HSコードとは?6桁・9桁の違いと調べ方、関税・輸入規制との関係を解説 DAY48
【DAY48】HSコードとは
商品を分類する番号と、関税・規制との関係を整理する
DAY47では、海外カード、決済拒否、住所不一致、高額注文、不正検知など、海外注文の決済と不正注文を整理しました。ここからは、越境ECの商品が国境を通るときに必要になる情報を学びます。その最初が、HSコードです。例えば日本から、陶器、衣類、お茶、木製雑貨、化粧品、部品などを海外へ送るとします。税関では、「これは日本のお土産です」「かわいい雑貨です」「手作りの商品です」だけでは、商品を正確に分類できません。
同じ「雑貨」でも、木製・プラスチック製・金属製・繊維製では分類が異なる可能性があります。同じ食品でも、生鮮・乾燥・調製済み・混合品などによって分類が変わることがあります。そこで、世界中の商品を一定のルールで分類する仕組みとして使われるのが、HSです。正式名称はHarmonized Commodity Description and Coding Systemで、日本語では「商品の名称及び分類についての統一システム」などと呼ばれます。世界税関機構(WCO)は、HSを国際貿易で取引される商品を分類するための国際的な仕組みとして位置付けており、6桁のコードで商品グループを識別します。200を超える国・経済圏で関税率表や貿易統計の基礎として利用されています。
「HSコードは商品の“国際分類番号”みたいなものだよ。でも、商品名だけ見て番号を当てるクイズじゃないんだ!」
DAY47との違い
DAY47では、海外購入者から注文が入った後、決済できたか、不正注文ではないか、商品を出荷してよいかを確認しました。DAY48では、出荷する商品について、何という商品として輸出入するのかを分類します。つまり、DAY47は「注文を確認」、DAY48は「商品を分類」です。DAY49では、分類した商品に関係する、関税、輸入税、輸入消費税の違いを整理します。DAY48では、具体的な税額を計算するところまでは進みません。
この記事で分かること
- HSコードとは何か、なぜ商品分類が世界共通で必要なのか
- 2桁・4桁・6桁(類・項・号)の意味、7桁目以降が国によって違う理由
- 日本の9桁統計品目番号、輸出と輸入で国内細分が違う場合
- HSコードにもバージョンがある理由、2026年現在の現行版
- 商品名だけでは分類できない理由、素材・用途・加工状態・機能・成分の確認方法
- SKU・JANコード・ECカテゴリー・配送カテゴリーとHSコードの違い
- 税関への照会方法、事前教示制度、商品マスタへのHS情報の持たせ方
- 先に結論|HSコードは「商品名」ではなく「商品の正体」で決める
- HSコードとは何か・なぜ世界共通の分類が必要か
- HSコードの桁構造|類・項・号(2桁→4桁→6桁)
- 7桁目以降は国によって違う|日本の9桁統計品目番号
- HSコードにはバージョンがある
- SKU・JANコード・ECカテゴリー・配送カテゴリーとの違い
- 商品名だけでは分類できない|6つの判定要素
- セット商品・付属品・梱包材を確認する
- 自己流の解釈に注意する|検索結果・税率・古いバージョン
- HSコードと関税・規制・原産国・価格の関係
- HSコードを調べる前に商品情報を集める
- 日本の輸出統計品目表の見方・分類例規・分類事例
- 分からなければ税関へ照会する|事前教示制度
- メーカー・配送会社・AIの情報をそのまま使わない
- 商品仕様書を作り、生産者と役割分担する
- 商品マスタへHS情報を追加し、商品×国で管理する
- 確認レベルを決め、仕様変更時は再確認する
- HSコードは越境ECの「商品データ」の一部
- DAY48の確認フロー
- 実際のケースで考えてみよう|日本製の陶器カップをアメリカへ販売する
- よくある失敗
- HSコードを確認する12の質問
- やってみよう|HS分類診断&確認チェックリスト
- アウトプットワーク|HSコード確認シートを作ろう
- 理解度チェッククイズ
- よくある質問
- 今回のまとめ
- 獲得バッジ
先に結論|HSコードは「商品名」ではなく「商品の正体」で決める
HSコードを調べるとき、商品名を検索して出てきた番号をコピーするだけでは不十分です。確認するものがあります。何の商品か、何でできているか、どの程度加工されているか、何に使うか、どんな機能があるか、成分は何か、単品かセットか、どの状態で輸出入されるかです。
例えば「カップ」という商品名だけでは、陶器製・ガラス製・プラスチック製・金属製で分類が変わる可能性があります。したがって、商品名:カップだけではなく、商品:飲料用カップ、材質:陶器、用途:飲料用、加工:完成品というように、商品の正体を明確にします。日本税関も、HS品目表では商品を原料・素材、その加工度、用途、機能等によって体系的に分類すると説明しています。
HSコードとは何か・なぜ世界共通の分類が必要か
HSコードは、国際貿易で商品を分類するための番号です。正式には、Harmonized Commodity Description and Coding Systemという国際的な商品分類制度に基づきます。WCOによると、HSは5,000を超える商品グループを6桁コードで分類する体系で、関税率表や国際貿易統計の基礎として広く利用されています。日本では一般に、HSコード、HS番号、税番などの言葉が使われます。ただし、税番という言葉は、6桁より細かい国内分類を含めて使われる場合もあります。
例えば、日本の販売者はJapanese tea cup、海外購入者はtea cup、配送会社はceramic goods、税関はceramic tablewareのように、同じ商品でも呼び方が違う場合があります。商品名だけでは、国・会社・言語によって表現が変わります。そこで、商品を一定の分類ルールへ当てはめ、番号で整理します。それにより、貿易統計、関税率表、原産地規則、輸出入制度などで商品を識別しやすくなります。
HSコードの桁構造|類・項・号(2桁→4桁→6桁)
HSコードの国際的に共通する部分は、6桁です。例えばXXXX.XXという形です。日本税関は、上位2桁=類、4桁=項、6桁=号と説明しています。6桁までがHS品目表に基づく国際的な分類です。上位2桁の類は大きな商品グループを表し、商品分類の大きな住所のようなイメージです。4桁の項では、類の中をさらに商品種類・加工状態・用途などによって商品グループへ分けます。そこにさらに2桁を追加した6桁が号で、ここまでが国際的に統一されたHSコードです。整理すると、2桁の類→4桁の項→6桁の号という順番で、住所をだんだん細かくしていくイメージです。
7桁目以降は国によって違う|日本の9桁統計品目番号
ここが重要です。6桁までは国際的に共通ですが、その先は各国・地域が、関税、統計、行政などの目的で細分することがあります。そのため、日本で使う9桁と、輸入国で使うコードが完全に同じ桁数とは限りません。WCOも、最終的な輸出入時の分類は各国・地域の関税率表に従う必要があると説明しています。
日本では、6桁のHSコード+国内細分3桁による、9桁の統計品目番号を使用します。例えばXXXX.XX-XXXという考え方です。日本税関は、6桁までが国際共通、その後の3桁が日本独自の国内細分と説明しています。海外事業者から「HS Code?」と聞かれた場合、6桁の国際分類を指していることがある一方、日本の輸出申告等では9桁の統計品目番号を確認する場面があります。そのため商品マスタでは、HS6桁、日本輸出9桁、輸入国コードを分けて管理すると整理しやすくなります。
さらに、日本の9桁統計品目番号には、輸出統計品目表と輸入統計品目表があります。6桁の国際共通部分は同じでも、日本独自の下3桁については、輸出用と輸入用で必ず同じとは限りません。日本税関も、輸出・輸入の9桁統計品目番号の国内細分は必ずしも同一ではないと案内しています。
HSコードにはバージョンがある
HSコードは、永久に同じ分類ではありません。国際貿易の商品や技術の変化に合わせ、定期的に改訂されます。2026年8月現在、国際貿易で適用されている現行版は、HS 2022です。HS 2022は2022年1月1日に発効しました。2026年時点では、次回版となるHS 2028の改正内容もWCOから公表されていますが、発効は2028年1月1日です。したがって、2026年の輸出入だからHS 2028を使うということではありません。
例えば、2018年の記事、2020年の輸出事例、古いブログにHSコードが載っていても、現在と分類番号が同じとは限りません。確認するものは、記事の作成年、使用しているHSバージョン、現在の関税率表です。商品マスタには、HSコードだけでなく、HSバージョンも記録すると管理しやすくなります。さらに、経済連携協定(EPA)では、協定によって参照するHSバージョンが異なる場合があります。日本税関も、EPA等によってHS2002、HS2007、HS2012、HS2017など採用するバージョンが異なるため、原産地規則を確認するときは該当するバージョンを確認するよう案内しています。ただし、EPA・FTA・原産地証明については、DAY57で詳しく扱います。DAY48では、HSコードには年代があると覚えてください。
SKU・JANコード・ECカテゴリー・配送カテゴリーとの違い
商品にはいろいろな番号があります。SKU、JANコード、商品番号、型番、HSコードがあり、それぞれ役割は違います。SKUは自社の在庫管理、JANは商品識別、型番は製品モデル識別、HSコードは国際貿易の商品分類です。ECの商品コードをそのまま、HSコード欄へ入れないようにします。
ECサイトでは、ホーム・キッチン、食品、ファッション、雑貨などのカテゴリーがありますが、ECカテゴリー=関税分類ではありません。ECカテゴリーは購入者が商品を探しやすくするための分類であり、HS分類は国際貿易上の商品分類で目的が違います。配送会社でも、書類、食品、危険物、一般貨物などの区分を選択することがありますが、これもHSコードそのものとは限りません。配送会社のカテゴリーは配送可否・取扱条件のために使われ、HSコードは税関の商品分類です。複数の分類を混同しないようにします。
商品名だけでは分類できない|6つの判定要素
例えば、「ケース」という商品があります。何のケースでしょうか。スマートフォンケース、眼鏡ケース、楽器ケース、工具ケース、化粧品ケースなどがあり、さらに革・布・プラスチック・金属など素材も違います。商品名:ケースだけでは分類に必要な情報が不足しています。日本税関は、HS品目表では商品を原料・材料・素材、加工度、用途、機能などによって体系的に分類すると説明しています。そのため、木製・綿製・革製・鉄製・ガラス製・プラスチック製など、主要素材を確認します。
木+金属、革+布、プラスチック+電子部品など、複数の素材でできた商品もあります。この場合、一番重い素材を自動的に選ぶとは限りません。HSには、項や号の規定、部・類の注、解釈に関する通則など、分類のための正式なルールがあります。日本税関は「HSの解釈に関する通則」が通則1~6の6つのルールから構成されると説明しています。
同じ材料でも、原料・半製品・完成品によって分類が変わることがあります。食品でも、生・乾燥・冷凍・調製済みなど、輸出入時の状態を確認します。重要なのは、最終的に何に使う予定かだけではなく、税関へ提示されるときの商品の状態です。用途についても、家庭用・工業用・医療用・装飾用など具体的に整理し、「雑貨」だけを書くのではなく何に使う商品なのかを明確にします。見た目が似ていても、単なるケースと電気機能付き製品・測定機能付き製品・通信機能付き製品では、商品としての性質が変わります。食品、化粧品、化学製品などでは成分も重要になり、主要成分、含有量、形状、用途、製造方法などを確認します。商品名を見ただけでHSコードを決めるのではなく、仕様書、成分表、製造情報まで確認します。
セット商品・付属品・梱包材を確認する
例えば、急須・湯のみ・受け皿・木製箱で構成される茶器セットがあります。この場合、4つのHSコードをそのまま全部使うのか、セットとして分類するのかは、正式な分類ルールに従って判断する必要があります。「セット商品だから一番高い商品のコード」など、独自ルールで決めないようにします。
商品本体は雑貨、おまけは食品、付属品は電池という場合もあります。DAY44でも、荷物の中身全体を確認すると学びました。HS分類でも、何を一緒に輸出するのかを明確にし、場合によっては本体・付属品それぞれの分類確認が必要になります。商品が陶器で梱包が紙箱・緩衝材という場合、通常の商品分類は販売する商品を中心に確認します。ただし、木箱そのものを販売する、特別な容器を商品として扱うなどでは状況が変わる可能性があります。「箱に入っているから箱のHSコード」ではありません。
自己流の解釈に注意する|検索結果・税率・古いバージョン
例えば、コードAは関税率が高く、コードBは関税率が低いとします。そこで「似ているからBにしよう」とはできません。先に、商品の正しい分類を決め、その分類に対してどの関税率が適用されるかを確認します。日本税関も、関税率表は輸入商品を分類し、その分類に応じて税率を定める仕組みだと説明しています。順番は、税率→コードではなく、商品→分類→税率です。
Google検索で最初に出たHSコードをそのまま使う、AIの回答をそのまま通関書類へ確定入力する、といった行為も同じ注意が必要です。AIへこの商品のHSコードを教えてと質問すると候補を出せる場合がありますが、商品仕様が不足していれば正確な分類はできません。AIへ渡す情報は、商品名、用途、素材、成分、加工状態、機能、製造方法、セット内容、販売国などで、AI回答→税関資料で確認という使い方にします。また、競合商品や過去のブログのHSコードを、商品名や見た目が似ているという理由だけでそのまま使うのも避けます。仕様が異なれば分類も変わる可能性があるため、参考商品はあくまで分類候補として使います。
HSコードと関税・規制・原産国・価格の関係
HSコードが決まると、その商品の関税率を探すための入口になります。しかし、HSコードだけ見れば世界中どこでも同じ税率ではありません。実際に適用される関税率は、輸入国、商品の分類、原産国、協定、輸入条件などによって異なります。同じ6桁HSコードの商品でも、日本へ輸入、アメリカへ輸入、フランスへ輸入では、各国・地域の関税率表を確認します。WCOも、6桁HSを共通分類として使いながら、最終的な輸出入時の分類は各国の関税率表に従う必要があるとしています。DAY49以降で、関税、税金、原産国を順番に整理します。
HSコードは、商品規制を調べるときの手掛かりとして使われることもあります。例えば、輸入許可、検査、表示、数量制限などを確認する際に、商品分類から制度を調べる場合があります。ただし、HSコードが○○だから必ず輸入可能という意味ではなく、商品ごとの法令・規制は別に確認します。具体的な規制商品は、DAY63〜65で詳しく扱います。HSコード(何の商品か)と原産国(どこの国の原産品か)も別で、同じ種類の商品でも日本原産・中国原産・ベトナム原産などがあります。HSコードだけでは原産国は決まりません。DAY51で原産国について詳しく扱います。さらに、HSコード(商品の分類)と商品価格・課税価格も別です。同じHSコードの商品でも、1,000円、10,000円、100,000円の商品があり、HSコードは価格そのものを示す番号ではありません。
HSコードを調べる前に商品情報を集める
いきなり税関サイトを検索する前に、商品の仕様を整理します。最低限、商品名、一般名称、用途、主要素材、成分、加工状態、形状、機能、サイズ、重量、原産国、製造方法、セット内容、付属品です。商品によって必要な情報は増えます。
EC商品名「月夜のうつわ」だけでは、税関には何の商品か分かりません。一般名称:陶器製飲食器など、商品カテゴリーが分かる名称を用意し、ブランド名や商品シリーズ名だけで分類しないようにします。DAY52で学ぶコマーシャルインボイスでも、商品内容、数量、価格、発送者、受取人などの情報を記載します。その商品説明がCeramic、Gift、Sampleだけでは、何の商品か分かりにくい場合があります。HSコードを整理するときに、商品の一般名称、素材、用途も一緒に整理しておくと、輸出書類の作成にもつながります。Gift、Sample、Parts、Accessories、Goodsなどの言葉だけでは具体的な商品内容が分かりません。ギフトなのかどうか、無料サンプルなのかどうかは商品の正体とは別です。Gift→中身は何?、Sample→何のサンプル?、Parts→何の部品?まで整理します。
日本の輸出統計品目表の見方・分類例規・分類事例
日本から輸出するときは、日本税関の輸出統計品目表を確認できます。2026年版の輸出統計品目表も税関サイトで公開されています。探し方は、類→項→号→国内細分と進みます。税関サイトで商品名を検索して候補コードを見つけても、そこで終了ではありません。HS分類には、部注、類注、号注、解釈に関する通則などがあり、日本税関も、HS品目表は項・号、各種の注、HSの解釈に関する通則から構成されると説明しています。つまり、検索結果に似た名称があるだけでは確定できない場合があります。
日本税関では、関税率表解説、分類例規、品目分類事例なども公開しています。2026年7月31日時点で、関税率表解説・分類例規には最新改正が反映されています。自分の商品に似た事例があれば分類を考える参考になりますが、見た目が似ているだけで同じコードと決めないようにします。日本税関では、過去の公開可能な事前教示回答について、一般的品名、税番、貨物概要などを検索することもできます。自分の商品に近い貨物が過去にどう分類されたかを見る参考になりますが、仕様、成分、用途が違えば分類も変わる可能性があります。
分からなければ税関へ照会する|事前教示制度
日本税関では、輸出入貨物の品目分類について、関税鑑査官へ問い合わせる窓口があります。分類が難しい商品を、検索結果だけで推測するより、必要な商品情報を整理したうえで確認する方法があります。日本税関には「輸出貨物の分類の照会」があり、輸出予定貨物について、輸出統計品目表上の分類を、電話、税関窓口、Eメールで照会できます。越境ECで、日本から輸出するときの9桁分類が分からない場合の確認先の一つです。
ここは非常に重要です。日本税関の輸出貨物分類照会について、税関は明確に、日本での輸出統計品目表上の分類を対象としており、輸出相手国税関での取扱いを保証するものではないと案内しています。つまり、日本税関が「このコードです」と回答しても、アメリカ税関でも絶対同じ細分とは限りません。6桁の国際共通部分を基礎にしながら、輸入国側の分類・国内細分を確認します。輸入先の分類を事前に確実にしたい場合、相手国・地域に事前教示(Advance Ruling)などの制度があるか確認する方法があります。日本税関も、日本から輸出する商品の相手国側での分類・関税率等について確実に確認したい場合は、輸出相手国税関の事前教示制度を検討するよう案内しています。
逆に、外国の商品を日本へ輸入する場合には、日本税関の品目分類の事前教示制度があります。輸入予定貨物について、関税率表上の所属区分、関税率等をあらかじめ照会できます。文書による事前教示回答については、一定条件のもと、輸入申告時の審査で尊重される仕組みがあり、回答書の有効期間は原則3年間とされています。DAY48では、難しい商品は公式照会制度があることを覚えてください。
メーカー・配送会社・AIの情報をそのまま使わない
メーカーが「HSコード:XXXXXX」と資料へ記載している場合、重要な参考情報になります。しかし、そのコードがどの国向けか、輸出用か輸入用か、何年版のHSか、どの仕様の商品かを確認します。古いコード、別モデル、別国の国内細分をそのまま使わないようにします。配送システムによっては、商品名を入力するとHSコード候補が表示される場合がありますが、候補=税関が確定した分類とは限りません。商品仕様、税関資料、輸入国側の分類と照合します。
AIへHSコードを質問して候補を得るのも同様です。AI回答→税関資料で確認という使い方にし、AIの回答をそのまま通関書類へ確定入力しないようにします。競合Aが「木製コップ」でHSコードXXXXXXだからといって、自社の「竹製カップ」も同じコードとは限りません。商品名や見た目が似ていても、素材、加工方法、構成が異なる可能性があります。参考商品は分類候補として使います。
商品仕様書を作り、生産者と役割分担する
HSコード確認用に、簡単な商品仕様書を作っておくと整理しやすくなります。商品名、一般名称、型番、用途、主要素材、素材割合、成分、加工状態、製造方法、機能、サイズ、重量、セット内容、付属品、原産国、商品写真、商品URLなどをメーカーや生産者から集めます。
農家、職人、小規模メーカーから商品を仕入れて海外へ販売する場合、「海外販売するのでHSコードを調べてください」と丸投げすると、相手の負担が大きくなります。販売側で、素材は何ですか、どのように加工していますか、成分は、用途は、セット内容はと質問し、分類に必要な情報を整理します。生産者は商品情報を提供し、販売者・輸出関係者は通関に必要な情報を整理するという役割分担にします。
商品マスタへHS情報を追加し、商品×国で管理する
DAY14で、商品マスタを学びました。越境ECでは、商品マスタにHS関連情報を追加すると管理しやすくなります。例えば、商品ID、SKU、商品名、一般名称、素材、成分、原産国、HS6桁、日本輸出9桁、販売国、輸入国コード、HSバージョン、確認日、確認先、分類根拠、確認担当者です。DAY44で商品×国で販売可否を確認したのと同じ考え方が、HSでも役立ちます。例えば商品AについてHS6桁:XXXXXX、日本輸出9桁:XXXXXXXXX、米国輸入コード:__、フランス輸入コード:__のように、6桁共通部分と国別の細分を分けて管理します。
確認レベルを決め、仕様変更時は再確認する
社内で「HS確認済み」と書いてあっても、何を確認したのか分からない場合があります。例えば、レベル1:AI候補、レベル2:税関サイト検索済み、レベル3:分類例規確認済み、レベル4:税関へ照会済み、レベル5:輸入国側確認済みなど、確認レベルを分ける方法があります。重要商品では根拠まで確認します。HSコードは改訂されるため、HS:XXXXXXだけではなく、HSバージョン:2022、確認日:2026年8月、確認資料:日本税関のように残すと、後からいつの分類かを確認できます。
商品Aについて、素材が綿100%から綿50%+合成繊維50%へ変わったとします。商品名やSKUを変えていなくても、分類へ影響する可能性があります。そのため、素材、成分、用途、機能、セット内容、製造方法などを変更した場合、HSコードを再確認するルールを作ります。逆に、商品名を「和風カップ」から「SAKURA CUP」へブランド名を変えただけなら、商品の実物が同じであれば、分類そのものは変わらない可能性があります。HSコードは、マーケティング上の商品名ではなく、商品そのものを分類します。
HSコードは越境ECの「商品データ」の一部
越境ECの商品情報は、商品名、SKU、価格、重量、サイズ、原産国、素材、成分、HSコードなど、複数情報で構成されます。HSコードだけ正しくても、商品説明、価格、数量、原産国が間違っていれば、通関情報全体として問題が残ります。HSコードは重要ですが、一つの番号だけで通関が完成するわけではありません。
DAY48の確認フロー
HSコード確認フロー
商品を決める ↓ 一般名称を決める ↓ 用途・素材・成分・加工状態・機能を確認 ↓ セット・付属品を確認 ↓ 商品写真・仕様書を用意 ↓ HSの類→項→号を探す ↓ 部注・類注・通則を確認 ↓ 分類例規・事例を確認 ↓ HS6桁を整理 ↓ 日本輸出9桁を確認 ↓ 販売先国の分類を確認 ↓ 不明なら税関・専門家等へ照会 ↓ 確認根拠を記録 ↓ 商品マスタへ登録 ↓ 仕様変更・HS改訂時に再確認
実際のケースで考えてみよう|日本製の陶器カップをアメリカへ販売する
DAY45で販売国:アメリカを選び、DAY46で言語・通貨を整え、DAY47で海外決済を確認しました。今回の商品は、日本製の陶器カップです。
Step1|ECの商品名を確認
EC上の商品名は「月うさぎ 湯のみ」でした。この名前だけでは何の商品か分かりません。
Step2|一般名称を作る
一般名称:陶器製飲料用カップとします。英語の商品説明用には、Ceramic tea cupなど、実際の商品に合った説明を準備します。
Step3|素材を確認
主要素材:陶器、装飾:釉薬、付属品:なしとします。「カップ」だけでなく素材を明確にします。
Step4|用途を確認
用途:飲料を入れる食器。装飾専用品ではありません。この情報も分類確認に使います。
Step5|完成状態を確認
完成品:はい、組立:不要、セット:単品です。
Step6|商品写真を準備
外観、底面、内側、サイズを確認できる写真を用意します。
Step7|候補となる類・項を調べる
日本税関の輸出統計品目表、品目分類検索を使います。いきなり「陶器ならこの番号」と確定しません。
Step8|項・号を読む
候補となる類・項・号を確認します。さらに類注、関税率表解説、分類例規などを確認します。
Step9|似た分類事例を見る
税関の品目分類事例、公開された事前教示回答などから、仕様が近いものを探します。見た目ではなく、材質、用途、商品状態を比較します。
Step10|HS6桁を整理
確認できた国際共通部分をHS6:____と記録します。※この教材では、商品の詳細仕様と正式な分類判断を省略しているため、特定のHSコードを例として断定しません。
Step11|日本輸出9桁を確認
日本の輸出統計品目表で、国内細分まで確認し、日本輸出統計品目番号:______とします。
Step12|米国側を確認
日本側の9桁をそのままアメリカのコードとして使用しません。国際共通6桁を基礎に、アメリカ側の関税率表・分類を確認します。
Step13|分類根拠を保存
商品ID、HSバージョン(HS2022)、HS6、日本輸出9桁、米国コード、確認日(2026年8月)、確認資料、確認担当を記録します。
Step14|商品マスタへ登録
SKUとひも付け、商品A→SKU→商品仕様→HSコード→原産国→販売国をつなぎます。
Step15|商品変更時に再確認
半年後、陶器製から陶器+金属部品付きへ仕様変更した場合、以前のHSコードをそのままコピーせず、商品仕様が変わったため再確認します。
よくある失敗
HSコードを確認する12の質問
- 商品の一般名称は何ですか?ブランド名ではなく商品そのものを説明します。
- 何に使う商品ですか?用途を確認します。
- 何でできていますか?主要素材を確認します。
- 複数素材ですか?素材構成を確認します。
- どの程度加工されていますか?原料・半製品・完成品等を確認します。
- どんな機能がありますか?電気・測定・通信等の機能も確認します。
- 成分は何ですか?食品・化粧品等では成分も整理します。
- セット商品ですか?同梱される商品を確認します。
- どのHSバージョンですか?現在使用する版を確認します。
- 日本輸出時の分類は何ですか?輸出統計品目表を確認します。
- 輸入国側の分類を確認しましたか?6桁以降の国内細分を確認します。
- その分類の根拠を残していますか?確認資料、日付、担当者を記録します。
やってみよう|HS分類診断&確認チェックリスト
6つのテーマから確認したい項目を選ぶと、確認すべきポイントの目安が分かります。あわせて、HSコード確認が一通りできているかもチェックできます。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。
① HS分類診断
② HSコード確認チェックリスト
これは自己チェック用の簡易ツールです。実際のHS分類・関税率・輸入規制の判断は、税関の公式資料や事前教示制度で確認してください。
アウトプットワーク|HSコード確認シートを作ろう
DAY45〜47で使った商品を一つ選んでください。分からない項目は、なんとなく想像で埋めないでください。商品仕様書、税関資料、メーカー情報などをもとに、商品ごとのHSコード確認シートとして残してください。
① 商品基本情報・仕様
② 原産・HS分類
③ 販売国・根拠・再確認
記入できたら完了にする
理解度チェッククイズ
第1問 HSコードとは何でしょうか?
第2問 国際的に共通するHSコードは基本何桁でしょうか?
第3問 HSコードの上位2桁は何を表すでしょうか?
第4問 HSコードの4桁部分は何と呼ばれるでしょうか?
第5問 6桁は何と呼ばれるでしょうか?
第6問 日本の統計品目番号について正しいものはどれでしょうか?
第7問 商品名が「カップ」だけの場合、適切なのはどれでしょうか?
第8問 関税率が異なる2つの候補コードが見つかりました。適切なのはどれでしょうか?
第9問 日本税関で輸出分類を確認しました。海外輸入国の国内細分について正しいものはどれでしょうか?
第10問 2026年現在の現行HS版として正しいものはどれでしょうか?
第11問|分類準備問題 次の商品があります。商品名:「SAKURA」/商品説明:日本の職人が作った人気商品です。この情報だけでHSコードを決められるでしょうか?足りない情報を挙げてください。
回答例を見る
この情報だけでは不足しています。少なくとも、一般名称、用途、素材、成分、加工状態、機能、製造方法、セット内容、付属品などを確認します。「SAKURA」は商品名・ブランド名であり、商品の分類に必要な具体的情報が不足しています。
第12問|実務判断問題 メーカーから次の情報を受け取りました。HSコード:123456789/確認年:2019年/対象国:不明/商品仕様:旧モデル。現在販売する商品は、2026年モデルで素材も一部変更、アメリカ向けです。このコードをそのまま使用してよいでしょうか?
回答例を見る
そのまま使用しません。確認すべき点は、①2019年からHS版が変わっている可能性、②対象国が不明、③旧モデルの分類、④現行商品は素材が変更、⑤アメリカ側の国内分類が必要、です。
対応は、現在の商品仕様を整理→2026年時点のHS分類を確認→日本輸出側を確認→米国輸入側を確認→確認根拠を保存、という流れになります。
よくある質問
国際貿易の商品分類に使われます。各国の関税率表や貿易統計の基礎となり、関税・原産地規則・各種輸出入制度を確認するときの重要な商品情報になります。WCOによれば、HSは200を超える国・経済圏で利用されています。
6桁まではHS条約に基づく国際共通部分です。それ以降は国・地域独自の細分が加わる場合があります。そのため日本の9桁番号を海外でそのまま使うとは限りません。
6桁のHSコードへ、日本独自の3桁国内細分を追加して統計品目番号として使用するためです。
必ずしも同じではありません。日本税関は、輸出と輸入の国内細分3桁が異なる場合があると説明しています。
候補を探すことはできますが、商品名だけでは確定できない場合があります。素材、加工状態、用途、機能、成分などを確認し、項・号の規定や注、分類ルールを確認します。
候補探しや商品情報の整理には使えますが、正式な分類判断の代わりとは考えません。税関の関税率表、分類例規、事前教示回答、輸入国側の情報等で確認します。
参考になりますが、HSバージョン、対象国、商品モデル、仕様を確認します。商品仕様や販売国が違えば再確認します。
HS条約に基づく国際共通部分は6桁ですが、最終的な分類判断は輸入国・地域の税関・関税率表に従います。日本税関も、日本側の輸出分類回答は相手国税関の取扱いを保証しないとしています。
まず商品仕様を整理し、日本税関の輸出統計品目表、分類例規、分類事例などを確認します。輸出貨物については税関へ電話・窓口・Eメールで分類照会する制度もあります。
日本税関には輸出予定貨物の「輸出貨物の分類の照会」があります。一方、日本の品目分類の正式な事前教示制度は主に日本へ輸入予定の貨物について利用する仕組みです。輸出相手国での分類を確実にしたい場合は、相手国税関の事前教示制度等を確認します。
HS自体が改訂されるほか、商品素材・成分・機能・セット内容等が変われば分類の再確認が必要になる場合があります。2026年現在はHS 2022が現行で、次回HS 2028は2028年から適用予定です。
HS分類は関税率を調べる重要な入口ですが、それだけでは最終的な税額は決まりません。輸入国、原産国、適用税率、課税価格、協定なども関係します。次回DAY49から、税金の仕組みを順番に整理します。
今回のまとめ
HSコードは、海外配送用の商品番号ではありません。国際貿易で、何の商品なのかを分類するための国際的な仕組みです。今回覚えておきたいポイントは次の5つです。
- HSコードは国際貿易の商品分類番号
- 6桁までが国際的な共通部分
- 日本では6桁+国内細分3桁の9桁統計品目番号を使う
- 商品名だけでなく素材・用途・加工状態・機能等から分類する
- 日本側の分類と輸入国側の最終分類は別に確認する
基本の流れは、商品名を確認→一般名称を作る→素材を確認→成分を確認→用途を確認→加工状態を確認→機能を確認→セット・付属品を確認→HSの類を確認→項を確認→号を確認→6桁HSを確認→日本輸出9桁を確認→輸入国側の分類を確認→根拠を保存→商品マスタへ登録→商品・HS改訂時に再確認です。大切なのは、商品名から番号を当てることではありません。この商品は、何でできているのか、どんな状態なのか、何に使うのか、どんな機能があるのかを整理し、HSのルールへ当てはめることです。
さらに、6桁が分かっただけで終了ではありません。日本の輸出統計品目番号と、販売先の輸入国側の分類を確認します。特に越境ECでは、一つの商品を複数国へ販売する可能性があります。そのため、商品×HS6桁×日本輸出番号×販売国×輸入国側コードを商品マスタで管理すると整理しやすくなります。HSコードが正しく整理できれば、次に、この商品にはどんな関税が関係するのか、輸入時にどんな税金が発生するのかを確認できます。
「HSコードは“税率を安くする番号探し”じゃないよ。まず商品を正しく分類して、そのあと税金や規制を調べるんだ!」
DAY48の実践課題
DAY45〜47で使った商品を一つ選んでください。商品名、SKU、一般名称、用途を書き出し、主要素材、その他素材、素材割合を整理します。主成分、その他成分も確認します。原料/半製品/完成品の別、加工方法、製造方法を整理し、主な機能(電気機能・通信機能の有無等)、単品/セットの別、セット内容、付属品を書き出します。原産国、製造国も確認します。HSバージョン、類、項、号、HS6桁を整理し、日本輸出9桁統計品目番号、確認資料、確認日を記録します。販売国、輸入国側コード、確認先、確認状態(○/△/未確認)も整理し、分類根拠として、日本税関の輸出統計品目表、部注・類注、関税率表解説、分類例規、品目分類事例、メーカー資料、税関への照会、輸入国税関のうち、どれを確認したかをチェックしてください。分からない場合は、Google検索で見つけた番号を「たぶんこれ」として確定しないでください。商品仕様を整理し、税関資料、メーカー資料、分類事例、必要に応じた税関照会を使い、分類根拠を残してください。

