ECとは?実店舗との違いとネットで商品が売れる仕組みを初心者向けに解説 DAY3

【DAY3】ECとは何か
ECと実店舗の違い、インターネット上で商品を販売する仕組み
スマートフォンやパソコンから商品を探し、そのまま注文して自宅で受け取る。今では当たり前になった買い物の方法ですが、その裏側では、商品登録、在庫管理、決済、発送、問い合わせ対応など、さまざまな仕事が動いています。
ECは、単にWebサイトへ商品を並べることではありません。商品を見つけてもらい、注文を受け、代金を受け取り、商品を届けるまでの仕組み全体を指します。
「ECサイトはお店の入口!注文や発送まで動いて、はじめて買い物が完成するよ!」
この記事で分かること
- ECという言葉の意味、ECサイトとネットショップの関係
- ECと実店舗の共通点、ECと実店舗の違い
- インターネット上で商品が売れるまでの流れ
- ECサイトを作るだけでは商品が売れない理由
- ECを運営するために必要な仕事、ECを始める前に確認したいこと
今回の学習範囲は、ECとは何か、実店舗との違い、自社ECやモールなどの基本構造、商品登録から購入・発送・入金までの流れを理解するための土台になります。
先に結論|ECとはインターネット上で売買する仕組み
ECとは、インターネット上で商品やサービスを売買する仕組みです。ECは「Electronic Commerce」の略で、日本語では「電子商取引」と呼ばれます。ただし、日常的にはネットショップ、オンラインストア、通販サイト、ECサイト、ECモール、インターネット通販といった意味で使われることが多くあります。
厳密には呼び方ごとに意味が少し異なる場合がありますが、最初は次のように理解すれば大丈夫です。ECは、インターネット上のお店と、その裏側で動く販売・決済・配送の仕組み全体です。商品ページだけでなく、注文、代金の支払い、在庫、発送、返品、問い合わせまで含めて考えます。
ECサイトとネットショップは何が違う?
日常会話では、「ECサイト」と「ネットショップ」は、ほぼ同じ意味で使われることがあります。ただし、少し分けて考えると理解しやすくなります。
| 言葉 | 一般的な意味 |
|---|---|
| EC | インターネット上で売買する仕組み全体 |
| ECサイト | 商品やサービスを販売するWebサイト |
| ネットショップ | インターネット上のお店 |
| オンラインストア | ネットショップとほぼ同じ意味 |
| EC運営 | 商品登録、受注、発送、問い合わせなどの実務 |
つまり、ECサイトはECを行うための場所の一つです。たとえるなら、実店舗における「お店の建物」に近い存在です。建物があっても、商品、店員、レジ、在庫、配送方法がなければ、お店としては動きません。ECサイトも同じです。
身近な例で考えると「24時間見られるお店」
実店舗で商品を買う場面を想像してみてください。店の看板、商品棚、値札、商品説明、買い物かご、レジ、店員、在庫置き場、レシート、持ち帰り用の袋。ECサイトにも、これらに近い役割があります。
| 実店舗 | ECサイト |
|---|---|
| 店の看板 | サイト名、ロゴ、トップページ |
| 商品棚 | 商品一覧ページ |
| 商品 | 商品ページ |
| 値札 | 販売価格 |
| 商品説明 | 商品名、説明文、写真、動画 |
| 買い物かご | ショッピングカート |
| レジ | 注文画面、決済画面 |
| 店員 | 問い合わせ窓口、チャット、FAQ |
| 在庫置き場 | 倉庫、在庫管理システム |
| レシート | 注文確認メール、領収書 |
| 持ち帰り | 配送会社による配達 |
ECサイトは、実店舗の仕事をインターネット上へ置き換えた仕組みと考えられます。ただし、実店舗とECには大きな違いもあります。
実店舗とECの共通点
ECと実店舗は、販売する場所こそ違いますが、基本的な考え方には共通点があります。
- 商品が必要:販売する商品やサービスが必要です。商品がなければ、実店舗でもECでも販売できません。
- 価格を決める:商品の販売価格、値引き、送料などを決めます。
- 商品の魅力を伝える:購入者に、商品の特徴や使い方、良さを伝える必要があります。
- 在庫を管理する:何個販売できるのかを確認します。
- 代金を受け取る:現金、クレジットカード、銀行振込などの方法で代金を受け取ります。
- 問い合わせへ対応する:商品について質問されたり、返品の相談を受けたりすることがあります。
つまり、ECになっても「商売の基本」がなくなるわけではありません。
実店舗とECの違い
1.購入者と直接会わない
実店舗では、店員が購入者の表情や反応を見ながら説明できます。ECでは、購入者と直接会わずに販売することが多いため、商品ページだけで必要な情報を伝えなければなりません。たとえば衣類なら、サイズ、色、素材、厚さ、洗濯方法、着用イメージ、返品条件などの情報が必要です。情報が不足していると、購入者は不安になり、購入をやめる可能性があります。
2.商品をその場で確認できない
実店舗では、商品を手に取ったり、試着したりできます。ECでは、購入前に実物を見られないことがあります。そのため、複数の写真、商品の大きさ、重さ、素材、使用方法、注意事項、利用者の感想、動画、よくある質問といった情報が重要です。ECでは、商品情報が「店員の説明」の代わりになります。
3.商品を持ち帰らず、配送する
実店舗では、購入者が商品を持ち帰ることが一般的です。ECでは、注文後に商品を梱包し、配送会社を通じて届けます。注文確認、在庫確保、商品の取り出し、検品、梱包、配送ラベル作成、配送会社への引き渡し、追跡番号の通知という仕事が必要です。送料、配送日数、破損、紛失、長期不在など、実店舗では発生しにくい問題もあります。
4.営業時間外でも注文が入る
ECサイトは、夜間や休日でも見られます。設定によっては、24時間注文を受け付けることも可能です。ただし、注文をいつでも受けられることと、いつでも対応できることは別です。営業時間、問い合わせ対応時間、発送日、休業日、注文から発送までの目安を分かりやすく表示します。
5.日本全国や海外へ販売できる
実店舗では、基本的に店舗へ来られる人が主な購入者です。ECでは、配送できる範囲であれば、遠方の人にも販売できます。海外へ販売する越境ECでは、販売先の国、国際配送、関税、輸入税、輸入規制、使用言語、通貨、海外決済、時差、返品方法をさらに確認する必要があります。インターネットで商品ページを見られることと、その国へ商品を販売・配送できることは同じではありません。
6.購入者の行動をデータで確認できる
ECでは、設定された計測環境により、商品ページを見た人数、どのページから来たか、カートへ入れた人数、購入した人数、よく見られている商品、購入途中で離れた人の割合などを確認できる場合があります。ただし、数字を見られるだけでは改善できません。「なぜ購入されなかったのか」を考え、商品、価格、送料、説明、決済、配送などを分けて確認する必要があります。
やってみよう|実店舗とECの違い診断
6つの違いをタップすると、それぞれの内容をまとめて確認できます。すべてタップして、実店舗とECの違いを整理してみましょう。
確認した項目:0 / 6
ECで商品が売れて届くまでの基本的な流れ
ECでは、一般的に次のような順番で商品が購入者へ届きます。
これは基本的な流れです。実際には、商品、販売方法、決済方法、発送方法によって順番や担当者が変わります。
ECでは4つのものが動いている
ECの仕組みは、商品・情報・お金・荷物の4つに分けると整理しやすくなります。
- 商品:購入者へ届ける実際の商品です(食品、衣類、家電、工芸品、化粧品、デジタル商品、サービスなど)。
- 情報:商品や注文に関するデータです(商品名、価格、商品画像、在庫数、購入者の住所、注文内容、追跡番号など)。
- お金:購入者が支払う商品代金や、事業者間で分配する売上金です(商品代金、送料、決済手数料、販売手数料、返金、売上金など)。
- 荷物:配送会社を通じて購入者へ送る商品です。情報は一瞬で送れても、荷物が届くまでには時間がかかります。
「画面では注文が一瞬でも、商品は倉庫から実際に運ばれてくるんだ!」
ECサイトを作っただけでは商品が売れない
ECサイトを作ることは、実店舗で建物を用意することに近いものです。建物を作っただけでは、購入者は来ません。
商品を売るためには、購入者が欲しいと思える商品、商品価値や送料を含めて納得できる価格、購入前の不安を減らせる商品情報、検索・SNS・広告・既存顧客などからの集客、分かりやすいカートや決済画面、明確な送料・発送日・到着予定、注文・在庫・発送・問い合わせを担当する運用体制が必要です。ECシステムは、販売活動を支える道具です。システムを導入しただけで、商品力や集客、運用体制の問題が自動的に解決するわけではありません。
ECのメリットと注意点
ECのメリット
- 遠方の購入者へ販売できる
- 営業時間外でも商品を見てもらえる
- 実店舗より低い初期費用で始められる場合がある
- 写真・動画・文章などで商品情報を詳しく伝えられる
- 売上や閲覧状況などの販売データを確認できる
ECの注意点
- 購入者が商品を直接確認できない
- 梱包費や送料など配送費用が発生する
- 実際の在庫とサイト上の在庫がずれることがある
- サイズ・納期・返品などの問い合わせ対応が必要
- 公開しただけでは訪問されないため集客が必要
- 不正注文や情報管理への対策が必要
ECには「商品を販売しない形」もある
ECでは、形のある商品だけを販売するとは限りません。電子書籍、動画教材、オンライン講座、イベント参加券、予約サービス、ソフトウェア、会員サービス、相談サービスなども、インターネット上で販売できます。
形のある商品では配送が必要ですが、デジタル商品はオンライン上で提供する場合があります。ただし、商品を届ける方法が違っても、注文、決済、問い合わせ、キャンセルなどの運用は必要です。
実際のケースで考えてみよう
ケース|手作りクッキーをECで販売する
あるお菓子店が、店頭で販売している手作りクッキーをECサイトでも販売することにしました。実店舗で必要なものは、店舗、商品棚、値札、レジ、店員、持ち帰り用の袋です。
ECで追加して必要になるものは、商品写真、商品説明、原材料やアレルギー情報、在庫数、注文画面、決済方法、配送用の箱、送料設定、発送日、配送会社、注文確認メール、問い合わせ窓口、返品や破損時の対応です。実店舗で売れている商品でも、そのままECで販売できるとは限りません。配送中に割れないか、賞味期限は十分か、送料を含めて購入しやすい価格かなどを確認する必要があります。
実店舗とECの違いを整理する比較表
| 比較項目 | 実店舗 | EC |
|---|---|---|
| 販売場所 | 店舗 | Webサイト、アプリなど |
| 接客 | 対面 | 商品ページ、メール、チャットなど |
| 商品確認 | 手に取れる場合が多い | 写真や動画、説明で確認 |
| 商品の受取り | その場で持ち帰る | 配送またはオンライン提供 |
| 営業時間 | 店舗の営業時間内 | 商品ページは常時閲覧できる場合が多い |
| 販売地域 | 店舗へ来られる範囲 | 配送可能な地域 |
| 支払方法 | 現金、カードなど | カード、振込、ウォレットなど |
| 在庫管理 | 店頭・倉庫 | システム上の在庫との一致が必要 |
| 問い合わせ | 店員へ直接 | メール、電話、フォームなど |
| 集客 | 看板、立地、チラシ | 検索、SNS、広告、既存顧客など |
どちらが優れているという話ではありません。実店舗とECには、それぞれ異なる強みと注意点があります。両方を組み合わせる事業者もいます。
ECを始める前に確認したい7つのこと
- 何を販売するのか:商品、サービス、デジタル商品などを整理します。
- 誰に販売するのか:年齢、地域、利用目的など、想定する購入者を考えます。
- 商品をどのように届けるのか:自社発送、メーカー直送、倉庫発送、オンライン提供などを決めます。
- 誰が運営するのか:商品登録、在庫、注文、発送、問い合わせの担当者を決めます。
- どのように代金を受け取るのか:クレジットカード、銀行振込などの決済方法を検討します。
- どのように購入者を集めるのか:検索、SNS、広告、既存顧客、店舗などからの導線を考えます。
- 問題が起きたら誰が対応するのか:キャンセル、返品、破損、配送遅延などの対応方法を決めます。
アウトプットワーク|実店舗をECへ置き換えてみよう
身近なお店を一つ選んでください(例:パン屋、洋服店、花屋、本屋、雑貨店、お菓子店)。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。
| 実店舗にあるもの | ECでは何に置き換わるか |
|---|---|
| 看板 | |
| 商品棚 | |
| 商品説明 | |
| 買い物かご | |
| レジ | |
| 店員 | |
| 在庫置き場 | |
| レシート | |
| 商品の持ち帰り |
記入できたら完了にする
理解度チェッククイズ
第1問 ECの説明として最も近いものはどれでしょうか?
第2問 ECサイトを公開すれば、必ず商品が売れるでしょうか?
第3問 実店舗の商品棚に近いECサイト上の機能はどれでしょうか?
第4問 実店舗と比べた場合、ECで追加されやすい仕事はどれでしょうか?
第5問 海外からECサイトを見られる場合、その国へ必ず商品を販売できるでしょうか?
第6問|実務判断問題 店頭で人気の生菓子を、ECサイトでも販売したいという相談がありました。ECサイトを作る前に、どのようなことを確認する必要があるでしょうか?
回答例を見る
賞味期限、保存温度、配送に必要な日数、冷蔵・冷凍配送の対応、配送中に形が崩れないか、梱包方法、販売できる地域、発送できる曜日、在庫数、注文を受けてから製造するか、返品や破損時の対応、送料を含めた販売価格。
店頭で販売できることと、配送を使って販売できることは別に考える必要があります。
よくある質問
日常的には近い意味で使われます。ネットショップはインターネット上のお店を指すことが多く、ECは商品やサービスの売買、注文、決済、配送などを含む仕組み全体を表します。
商品や事業によって異なります。ECだけで販売する事業者もいれば、実店舗とECを組み合わせる事業者もいます。実店舗で商品を確認し、ECで再購入してもらう方法もあります。
商品ページや注文受付は常時利用できる場合がありますが、問い合わせや発送まで24時間対応する必要があるとは限りません。対応時間や発送日を分かりやすく表示することが大切です。
食品、衣類、雑貨、工芸品、デジタル商品、サービスなど、さまざまなものを販売できます。ただし、商品によって法律、許可、配送条件、サービス規約などの確認が必要です。
無料プランを提供するサービスもあります。ただし、決済手数料、販売手数料、送料、梱包費、広告費、ドメイン費用などが発生する場合があります。最新の公式料金を確認してください。
国内ECは主に日本国内の購入者へ販売する取引です。越境ECは国境を越えて販売するため、国内ECの業務に加えて、国際配送、通関、関税、輸入規制、海外決済、外国語などの確認が必要です。
今回のまとめ
ECとは、インターネット上で商品やサービスを売買する仕組みです。今回覚えておきたいポイントは、次の5つです。
- ECは商品ページだけでなく、注文、決済、発送まで含む
- 実店舗の売り場やレジを、インターネット上の機能へ置き換えている
- ECでは購入者が商品を直接確認できないため、商品情報が重要になる
- 商品を届けるために、在庫、梱包、配送の運用が必要になる
- ECサイトを作るだけではなく、商品、価格、集客、運用体制も必要になる
ECの基本は、商品、情報、お金、荷物がどのように動くかを見ることです。
「ECは“ネットに商品を置くこと”ではなく、注文からお届けまでを動かす仕組みなんだ!」
DAY3の実践課題
普段利用しているECサイトを一つ開き、商品一覧ページ、商品の詳しい説明、在庫表示、送料、配送予定日、支払方法、問い合わせ先、返品条件、販売している会社を探してみましょう。
そのうえで、実店舗の「看板・商品棚・レジ・店員・持ち帰り」が、ECサイトでは何に置き換わっているかを書き出してみてください。


