輸出者・輸入者・荷送人・荷受人とは?越境ECで使う関係者の違いを解説 DAY43

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【DAY43】輸出者・輸入者・荷送人・荷受人とは

契約、配送、通関で使われる関係者の呼び方を整理する

解決.com公式 DAY43|カイピヨくんと学ぶECの基礎知識。越境ECの「役割」完全解剖。「誰が輸出者で、誰が荷送人?」複雑な関係者を3つの視点でスッキリ整理
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🔊 音声で聞く「越境ECで名前と役割が変わる理由」

DAY42では、国内EC→海外販売→輸出→国際配送→輸入→現地配送→海外購入者という越境EC全体の流れを整理しました。ここから実際の海外取引を見ていくと、急に似たような言葉が増えてきます。輸出者、輸入者、荷送人、荷受人、売主、買主、発送元、受取人です。

例えば、日本のEC事業者がアメリカの購入者へ商品を販売したという単純な取引なら、日本のEC事業者=売主=輸出者=荷送人、海外購入者=買主=輸入する側=荷受人となるケースがあります。これだけなら簡単です。しかし、間に、メーカー、販売会社、EC運営会社、物流倉庫、配送会社、通関業者、海外輸入会社、海外倉庫が入ると、一気に分かりにくくなります。

例えば、商品を作った会社と、商品を販売した会社と、実際に倉庫から発送した会社が全部違うこともあります。そのとき、誰が輸出者なのか、誰が荷送人なのか、倉庫が発送したなら倉庫が輸出者なのか、海外購入者が荷受人なら必ず輸入者なのか、という疑問が出てきます。DAY43では、こうした関係者の呼び方を、契約、通関、配送の3つに分けて整理します。

「同じ会社でも、見る場面によって“売主”“輸出者”“荷送人”って名前が変わるんだ。まずは何の場面の呼び方なのかを見よう!」

DAY42との違い

越境ECを始めると突如現れる「言葉の壁」。輸出者、荷送人、売主、Shipper、Consignee、買主、メーカー、輸出合系、物流倉庫といった言葉が絡み合って表示され、「全部同じ会社じゃないの?」「メーカーが輸出者でしょ?」と困惑するカイピヨくんのイラスト

DAY42では、越境ECの商品が日本→国際配送→海外購入者へ届くまでの全体像を学びました。DAY43では、その流れの中で、誰が輸出するのか、誰が輸入するのか、誰が荷物を送るのか、誰が荷物を受け取るのかという「人・会社の役割」を整理します。関税率、HSコード、輸出申告の具体的な方法、インボイスの作り方、DDP・DAPなどには深入りしません。それらは今後のDAYで個別に学びます。今回は、取引に登場する人を正しく見分けることが目的です。

この記事で分かること

  • 輸出者・輸入者・荷送人・荷受人とは誰か、Exporter・Importer・Shipper・Consigneeとは何か
  • 売主と輸出者の違い、買主と輸入者の違い、発送作業者と荷送人の違い
  • メーカーが必ず輸出者ではない理由、倉庫・配送会社・通関業者が輸出者・輸入者になるとは限らない理由
  • インボイス・配送書類・輸出入申告で確認する関係者
  • 直送、メーカー・倉庫あり、海外輸入会社経由、海外倉庫先送りなど複数パターンの整理方法
  • 役割を会社名だけで判断してはいけない理由、越境ECで関係者マップを作る方法

先に結論|「誰か」ではなく「何の場面の名前か」を見る

結論:「会社名」で考えるのをやめる。「何の場面(レイヤー)の話か」で役割を見極める。会社や業種で決めつける(NG)のではなく、取引の場面(レイヤー)で判断する(OK)とカイピヨくんが対比して解説

今回、一番最初に覚えてほしいことがあります。輸出者、輸入者、荷送人、荷受人は、全部同じ基準で付けられた名前ではありません。大きく分けると、【売買・契約】売主・買主、【通関・輸出入】輸出者・輸入者、【配送・物流】荷送人・荷受人です。

例えば日本の会社Aが海外の購入者Bへ商品を直接販売・発送する場合、契約では会社A=売主、購入者B=買主。通関では会社A=輸出者、購入者B=輸入する側。配送では会社A=荷送人、購入者B=荷受人となることがあります。つまり、会社Aという1社が、売主、輸出者、荷送人という3つの名前で登場します。重要なのは、名称を丸暗記することではありません。この言葉は、契約の話なのか、通関の話なのか、配送の話なのかを確認することです。

取引を分解する「3つのレンズ」

取引を分解する「3つのレンズ」。【売買・契約】誰が誰に商品を売り、誰が買うのかという法的な契約の視点。【通関・輸出入】国境を越える際、誰の責任で輸出し、誰の責任で輸入するのかという税関の視点。【物流・配送】物理的に誰が荷物を送り、誰が受け取るのかという物理・運送の視点、という3つのレイヤーを図解

国内ECでは、販売者→購入者という関係だけでも商品を販売できます。しかし越境ECでは、売買契約、配送、輸出、輸入という複数の処理が同時に動きます。例えば、日本企業A→アメリカ企業Bへ商品を販売するとします。契約書を見る人は、A=売主、B=買主と考えます。物流会社は、A=荷送人、B=荷受人と考えるかもしれません。通関では、A=輸出者、B=輸入者として整理する場合があります。つまり、同じ商品、同じ会社、同じ取引でも、どの業務から見るかによって呼び方が変わります。

6つの言葉を一枚で整理する

コア用語の完全マッピング。送る側(日本から)と受け取る側(海外で)を、【売買・契約】売主(Seller)/買主(Buyer)、【通関・輸出入】輸出者(Exporter)/輸入者(Importer)、【物流・配送】荷送人(Shipper/Consignor)/荷受人(Consignee)の3行2列でマッピングした表
呼び方主な場面基本的な意味
売主売買・契約商品を販売する側
買主売買・契約商品を購入する側
輸出者輸出・通関貨物を外国へ輸出する側
輸入者輸入・通関貨物を輸入する側
荷送人配送・物流荷物を送る側
荷受人配送・物流荷物を受け取る側

英語では、一般的に輸出者はExporter、輸入者はImporter、荷送人はShipper/Consignor、荷受人はConsigneeと表記されます。ただし、書類や取引方法によって表記は異なる場合があります。まずは、Exporter、Importer、Shipper、Consigneeという4つの言葉を見たときに、「会社名ではなく役割名だ」と分かればOKです。

なぜこんなに名前が多いのでしょうか。国内ECでは、販売者→購入者という関係だけでも商品を販売できます。しかし越境ECでは、売買契約、配送、輸出、輸入という複数の処理が同時に動きます。同じ商品、同じ会社、同じ取引でも、どの業務から見るかによって呼び方が変わるのです。

輸出者とは・輸入者とは

輸出者は、貨物を外国へ輸出する側として輸出・通関の場面で使われる言葉です。英語ではExporterと表記されます。例えば、日本のEC販売会社→アメリカ購入者へ商品を販売し、日本の販売会社自身が輸出する場合、日本の販売会社が輸出者となるケースがあります。日本税関の輸出申告書の説明でも、輸出者自身が申告する場合の申告者について、原則としてインボイスに記載された荷送人を記載する考え方が示されています。つまり、輸出者と荷送人が同じになる取引はありますが、必ず同じという意味ではありません。

輸入者は、外国から到着した貨物を輸入する側です。英語ではImporterと呼ばれます。例えば、日本のEC事業者→アメリカ購入者へ直接販売するケースでは、海外購入者が輸入する側になる場合があります。しかし、購入者=必ず輸入者ではありません。

買主は、売買契約で商品を買った人です。輸入者は、輸入の場面で貨物を輸入する人です。単純な直接販売なら、買主=輸入者となることがあります。しかし、日本メーカー→海外輸入会社→海外小売店→最終購入者という取引なら、最終購入者が日本から直接輸入しているわけではありません。海外輸入会社が、日本から商品をまとめて輸入している可能性があります。この場合、輸入者=海外輸入会社、最終購入者=海外小売店等から購入する消費者となります。

日本税関では、日本への輸入取引による貨物について、原則としてインボイスやB/Lに記載された荷受人を「貨物を輸入する者」とする考え方が示されています。ただし、荷受人として書類へ名前が載っているというだけで、必ず輸入者になるわけではありません。税関も、輸入取引に関与していない者が単に荷受人として記載されている場合、その者が「貨物を輸入する者」になるわけではないという考え方を示しています。つまり、書類のConsignee欄に会社名がある=絶対に輸入者と機械的に判断しないことが重要です。取引の実態まで確認します。

荷送人とは・荷受人とは

荷送人は、配送・物流上、荷物を送る側を表す言葉です。英語ではShipper、Consignorなどが使われます。例えば、日本の販売会社→海外購入者へ商品を直接発送する場合、販売会社がShipperとして書類へ記載されることがあります。ただし、荷送人=必ず売主ではありません。

荷受人は、配送上、荷物を受け取る側です。英語ではConsigneeと呼ばれます。例えば、日本→アメリカの個人購入者へ直接発送するなら、海外購入者がConsigneeになるケースがあります。配送書類では、Consignee、Name、Address、Phone Numberなどとして、受取側の情報を記載する場合があります。

例えば、日本→アメリカ物流倉庫→アメリカ購入者という仕組みがあります。日本から海外倉庫へまとめて商品を送る段階では、海外倉庫や現地事業者が荷受人となる場合があります。その後、現地倉庫→最終購入者へ国内配送します。つまり、最初の国際配送の荷受人と、最終的に商品を使う人は別になる可能性があります。

よくある罠|物理的な作業と法的な役割は別

よくある罠:物理的な作業=法的な役割ではない。「メーカー≠輸出者」メーカー(製造のみ)から販売会社へ商品が渡り、輸出者(Exporter)になるのは販売会社側であり、商品を作った会社が輸出者になるとは限らないと図解。「配送会社≠荷送人」販売会社が荷送人(Shipper)となり配送会社へ荷物を渡す構造で、荷物を運ぶ配送会社は荷送人ではないと図解

商品を作った会社が、必ず輸出者になるわけではありません。例えば、メーカーA→国内販売→販売会社B→海外販売→海外購入者Cという取引があります。メーカーAは商品を製造していますが、海外購入者Cへ商品を販売して輸出するのがBなら、メーカーA=製造者、販売会社B=売主・輸出者となる場合があります。つまり、誰が商品を作ったかと、誰が輸出するかは別です。これは伝統工芸品や地域商品、生産者の商品を扱う場合にも重要です。生産者へ「海外へ売るからあなたが輸出者です」と簡単に決めるのではなく、誰が販売し、誰が契約し、誰の名義で輸出するのかを整理します。

反対に、販売者と輸出者が別になる取引も考えられます。販売契約上の商品販売者と、輸出手続上の輸出者が必ず一致するとは限りません。したがって、ECサイトに表示されている販売会社だけを見て、この会社が輸出者だと判断しません。実際の取引・契約・書類を確認します。

例えば、販売会社A→出荷指示→物流倉庫B→梱包・発送作業→海外購入者CというEC運用があります。実際に、商品を棚から取り、箱へ入れ、配送会社へ渡したのは物流倉庫Bです。しかし、だからBが必ずShipperになるとは限りません。配送書類上の荷送人として、販売会社Aが記載される仕組みもあります。したがって、発送作業をした会社と、配送書類上の荷送人は分けて確認します。同じ理由で、倉庫から商品が海外へ出ていった=倉庫が輸出者とも限りません。物流倉庫の役割は、商品の保管、ピッキング、検品、梱包、配送会社への引渡しなどです。輸出者が誰かは、単に商品を物理的に発送した場所ではなく、取引や輸出手続の関係から確認します。

よく混同しやすいポイントです。荷送人=荷物を送る側、配送会社=荷物を運ぶ事業者です。配送会社が荷物を運んだからといって、配送会社が売主や輸出者になるわけではありません。同様に、輸出入の手続では通関業者が申告手続を代理する場合がありますが、通関業者が申告手続きを行った=通関業者が輸出者とは限りません。代理人と、輸出者・輸入者は分けて考えます。「誰が手続きを操作したか」ではなく、「誰の輸出・輸入として申告しているか」を確認します。具体的な輸出申告・輸入申告はDAY53で詳しく扱います。

ECには、サイト運営会社、プラットフォーム運営会社、モール運営会社が存在します。しかし、ECサイトを運営している=輸出者とは限りません。確認する必要があるのは、誰が商品を販売しているか、誰が売買契約の当事者か、誰が商品を輸出するのか、誰が配送書類上の荷送人なのかです。システムを提供している会社と、商品の売主を混同しないようにします。

Case1|基本の直送モデル

Case1: 基本の直送モデル。日本の販売会社が1社で全てを兼ねる最もシンプルなケース。日本の販売会社Aが売主・輸出者・荷送人を兼ね、国境を越えて海外購入者Bが買主・輸入者・荷受人を兼ねる構造を矢印で図解

日本の販売会社Aが、自社の商品をアメリカの個人Bへ販売します。販売会社A→国際配送→購入者Bという流れです。一般的な整理例では、売買は売主A・買主B、輸出入は輸出者A・輸入する側B、配送は荷送人A・荷受人Bとなります。この形では、A=売主=輸出者=荷送人、B=買主=輸入する側=荷受人となるため分かりやすいです。しかし、この形だけで覚えると、会社が増えたときに混乱します。

Case2&3|メーカーや物流倉庫が介入するモデル

Case2&3: メーカーや物流倉庫が介入するモデル。製造・発送・販売を別の会社が行う場合でも、役割のバッジは販売会社にある。メーカーA(製造のみ)から出荷指示で販売会社Bへ、販売会社Bが売主・輸出者・荷送人のバッジを持ち、物流倉庫C(梱包・発送作業のみ)を経由して海外購入者Dが買主・輸入者・荷受人となる構造を図解

メーカーA→販売会社B→出荷指示→物流倉庫C→国際配送→海外購入者Dという流れです。この場合、Aは商品製造、Bは商品販売・輸出主体、Cは保管・梱包・発送作業、Dは海外購入者・受取側というように役割を分けます。実際の書類上、誰を荷送人として記載するか、誰を輸出者とするかは契約・取引・配送方法を確認します。ここで、倉庫から発送された=倉庫が輸出者と決めつけないことが重要です。

Case4|海外の輸入販売会社が介入するモデル

Case4: 海外の輸入販売会社が介入するモデル。最終消費者=輸入者とは限らない。日本販売会社B(輸出者)から国境を越えて海外輸入会社C・海外小売店D(輸入者)へ、そこから最終消費者Eへと商品が渡る構造を図解。「この人は日本から輸入しているわけではない(現地国内取引)」と最終消費者Eに注意書き

日本メーカーA→日本販売会社B→海外輸入会社C→海外小売店D→消費者Eという取引です。この場合、日本から海外へ送る国際取引と、海外国内で販売する取引は別です。国際輸送部分では、Bが輸出する側、Cが輸入する側となるケースがあります。その後、C→D→Eは現地国内の取引です。つまり、最終消費者Eが日本からの輸入者とは限りません。

Case5|海外倉庫に先送りするモデル

Case5: 海外倉庫に先送りするモデル。EC注文が入る前に国際輸送が終わっているケース。Step1国際輸送:日本販売会社(輸出入レイヤー)から海外倉庫(荷受人/Consignee)へ。Step2現地販売:海外倉庫(売買レイヤー)から海外購入者(買主)へ。荷受人(海外倉庫)と買主(購入者)にタイムラグが発生すると注記

まず、日本販売会社A→海外倉庫Bへ、日本から海外倉庫へ商品をまとめて輸送します。この国際輸送では、海外倉庫または現地事業者が荷受側になる場合があります。その後、海外購入者Cが注文→海外倉庫Bから現地配送となります。この場合、EC注文が入る前に国際輸送が終わっていることもあります。つまり、越境ECの「輸出者・輸入者」と、個々のEC注文の「購入者」が必ず1対1になるわけではありません。

実務ドキュメントとの紐付け

実務ドキュメントとの紐付け。インボイス(Invoice)は取引全体を示す書類でフォーマットによってすべてのレイヤーの名称が記載される。配送書類(AWB/B/L)は物流のレイヤーでShipperとConsigneeが誰が荷物を送り誰が受け取るかを証明する。輸出入申告書(Customs Form)は通関のレイヤーで輸出者と輸入者が法的に誰の責任で輸出入を行うかを証明する。「会社名だけを読むのではなく、どの欄に書いてあるかを見よう!」とカイピヨくんが解説

国際取引では、インボイスという書類が登場します。DAY52で詳しく学びますが、DAY43では、誰から誰へ商品が動くのかを見る書類の一つと覚えてください。例えば、Shipper、Exporter、Consignee、Importerなどの項目が使われる場合があります。書類を見るときは、会社名だけを読むのではなく、どの欄に会社名が入っているのかを確認します。例えば、「ABC JAPAN CO., LTD.」と書いてあっても、Exporter欄なのかShipper欄なのかで意味が変わります。

国際配送では、Air Waybill(AWB)やBill of Lading(B/L)などの運送書類が使われます。細かい書類作成方法をDAY43で覚える必要はありません。ここでは、ShipperとConsigneeという関係者が配送書類上でも登場すると理解してください。配送書類では、誰から誰へどの荷物を運ぶのかという情報が重要になります。

日本税関の輸出申告書では、輸出者、仕向人などの情報を記載します。税関の案内では、輸出者自身が申告する場合、申告者について原則としてインボイスに記載された荷送人を記載するという説明があります。また、貨物を輸出する相手方について、原則としてインボイスの荷受人を記載するという整理があります。ここから分かることは、インボイス、配送、通関の関係者情報は、互いに無関係ではないということです。ただし、具体的な申告方法はDAY53で扱います。

日本税関の輸入申告書の案内でも、輸入者自身が申告する場合、原則としてインボイスまたはB/Lに記載された荷受人を申告者として記載する考え方が示されています。また、貨物の仕出人については、貨物を輸入者に送った者として、原則インボイスの荷送人を記載します。つまり、輸入者と荷受人、輸出側と荷送人は関連します。ただし、単純に同じ意味ではありません。これがDAY43の大切なポイントです。

荷受人(Consignee)の真実|配送先と荷受人は同じとは限らない

荷受人(Consignee)の真実。荷受人欄に名前がある=絶対に輸入者、ではない。Gift OrderでECサイトから注文者(東京のAさん、買主)へは代金が動き、配送先(アメリカのBさん、荷受人/Consignee)へは商品が届く構造を図解。注意:Bさんはプレゼントを受け取るだけで、輸入取引には一切関与していません。機械的にBさんを輸入者と判断すると、通関トラブルや関税請求のミスに繋がりますと警告

ECでは、注文者、購入者、請求先、配送先、荷受人が全部同じとは限りません。例えばプレゼントなら、注文者は東京のAさん、配送先はアメリカのBさんとなることがあります。法人取引なら、購入会社は本社、配送先は海外工場という場合もあります。したがって、注文者名=荷受人名と固定しません。配送書類を作るときは、実際に誰へ届けるのかを確認します。

上のギフト注文の例では、Bさんはプレゼントを受け取るだけで、輸入取引には一切関与していません。機械的にBさんを輸入者と判断すると、通関トラブルや関税請求のミスにつながります。荷受人として書類に名前があることと、輸入取引の当事者であることは、分けて確認する必要があります。

関係者仕分けドリル|よくある勘違い

越境EC関係者仕分けドリル(よくある勘違い)。Myth(勘違い)「メーカーだから輸出者である」→Fact(事実)製造者と輸出者は別の役割、誰の輸出として法的に扱うかで決まる。Myth「倉庫から発送したから、倉庫が荷送人である」→Fact倉庫は単なる発送作業者、配送書類上のShipperが荷送人となる。Myth「通関業者が申告したから、通関業者が輸出者である」→Fact通関業者はあくまで「代理」、輸出者本人にはならない。Myth「書類のConsignee欄にある名前が、必ず輸入者である」→FactConsigneeは「荷受人」というだけ、取引の実態確認が必要、という4行の対比表
Myth(勘違い)Fact(事実)
メーカーだから輸出者である製造者と輸出者は別の役割。誰の輸出として法的に扱うかで決まる。
倉庫から発送したから、倉庫が荷送人である倉庫は単なる発送作業者。配送書類上のShipperが荷送人となる。
通関業者が申告したから、通関業者が輸出者である通関業者はあくまで「代理」。輸出者本人にはならない。
書類のConsignee欄にある名前が、必ず輸入者であるConsigneeは「荷受人」というだけ。取引の実態確認が必要。

悪い確認方法は、会社Aはメーカーだから輸出者、会社Bは倉庫だから荷送人、会社Cは海外の購入者だから輸入者、と決めつけることです。正しい確認方法は、誰が売った?→誰が買った?→誰の輸出として扱う?→誰の輸入として扱う?→配送書類上の荷送人は誰?→荷受人は誰?と順番に確認することです。会社の業種ではなく、その取引での役割を確認します。

役割が多いからといって、会社を分ける必要はありません。例えば、日本の小さなEC事業者が海外へ直接販売するなら、売主、輸出者、荷送人を1社で担当することがあります。海外購入者も、買主、輸入する側、荷受人になる場合があります。大事なのは、役割を分けることと、会社を分けることは違うという点です。役割は6つあっても、登場企業は2社という取引もあります。逆に、発送業務なら、販売会社は出荷指示、物流倉庫はピッキング・梱包、配送会社は国際輸送、通関業者は申告代理というように分かれます。しかし、発送業務に4社関わっている=輸出者が4社という意味ではありません。作業担当、契約当事者、申告上の役割、配送書類上の役割を分けます。

実践|自社の関係者マップを作る

実践:自社の関係者マップ構築フレームワーク。1.誰が商品を作る?(メーカー)2.誰が販売・契約する?(売主/買主)3.誰の輸出入として扱う?(輸出者/輸入者)4.配送書類上の名前は?(荷送人/荷受人)という4ステップの矢印フロー。POINT:推測で埋めないこと。必ず「契約書」「インボイス」「配送書類」の実物を照合して書き込むと注記

越境ECでは、商品ごと・取引ごとに次を整理します。【商品を作る】メーカー・生産者→【商品を販売する】売主→【輸出する】輸出者→【荷物を送る】荷送人→【国際配送】配送会社→【通関を行う】本人申告/通関業者等→【輸入する】輸入者→【荷物を受け取る】荷受人→【商品を購入・利用する】買主・最終購入者。同じ会社が複数の欄に入っても構いません。むしろ、どの欄が同じ会社なのかを見えるようにすることが重要です。推測で埋めないこと。必ず契約書、インボイス、配送書類の実物を照合して書き込みます。

実際のケースで考えてみよう|日本の工芸品をアメリカの購入者へ販売する

日本の工芸品メーカーの商品を、別のEC販売会社がアメリカへ販売するとします。登場する会社・人は、メーカーA、EC販売会社B、物流倉庫C、国際配送会社D、アメリカ購入者Eです。

Step1|誰が商品を作る?
メーカーAが商品を製造します。役割はメーカー・商品提供者です。この時点では、メーカーだから輸出者とは決めません。

Step2|誰が海外購入者へ販売する?
EC販売会社Bが自社ECで商品を販売します。購入者Eとの売買契約上、B=売主、E=買主となるケースです。

Step3|誰が輸出する?
契約・取引・申告方法を確認した結果、EC販売会社Bの輸出として取り扱う設計だとします。この場合、B=輸出者となります。

Step4|誰が商品を梱包する?
物流倉庫Cが、ピッキング、検品、梱包、配送ラベル発行、配送会社への引渡しを行います。しかし、Cが作業した=Cが輸出者ではありません。

Step5|誰が荷送人?
配送書類を確認し、EC販売会社BがShipperとして記載される設計だとします。すると、B=荷送人です。倉庫Cは、発送作業担当という位置付けになります。

Step6|誰が運ぶ?
国際配送会社Dが商品を運びます。Dは運送事業者です。Dが荷物を運ぶからといって、Dが売主・輸出者になるわけではありません。

Step7|誰が荷受人?
配送先は、アメリカ購入者Eです。配送書類上、E=Consigneeとなるケースです。つまり、E=荷受人です。

Step8|輸入する側は誰?
今回の直接販売では、購入者Eが輸入する側になるケースを想定します。ただし、荷受人だから自動的に輸入者とは決めず、販売条件や配送・通関の仕組みを確認します。

Step9|関係者表を完成させる
メーカー=A、売主=B、輸出者=B、発送作業=C、荷送人=B、配送会社=D、買主=E、輸入する側=E、荷受人=E。このように並べると、メーカーAと倉庫Cがいるにもかかわらず、売主・輸出者・荷送人はBという構造が見えてきます。

Step10|書類と照合する
最後に、EC注文情報、契約、インボイス、配送書類、輸出入関係書類の関係者が一致しているか確認します。ここで初めて、誰が何の役割なのかが確定します。

よくある失敗

失敗1|メーカーを自動的に輸出者にする
製造者と輸出者は別の役割です。
失敗2|販売会社なら必ず輸出者だと思う
販売契約と輸出の主体を確認します。
失敗3|倉庫から発送したので倉庫を輸出者にする
発送作業者と輸出者を分けます。
失敗4|配送会社を荷送人だと思う
配送会社は荷物を運ぶ事業者です。荷送人とは別です。
失敗5|通関業者が申告したので通関業者を輸出者にする
申告を代理する者と輸出者は分けます。
失敗6|購入者なら必ず輸入者だと思う
海外輸入会社や現地法人などが輸入する場合があります。
失敗7|Consigneeなら必ず輸入者だと思う
荷受人としての記載だけでは判断できない場合があります。
失敗8|荷受人=最終消費者と思う
海外倉庫・現地販売会社が荷受人になる場合があります。
失敗9|注文者と配送先を同じだと思う
ギフトや法人取引では異なる場合があります。
失敗10|会社名だけで役割を判断する
どの書類のどの欄かを確認します。
失敗11|同じ会社が複数の役割を持てないと思う
1社が売主・輸出者・荷送人を兼ねるケースがあります。
失敗12|DAY43で通関手続まで全部覚えようとする
今回は「誰が誰か」の整理です。輸出入申告や書類作成は後のDAYで学びます。

輸出者・輸入者・荷送人・荷受人を確認する12の質問

  1. 商品を作ったのは誰ですか?メーカー・生産者を確認します。
  2. 海外購入者へ商品を販売するのは誰ですか?売主を確認します。
  3. 商品を購入する相手は誰ですか?買主を確認します。
  4. 誰の輸出として扱いますか?輸出者を確認します。
  5. 配送書類上のShipperは誰ですか?荷送人を確認します。
  6. 実際の梱包・出荷作業は誰が行いますか?荷送人とは別に、作業担当者を確認します。
  7. 国際配送を行う会社はどこですか?運送事業者を確認します。
  8. 通関手続きを行うのは誰ですか?本人か、代理する通関業者等かを確認します。
  9. 誰の輸入として扱いますか?輸入者を確認します。
  10. 配送書類上のConsigneeは誰ですか?荷受人を確認します。
  11. 最終的に商品を購入・利用する人は誰ですか?荷受人と同じか確認します。
  12. 契約・インボイス・配送書類の関係者は一致していますか?違っている場合は、なぜ違うのか整理します。

やってみよう|関係者役割診断&確認チェックリスト

取引に登場する会社・人を選ぶと、その会社が自動的に持つとは限らない役割の注意点が分かります。あわせて、関係者の確認が一通りできているかもチェックできます。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。

① 役割診断

メーカー・生産者
販売会社
物流倉庫
配送会社
通関業者
海外購入者

② 関係者確認チェックリスト

①商品を作ったのは誰か(メーカー・生産者)を確認した
②海外購入者へ販売するのは誰か(売主)を確認した
③誰の輸出として扱うか(輸出者)を確認した
④配送書類上のShipper(荷送人)を確認した
⑤誰の輸入として扱うか(輸入者)を確認した
⑥配送書類上のConsignee(荷受人)を確認した
⑦契約・インボイス・配送書類の関係者が一致しているか確認した
できている項目
0 / 7
判定

これは自己チェック用の簡易ツールです。実際の役割の確定は、契約書・インボイス・配送書類の実物に基づいて判断してください。

アウトプットワーク|越境EC関係者整理シートを作ろう

DAY42で選んだ、販売してみたい商品と販売国を使って、関係者を整理してください。現時点で分からないところは、分からない会社名を無理に入れず「未確認」と記載してください。

① 商品・売買

② 輸出・配送

③ 輸入・荷受

記入できたら完了にする

理解度チェッククイズ

第1問 「輸出者」は主にどの場面で使われる言葉でしょうか?

A.輸出・通関
B.サイトデザイン
C.広告運用
正解はAです。輸出者は、主に輸出・通関の場面で使われる役割です。

第2問 「荷送人」を英語で表す言葉として使われるものはどれでしょうか?

A.Shipper
B.Buyer only
C.Customer Service
正解はAです。荷送人は、ShipperまたはConsignorなどと表記されることがあります。

第3問 「荷受人」を表す代表的な英語はどれでしょうか?

A.Consignee
B.Exporter
C.Manufacturer
正解はAです。荷受人は、Consigneeと表記されます。

第4問 メーカーについて正しいものはどれでしょうか?

A.メーカーが必ず輸出者とは限らない
B.メーカーは必ず輸出者になる
C.メーカーは必ず荷受人になる
正解はAです。商品の製造者と、商品を海外へ輸出する者は別の場合があります。

第5問 物流倉庫が商品を梱包して国際配送会社へ渡しました。この事実だけで、物流倉庫が輸出者だと判断できるでしょうか?

A.判断できない
B.必ず輸出者
C.必ず輸入者
正解はAです。物流倉庫が発送作業をしたことだけでは輸出者とは判断できません。誰の輸出として扱うかを確認します。

第6問 国際配送会社について正しいものはどれでしょうか?

A.荷物を運ぶ会社と荷送人は別の役割
B.配送会社は必ず売主
C.配送会社は必ず輸出者
正解はAです。配送会社は運送を担当する事業者です。荷送人、売主、輸出者とは別の役割です。

第7問 海外購入者がConsigneeとして記載されています。この事実だけで必ず輸入者だと判断できるでしょうか?

A.取引の実態も確認する
B.必ず輸入者
C.必ず輸出者
正解はAです。荷受人と輸入者が一致する場合はありますが、書類上Consigneeと記載されていることだけで必ず輸入者とは判断できません。取引の実態を確認します。

第8問 同じ会社が、売主・輸出者・荷送人の3つを兼ねることはあるでしょうか?

A.ある
B.絶対にない
C.法律上必ず3社必要
正解はAです。直接販売では、売主・輸出者・荷送人が同じ会社になるケースがあります。

第9問 海外倉庫へまとめて商品を送り、その後現地購入者へ配送する場合について正しいものはどれでしょうか?

A.国際配送の荷受人と最終購入者が異なる場合がある
B.必ず同じ人
C.海外倉庫は存在できない
正解はAです。海外倉庫へ在庫をまとめて輸送する場合、国際配送の荷受人は海外倉庫や現地事業者となり、後から商品を購入する最終購入者とは異なる場合があります。

第10問 関係者を確認するときに適切なのはどれでしょうか?

A.契約・インボイス・配送書類などを照合する
B.会社名だけで判断する
C.メーカーかどうかだけを見る
正解はAです。会社の種類だけでなく、契約、インボイス、配送書類、輸出入関係書類を照合します。

第11問|役割整理問題 メーカーA→商品供給→販売会社B→出荷指示→物流倉庫C→国際配送→海外購入者Dという取引があります。販売会社Bが海外購入者へ商品を販売し、Bの輸出として処理され、配送書類上もBがShipperとなっています。それぞれの役割を整理してください。

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メーカー:A/売主:B/輸出者:B/発送作業:C/荷送人:B/荷受人:Dです。Cが商品を実際に梱包・発送していますが、発送作業者=輸出者=荷送人とは限らない点がポイントです。

第12問|実務判断問題 EC管理画面を見ると、販売者:日本企業A/配送元:物流倉庫B/配送先:海外企業Cと表示されています。この画面だけを見て、A=輸出者、B=荷送人、C=輸入者と確定してよいでしょうか?

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確定してはいけません。EC管理画面の、販売者、配送元、配送先は、それぞれシステム上の表示です。輸出者を確認するには、誰の輸出として処理するのかを確認します。荷送人は、配送書類上のShipper等を確認します。輸入者は、取引、輸入側の契約・申告関係を確認します。

つまり、販売者≠必ず輸出者、配送元≠必ず荷送人、配送先≠必ず輸入者です。

よくある質問

今回のまとめ

越境ECでは、売主、買主、輸出者、輸入者、荷送人、荷受人という似た言葉が登場します。今回覚えておきたいポイントは次の5つです。

  1. 売主・買主は主に売買契約の役割
  2. 輸出者・輸入者は主に輸出入・通関の役割
  3. 荷送人・荷受人は主に配送・物流の役割
  4. 同じ会社が複数の役割を持つ場合がある
  5. 会社名だけで判断せず契約と書類を確認する

関係者を整理する基本の流れは、商品を作る人→誰が販売する?→誰が購入する?→誰が輸出する?→誰が荷送人?→誰が発送作業する?→誰が国際配送する?→誰が輸入する?→誰が荷受人?→誰が最終的に受け取る?です。例えば、メーカーA、販売会社B、物流倉庫C、海外購入者Dという4者がいても、メーカー=A、売主=B、輸出者=B、発送作業=C、荷送人=B、買主=D、輸入する側=D、荷受人=Dとなる場合があります。逆に、海外輸入会社や海外倉庫が入れば、輸入者や荷受人は最終購入者と別になる可能性があります。大切なのは、「この会社は何会社?」と考えることではありません。その取引で、「この会社は何の役割をしている?」と考えることです。

「“メーカーだから輸出者”“購入者だから輸入者”って決めつけないでね。契約・通関・配送の3つに分ければ、誰が何をするのか見えてくるよ!」

今回のまとめ:売買・通関・配送の「3つのレンズ」で役割を切り分けて考える。1社が複数の役割を兼ねることもあれば、複数社で分業することもある。「この会社は何会社?」ではなく「何の役割?」で判断する。次回予告DAY44:販売できる国と配送できる国は違う

DAY43の実践課題

DAY42で選んだ、販売してみたい商品と販売国を使って、関係者を整理してください。商品名、メーカー・生産者、販売国を書き出し、売主、買主を確認します。輸出者と、それを確認した根拠(契約/インボイス/物流条件/未確認)を記録します。荷送人、発送作業者、配送会社、荷受人を整理し、輸入者と、それを確認した根拠、最終購入者を記録します。売主と輸出者、輸出者と荷送人、買主と輸入者、輸入者と荷受人、荷受人と最終購入者が、それぞれ同じか別か未確認かを確認してください。現時点で分からないところは、分からない会社名を無理に入れず「未確認」と記載してください。DAY44以降で、その国へ販売できるのか、配送できるのか、輸入できるのかを一つずつ確認していきます。

獲得バッジ

音声で学んだ
役割診断マスター
整理シート完成
FAQマスター
クイズクリア

次回 DAY44:販売できる国と配送できる国は違う

販売、決済、配送、輸入の可否を分けて確認する理由を整理します。

DAY44へ進む(公開後にリンクします)

文:横田和也/解決ドットコム編集部

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