ECビジネスに関わる人と会社とは?販売者・運営会社・購入者の役割を解説 DAY2
【DAY2】ECビジネスに関わる人と会社
商品をつくる人、販売する人、紹介する人、運営する人、購入する人の関係
ECで商品が売れるまでには、さまざまな人や会社が関わっています。
- 商品をつくる人。
- インターネット上で販売する人。
- 商品や企業を紹介する人。
- ECの仕組みを提供する会社。
- 商品を購入する人。
- 荷物を運ぶ会社や、代金の支払いを支える会社。
一つの商品が購入者へ届くまでには、これらの役割がつながっています。ECの仕組みを理解するには、最初に「誰が、何を担当しているのか」を整理することが大切です。
「商品が売れるまでには、たくさんの人がバトンをつないでいるんだ!」
この記事で分かること
- 商品をつくる人の役割、商品を販売する人の役割
- 商品や企業を紹介する人の役割
- ECの仕組みを運営する会社の役割
- 商品を購入する人の立場
- 物流会社、決済会社など外部事業者の役割
- 契約上の役割と、実際の作業担当の違い
- 役割分担が曖昧な場合に起こる問題
ECでは、サプライヤー、販売者、プラットフォーム運営会社、購入者、外部事業者などが関係します。サービスによって呼び方や契約上の立場が異なるため、名称だけで判断せず、実際の役割を確認することが重要です。
先に結論|ECは一つの会社だけで動くとは限らない
ECというと、一つの会社が商品を用意して、自社サイトで販売し、自分たちで発送する姿を思い浮かべるかもしれません。実際には、複数の会社が役割を分担することがあります。
| 主な役割 | 何をする人・会社か |
|---|---|
| 商品をつくる・提供する | 商品を製造、生産、仕入れ、供給する |
| 販売する | 商品ページを作り、購入者へ販売する |
| 紹介・連携する | 商品提供者や販売者をつなぐ |
| ECを運営する | システムや取引の仕組みを提供する |
| 購入する | 商品を選び、代金を支払う |
| 外部から支える | 配送、決済、倉庫、通関などを担当する |
大切なのは、役割の名前を覚えることではありません。次の4点を確認できるようになることです。
- 誰が商品を用意するのか
- 誰が購入者へ販売するのか
- 誰が荷物を発送するのか
- 問題が起きたとき、誰が対応するのか
身近な例で考えると「商店街のイベント」と同じ
商店街で、地域の商品を集めた販売イベントを開く場面を想像してみましょう。野菜を提供する農家がいます。お菓子をつくる店があります。イベント会場を用意し、商品を並べて販売する運営者がいます。農家やお菓子店をイベント運営者へ紹介した地域団体がいます。会場へ商品を運ぶ配送会社もいます。そして、商品を買うお客さんがいます。
このイベントをインターネット上で行うのが、ECの一つの形です。ただし、インターネット上では、商品ページ、注文受付、決済、在庫管理、配送、購入者への連絡、返品や問い合わせへの対応という仕組みも必要になります。そのため、ECでは「誰が商品を持っているか」だけでなく、誰が販売と運用を担当するのかまで整理する必要があります。
1.商品をつくる・提供する人
一般的には「サプライヤー」と呼ばれる
商品やサービスを提供する側は、一般的にサプライヤー、メーカー、ブランド、生産者などと呼ばれます。具体的には、農家、漁業者、食品加工会社、職人、伝統工芸の事業者、メーカー、ブランド運営会社、卸売会社、サービス提供者などです。
サプライヤーは、必ずしもECサイトを運営する会社とは限りません。商品づくりに集中し、販売や集客を別の会社へ任せる場合もあります。
主な仕事
商品をつくる・提供する人は、一般的に次の内容を担当します。
- 商品を製造・生産する、商品の品質を管理する
- 販売できる数量、原材料や成分、納期を伝える
- 商品情報や商品画像を用意する
- 在庫を更新する、必要に応じて梱包・発送する
ただし、実際の担当範囲は契約や運用方法によって異なります。たとえば、商品画像は販売者が撮影し、在庫だけを生産者が更新する場合もあります。
確認したいこと
- 継続して供給できる数量、商品をつくるために必要な期間
- 在庫を持っているか、受注生産か
- 誰が商品情報を更新し、誰が商品を発送するか
- 返品された商品を誰が確認し、問い合わせに必要な商品知識を誰が持っているか
「商品をつくれることと、毎日ECを運営できることは別なんだね!」
2.商品を販売する人
ECサイトや販売ページを通じて購入者へ届ける
商品を販売する側は、販売者、出店者、ショップ運営者、小売事業者などと呼ばれます。販売者は、商品を持っている会社と同じ場合もあれば、別の会社の場合もあります。たとえば、農家が自分のECサイトで野菜を販売する場合、農家は商品提供者と販売者の両方です。一方、地域の商品を集めたオンラインショップが農家の商品を販売する場合は、商品提供者と販売者が分かれます。
主な仕事
販売者は、一般的に次の内容を担当します。
- 販売する商品を選び、販売価格を決める
- 商品ページを作り、商品の魅力を伝える
- 広告やSNSで集客する、注文を確認する
- 購入者へ連絡し、返品や問い合わせへ対応する
- 売上や販売実績を確認する
ただし、販売者がすべての作業を行うとは限りません。商品の発送はメーカーが直接行い、購入者への問い合わせ対応だけを販売者が行う場合もあります。
販売者と売主は同じとは限らない
ある会社が商品ページを作り、広告を出していても、契約上の売主は別の会社という場合があります。次を確認します。
- 誰の名前で販売し、誰が代金を受け取るのか
- 誰が領収書を発行し、誰が返品を判断するのか
- 誰が購入者からの苦情へ対応し、商品事故が起きた場合、誰が対応するのか
この部分は、サイトの見た目だけで判断せず、契約や利用規約を確認します。
3.商品や会社を紹介する人
取引のきっかけをつくる役割
ECビジネスでは、商品をつくる人と販売する人の間をつなぐ役割もあります。地域の生産者を販売会社へ紹介する団体、職人とオンラインショップをつなぐ企業、ECを始めたい会社をサービス運営会社へ紹介する事業者などです。この役割は、紹介者、連携事業者、コネクター、パートナーなどと呼ばれることがありますが、名称はサービスによって異なります。「コネクター」という名称が、システム上の正式な利用者区分ではなく、紹介活動上の呼び方として使われる場合もあります。
紹介する人の仕事は、紹介だけで終わるとは限りません。
- 紹介だけを行う場合:企業同士を引き合わせる、担当者の連絡先を共有する、初回面談を設定する
- 商談にも参加する場合:両社の目的を整理する、条件の違いを確認する、商談内容を記録する
- 導入後も関わる場合:運用状況を確認する、困りごとを整理する、改善案を検討する
どこまで関わるかによって、必要な契約、報酬、責任、情報管理も変わります。紹介した会社について詳しく知っていても、サービスの機能や契約条件を勝手に断定してよいわけではありません。
確認したいことは、紹介だけで終わるのか、商談へ継続して参加するのか、導入後の窓口になるのか、顧客情報をどこまで共有してよいか、紹介料や報酬が発生する条件、どこから先は運営会社へ引き継ぐのか、といった点です。
4.ECの仕組みを運営する会社
ECサイトや取引の仕組みを提供する
ECの仕組みを提供する会社は、ECサービス運営会社、モール運営会社、プラットフォーム運営会社などと呼ばれます。提供する内容はサービスごとに異なりますが、一般的にはECサイトや商品ページの作成、商品登録、注文管理、決済、売上管理、顧客情報管理、在庫管理、出店者管理、問い合わせ窓口などの機能があります。
5.商品を購入する人
ECの最後にいるのは購入者
ECの仕組みは、購入者が安心して商品を選び、購入し、受け取れることが前提です。購入者は、商品を探し、商品情報を読み、価格や送料を確認し、比較し、注文し、代金を支払い、商品を受け取り、必要に応じて問い合わせ、返品や交換を申し込みます。購入者にとっては、裏側に何社が関わっているか分からない場合があります。
そのため、誰が販売しているか、商品はいくらか、送料はいくらか、いつ届くか、問い合わせ先はどこか、返品できる条件、支払方法、海外購入時の追加費用の有無を、分かりやすく表示する必要があります。
6.外部からECを支える会社
ECには、商品提供者や販売者以外にも、さまざまな事業者が関わります。
- 物流会社・配送会社:商品を集荷し、荷物を運び、追跡情報を提供し、破損や紛失へ対応する
- 物流倉庫:商品を保管し、注文情報を受け取り、検品・梱包・出荷する
- 決済会社:決済を処理し、不正利用を確認し、売上金を入金する
- 通関業者:輸出入申告を支援し、商品分類や書類、税関との手続きを支援する
- 制作会社:ECサイトや商品ページを制作し、写真や動画、デザインを整える
- 広告・集客支援会社:広告やSNSを運用し、販売促進やアクセス分析を支援する
- 税理士・弁護士など:税務処理、契約や規約、法律上の責任、トラブル対応を支援する
やってみよう|EC関係者早見ツール
6つの役割をタップすると、呼び方と主な仕事をまとめて確認できます。すべてタップして、全体像をつかんでみましょう。
確認した項目:0 / 6
商品・情報・お金・問い合わせの流れ
ECでは、4つの流れを分けて考えると理解しやすくなります。
1.商品の流れ
メーカーから購入者へ直接送る場合もあれば、いったん倉庫へ保管する場合もあります。
2.情報の流れ
商品そのものより先に、商品名、価格、画像、在庫、注文情報などのデータが動きます。情報の連携が途切れると、物理的な流れも止まります。
3.お金の流れ
誰が代金を受け取り、誰にいくら支払うかは、契約によって異なります。
4.問い合わせの流れ
購入者から見える窓口と、実際に回答を用意する担当者が異なる場合があります。
一つの会社が複数の役割を持つこともある
ここまで役割を分けて説明しましたが、必ず別々の会社が担当するわけではありません。
例1|メーカーが自社ECで販売する
メーカーが商品を製造し、自分たちのECサイトで販売し、自社倉庫から発送します。この場合、メーカーは商品提供者・販売者・ECサイト運営者・発送担当者のすべての役割を持ちます。
例2|オンラインショップが地域商品を販売する
地域の生産者が商品を提供し、オンラインショップが販売します。商品は生産者から直接発送する場合があります。商品ページ作成と集客・販売はオンラインショップ、商品を発送するのは地域の生産者、決済とシステムは決済会社・ECサービス運営会社が担当します。
例3|メディアが商品を紹介する
Webメディアが商品を紹介し、購入者は別のECサイトで購入します。この場合、メディアは販売者ではなく、紹介や集客を担当している可能性があります。ただし、メディア自身が購入者から注文を受ける仕組みなら、販売に関する役割も持つ可能性があります。名称だけでなく、実際の取引の流れを確認することが必要です。
契約上の立場と実際の作業担当は分けて考える
契約上の立場
- 誰が購入者に商品を販売するか
- 誰が代金を受け取るか
- 誰が返金義務を負うか
- 誰が商品について責任を持つか
- 誰が個人情報を管理するか
実際の運用上の立場
- 誰が商品を登録するか
- 誰が在庫を更新するか
- 誰が商品を梱包するか
- 誰が問い合わせへ回答するか
- 誰が返品された商品を確認するか
たとえば、販売者が返金の責任を持っていても、実際の返金操作はEC運営会社が行う場合があります。反対に、システム上の操作ができるからといって、その会社が購入者に対する法的な売主とは限りません。
「操作する人と、責任を持つ人が同じとは限らないんだ!」
役割分担が曖昧だと起こる問題
- 商品情報が更新されない:販売者は生産者が更新すると思い、生産者は販売者が更新すると思っていると、古い商品情報が残ります。
- 在庫が合わない:誰が在庫を更新するか決まっていないと、売り切れた商品が注文される可能性があります。
- 注文が放置される:販売者はメーカーが確認すると思い、メーカーは販売者が確認すると思うと、出荷が遅れます。
- 問い合わせがたらい回しになる:窓口が決まっていないと、購入者が複数の会社へ連絡しなければなりません。
- 返品や返金が進まない:返品を判断する人、返金を操作する人、費用を負担する人が決まっていないと、対応が止まります。
- 売上金の分配でトラブルになる:販売価格、手数料、送料、返金費用などを誰が負担するか曖昧だと、入金後に認識の違いが起こります。
実際のケースで考えてみよう
ケース|地域のジャムをオンラインで販売する
ある会社が、地域の農家と食品加工会社がつくるジャムを集めて、オンラインショップで販売することになりました。地域団体が、生産者と販売会社を紹介しました。購入者への配送は、それぞれの食品加工会社から直接行います。ECサイトのシステムと決済は、外部のECサービスを利用します。
| 役割 | 担当する人・会社 |
|---|---|
| 原材料を生産する | 農家 |
| ジャムを製造する | 食品加工会社 |
| 商品を販売する | オンラインショップ運営会社 |
| 両者を紹介する | 地域団体 |
| ECシステムを提供する | ECサービス運営会社 |
| 決済を処理する | 決済会社 |
| 商品を運ぶ | 配送会社 |
| 商品を購入する | 購入者 |
ECサイトを作る前に、商品情報を誰が作るか、在庫を誰が更新するか、誰が商品を発送するか、購入者の問い合わせ窓口、返金を誰が判断するか、売上金をどのように分配するかなど、これらの役割を決める必要があります。
関係者を整理するための5つの質問
EC事業を確認するときは、まず次の質問を使います。
- 商品を用意するのは誰ですか?商品提供者と、継続して供給できる数量を確認します。
- 購入者へ販売するのは誰ですか?誰が売主となり、代金を受け取るのかを確認します。
- 商品を発送するのは誰ですか?販売者、メーカー、倉庫のどこから発送するのかを確認します。
- 購入者からの問い合わせに答えるのは誰ですか?最初の窓口と、商品・配送などの確認先を分けて整理します。
- 問題が起きたときに判断するのは誰ですか?返品、返金、破損、誤配送、商品事故などの責任者を決めます。
アウトプットワーク|EC関係者マップを作ろう
これから販売したい商品、またはよく利用するECサイトを一つ選んでください。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。
| 役割 | 担当する人・会社 | 分からない場合の確認先 |
|---|---|---|
| 商品をつくる・提供する | ||
| 商品を販売する | ||
| 商品や会社を紹介する | ||
| ECの仕組みを運営する | ||
| 商品を発送する | ||
| 決済を処理する | ||
| 問い合わせへ回答する | ||
| 商品を購入する |
4つの流れも書き出してみよう
記入できたら完了にする
この4つが書けると、EC事業の全体像が見えやすくなります。
理解度チェッククイズ
第1問 商品をつくる会社と、商品を販売する会社は必ず同じでしょうか?
第2問 ECサイトのシステムを提供している会社は、必ず商品を発送するでしょうか?
第3問 商品提供者と販売者を引き合わせ、商談のきっかけをつくる役割として近いものはどれでしょうか?
第4問 次のうち、EC事業を始める前に決めておくべき内容はどれでしょうか?
第5問 購入者から商品破損の連絡がありました。販売会社は「メーカーへ連絡してください」と案内し、メーカーは「ECサイトへ連絡してください」と回答しています。最も大きな問題は何でしょうか?
第6問|実務判断問題 地域の職人が商品をつくり、別の会社がECサイトで販売し、職人から購入者へ直接発送します。この場合、販売開始前に最低限、どのような役割を確認する必要があるでしょうか?
回答例を見る
誰が商品情報を登録するか、誰が在庫を更新するか、誰が注文を確認するか、職人へ注文情報をどう伝えるか、誰が梱包・発送するか、誰が発送完了を登録するか、購入者からの問い合わせ窓口、破損や返品時の対応、誰が返金を判断するか、売上金をどのように分けるか。
「職人が発送する」という一つの情報だけでは、運用全体は決まりません。
よくある質問
同じ会社が商品づくりと販売を担当する場合もありますが、別の会社が販売する場合もあります。メーカー直販、卸売、モール出店など、販売方法によって関係が変わります。
サービスや契約によって異なります。システム操作には運営会社が回答し、商品内容にはメーカーが回答するなど、問い合わせの種類によって担当が分かれることがあります。
紹介しただけで販売者になるとは限りません。ただし、商談、契約、販売、導入後の対応にどこまで関わるかによって、責任や必要な契約が変わります。
別でも運用できます。メーカー直送や倉庫発送がその例です。ただし、注文情報の連携、発送期限、在庫更新、配送事故、返品先などを事前に決める必要があります。
販売ページの事業者表示、利用規約、契約書、請求書、決済の流れなどを確認します。分からない場合は、ECサービス運営会社や契約担当者へ確認します。
問題ありません。自社で商品をつくり、販売し、発送する会社もあります。ただし、社内で担当者や作業手順を分けておかないと、一部の人へ負担が集中する可能性があります。
今回のまとめ
ECビジネスには、商品をつくる・提供する人、商品を販売する人、商品や会社を紹介・連携する人、ECの仕組みを運営する会社、商品を購入する人、物流・決済・倉庫など外部から支える会社が関わります。
大切なのは、役割の名前だけを覚えることではありません。誰が商品を用意し、誰が販売し、誰が発送し、誰が問題に対応するのかを確認することです。契約上の立場と、実際に作業する担当者は異なる場合があります。商品、情報、お金、問い合わせの流れを分けて整理すると、役割の抜けや重複を発見しやすくなります。
「ECはチームで動く仕組み!誰がどのバトンを持つか決めておこう!」
DAY2の実践課題
よく利用するECサイトを一つ開き、次の内容を確認してください。
- 商品をつくっている会社、商品を販売している会社
- ECサイトを運営している会社、商品を発送する会社
- 代金を受け取る会社
- 購入者からの問い合わせ窓口、返品する場合の連絡先
同じ会社が複数の役割を持っているか、別々の会社へ分かれているかも確認してみましょう。


