
海外販売と修理
海外顧客から修理依頼が来ると、商品はJapan→USA→Japan Repair→USAとなる可能性があり、往復送料が高くなることがあります。修理品の再輸出・再輸入など、通常販売とは違う通関確認が必要になる場合があり、これはDAY56で学んだ返品・修理品の通関にもつながります。海外販売前にInternational Repair(YES/NO/CONDITIONAL)を決めておき、将来的に海外パートナーが一部修理を担う方法も考えられます。
職人商品の商品マスタ
職人商品では、SKU・Product Type・Production Type(MTS/MTO/ONE-OFF/SEMI-CUSTOM/FULL-CUSTOM)に加え、Maker(Manufacturer・Craftsperson・Workshop)、Material(Main Material・Origin・Material Lot)、Technique、Production Time(Work Hours・Standard Lead Time)、Capacity(Monthly Capacity・Current Backlog・Available Slots)、Variation(Individual Variation:NONE/LOW/MEDIUM/HIGH、木目・色・形などのVariation Detail)、Tolerance(Dimension・Weight)、Custom(Name・Color・Size:YES/NO)、Repair(Repairable・Repair Contact)、Serial(Serial Required)、Current Status(READY STOCK・IN PRODUCTION・ORDERABLE・FULLY BOOKED・MATERIAL WAITING・SOLD・DISCONTINUED等)を持ちます。「在庫0」より情報量が多く、在庫0でもORDERABLE:YES・Lead Time:4 weeksなら販売でき、在庫0でMATERIAL WAITING・Next Material:3 monthsなら販売停止候補です。
やってみよう|生産能力(Capacity)計算ツール
1個あたりの製作時間、月間の製作可能時間、安全バッファ、現在の受注残を入力すると、今月あと何件受注できるかを計算します。
実際のケースで考えてみよう
Product:Wooden Bowl、Price:18,000円、Craftsperson:Aさんとします。職人へ確認すると、基本形は同じで注文後に製作するMTO。天然木でWood Species確認、木目・色に個体差あり。直径約150mm、Tolerance±3mm(実際の許容差は製作者と決めます)。Work Time約5時間、乾燥・仕上げ等を含みLead Time約3週間。
Capacity計算
この商品へ使える時間は月50時間。理論50÷5=10個。修理・別商品・不具合を考慮し、EC受注上限は月8個に設定。
受注枠の消化
Available Slots:8。3個売れたらSlots:5。8個売れたらFULLY BOOKEDとし、次月枠へ予約開始。
個体差と名入れ
商品写真は代表写真とし「天然木を使用しているため、木目・色調は一点ごとに異なります」と事実に基づいて案内。名入れは追加対応可能。
修理
表面再仕上げは対応可能候補、大破は都度判断。修理依頼はまず写真から。EC商品情報にProduction Type・Lead Time・Monthly Slots・Variation・Repairまで持たせる。
これなら「在庫0の商品」ではなく「現在5件受注できる商品」です。陶磁器メーカーのケースでは、1回の窯100個に他商品(Cup20・Plate30・Bowl40)も同居させる製造計画を組み、歩留まりを考慮してPassed Inspectionの数量だけをEC在庫化します。焼成による色差は許容範囲を定義し、同じ色合いを2個セットで希望するギフト注文には色合わせという追加工程・追加コストが発生します。名入れメーカーのケースでは、商品本体(Wallet:MTS、在庫50)と名入れ加工(MTO、1日10件、+3営業日)を分け、通常商品は即発送・名入れは追加リードタイムというハイブリッド運用にします。同じSKUだけでは管理しにくいため、Option:Engraving、Lead Time:+3 daysのように、商品そのものと追加加工を分けます。
職人・工芸品を扱う前の12の質問
この商品は在庫品ですか(MTS・MTO等)、1個作るのに何時間かかりますか(Work Time)、注文から完成まで何日ですか(Lead Time)、月に何個作れますか(Capacity)、現在の受注残はいくつですか(Backlog)、主要材料は何ですか(Material)、材料は安定して入手できますか(Material Risk)、個体差がありますか(Variation)、どこまでが正常範囲ですか(Tolerance)、カスタムできますか(Custom Options)、修理できますか(Repairability)、商品を特定できる番号を残しますか(Serial・作品番号等)。この12の質問に答えられれば、職人の作品をEC商品に変える準備が整います。
職人商品 販売前チェックリスト
該当する項目をタップしてチェックしてください。
チェック済み:0 / 6
アウトプットワーク|職人・工芸・メーカー商品設計シート
木工品・陶磁器・金属加工品・織物染物・革製品・ガラスなど、実際にEC販売したい商品を一つ想定してください。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。
記入できたら完了にする
理解度チェッククイズ
第1問 職人が作る商品について正しいものは?
第2問 Work TimeとLead Timeについて正しいものは?
第3問 受注生産商品について適切なのは?
第4問 天然材料の商品について適切なのは?
第5問 生産能力を見るとき重要なのは?
第6問 材料が入手できない場合について適切なのは?
第7問 名入れ商品の注意点は?
第8問 修理について適切なのは?
第9問|実務判断問題 職人Aさんの商品は1個5時間かかります。月に製作へ使える時間は50時間です。EC担当者は、受注生産だから在庫数を999個にして、1日で30件注文を受けました。何が問題でしょうか?
回答例を見る
理論上の製造能力を確認します。Work Time:5時間、Monthly Available:50時間なら、単純計算では月10個程度が一つの目安です。さらに修理・他商品・不良・管理作業があれば、実際の販売可能枠はそれ以下になる可能性があります。それにもかかわらず、在庫999として30件を受注すると、納期遅延につながります。
改善は、Monthly Capacity→Current Backlog→Safety Buffer→Available Slotsを計算すること。例えばCapacity:10、Buffer:2なら販売枠は8。8件売れたらFULLY BOOKEDとし、次月受付または納期延長とします。受注生産の商品では、Stockではなく、Capacityを売ります。
よくある質問
いいえ。規格を決めて繰り返し製造する商品、少量生産、受注生産、セミオーダー、一点物などがあります。商品ごとにProduction Typeを設定します。
日常会話では広く「伝統工芸」と呼ばれますが、「伝統的工芸品」は伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づいて経済産業大臣が指定する制度上の名称です。現在の経済産業省案内では244品目が掲載されています(2025年10月27日時点)。
指定要件の「伝統的な技術又は技法」について、経済産業省は原則100年以上の歴史を有し、今日まで継続していることが必要と説明しています。
完成品在庫は少なくできますが、代わりに生産能力、受注残、材料在庫、納期を管理する必要があります。受注生産では「在庫数」より「あと何件受注できるか」が重要になります。
木目・色調等に個体差がある商品なら、その特徴を購入前に明確に説明します。ただし品質基準外の破損や機能不良まで「天然素材だから」で処理しません。
作品ごとにSKU、作品番号、Serialなどを付け、現物写真と対応づける方法があります。売れたらSOLDとして再販売できない状態にします。
商品によります。品質、機能、商品説明、ブランド価値への影響を確認します。伝統的工芸品についても、伝統的原材料が入手困難になった場合に、持ち味を変えない範囲で同種材料へ転換できる場合があると経済産業省は説明しています。
Production Type、製造Lead Time、月間Capacity、主要材料、材料調達期間、個体差、許容差、Customization、Repairabilityの9項目を確認すると、販売方法をかなり整理できます。
今回のまとめ
DAY70では、職人・伝統工芸・メーカーの商品特性を整理しました。今回覚えてほしいポイントは、次の5つです。
- 作業時間と製造納期は違う
- 受注生産では在庫より生産能力を見る
- 材料は商品価値と生産能力の両方に影響する
- 個体差と不良品を分ける
- 修理まで商品設計として考える
最も重要なのは、職人の商品を、一般的な量産品の在庫管理へ無理に押し込まないことです。完成品在庫0だからSOLD OUTとは限りません。Production Type:MTO、Monthly Capacity:10、Current Backlog:6、Buffer:1なら、Available Slots:3です。つまり「在庫3個」ではなく「今月あと3件受注できる」という商品です。逆に、EC在庫0・職人は空いている・でもMaterialなし・次回入荷2か月後なら、MATERIAL WAITINGです。
また、同じSKUでも天然素材・手作業・焼成・染色などによって個体差が生じる商品があります。そこで「手作りだから違って当然」ではなく、どこが違う?どこまで違ってよい?どこから不良?を決めます。Variation(正常な個性)とDefect(品質基準外)を分けます。そして工芸品では「作って売って終わり」ではない商品もあります。修理・再仕上げ・部品交換・メンテナンスなどで長く使える商品があり、修理可能か、どこまでか、いくらか、何日か、誰が、海外でもか、まで設計します。つまり職人・工芸品ECでは、完成品だけを見るのではなく、Material→Technique→Craftsperson→Production→Variation→Quality→Customer→Repairという、商品の一生を見ることが重要です。そして、この「作り方」そのものが、次のDAY71で扱う海外へ価値を伝えるための材料になります。
「職人の商品は、“在庫が何個?”だけじゃ分からないよ。“誰が・何で・何日かけて・何個作れて・どう直せるか”まで分かると、本当の商品設計が見えてくるんだ!」

