関税・輸入税・輸入消費税の違いとは?越境ECの税金と負担者をわかりやすく解説 DAY49
【DAY49】関税・輸入税・輸入消費税の違い
海外販売で発生する税金の種類と、誰がどこで負担するのかを整理する
DAY48では、HSコードを学びました。HSコードは、商品を国際的なルールで分類するための番号でした。では、HSコードが分かったら次に何を見るのでしょうか。その一つが、税金です。越境ECでは、海外購入者から「関税はいくらですか」「税金は商品代金に含まれていますか」「商品到着時に追加料金はかかりますか」と聞かれることがあります。ここで「海外へ送ると関税がかかります」とだけ答えると不十分です。なぜなら、輸入時には、関税だけでなく、その国の消費税に相当する税、その他の内国税などが関係する場合があるからです。
さらに、関税率0%の商品でも、別の輸入時税金が発生する場合があります。日本税関でも、日本へ貨物を輸入するときは原則として、関税のほか内国消費税や地方消費税が課されると説明しています。つまり、関税=輸入時にかかる税金全部ではありません。
「“関税0%だから税金なし!”とは限らないよ。関税と、輸入するときにかかる別の税金を分けて考えよう!」
DAY48との違い
DAY48では、商品は何なのかをHSコードで分類しました。DAY49では、その商品を輸入するとき、どのような種類の税金が関係するのかを整理します。つまり、DAY48は「商品分類」、DAY49は「税金の種類」です。DAY50では、VAT、GST、少額貨物の免税基準など、国によって異なる消費税型の制度を詳しく整理します。DAY49では、各国のVAT税率を覚えるところまでは進みません。
この記事で分かること
- 関税とは何か、「輸入税」という言葉の使い方の注意点
- 輸入消費税とは何か、関税と消費税の目的・計算方法の違い
- 関税率0%でも税金が発生する理由、HSコード・原産国・課税価格との関係
- 従価税・従量税とは何か、誰が関税を納めるのか
- 購入時徴収と到着時徴収の違い、税金と配送会社の手数料を分ける理由
- 少額免税・ギフト・サンプルが必ず免税ではない理由、Landed Costという考え方
- 税関・通関業者・税理士など、誰に何を確認すればよいか
- 先に結論|「関税」と「輸入時の税金全部」は同じではない
- 関税とは・「海外発送手数料」ではない
- 「輸入税」という言葉には注意する
- 輸入消費税とは・国が変われば税制度も変わる
- 関税と消費税は別|関税ゼロ=税金ゼロではない
- HSコードから関税率を確認する・原産国とEPA/FTA
- 課税価格とは・送料や保険料が関係する場合
- 従価税・従量税とは
- 誰が関税を納めるのか
- 配送会社が税金を回収する場合・手数料と税金を分ける
- 購入時徴収と到着時徴収・負担者を購入前に分かるようにする
- 税額を断定しすぎない・見積もりと確定を分ける
- 低価格・ギフト・サンプルは必ず免税ではない
- Landed Cost(最終負担額)という考え方
- 税負担条件はCS・価格比較にも影響する
- 販売国マスタへ税情報を追加する
- 誰へ確認するのか|税関・通関業者・税理士の役割
- DAY49で覚える税金の地図
- 実際のケースで考えてみよう|日本の陶器を海外購入者へ販売する
- よくある失敗
- 関税・輸入税を確認する12の質問
- やってみよう|税金診断&確認チェックリスト
- アウトプットワーク|越境EC税金確認シートを作ろう
- 理解度チェッククイズ
- よくある質問
- 今回のまとめ
- 獲得バッジ
先に結論|「関税」と「輸入時の税金全部」は同じではない
最初に整理します。海外の商品がある国へ入るとき、関税、輸入時の消費税・VAT・GST等、酒税等の商品固有の税、その他国ごとに定められた税といった税金が関係する場合があります。日本へ輸入する場合を例にすると、関税、消費税、地方消費税、さらに商品によっては酒税、たばこ税などが関係する場合があります。したがって、海外から輸入したら関税だけ計算すればよい、ではありません。大きく、①商品分類、②関税、③輸入時の消費税等、④その他の商品固有税に分けます。
関税とは・「海外発送手数料」ではない
関税は、外国から商品を輸入するときに課される税です。日本税関では、輸入貨物の価格または数量を課税標準として関税を課す仕組みを説明しています。海外から日本へ商品を輸入する場合、日本側で関税が発生することがあります。逆に、日本からアメリカへ商品を販売する場合、日本の販売者から見れば、アメリカ側の輸入時に関税が関係する可能性があります。つまり関税は、発送国で商品を売ったことではなく、商品が輸入国へ入ることに関係する税です。
関税を、海外へ荷物を送るための手数料と考えないようにします。国際送料は配送会社へ支払う輸送費で、関税は輸入国の制度に基づいて課される税金です。例えば、商品10,000円、送料3,000円、関税__円というように、別々の費用として扱います。
「輸入税」という言葉には注意する
DAY49のタイトルには「輸入税」という言葉があります。ただし、日本の税関制度で「輸入税」という名前の一つの税金があるわけではありません。実務や海外情報では、Import Tax、Import Taxesなどの表現が、輸入時に発生する税金全体を広く指して使われる場合があります。例えば、関税、輸入VAT、輸入時の消費税、その他税をまとめてImport Taxesと説明するケースがあります。そのため「輸入税はいくら?」と聞かれた場合、関税だけの話なのかVAT等も含むのかを確認します。
この講座では分かりやすく、輸入税を、輸入時に発生する税金の総称として扱います。つまり、輸入税=関税+輸入時の消費税・VAT・GST等+その他の商品固有税等というイメージです。ただし、国によって正式な税名は異なるため、実際の取引では各国の制度上の正式名称を確認します。
輸入消費税とは・国が変われば税制度も変わる
日本では、外国から貨物を輸入すると、輸入時に消費税・地方消費税が課される場合があります。日本税関は、輸入貨物について原則として関税、内国消費税、地方消費税が課されると説明しています。一般的に「輸入消費税」という言葉は、輸入貨物にかかる消費税を説明するときに使われます。日本税関が示す現行税率では、標準税率は消費税7.8%+地方消費税2.2%=10%、軽減税率対象は合計8%となっています。ただし、越境ECで日本から海外へ販売する場合に、日本の輸入消費税が購入者へかかるという意味ではありません。商品が入る国側の税制度を確認します。
例えば、アメリカから日本へ商品を輸入すれば、日本の関税、日本の輸入消費税等を確認します。一方、日本からフランスならフランス・EU側の制度、日本からシンガポールならシンガポール側の制度を確認します。つまり、輸入する国が変われば、税制度も変わります。DAY50では、VAT、GSTなどの違いを整理します。
関税と消費税は別|関税ゼロ=税金ゼロではない
関税は、商品分類、関税率、課税価格や数量などから計算します。一方、輸入時の消費税型の税金は、輸入国の消費税・付加価値税制度に基づいて課されます。したがって、関税率0%でも、輸入時の消費税は課税ということがあります。日本税関も、関税が無税の商品であっても、内国消費税や地方消費税のみが課税される場合があると説明しています。
ここはDAY49で非常に重要です。例えば、HSコード確認の結果、関税率0%だったとします。購入者へ「税金はかかりません」と案内してはいけません。確認するものは、関税0%、輸入時のVAT・GST・消費税__、その他税__です。関税が0でも、別の税が発生する可能性があります。逆に、すべての商品に必ず関税が発生するわけでもありません。日本税関の関税率表でも無税となる品目があり、さらに国ごとの少額免税制度、EPA・FTA、原産国、商品分類などによって関税負担が変わる場合があります。海外へ送る=必ず関税でも、海外へ送る=税金なしでもありません。
HSコードから関税率を確認する・原産国とEPA/FTA
DAY48で確認したHSコードがここでつながります。商品→HSコード→輸入国の関税率表→関税率という順番です。陶器、衣類、食品、機械では分類が異なるため、関税率も異なる場合があります。日本の関税率表も、輸入商品を分類し、それぞれに税率を設定しています。ただし、HSコードが分かっても、最終的に適用される税率には、輸入国、原産国、協定、商品条件などが関係する場合があります。したがって、HSコード→税率1つと単純には決まりません。DAY51で原産国、DAY57でEPA・FTAを詳しく扱います。
例えば、中国で製造した商品を、日本のEC事業者が仕入れて日本からアメリカへ発送するとします。発送国は日本、原産国は中国となる可能性があります。関税では、どこから発送したかだけでなく、原産国が関係する場合があります。つまり、日本から発送=日本原産ではありません。
課税価格とは・送料や保険料が関係する場合
商品価格10,000円だから、関税は10,000円×税率と必ずなるわけではありません。関税計算では、課税価格という考え方があります。日本税関では、税額を計算するときの基礎となる価格や数量を課税標準と呼び、価格を基礎とする場合の価格を課税価格と呼んでいます。課税価格は、単純なECサイトの商品表示価格と必ず同じではありません。日本の一般的な輸入取引では、輸入貨物について実際に支払われる価格に、一定の運賃等の加算要素を加えて課税価格を計算するのが原則です。
例えば、商品価格10,000円、国際送料3,000円だったとします。課税価格の計算方法によっては、国際運賃等が加算対象になります。日本税関の一般輸入貨物では、輸入港までの運賃や保険料等が課税価格の加算要素になります。ただし、国、取引形態、個人使用、配送形態などによって計算ルールは異なります。海外購入者へ税額を案内するときは、商品価格だけで単純計算しないようにします。さらに日本では、個人が自分で使う目的で輸入する貨物について、一般の商業輸入とは異なる課税価格の取扱いがあります。税関は、個人的使用のために輸入する貨物について、海外小売価格に一定割合を掛けて課税価格を算出する取扱いを示しています。したがって、法人輸入の計算例を、個人向け越境ECへそのまま当てはめるとは限りません。
従価税・従量税とは
関税の計算方法の一つが、従価税です。価格を課税標準として、課税価格×関税率という考え方で計算します。日本税関では、従価税を輸入品の価格に比例して関税がかかる方式として説明しています。越境ECで目にする「関税率○%」は、この考え方に近いものです。一方、関税には、商品の価格ではなく、数量・重量・容量などを基準にする従量税もあります。日本税関でも、数量を課税標準とするものを従量税としています。つまり、関税=必ず価格×○%ではありません。商品によって計算方法が異なります。さらに日本税関では、価格と数量の双方を課税標準とする従価従量税も説明しています。DAY49で細かい計算方法を暗記する必要はありません。関税率○%だけではない商品もあると覚えてください。
誰が関税を納めるのか
DAY43では、輸入者を学びました。税金の話で再び重要になります。日本の場合、関税の納税義務者は原則として、貨物を輸入する者です。輸入取引による貨物では、原則としてインボイスやB/Lに記載される荷受人が「貨物を輸入する者」とされますが、単に荷受人として記載されているだけで自動的に輸入者になるわけではなく、取引実態も確認されます。
越境ECでは、海外購入者=関税を払う人となる販売方法があります。しかし、必ず購入者とは限りません。販売者側が、輸入手続や税負担を含めた配送条件を設定することもあります。つまり、法律上の輸入者・納税義務者と、商取引上、最終的に費用を負担する人は分けて考える必要があります。この具体的な配送条件は、DAY54のDDP・DAPで詳しく整理します。「誰が税金を払う?」には、①誰が税関に対して納税義務を負うか、②誰が最終的にその費用を負担するか、という2種類の意味があります。例えば、配送会社が税金を一時的に立替→購入者から回収という場合もあり、この場合、配送会社が最終負担者とは限りません。
配送会社が税金を回収する場合・手数料と税金を分ける
国際配送では、配送会社や郵便事業者が、税金を購入者から回収する場合があります。日本の国際郵便による個人輸入でも、一定の場合には、日本郵便を通じて課税通知書や納付書が届けられ、受取時等に税額や取扱手数料を支払う仕組みがあります。重要なのは、配送会社へ払った金額=全部税金とは限らないことです。
購入者から「到着時に5,000円請求されました」と言われたとします。内訳が、関税2,000円、輸入税2,000円、配送会社手数料1,000円かもしれません。したがって、請求額だけではなく、税金、通関関連手数料、配送会社取扱手数料を分けて確認します。「関税手数料が高いです」という問い合わせも、実際には関税、VAT・消費税、配送会社の立替手数料、通関手数料が混ざっている可能性があります。購入者から請求書や通知書が提示されたら、項目名を確認します。
購入時徴収と到着時徴収・負担者を購入前に分かるようにする
越境ECサービスによっては、購入者が注文するときに、商品代金、送料、推定関税、輸入税などをまとめて表示・回収する仕組みがあります。その場合、購入者は到着時の追加支払いを減らしやすくなります。ただし、利用するECサービス、配送方法、国、商品によって仕組みが異なり、「海外ECなら購入時に全部払う」とは決めません。別の販売方法では、購入時は商品代金+国際送料のみ→輸入国到着→税関処理→関税・輸入税等を購入者が支払い→商品受取ということがあります。購入者が追加料金を知らなかった場合、受取拒否につながる可能性があります。
商品ページや配送条件では、輸入時に関税・税金等が発生する可能性、誰が負担する条件なのかを購入者が確認できる状態にします。避けたい表示は「海外送料3,000円」のみで、これでは購入者が3,000円払えば全費用終了と思う可能性があります。関税以外にも、輸入VAT・GST、その他税、配送会社手数料などが発生する場合があるため、「関税のみ購入者負担」という表現だと他の輸入時費用の扱いが不明になります。例えば「輸入時に発生する関税・税金・通関関連費用等は、販売条件に従い購入者負担となる場合があります」など、実際の運用に合わせて整理します。
税額を断定しすぎない・見積もりと確定を分ける
「税金がかかるかもしれません」だけでは、購入者は判断しづらくなります。可能な範囲で、対象国、税金の種類、支払時点、負担者、確認方法を案内します。ただし、確定できない税額を「必ず○円です」と断定しないようにします。実際の税額には、商品分類、課税価格、原産国、輸入国、免税制度、適用税率、通関時の判断、為替換算などが関係する場合があり、商品ページ作成時点の簡易計算と、実際の輸入通関時の確定額が異なる可能性があります。EC上でEstimated Duties、Estimated Import Taxesなど推定額が表示される場合、Estimated=推定であることを購入者へ分かるようにします。
海外取引では、USD、EURなど外貨建て価格を、輸入国の通貨へ換算して税額を計算することがあります。日本税関でも、関税評価に使用する外国為替相場を定めています。そのため、購入日の為替、販売者が見た為替、カード会社の為替、税関が使う為替が必ず同じとは限りません。DAY46では販売価格を外貨表示するための為替を学びましたが、DAY49では税関が課税価格等を計算するための為替が関係する場合があります。商品表示用の換算レートと、通関上の換算レートを混同しないようにします。
低価格・ギフト・サンプルは必ず免税ではない
低価格なら税金は必ずゼロというわけではありません。国によって少額貨物の免税制度が異なります。さらに、関税の免税と消費税・VAT等の免税が同じ条件とは限りません。日本の場合、課税価格の合計が1万円以下の物品は原則として関税・消費税が免税されますが、一定の商品や酒税・たばこ税等には例外があります。つまり、安い商品=絶対無税ではありません。越境ECでは、De Minimisなど、一定価格以下の輸入貨物について関税等を軽減・免除する制度が設けられる場合がありますが、基準額、対象税、対象商品、制度条件は国・地域によって異なり、変更されることもあります。DAY50では免税基準を詳しく学びます。DAY49では、安い商品だから無税と決めないと覚えてください。
「ギフト」と書けば免税になるわけでもありません。本当に贈答品として扱われるか、価格、送り手と受取人の関係、制度、商品種類などを確認します。ECで購入された商品を、インボイス上「Gift」と書けば関税を避けられるというものではありません。無料サンプルなら税金なし、というのも必ずではありません。商品代金を購入者から受け取っていなくても、税関上の価値を確認する必要があり、「無料だから価値0円」とは限りません。サンプル品や贈答品の通関については、DAY56で詳しく整理します。さらに、実際の商品価格10万円をインボイスに1万円と虚偽記載して税金を安くすることは適切ではありません。インボイスには実際の取引内容に基づく情報を記載します。
Landed Cost(最終負担額)という考え方
購入者が気にするのは商品価格だけではありません。商品代金+国際送料+関税+輸入時のVAT・GST・消費税+通関・配送会社手数料=最終負担額です。これを、Landed Costという考え方で整理することがあります。Landed Costは一般的に、商品を目的地まで届けるために必要になる総費用を考える言葉で、商品価格、送料、保険、関税、輸入税、通関関連費用などを含みます。EC購入者側から見ると、最終的にいくら払えば商品を受け取れるのかという考え方になります。
例えば、商品A5,000円でも、送料4,000円、輸入税2,000円、手数料1,000円なら最終負担は12,000円になります。商品B6,000円は、送料込み・税金込みなら最終負担6,000円かもしれません。つまり越境ECでは、商品価格だけで競争力を判断しないことが重要です。DAY45で調べた競合商品の価格を見るときも、商品価格だけで比較せず、送料込みか、関税込みか、税別か、購入時徴収か到着時徴収かを確認します。価格は安いが到着時に税金がかかる競合と、価格は高いが税込みの競合では、購入体験が違います。
税負担条件はCS・価格比較にも影響する
購入者から、追加料金を請求された、聞いていない、受け取りたくないという問い合わせが発生することがあります。CS担当者は、税額を勝手に計算するのではなく、注文時の販売条件、配送条件、輸入者、負担者、配送会社を確認します。「関税はいくらですか?」という問い合わせに対して、担当者ごとにバラバラの回答をするのは避け、商品確認→販売国確認→HSコード確認→原産国確認→販売条件確認→公式情報・サービス確認→確定できない場合はその旨を案内、という回答フローに統一します。税率が確定できない場合でも、商品名、HSコード候補または確認済みコード、原産国、商品価格、送料、配送方法、販売条件など、販売者側で分かる情報は提供し、最終的な税額は輸入国税関等の判断となる場合があることを案内します。
販売国マスタへ税情報を追加する
DAY44では、商品×国で販売可否を管理しました。DAY49では、税情報を追加します。例えば、商品:陶器カップ、販売国:アメリカ、HS6:__、原産国:日本、関税率:__、輸入税:__、免税基準:__、税負担者:__、支払時期:購入時/輸入時/その他、確認日:__、確認先:__です。同じ商品でも原産国が変われば、適用関税率等が変わる可能性があります。例えば、商品Aの日本製と中国製では、同じHSコードでも協定等による税率が異なる場合があります。したがって、商品×販売国×原産国を管理します。
悪い管理は「関税率:5%」だけで、どの国か、どのHSコードか、いつ確認したか、どの原産国か、何の税率かが分かりません。良い管理は、販売国、HS、原産国、関税率、税率種類、確認日、確認資料を分けて記録します。関税:5%、VAT:20%だった場合、税率:25%とまとめず、関税率と輸入VAT等、その他税を分けて管理します。計算の基礎や課税方法が違う場合があるためです。
関税率、少額免税制度、VAT・GST制度、越境EC向け徴税制度などは、制度改正で変わる可能性があります。そのため、税率マスタには確認日を入れ、2021年の税率を2026年の販売へそのまま使わないようにします。例えば、商品担当はHSコード・原産国、物流担当は配送条件、経理・税務担当は税制度確認、CSは購入者案内というように分担し、「誰かが知っているはず」にしないことが重要です。
誰へ確認するのか|税関・通関業者・税理士の役割
商品価格、販売国、販売条件、どの配送方法を使うか、税負担をどの条件で販売するかなどは、販売者側で設計します。ただし、税率、法的な納税義務者、輸入国の税制度などは、公式情報、税関、通関業者、専門家へ確認する必要があります。商品分類、関税率、課税価格、輸入制度など、税関が確認先になる項目があります。日本へ輸入する場合、日本税関は輸入時の関税・消費税等について各種カスタムスアンサーや相談窓口を公開しています。海外へ販売する場合は、販売先国の税関・行政機関の情報を確認します。
実際の輸出入では、通関業者が関わる場合があります。輸入申告、関税等の申告、通関書類などについて実務確認を依頼できますが、通関業者へ頼んだから販売者側は何も理解しなくてよいとは考えません。少なくとも、商品分類、原産国、価格、負担条件は整理します。販売者が税金を購入時に回収する、海外で税登録が必要、海外で申告・納税義務が生じる、売上処理、会計処理などは、税務専門家への確認が必要になる場合があります。配送会社と税務専門家の役割を混同しません。
DAY49で覚える税金の地図
税金確認の地図
商品 ↓ HSコード ↓ 原産国 ↓ 輸入国 ↓ 【関税】 関税率/課税価格/数量等 ↓ 【輸入時の消費税等】 VAT/GST/輸入消費税等 ↓ 【その他税】 商品ごとの税 ↓ 【負担者】 輸入者/販売条件 ↓ 【支払方法】 購入時/輸入時/配送時等 ↓ 商品受取
ここまでを一本で理解します。商品分類がなければ関税率を探しにくくなりますが、HSコードが分かった=税金が全部分かった、でもありません。さらに、原産国、課税価格、輸入国、免税制度、輸入時の消費税等を確認します。
実際のケースで考えてみよう|日本の陶器を海外購入者へ販売する
商品:日本製陶器カップ、商品価格:5,000円、国際送料:2,000円、販売国:国Aとします。※国ごとの実税率は異なるため、このケースでは特定国の税率を仮定せず、確認手順だけを学びます。
Step1|商品を分類
DAY48で、HSコード:__を確認します。
Step2|原産国を確認
原産国:日本です。発送国:日本、原産国:日本となります。
Step3|販売国を確認
輸入国:国Aを確認します。関税は、日本の税率ではなく、国A側の輸入制度を確認します。
Step4|関税率を確認
HSコード、原産国、国Aの関税率表、協定等を確認し、関税率:__%と確認します。
Step5|課税価格を確認
商品価格5,000円、送料2,000円ですが、5,000円だけが課税基準とは決めません。国Aの課税価格のルールを確認します。
Step6|関税額を確認
関税計算方式(従価税/従量税/その他)を確認し、見積関税:__とします。
Step7|輸入時の消費税等を確認
国AにVAT、GST、売上税型の輸入税などがあるか確認します。税率:__、課税対象:__です。
Step8|その他税を確認
商品:陶器について、特別な商品税等(なし/あり/未確認)を確認します。
Step9|誰が輸入者か確認
DAY43で学んだ輸入者を確認します。輸入者:購入者/販売者/現地事業者/その他です。
Step10|誰が負担する条件か確認
販売条件:購入者負担または販売者側で処理などを確認します。具体的なDDP・DAPは、DAY54で扱います。
Step11|いつ支払うか確認
購入時に税金を回収するか、輸入時に購入者へ請求するか、配送時に配送会社から請求するかを整理します。
Step12|購入者表示を作る
商品ページでは、商品価格、送料、輸入時税金の扱い、負担者を確認できる状態にします。
Step13|注文データへ保存
注文番号、商品価格5,000円、送料2,000円、関税見積、輸入税見積、負担者と保存します。
Step14|実際の請求と照合
購入者から到着時に税金を請求されたという問い合わせがあれば、実際の課税通知と注文時の案内を比較します。
Step15|販売国マスタを改善
見積と実績に大きな差があれば、HSコード、課税価格、税率、表示、配送方法を見直します。
よくある失敗
関税・輸入税を確認する12の質問
- 何の商品ですか?DAY48のHSコードを確認します。
- 原産国はどこですか?発送国と分けます。
- どの国へ輸入しますか?輸入国を特定します。
- 関税率はいくらですか?輸入国の関税率表を確認します。
- 課税価格は何を基準にしますか?商品価格だけで決めません。
- 関税以外の輸入時税金がありますか?VAT・GST・消費税等を確認します。
- その他の商品固有税がありますか?酒類等では別の税が関係する場合があります。
- 少額免税制度はありますか?対象税・基準・例外を確認します。
- 誰が輸入者ですか?DAY43の役割を確認します。
- 誰が費用を負担しますか?法的納税義務と販売条件を分けます。
- いつ税金を支払いますか?購入時・輸入時等を確認します。
- 購入者へどこまで表示していますか?追加費用が分かる状態にします。
やってみよう|税金診断&確認チェックリスト
6つのテーマから確認したい項目を選ぶと、確認すべきポイントの目安が分かります。あわせて、税金まわりの確認が一通りできているかもチェックできます。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。
① 税金診断
② 税金確認チェックリスト
これは自己チェック用の簡易ツールです。実際の税率・課税価格・免税制度の判断は、税関の公式資料や専門家への確認で行ってください。
アウトプットワーク|越境EC税金確認シートを作ろう
DAY48でHSコードを確認した商品を一つ使ってください。分からない税率を、たぶん○%で埋めないでください。まず関税、輸入時の消費税等、その他税を分け、さらに誰が払うか、いつ払うかまで整理してください。
① 商品・販売国
② 関税・輸入時税
③ 負担・表示・記録
記入できたら完了にする
理解度チェッククイズ
第1問 関税とは何でしょうか?
第2問 「輸入税」について適切なのはどれでしょうか?
第3問 関税率が0%の商品について正しいものはどれでしょうか?
第4問 関税率を調べるときに重要なのはどれでしょうか?
第5問 関税計算の基礎となる「課税価格」について正しいものはどれでしょうか?
第6問 従価税とは何でしょうか?
第7問 関税を納める者について適切なのはどれでしょうか?
第8問 配送会社から5,000円請求されました。適切なのはどれでしょうか?
第9問 商品価格が低ければ必ず免税でしょうか?
第10問 海外購入者へ税金を案内するとき適切なのはどれでしょうか?
第11問|整理問題 次の商品があります。商品価格:10,000円/国際送料:3,000円/HSコード:確認済み/関税率:0%。この情報だけから、「購入者が払う税金は0円です」と案内してよいでしょうか?
回答例を見る
案内してはいけません。分かっているのは関税:0%だけです。さらに、輸入時のVAT・GST・消費税等、その他税、少額免税制度、課税価格を確認します。つまり、関税0≠輸入時税金0です。
第12問|実務判断問題 海外購入者から、「商品は5,000円だったのに、受取時に3,000円追加請求された。サイトに書いていなかった」と問い合わせが来ました。販売者は何を確認するべきでしょうか?
回答例を見る
まず内訳を確認します。注文番号→商品→販売国→HSコード→原産国→輸入者→関税→輸入時税金→配送会社手数料→注文時の税負担表示→購入者へ実際に請求された通知書、の順に確認します。
もし、購入者負担の税金が発生する販売条件なのに、購入前に十分案内していなかった場合は、商品ページ、配送案内、FAQ、注文確認を見直します。
よくある質問
必ずしも同じではありません。「輸入税」という言葉は、関税だけでなく輸入時のVAT・GST・消費税などをまとめて指す場合があります。実際の取引では、何の税を指しているか確認します。
別です。関税は輸入貨物の分類や関税率等に基づいて課されます。輸入消費税は、日本へ貨物を輸入する際に課される消費税等を説明するときに使われる言葉です。日本税関では輸入時に関税、内国消費税、地方消費税等が課される仕組みを示しています。
そうとは限りません。関税が無税でも、輸入時の消費税・VAT・GSTや配送会社の取扱手数料などが関係する場合があります。
輸入国の法令上の納税義務者を確認します。日本では原則として「貨物を輸入する者」が関税の納税義務者です。越境ECでは、さらに販売条件によって購入者・販売者のどちらが実質的な費用を負担するかを整理します。
直接販売ではそうなる場合がありますが、必ずではありません。現地事業者、倉庫、輸入販売会社などが輸入者になる取引もあります。DAY43で学んだ役割を確認します。
利用する販売・配送方法によって、購入時に関税や輸入税相当額を回収する仕組みがあります。ただし、実際の納税・精算方法や販売者の義務はサービス・国によって異なります。DAY54のDDP・DAPでも詳しく整理します。
国ごとに少額免税制度がありますが、基準や対象税、例外商品は異なります。また制度は変更される可能性があります。DAY50で免税基準を詳しく扱います。
ギフトと表示しただけで免税になるわけではありません。本当に贈答品に該当するか、金額、商品、送り手・受取人、輸入国の制度などを確認します。
課税価格の計算方法によっては運賃・保険料等が含まれる場合があります。日本の一般輸入では、輸入貨物の取引価格に輸入港までの運賃等の加算要素を加える方法が原則です。輸入国の制度を確認します。
利用するECサービスで推定税額を表示できる場合があります。ただし、見積りか確定額かを分かるようにします。最終税額は輸入時の分類・課税価格・税関判断等により変わる可能性があります。
輸入通関が進まず、配送停止や返送などにつながる可能性があります。具体的な扱いは配送会社・輸入国制度によります。そのため、誰が負担するかを購入前に明確にします。
配送・通関実務について確認できる範囲はありますが、海外での税登録や申告義務、会計処理などは税務専門家への確認が必要になる場合があります。質問内容に応じて確認先を分けます。
今回のまとめ
越境ECで、税金=関税と考えないことが重要です。今回覚えておきたいポイントは次の5つです。
- 関税は輸入時にかかる税金の一つ
- 輸入時には消費税・VAT・GST等が別に関係する場合がある
- 関税0%でも他の税金が発生することがある
- 税額はHSコード・課税価格・原産国・輸入国等から確認する
- 法的な納税義務者と販売上の費用負担者を分ける
基本の確認順序は、商品を確認→HSコードを確認→原産国を確認→輸入国を確認→関税率を確認→課税価格を確認→関税額を確認→輸入時の消費税・VAT・GST等を確認→その他税を確認→免税制度を確認→輸入者を確認→費用負担者を確認→支払時期を確認→購入者へ表示→実際の課税結果を記録です。DAY48でHSコードを覚えた理由がここでつながります。HSコードが分からなければ、正しい関税率を探しにくくなります。しかし、HSコードが分かった=税金が全部分かった、でもありません。さらに、原産国、課税価格、輸入国、免税制度、輸入時の消費税等を確認します。
そして越境ECで最も避けたいのが、購入者が商品5,000円・送料2,000円・合計7,000円だと思って購入したのに、商品到着後に追加で税金・手数料を請求され「聞いていない」という状態です。税額を完全に確定できない場合でも、税金が発生する可能性、誰が負担する条件なのか、いつ支払う可能性があるのかを購入前に分かるようにします。
「“関税はいくら?”って聞かれたら、関税だけを見るんじゃないよ。HSコード・原産国・輸入国・輸入時の税金まで順番に確認しよう!」
DAY49の実践課題
DAY48でHSコードを確認した商品を一つ使ってください。商品名、SKU、HS6、原産国、販売国を書き出し、商品価格、通貨、国際送料、保険を整理します。関税率、計算方式(従価税/従量税/その他/未確認)、課税価格、関税見積、確認先を確認します。輸入時税として、税名、VAT・GSTの有無、その他税、税率を整理し、少額免税の有無、基準、例外も確認します。輸入者、法的納税義務者、販売条件上の負担者(販売者/購入者/その他/未確認)を整理し、購入時・輸入時・配送時それぞれの徴収有無、その他の支払方法も書き出します。購入者表示として、関税が発生する可能性、輸入税が発生する可能性、負担者、支払時期、税額が推定か確定か、配送会社手数料等の可能性をチェックし、確認日、確認資料、担当者、まだ分からない項目も記録してください。

