ECで販売する商品によって変わる法律|食品・化粧品・酒類・中古品の確認方法 DAY40

【DAY40】販売する商品によって変わる法律
食品・化粧品・健康食品・酒類・中古品・未成年者向け商品の確認事項
DAY39では、ECの商品ページや広告で使用する商品画像、説明文、動画、BGM、ブランド名、ロゴについて、著作権や商標権を確認しました。DAY40では、画像や説明文ではなく、販売する商品そのものに関係する法律を整理します。
同じECサイトでも、販売する商品によって必要な確認は大きく変わります。雑貨を仕入れて販売する場合と、手作りクッキーを製造して販売する場合は同じではありません。海外から化粧品を仕入れて販売する場合と、国内メーカーの完成品をそのまま小売する場合も異なります。
- 食品→衛生・営業許可・食品表示
- 化粧品→製造販売・輸入・成分・広告
- 健康食品→食品表示・健康表示・機能性表示
- 酒類→販売業免許・年齢確認
- 中古品→古物商許可・本人確認・取引記録
- 子供向け商品→対象年齢・警告表示・製品安全
ECサイトを作る技術があっても、商品を販売できる状態になっているとは限りません。
「“ネットで売れる商品”と、“法律上そのまま売ってよい商品”は同じじゃないよ。商品を登録する前に、許可・表示・安全を確認しよう!」
DAY39との違い
DAY39は、画像・文章・動画・ロゴを利用する権利があるかを確認しました。DAY40は、その商品を販売できるか、どの許可・表示・管理が必要かを確認します。つまり、DAY39=販売素材の権利、DAY40=販売商品の規制です。メーカーから正式な商品画像を受け取っていても、販売免許や表示が不足していれば、そのまま販売を開始することはできません。
この記事で分かること
- 商品によって適用法令が変わる理由、商品名だけでは判断できない理由
- 仕入販売・製造・小分け・輸入の違い、商品別の主な確認先
- 食品の営業許可・食品表示・アレルギー表示・賞味期限と消費期限、2026年のアレルゲン表示変更
- 化粧品の仕入販売と輸入・OEMの違い、広告で表現できる範囲
- 健康食品と医薬品の違い、機能性表示食品・トクホの基本、誇大広告の注意
- 酒類通信販売に必要な免許、18歳成人と20歳飲酒の違い
- 中古品販売と古物商許可、子供向け商品の対象年齢とPSCマーク
- 複数の商品をセット販売する際の確認、商品別法令確認表の作り方
先に結論|商品を6つの関門で確認する
商品を販売する前に、次の6項目を確認します。
- 商品分類
- 仕入れ・製造・輸入方法
- 許可・免許・届出
- 商品本体・容器の表示
- EC上の広告・販売表示
- 販売後の事故・回収対応
特に重要なのは、商品名だけで判断しないことです。例えば「石けん」と呼ばれる商品でも、化粧品・医薬部外品・雑貨・洗濯用や台所用の石けんのどれに当たるかで、適用される法律や表示が変わる可能性があります。同様に「健康に良いお茶」でも、通常の食品として売るのか、機能性表示食品として売るのか、医薬品のような効果を表示するのかによって確認事項が変わります。
まず「何をする事業者か」を整理する
同じ商品でも、事業者がどこまで行うかで必要な手続が変わります。
- 完成品を仕入れて、そのまま販売する(メーカー→完成品→販売者→購入者)
- 商品を自分で製造する(原材料→自社で製造・包装→販売)
- 大袋から小分けする(仕入商品→開封・小分け・再包装→販売)
- 海外から輸入する(海外メーカー→自社が輸入→国内販売)
- OEM・自社ブランドで販売する(委託工場が製造→自社ブランドが企画・販売→購入者)
「自分では作っていない」場合でも、輸入者や自社ブランドの販売責任者になることがあります。最初に次を一文で説明できるようにします。
商品別の主な確認先
| 商品 | 主な確認先 |
|---|---|
| 食品 | 保健所・消費者庁 |
| 化粧品 | 都道府県の薬務主管課・厚生労働省 |
| 健康食品 | 保健所・消費者庁・薬務主管課 |
| 酒類 | 販売場を管轄する税務署 |
| 中古品 | 営業所を管轄する警察署 |
| 子供向け製品 | 経済産業省・消費者庁・所管機関 |
複数の法律が関係する場合は、一つの窓口だけで完結しないことがあります。
食品をECで販売する場合
食品では、主に食品衛生(営業許可・営業届出・HACCPに沿った衛生管理)と食品表示(アレルギー表示・保存温度・賞味期限や消費期限・回収対応)を確認します。食品衛生法では、食品の製造・加工内容に応じて営業許可が必要な業種が定められ、許可業種以外の食品等事業者を把握するため営業届出制度も設けられています。何を製造・加工するかによって手続が異なるため、営業施設を管轄する保健所への事前確認が必要です。
完成した食品を仕入れて販売する場合
メーカーが製造・包装した食品を、開封や加工をせずに販売する場合でも、販売者は表示が現在の商品と一致しているか、賞味期限・消費期限、保存温度、販売可能期間、アレルゲン、リコール情報、配送方法を確認します。「メーカーが作った商品だから、販売者は何も見なくてよい」というわけではありません。特に冷蔵・冷凍品では、倉庫保管や配送中に必要な温度を維持できるか確認します。
自分で食品を製造する場合
焼き菓子、惣菜、漬物、飲料、食肉・魚介類の加工などが該当します。商品や工程により営業許可・届出の区分、施設基準、食品衛生責任者、衛生管理方法などが変わります。原則として多くの食品等事業者にはHACCPに沿った衛生管理が求められ、衛生管理計画の作成、手順の整備、実施記録、定期的な見直しなどを行います。一方、常温で長期間保存しても衛生上の危害が生じにくい包装食品の販売のみなど、一部の営業には例外があります。販売開始後ではなく、商品を決める→製造工程を整理→保健所へ相談→施設・手続を整える→試作・期限設定→販売開始、の順で確認します。
小分け・詰め替えも確認が必要
業務用1kgを自社で100gずつ小分けしてラベルを貼って販売するような場合、単なる転売ではなく、食品を開封・小分け・包装する工程が加わります。必要な営業許可・届出、作業場所、衛生管理、表示責任が変わる可能性があるため、商品と作業工程を保健所へ伝えて確認します。自宅の台所で作れるかどうかも、自己判断しないようにします。
食品表示とアレルギー表示
容器包装された加工食品では、食品表示基準に基づき、名称、原材料名、添加物、内容量、賞味期限・消費期限、保存方法、食品関連事業者、製造所、栄養成分、アレルゲン、原料原産地・原産国などの表示が必要です。食品表示法では、加工食品、生鮮食品、添加物ごとに表示基準が設けられています。ECの商品ページに原材料を載せても、商品本体の容器包装表示が不要になるわけではありません。
容器包装された加工食品については、特定原材料を含む場合、その旨を表示する義務があります。2026年4月1日には、カシューナッツが特定原材料へ追加されました。販売中の商品、ラベルデータ、ECの商品説明、仕入先資料が最新基準へ対応しているか確認が必要です。商品ラベルにはカシューナッツ記載があるのに、EC商品ページが古い原材料情報のままという状態は避けます。製造所や原材料が変更された場合は、旧商品と新商品の表示が混在しないよう管理します。
賞味期限・消費期限・回収対応
賞味期限は、定められた方法で保存した場合に品質が十分保たれる期限です。消費期限は、定められた方法で保存した場合に安全に食べられる期限です。期限は、単に競合商品を参考にして決めるのではなく、商品の特性、原材料、製造方法、包装、保存条件、試験等を踏まえて設定します。販売者側では、仕入時の残存期限、出荷可能期限、販売停止日、返品品の扱い、期限切迫商品の表示を決めます。
アレルゲンの表示漏れや消費期限の誤表示など、安全性に重要な影響を及ぼす表示違反を理由に自主回収を行う場合、食品表示法に基づく届出が必要になることがあります。食品衛生法・食品表示法に基づく自主回収情報は、食品衛生申請等システムで届出・公表されます。販売時には、商品名、製造者、ロット、賞味期限、仕入日、販売期間、購入者、出荷数を追跡できるようにします。
化粧品をECで販売する場合
化粧品では、商品が化粧品として適法に流通しているか、国内の製造販売業者は誰か、輸入者は誰か、成分・法定表示、販売名、効能効果の広告範囲、自社で小分け・包装・表示を行うかを確認します。医薬品医療機器等法では、化粧品を業として製造販売するには化粧品製造販売業許可が必要です。化粧品を海外から業として輸入し、国内で販売する場合にも、製造販売業の許可や品目に応じた届出等が関係します。
国内の完成品を仕入れる場合
国内の正規の製造販売業者が市場へ出した完成品を、開封・加工せずに仕入れて販売する場合と、海外から直接輸入、自社ブランドとして発売、中身を小分け、別容器へ詰め替え、ラベルを貼り替える、セットを再包装するといった行為は分けます。仕入販売だけのつもりでも、実際の作業内容によって製造・製造販売等に関係する可能性があります。販売前に、製品表示から製造販売業者、販売名、内容量、成分、使用方法、使用上の注意、ロット等を確認します。
海外化粧品を直接仕入れる場合
海外サイトや海外メーカーから化粧品を購入し、日本国内の購入者へ継続的に販売する場合、「海外で販売されている=日本国内でもそのまま販売できる」とは限りません。業として化粧品を輸入・販売する場合には、製造販売業許可、品目の届出、国内での包装・表示・保管を行う製造業許可などが関係します。具体的な手続は事務所・製造所を管轄する都道府県の薬務主管課へ確認します。個人輸入の考え方を、事業としての販売へそのまま当てはめないようにします。
自社ブランド・OEM化粧品
工場に製造を委託し、自社ブランドで販売する場合、製造販売業者は誰か、製造所はどこか、品質・安全管理の責任者、商品不良・健康被害の受付、ロット追跡、回収判断を契約で確認します。「工場が全部やってくれる」と考えず、自社がどの法的・実務的立場になるかを明確にします。
化粧品の広告表現
化粧品については、名称、製造方法、効能・効果・性能に関する虚偽・誇大広告が禁止されています。広告規制はメーカーだけでなく、EC販売者、アフィリエイター、広告制作会社など、広告する者に関係します。「シミが消える」「傷を治す」「必ず若返る」「細胞を再生する」「永久に効果が続く」「医師が効果を保証」といった表現には注意が必要です。化粧品で表現できる効能効果の範囲を超えていないか、製造販売業者から提供された広告資料や行政の広告基準を確認します。「購入者の口コミだから」「AIが作った文章だから」という理由で、広告規制の確認が不要になるわけではありません。
健康食品と医薬品的な誤解
一般に「健康食品」と呼ばれる商品でも、法律上、すべてを一つの種類として扱うわけではありません。基本的には食品として扱われ、そのうち一定の制度に基づき機能を表示できるものとして、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品があります。機能性表示食品は、事業者が安全性・機能性の科学的根拠等を販売前に消費者庁長官へ届け出、事業者の責任で機能性を表示する制度です。トクホとは異なり、国が商品ごとに審査して許可する制度ではありません。
健康食品を医薬品のように売らない
健康食品の商品ページで「病気を治す」「糖尿病を改善する」「がんを予防する」「薬の代わりになる」「飲めば血圧が正常になる」といった表現を使うと、食品の広告範囲を超える可能性があります。食品について健康保持増進効果等を著しく事実に相違して表示したり、著しく人を誤認させたりする広告は、健康増進法上禁止されています。健康食品には、景品表示法や医薬品医療機器等法との関係もあります。商品名だけでなく、商品ページ、記事、購入者の声、SNS投稿、動画、メルマガ、検索広告、画像内の文字を含めた全体を確認します。
「健康食品だから安全」とは限らない
健康食品には、医薬品とは異なる制度が適用されます。そのため、自然由来だから安全、食品だから副作用がない、多く飲むほどよい、薬と一緒に飲んでも問題ないとは判断できません。販売者は、メーカーから原材料、一日摂取目安量、摂取上の注意、アレルギー情報、医薬品との相互作用情報、健康被害時の連絡先、ロット情報を取得します。2026年4月からは、食品衛生申請等システムで、機能性表示食品等に係る健康被害情報の提供も行えるようになっています。
「年齢制限」で確認すること|酒類と未成年者契約
酒類を業として販売するには、販売場ごとに所轄税務署長から酒類販売業免許を受ける必要があります。2都道府県以上の広い地域を対象に、インターネット等で注文を受けて酒類を販売する場合は、通信販売酒類小売業免許が関係します。ECサイトを作った、決済を導入した、配送会社と契約しただけでは、酒類を販売できません。
通信販売酒類小売業免許では、販売できる国産酒類に製造数量等の条件があり、輸入酒類も対象となります。免許条件により販売可能な酒類の範囲が定められるため、「免許を取得した=すべての酒類を全国へ販売できる」とは限りません。販売予定の商品一覧を作り、各商品が免許条件に含まれるかを税務署へ確認します。
18歳成人でも飲酒は20歳から
2022年4月から民法上の成年年齢は18歳になりました。しかし、酒類の購入・飲酒について確認すべき年齢は20歳です。酒類の通信販売では、購入申込者が20歳未満ではないことを確認できる手段を講じることが免許条件として求められます。「18歳以上ですか?」ではなく、「20歳以上ですか?」を確認します。
酒類の通信販売では、広告・カタログ、申込画面、納品書等に、20歳未満の飲酒禁止や20歳未満には販売しない旨を表示する基準があります。申込画面には年齢記載欄を設け、その近くへ注意表示を行うことも求められています。商品ページ、ショップトップ、カート、購入者情報入力、最終確認画面、注文確認メール、納品書、配送包装まで確認箇所は多岐にわたります。チェックボックスを置くだけでなく、自社の販売方法として適切な年齢確認手段になっているか税務署へ確認します。
フリマサイトやオークションであっても、継続的に酒類を出品・販売する場合は、酒類販売業免許が必要になります。一方、個人が自分で飲むために購入した酒類のうち、不要となったものを単発で出品するような場合は、通常、継続的な酒類販売に当たらないと案内されています。事業として仕入れて反復販売する場合と、家庭の不用品処分を混同しないようにします。
未成年者との契約・年齢確認の整理
2022年4月1日から、民法上の成年年齢は18歳です。18歳・19歳は、原則として保護者の同意を得ずに契約できる一方、未成年者取消権は認められません。18歳未満の未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った契約は、一定の例外を除き、取り消される可能性があります。EC事業者は、購入可能年齢、保護者同意が必要な条件、高額商品の確認、定期購入、年齢制限商品を商品・契約内容に応じて整理します。単に利用規約へ「未成年者は保護者の同意を得たものとみなします。」と書くだけで、すべての取消しを防げるとは限りません。
すべての商品に同じ年齢確認を設けるのではなく、商品ごとに整理します。酒類→20歳以上を確認、一般的な商品→購入契約上の成年・未成年を確認、年齢制限のある商品→個別法・自治体条例・モール規約を確認、子供向け製品→購入者ではなく使用者の対象年齢を確認します。「18歳成人」と「20歳未満への酒類販売禁止」を混同しないことが重要です。
「中古品」と「子供向け商品」を販売する場合
中古品と古物商許可
中古品を仕入れて販売する事業では、古物営業法に基づく古物商許可が関係します。中古衣類、中古家電、中古カメラ、中古書籍、中古ゲーム、中古ブランド品、中古工具、中古スマートフォンなどが代表例です。許可の要否は、商品の状態だけでなく、誰から取得するか、買い取るのか委託を受けるのか、反復継続して事業として行うかを踏まえて判断します。営業所を管轄する警察署へ、予定する仕入れ・販売方法を説明して確認します。
自宅で使用していた物を一時的に売る場合と、中古品を仕入れて利益を加えて継続的に販売する事業は性質が異なります。販売目的で中古品を購入、多数の商品を継続出品、買取サービスを運営、購入者から商品を預かって販売するような場合は、事業としての古物販売を疑って確認します。フリマアプリを使うか、自社ECを使うかだけで、許可の要否が決まるわけではありません。
古物商が古物を買い受ける場合、取引相手の住所、氏名、職業、年齢等を確認する義務があります。インターネットを利用した非対面買取では、単に運転免許証のコピーを送ってもらうだけでは、法令上の本人確認として不十分です。買取申込フォームで身分証画像をアップロードするだけで完了とせず、古物営業法で認められた非対面確認方法を採用します。
インターネットで古物取引を行う古物商は、ウェブサイト上に許可を受けた公安委員会名、許可証番号、氏名または名称を表示する必要があります。フリマアプリやオークションサイトを利用する場合も、古物商であることを表示せず取引することはできません。ショップ名だけでなく、許可名義と一致する氏名・法人名を表示します。
中古品は、同じ型番でも状態が一つずつ異なります。使用状況、傷・汚れ、付属品、修理歴、動作確認、バッテリー状態、欠品、保証、製造番号、実物写真といった表示項目が必要です。メーカー画像だけを掲載し「中古品です」とだけ書くと、購入者は実際の傷や付属品を確認できません。古物営業法上の義務とは別に、特商法や景品表示法の観点からも、商品の実際の状態と表示を一致させます。
子供が使う商品の安全とPSCマーク
子供向け商品では、購入者である保護者だけでなく、実際に使用する子供の年齢・発達を考えます。対象年齢、小部品の誤飲、ひも・コードによる事故、可動部分への挟み込み、電池の誤飲、転倒・転落、耐荷重、使用上の警告、保護者の監督を確認します。対象年齢を広告だけに書くのではなく、製品本体・包装・説明書に必要な表示があるか確認します。
2025年12月25日から、子供向け製品の新しい安全制度として「子供PSCマーク」が始まりました。2026年8月時点では、主として3歳未満向けの乳幼児用玩具と乳幼児用ベッドが対象とされ、技術基準への適合に加えて、対象年齢や使用上の注意に関する警告表示が求められています。対象商品を製造・輸入・販売する場合は、子供PSCマーク、対象年齢、警告表示、技術基準、経過措置、仕入商品の適合確認を確認します。海外から輸入した玩具について、「海外で安全基準を満たしている=日本でそのまま販売できる」とは限りません。
同じような製品でも、大人向けの装飾品と子供が遊ぶ玩具では、想定される使用方法が異なります。商品名、説明、画像、対象年齢、広告の見せ方から、実際には子供向け製品として販売していると判断される可能性があります。「3歳児へのプレゼントに」「赤ちゃんが夢中になる」と表示しながら「玩具ではありません」と小さく書くだけでは、商品の実態と表示が一致しているか再確認が必要です。
セット商品・海外仕入れ・許可名義の一致
セット商品は一つずつ確認する
食品+化粧品+酒類+雑貨を一つの箱へまとめても、法律上すべてが「ギフトセット」という一種類の商品になるわけではありません。商品ごとに確認します。
| 商品 | 確認事項 |
|---|---|
| 食品 | 表示・期限・アレルゲン |
| 化粧品 | 製造販売業者・成分・広告 |
| 酒類 | 免許・20歳以上確認 |
| 雑貨 | 製品安全・材質表示等 |
| 中古品 | 古物商許可・状態表示 |
セットを自社で開封・再包装することで、追加の表示や作業上の確認が生じる場合もあります。
モールで販売しても法律は変わらない
ECモールには、出品審査や禁止商品ルールがあります。しかし、「モールへ登録できた=法律上の販売許可がある」とは限りません。許可・免許、商品表示、広告表現、年齢確認、仕入先、輸入手続、リコール対応は販売者側で確認します。モールの規約と法律の両方を確認します。また、モールの禁止商品は、法律上販売可能な商品より厳しく設定される場合があります。
商品を海外から仕入れる場合
輸入商品では、国内完成品を仕入れる場合より確認事項が増えます。国内の責任者、輸入者、日本の表示、国内規格、成分・材質、安全試験、事故・回収、取扱説明書を確認します。特に食品、化粧品、健康食品、酒類、乳幼児用玩具は、海外の表示や許可をそのまま日本で使用できるとは限りません。DAY40では国内販売時の入口を扱いますが、海外へ販売する場合の輸出入規制は、正規カリキュラムのLv.3で詳しく扱います。
許可名義と売主を一致させる
DAY34で学んだ売主と、各種許可・免許の名義を照合します。例えば、EC上の売主が株式会社A、酒類販売業免許が株式会社Bという状態では、株式会社Aが自己の名義で酒類を販売できるとは限りません。同様に、古物商許可名義、化粧品製造販売業者、食品営業許可の営業者を、実際の販売者・製造者・輸入者と照合します。
販売開始前に証拠を保存する
確認しただけで終わらず、許可証・免許通知書、営業届出、商品規格書、成分表、食品表示データ、アレルゲン情報、製造販売業者情報、輸入関係書類、検査成績書、安全基準適合資料、仕入契約、広告根拠を保存します。更新期限や条件があるものは、管理表に記録します。
実際のケースで考えてみよう|地域商品のギフトセットをEC販売する
ある事業者が、地域商品のギフトセットを企画しました。内容は、焼き菓子、健康茶、化粧品クリーム、日本酒、中古の伝統工芸品、子供向け木製玩具です。すべて同じ地域の商品なので、一つのEC商品として登録しようとしています。
Step1|商品を分ける
焼き菓子→食品、健康茶→食品・健康表示、クリーム→化粧品、日本酒→酒類、中古工芸品→古物、木製玩具→子供向け製品。「地域ギフト」という名前だけでは確認できません。
Step2|焼き菓子
製造者、営業許可、原材料、アレルゲン、賞味期限、保存方法、栄養成分表示を確認します。仕入後に自社で箱から出し、小袋へ詰め直す場合は、作業内容を保健所へ確認します。
Step3|健康茶
メーカーが通常の食品として販売しているにもかかわらず、ECページへ「血圧を下げるお茶」と追加することは避けます。届出・許可された機能表示の範囲や、健康増進法・景品表示法・医薬品医療機器等法との関係を確認します。
Step4|化粧品クリーム
製造販売業者、販売名、成分、使用上の注意、使用期限等、広告可能な効能範囲を確認します。海外旅行で購入したクリームを仕入商品として加えることはせず、国内で適法に流通する商品か確認します。
Step5|日本酒
販売者名義で酒類販売業免許を取得しているか、通信販売の対象商品か、20歳以上の確認方法があるかを確認します。未取得の場合、日本酒を含むセットを販売しない、または免許を持つ販売者との取引構造を作り直します。
Step6|中古工芸品
中古品を事業として仕入れて販売するため、古物商許可、仕入相手の本人確認、取引記録、ウェブ上の許可表示を確認します。
Step7|木製玩具
対象年齢、部品の大きさ、塗料、注意表示、日本の製品安全基準への適合を確認します。3歳未満向けとして販売する場合は、乳幼児用玩具の子供PSCマーク制度への対応も確認します。
Step8|セット全体
酒類を含むため購入者は20歳以上か、食品と化粧品を同梱して問題ないか、食品の保存温度は維持できるか、商品ごとの法定表示が見えるか、破損・液漏れを防げるか、返品時に商品別の扱いを分けられるかを確認します。一つの商品ページでも、商品ごとの法律確認は省略しません。
よくある失敗
商品別法律を確認する12の質問
- 法令上の商品分類は何ですか?販売名ではなく、用途・成分・表示から確認します。
- 完成品を仕入れるだけですか?製造、小分け、加工、再包装を行わないか確認します。
- 海外から輸入しますか?国内販売の責任者と輸入手続を確認します。
- 許可・免許・届出は必要ですか?所管機関へ事業の流れを説明します。
- 許可名義と売主は一致していますか?別会社の許可を自社の販売へ使わないようにします。
- 商品本体の表示は最新ですか?原材料、成分、期限、注意事項等を確認します。
- ECの商品説明と本体表示は一致していますか?古い情報やメーカー違いを防ぎます。
- 年齢確認は必要ですか?18歳、20歳、対象年齢を分けます。
- 広告で表現できない効果を書いていませんか?食品・化粧品・健康食品は特に確認します。
- 事故・健康被害時に商品を追跡できますか?ロット、仕入、購入者、出荷記録を残します。
- 販売停止・回収を行える状態ですか?モール、広告、倉庫、購入者への連絡手順を決めます。
- 相談先はどこですか?保健所、薬務主管課、税務署、警察署等を記録します。
やってみよう|商品分野診断&販売前チェックリスト
販売したい商品の分野を選ぶと、確認すべきポイントの目安が分かります。あわせて、販売前に最低限確認できているかもチェックできます。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。
① 商品分野診断
② 販売前チェックリスト
これは自己チェック用の簡易ツールです。実際の許可・手続の要否は所管行政機関の判断に基づいて確認してください。
アウトプットワーク|商品別法令確認表を作ろう
販売中または販売予定の商品を一つ選び、確認してください。分からない内容は推測せず、商品仕様書、仕入契約、許可証、食品・成分表示、行政の最新資料を用意し、保健所、薬務主管課、税務署、警察署などの所管機関へ確認してください。
① 商品情報・分類
② 事業者の作業・手続
③ 表示・事故対応
記入できたら完了にする
理解度チェッククイズ
第1問 同じ商品でも確認する法律が変わる主な理由は何でしょうか?
第2問 食品を自分で製造して販売する前に確認する相手として適切なのは誰でしょうか?
第3問 容器包装された加工食品で確認する表示はどれでしょうか?
第4問 2026年4月に特定原材料へ追加されたものはどれでしょうか?
第5問 海外化粧品を事業として輸入販売する場合はどうしますか?
第6問 健康食品の商品ページで注意する表現はどれでしょうか?
第7問 インターネットで酒類を継続販売するときに必要なものはどれでしょうか?
第8問 酒類を購入できる年齢について正しいものはどれでしょうか?
第9問 古物商がインターネットで中古品を販売するときに表示するものはどれでしょうか?
第10問 3歳未満向けの乳幼児用玩具で確認するものはどれでしょうか?
第11問|実務判断問題 国内メーカーの焼き菓子を仕入れ、自社で袋を開け、3個ずつ別の袋へ入れ直して販売します。これは完成品の単純な転売として、そのまま販売してよいでしょうか?
回答例を見る
単純な転売とはいえません。メーカーの包装を開封し、別の袋へ小分け・再包装しています。小分けに必要な営業許可・届出、作業場所、衛生管理、新しい容器の食品表示、賞味期限の設定、アレルゲン、製造者・加工者等の表示を確認する必要があります。販売開始前に、商品と作業工程を管轄保健所へ説明して確認します。
第12問|複合商品問題 次の商品を一つのギフトセットにします。ワイン、焼き菓子、化粧品、子供向け玩具。ワインの販売免許だけ確認すればよいでしょうか?
回答例を見る
ワインの免許だけでは足りません。ワイン→酒類販売業免許・20歳以上確認、焼き菓子→食品表示・期限・アレルゲン、化粧品→製造販売業者・成分・広告、子供向け玩具→対象年齢・製品安全・警告表示を、それぞれ確認します。
さらに、セット全体の保管、同梱、破損防止、返品条件も整理します。
よくある質問
包装済みの食品をそのまま販売する場合と、自社で製造・小分け・冷凍・再包装する場合では手続が異なります。取り扱う食品、保存方法、作業内容を伝えて確認するのが安全です。
製造する食品に応じた営業許可・届出、施設基準、衛生管理等を確認する必要があります。家庭用台所で可能かを自己判断せず、保健所へ相談してください。
商品説明も医薬品医療機器等法上の広告になり得ます。化粧品として認められた効能効果の範囲と、メーカーの広告資料を確認します。
購入者本人が自分で使用する個人輸入と、事業者が仕入れて国内で販売する行為は異なります。業としての輸入販売に必要な手続を確認します。
体験談でも、商品によって病気が治るなどの印象を与える場合は問題になる可能性があります。広告全体から受ける印象を確認します。
カート機能だけでなく、酒類販売業免許、販売可能な酒類、20歳以上の確認、酒類の表示基準等への対応が必要です。
家庭の不用品を一時的に処分する場合と、販売目的で中古品を仕入れて反復継続販売する事業は分けて判断します。実際の営業方法を警察署へ説明して確認してください。
古物商としてインターネット取引を行う場合は、公安委員会名、許可証番号、氏名・名称の表示が必要です。
買えません。民法上の成年年齢と、酒類など個別商品の年齢制限は異なります。
日本国内で適用される製品安全制度や表示を別に確認します。3歳未満向け乳幼児用玩具では、子供PSCマーク制度への対応も確認します。
食品は保健所、化粧品等は都道府県の薬務主管課、酒類は所轄税務署、中古品は営業所を管轄する警察署へ、具体的な商品と事業の流れを伝えて確認します。
商品名だけでなく、原材料・成分、仕入先、製造者、輸入者、加工工程、対象者、販売地域、広告案、包装・表示の写真を用意すると確認しやすくなります。
今回のまとめ
ECでは、同じ販売画面を使っていても、商品によって必要な法律確認が変わります。今回覚えておきたいポイントは次の5つです。
- 商品名ではなく、法令上の商品分類を確認する
- 仕入販売・製造・小分け・輸入・OEMを分ける
- 商品ごとに許可・免許・届出・表示を確認する
- 18歳成人と酒類の20歳年齢確認を混同しない
- 販売後の事故・健康被害・回収まで準備する
基本的な流れは、商品候補を決める→商品分類を確認→製造・仕入・輸入方法を整理→所管機関へ確認→許可・免許・届出→商品本体の表示を確認→EC上の説明・広告を確認→年齢・対象者を確認→倉庫・配送条件を確認→ロット・購入者を記録→事故・回収手順を準備→販売開始、という順です。大切なのは、売ってはいけない商品を覚えることだけではありません。誰が、何を、どのように製造・仕入・輸入し、誰へどの条件で販売するのかを整理して、必要な手続を一つずつ確認することが重要です。
「商品登録の前に、商品分類を確認しよう。許可・表示・年齢・安全の4つがそろってから販売開始だよ!」
DAY40の実践課題
販売中または販売予定の商品を一つ選び、確認してください。商品分類、法令上の分類、用途、対象年齢を書き出し、製造者、仕入先、輸入者、自社で行う作業を整理します。必要な許可・免許、名義人、許可番号、確認した行政機関、確認日を記録し、商品本体の必須表示、EC上の必須表示、広告で禁止・制限される表現、年齢確認の要否を整理します。ロット追跡の可否、販売停止担当、事故・健康被害窓口、回収時の購入者連絡方法を決めてください。分からない内容は推測せず、商品仕様書、仕入契約、許可証、食品・成分表示、行政の最新資料を用意し、保健所、薬務主管課、税務署、警察署などの所管機関へ確認してください。


