決済代行会社とプラットフォーム決済の違いとは?契約・入金・売上分配を解説 DAY30

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【DAY30】決済代行会社とプラットフォーム決済の違い

契約・審査・手数料・入金・返金・売上分配を整理する

解決.com カイピヨくんと学ぶ ECの基礎知識。EC決済の裏側:お金が通る見えない道。決済代行とプラットフォーム決済の構造を解き明かす
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🔊 音声で聞く「ネット決済の裏側と責任の行方」

DAY29では、クレジットカード、銀行振込、代金引換、コンビニ決済、ウォレット決済の違いを学びました。DAY30では、支払方法そのものではなく、誰が決済サービスと契約し、誰がお金を受け取り、誰が販売者へ入金するのかを整理します。ECでクレジットカード決済を導入する方法には、大きく分けて「EC事業者が決済代行会社と契約する」方法と「ECプラットフォームが用意した決済機能を利用する」方法があります。

一見すると、どちらも購入画面に「クレジットカードで支払う」というボタンが表示されますが、裏側の仕組みは同じとは限りません。誰が加盟店審査を受けるのか、購入者が支払ったお金を最初に誰が受け取るのか、決済手数料を誰が負担するのか、販売者へいつ入金されるのか、返金を誰が操作するのか、チャージバックの損失を誰が負担するのかが異なります。「プラットフォーム決済だから簡単」「直接契約だから難しい」と決めることではなく、誰がどこまで責任を持つ仕組みなのかを、契約とお金の流れから確認することが必要です。

「同じカード決済でも、お金が通る道と責任を持つ会社は違うことがあるよ!」

この記事で分かること

  • 決済代行会社の役割と、プラットフォーム決済の意味・3つの型
  • EC事業者が直接契約する場合の流れと、販売者ごとの決済アカウントの仕組み
  • 契約・審査・本人確認の違いと、決済手数料とプラットフォーム利用料の違い
  • 入金と売上分配の違いと、返金と分配取消しの違い
  • チャージバックとマイナス残高の負担と、複数販売者の商品を一度に購入した場合の扱い
  • 売上明細・入金明細の照合方法と、決済サービスを比較するための確認項目

決済サービスの契約条件、審査、入金日、返金、チャージバック、売上分配の仕組みは、提供会社や契約方式によって異なります。実際に導入するときは、利用する決済代行会社・ECプラットフォームの最新規約と管理画面の仕様を確認してください。

Contents
  1. 先に結論|確認するのは「誰が契約し、誰が受け取り、誰が返すか」
  2. 身近な例で考えると「商店街のレジ」
  3. 1-6.決済代行会社とは/直接契約の流れ・特徴・メリット・注意点
  4. 7-8.プラットフォーム決済とは/3つの型
  5. 9-11.プラットフォーム決済の本人確認/継続審査/契約主体の比較
  6. 12-13.購入者からの決済と販売者への入金は別/売上分配とは
  7. 14-16.決済手数料とプラットフォーム手数料は別/手数料負担/入金サイクル
  8. 17-19.入金と資金移動の区別/返金は誰が行うか/返金しても分配が自動で戻るとは限らない
  9. 20-21.返金時に決める5つの金額/部分返金の調整
  10. 22-24.チャージバックの負担主体/マイナス残高/保留金
  11. 25-27.売上分配の例/複数販売者注文の送料の分け方/クーポン・ポイントの負担者
  12. 28-30.売主と決済を受け取る会社は別/カード明細の表示名/領収書の発行者
  13. 31-33.売上明細と入金明細の照合/入金が失敗する場合/プラットフォーム依存
  14. 34-36.直接契約が向いているケース/プラットフォーム決済が向いているケース/比較する12項目
  15. よくある失敗
  16. 実際のケースで考えてみよう|生産者3社の商品を販売するECプラットフォーム
  17. 決済構造を設計する12の質問
  18. やってみよう|売上分配計算機&複数発送の送料不足チェッカー
  19. アウトプットワーク|決済と売上分配の構造を作ろう
  20. 理解度チェッククイズ
  21. よくある質問
  22. 今回のまとめ
  23. 獲得バッジ

先に結論|確認するのは「誰が契約し、誰が受け取り、誰が返すか」

決済ボタンの向こう側は、すべて同じではありません。購入者の視点(表面):スマートフォンで「クレジットカードで支払う」ボタンを押すだけ。運営者の現実(裏側):契約→審査→手数料→銀行という複雑な配管を経てお金が流れる。購入者から見れば、どのECサイトでも「カードで支払う」という体験は同じです。しかし、運営側にとっての裏側の仕組み(誰が契約し、誰が手数料を引き、誰が責任を持つのか)は全く異なります。表面上のUIだけで決済システムを判断することはできません

決済の仕組みを理解するときは、①誰が決済サービスと契約するか、②誰が審査・本人確認を受けるか、③購入者のお金を最初に誰が受け取るか、④決済手数料を誰が負担するか、⑤販売者へ誰が入金するか、⑥返金・チャージバックを誰が負担するか、の6つを確認します。

仕組み決済上の主な契約主体お金の基本的な流れ
決済代行会社との契約EC事業者・販売者購入者→決済会社→販売者
販売者別のプラットフォーム決済各販売者の接続アカウント購入者→販売者側残高
プラットフォーム集約・分配型プラットフォーム購入者→プラットフォーム→販売者

特に注意したいのは、プラットフォーム決済は一つの仕組みではないことです。販売者が直接代金を受け取る仕組みもあれば、プラットフォームが一度受け取り手数料を差し引いて販売者へ送る仕組みもあります。決済プラットフォームの公式資料でも、購入者が販売者へ直接支払う方式と、プラットフォームが代金を受け取り販売者へ移す方式、さらに複数の販売者へ分ける方式が区別されています。

身近な例で考えると「商店街のレジ」

「商店街のレジ」で考える2つの決済構造。個別レジ方式:八百屋は八百屋のレジ、パン屋はパン屋のレジを使う。各店舗が自分の売上を直接管理、「決済代行会社との直接契約」に近い仕組み。中央レジ方式:Shopping Mallの中央レジで購入者がまとめて支払い、商店街(プラットフォーム)が売上を分け手数料を引いて分配、「プラットフォーム集約型」に近い仕組み

複数のお店が入った商店街を想像してください。店ごとにレジがある場合、八百屋は八百屋のレジ、パン屋はパン屋のレジを使い、商店街は場所や集客を提供しますが売上は各店舗へ直接入ります。これは、販売者ごとに決済契約や決済アカウントを持つ方式に近い仕組みです。商店街の中央レジでまとめて払う場合、購入者は複数店舗の商品を中央レジでまとめて支払い、中央レジが後から各店舗の売上と商店街の利用料に分けます。これは、プラットフォームが代金を受け取り複数の販売者へ分配する方式に近い仕組みです。購入者から見ればどちらもカードで支払っていますが、運営側では店ごとのレジ(各店舗が自分の売上を管理)と中央レジ(商店街が売上を分けて管理)で大きく異なります。ECの決済でも、購入画面だけを見て仕組みを判断することはできません。

1-6.決済代行会社とは/直接契約の流れ・特徴・メリット・注意点

決済代行会社は、EC事業者とカード会社・コンビニ・金融機関などの間に入り、複数の決済手段をまとめて提供・管理する会社です。決済代行会社を利用することで、EC事業者は各カード会社や決済機関と一社ずつシステム接続・管理を行う負担を減らせます。一般的な流れは、購入者が商品を購入→EC事業者が決済処理を依頼→決済代行会社がカード会社等へ処理を依頼→決済結果をEC事業者へ返す→商品を発送→決済代行会社からEC事業者へ入金、です。

この記事でいう「直接契約」とは、ECプラットフォームが用意した決済機能だけに任せず、EC事業者が決済代行会社と自社名義で契約する方法を指します。導入は、問い合わせ→取扱商品・事業内容の確認→見積もり→申込み・必要書類提出→加盟店審査→決済環境の構築→ECサイトとの接続→テスト→利用開始、という流れで進みます。契約主体は原則としてEC事業者で、会社・事業者情報、振込口座、販売する商品・サービス、返品・キャンセル条件、特定商取引法に基づく表記などが確認されます。

直接契約では、手数料・入金日・返金条件・利用可能な決済方法を自社で確認しやすく、決済履歴・入金明細・チャージバックなどを自社の決済管理画面で確認できる場合があります。一方で、申込み・審査が必要で取扱商品によって必要資料や審査期間が変わり、自社ECと決済システムをAPI等で接続する必要があります。決済失敗、返金、不正利用、チャージバック、システム障害などの対応窓口も自社で把握する必要があり、注文数が少ないと1件当たりの費用が高くなる場合もあります。

7-8.プラットフォーム決済とは/3つの型

一口に「プラットフォーム決済」と言っても、3つの型がある。型1:販売者アカウント直結型(購入者→販売者の決済アカウント→販売者の銀行口座、プラットフォームは手数料のみ受け取る)。型2:プラットフォーム1社送金型(購入者→プラットフォーム→販売者の銀行口座)。型3:複数販売者への分配型(購入者10,000円→プラットフォーム→販売者A4,000円/販売者B3,500円/配送業者1,000円へ分配)

プラットフォーム決済とは、ECカート、モール、マーケットプレイス、予約サイトなどが利用事業者向けに用意した決済機能です。プラットフォームの管理画面から決済を有効化できるため、外部の決済会社との接続作業を減らせる場合がありますが、「プラットフォーム決済を使えば契約も審査も責任もすべてプラットフォームが持つ」とは限りません。

プラットフォーム決済には3つの型があります。「型1|販売者が自分の決済アカウントを持つ」では、購入者の支払いは販売者側の決済アカウントへ記録され、プラットフォームはシステム利用料や決済ごとの手数料を受け取ります。「型2|プラットフォームが代金を受け取り1社へ送る」では、購入者の支払いはいったんプラットフォーム側へ記録され、プラットフォーム手数料を差し引いた売上分を販売者アカウントへ移します。この場合、返金やチャージバックがプラットフォーム側の残高へ影響する設計があります。「型3|プラットフォームが複数の販売者へ分配する」では、一つの注文から複数の接続先(複数の販売者や配送担当者など)へ資金を分ける仕組みが提供されています。

9-11.プラットフォーム決済の本人確認/継続審査/契約主体の比較

契約と責任の所在を比較する。カテゴリー:決済代行会社との直接契約 vs プラットフォーム決済。契約名義:EC事業者 vs 販売者またはプラットフォーム。入金元:決済代行会社 vs プラットフォームまたは決済会社。売上分配:原則自社で計算・管理 vs プラットフォーム上で自動分配される場合あり。アカウント停止時:決済会社と直接交渉 vs プラットフォームに強く依存(売上金凍結のリスクも)。カイピヨくんの「プラットフォーム決済だから審査なし、は間違い!本人確認や利用中の継続審査は必ずあるよ!」

プラットフォームの管理画面から申し込める場合でも、販売者情報の確認が不要になるわけではありません。個人・法人の区分、会社名・屋号、代表者、銀行口座、事業内容、実質的支配者、本人確認書類などが確認される可能性があります。接続アカウントを利用する決済では、資金を受け取る個人・法人の情報を収集し本人・事業者確認を行う必要があり、未提出や確認不能の場合には決済や入金が停止されることがあります。「プラットフォーム決済=審査なし」ではありません。

利用開始時の審査を通過しても、売上の急増、返金・チャージバックの増加、商品内容や入金口座の変更などによって、その後追加確認が行われる場合があります。統合型プラットフォーム決済の公式案内でも、開始時だけでなく利用中のリスク評価が行われ、状況によって入金保留、保留金、遅延、利用停止などの措置が取られる場合があるとされています。契約主体は、申込先、契約名義、審査主体、入金元、売上分配、契約変更の方法などで比較でき、実際の契約主体は申込画面、利用規約、入金明細、加盟店契約を確認してください。

12-13.購入者からの決済と販売者への入金は別/売上分配とは

「購入者の決済」と「販売者への入金」は全く別の処理。7月30日:決済成功。8月1日:残高反映(Available:¥10,000 Pending Cash)。8月5日:振込処理。8月6日:口座着金。「毎日入金」と表記されていても、決済から残高反映までの待機日数、口座への振込処理、銀行営業日が別に設定されている場合があります。資金繰り(キャッシュフロー)の計算には要注意です

プラットフォーム型では、①購入者が支払う、②決済が成功する、③売上を販売者へ割り当てる、④販売者の銀行口座へ入金する、の4段階を分ける必要があります。購入者が支払っても販売者の口座へ同日に入るとは限らず、決済成功→残高反映→振込処理→口座着金という順で日をまたぐことがあります。接続アカウント型の決済では、売上がアカウント残高へ蓄積され、その後設定された日次・週次・月次などのスケジュールで銀行口座へ払い出される仕組みがあります。

売上分配とは、購入者から受け取った金額を契約に基づいて関係者へ分けることです。1万円の商品なら、購入者の支払額10,000円から決済手数料350円、プラットフォーム手数料1,000円を差し引いた8,650円が販売者への分配額となる例があります。ただし実際には、送料、梱包費、消費税、クーポン負担、返金、チャージバック、振込手数料、保留金なども加わります。

14-16.決済手数料とプラットフォーム手数料は別/手数料負担/入金サイクル

売上分配の現実:1万円の売上から手元に残る金額。購入者支払額+¥10,000→決済手数料(3.5%)-¥350→プラットフォーム手数料(10%)-¥1,000→送料・クーポン・振込手数料-¥[変動]→販売者への最終分配額=¥8,650(以下)。「決済手数料3.5%」という数字だけで判断してはいけません。実質的なコストは、決済手数料+プラットフォーム手数料+入金/出金手数料+返金費用の総和です

決済手数料はカード会社・決済サービスが決済処理を行うための費用(例:決済額×3.5%)、プラットフォーム手数料は販売機能・集客・システム・顧客管理・売上分配などの利用に対する費用(例:販売額×10%)、振込・出金手数料は販売者の銀行口座へ振り込むための費用です。実質的な決済関連費は「決済手数料+プラットフォーム手数料+入金手数料+アカウント費用+返金・チャージバック費用」で確認し、「決済手数料3.5%」だけを見て販売者の受取額を判断しないようにします。

同じプラットフォーム決済でも、手数料負担は異なります。販売者負担(購入者支払額-決済手数料-プラットフォーム手数料=販売者受取額)、プラットフォーム負担(販売者へ決められた金額を支払いプラットフォームが手数料を負担)、分担(決済手数料は販売者、振込手数料はプラットフォームなど項目ごとに分ける)があり、契約書では「手数料」と一つにまとめず種類ごとに確認します。売上の締日、入金日、休日の場合の処理、最低入金額、入金保留期間なども確認し、「毎日入金」と表示されていても決済から残高反映までの待機日数や銀行営業日が別に設定されている場合があります。

17-19.入金と資金移動の区別/返金は誰が行うか/返金しても分配が自動で戻るとは限らない

返金ボタンを押しても、分配金は自動で戻らない。①購入者支払¥10,000→プラットフォーム(手数料¥2,000)→販売者へ¥8,000分配済み。②お客様が¥10,000返金を要求→プラットフォームは販売者へ¥8,000回収要求→販売者残高不足!(¥0)。カイピヨくんの「ここで発生するのが『マイナス残高』だよ!退店した販売者からどうやって回収するかも決めておこう!」プラットフォーム集約型では、購入者への返金(¥10,000)と、すでに販売者へ渡した分配金(¥8,000)の回収は「別処理」です

プラットフォーム型では、購入者から代金を受け取る「決済」、プラットフォーム残高から販売者側の残高へ金額を割り当てる「分配・移動」、販売者側の残高から銀行口座へ送る「払出し・振込」の3つを混同しやすくなります。どの段階でエラーが発生したのか状態を分けて管理します。

返金は、直接契約なら一般的にEC事業者が決済代行会社の管理画面やAPIから返金します。販売者別のプラットフォーム決済では販売者が自分の管理画面から返金する場合とプラットフォームが代行する場合があり、プラットフォーム集約型ではプラットフォームが購入者への返金を行い販売者へ分配した金額を回収・調整します。

ここは特に重要ですが、購入者へ1万円を返金しても、すでに販売者へ8,000円を分配している場合があります。この場合、購入者へ10,000円返金→販売者へ分配した8,000円を戻す→プラットフォーム手数料2,000円を返すか判断、という処理が必要です。複数販売者への分配型では、決済の返金だけでは関連する資金移動が自動的に取り消されない仕組みがあり、プラットフォームが分配を取り消す、または今後の売上から調整する必要があります。

20-21.返金時に決める5つの金額/部分返金の調整

返金時には、①購入者へ返す商品代、②購入者へ返す送料、③決済手数料、④プラットフォーム手数料、⑤販売者から回収する金額、の5つを決めます。販売者都合の全額返金の例では、販売者から分配済み額を回収するか、プラットフォーム手数料を返すか、決済手数料は戻るか、残高不足なら誰が立て替えるかを確認します。契約により答えが変わります。

部分返金では、比例で戻す(元の割合に応じて分配額・手数料も戻す)、固定手数料を残す(プラットフォームの基本手数料は返さず販売者分だけ調整する)、原因で変える(商品不良は販売者負担、運営上の事情はプラットフォーム負担など)という考え方があります。

22-24.チャージバックの負担主体/マイナス残高/保留金

チャージバックとは、カード利用者が請求に異議を申し立て、カード会社等による調査・資金回収が行われる仕組みです。誰の残高から金額が差し引かれるかは決済構造によって異なり、販売者へ直接課金される方式では販売者側の残高から、プラットフォームが課金を受ける方式ではプラットフォーム側の残高から差し引かれる設計があります。プラットフォームが代金を受けて販売者へ分配する方式では、プラットフォームが返金やチャージバックの負担主体となり、販売者へ渡した金額を後から回収する仕組みが必要になる場合があります。

返金・チャージバック・手数料によって残高が0円を下回る「マイナス残高」が発生することがあり、次回売上から差し引く、登録銀行口座から回収する、プラットフォームが一時負担する、保証金・保留金から充当するなどの方法で誰が補うかを決めます。また、開業直後、返金率が高い、チャージバックが多い、高額商品、本人確認が未完了などの場合、将来の返金やチャージバックに備えて売上金の一部が一定期間保留される「保留金」が設定されることもあり、保留が発生する条件、保留期間、保留率、解除条件を確認します。

25-27.売上分配の例/複数販売者注文の送料の分け方/クーポン・ポイントの負担者

複数店舗での同時購入が引き起こす「送料の罠」。購入者から受け取った送料:¥800。実際の配送費:販売者A¥600、販売者B¥700、販売者C¥500、合計¥1,800。不足する¥1,000を誰が負担するのか?決済機能が自動でお金を分配してくれても、物理的な配送にかかるコストは自動では解決しません。プラットフォームが負担するのか、各販売者の売上から差し引くのか、事前のルール設計が不可欠です

3社の商品(合計10,000円)を一人の購入者がまとめて購入した例で、決済手数料3.5%(350円)、プラットフォーム手数料10%(1,000円)を差し引くと、販売者への分配総額は8,650円です。これを商品代の割合で分ける計算もできますが、実際には送料、商品別手数料、税金、クーポン負担などを加えて計算します。

購入者が支払った送料が800円でも、商品が3か所から発送される場合、実際の配送費合計が1,800円になり1,000円不足することがあります。この不足分をプラットフォームが負担するか、各販売者が負担するか、商品価格から負担するかなど、事前にルールを決める必要があります。決済機能が自動でお金を分配してくれても、物理的な配送にかかるコストは自動では解決しません。

購入者が1,000円クーポンを使用した場合も、値引き前の金額を基準に分配する(プラットフォーム負担)か、値引き後の金額を基準に分配する(販売者負担)か、プラットフォームと販売者で分ける(共同負担)かで、販売者への分配が変わります。クーポンを作成できる人と費用を負担する人を分けて管理します。

28-30.売主と決済を受け取る会社は別/カード明細の表示名/領収書の発行者

明細書の不一致が招く「チャージバック」の連鎖。カード明細に「PAYMENT*XYZ-PLATFORM ¥10,000」と表示され、田中のお茶屋で買った覚えがあっても紐づかない。購入者がカード明細に知らない会社名(プラットフォーム名など)を見て「身に覚えがない」と申告すると、チャージバック(売上取消)が発生します。購入者異議申立て→カード会社が売上没収→プラットフォーム残高から強制引き落とし→販売者へ損失請求。必須チェック:商品ページの店舗名、確認メールの送信者名、カード明細の表示名が完全に一致しているか、必ずテストしてください

決済を処理する会社、商品を販売する会社、プラットフォーム運営会社は同じとは限りません。商品の売主は販売者、決済処理はプラットフォーム、商品発送はメーカー、返金窓口はプラットフォームという構造もありますが、決済上の仕組みだけで法律上の売主や購入者への責任が自動的に決まるわけではありません。利用規約、販売者情報、商品ページ、最終確認画面、請求名義、返品窓口をそろえて確認します。

購入者が商品を買った後、カード明細に知らない会社名が表示されると「この請求には覚えがない」と判断され、チャージバックにつながる可能性があります。カード明細に表示される名称、注文確認メールの販売者名、商品ページの店舗名、荷物の発送元名、問い合わせ先が一致しているか、導入前にテストします。決済会社から入金されたからといって決済会社が商品販売の請求書を発行するとは限らず、購入者向けの領収書・適格請求書、販売者向けのプラットフォーム手数料請求書、決済会社向けの決済手数料・入金明細は分けて考えます(DAY33で詳しく扱います)。

31-33.売上明細と入金明細の照合/入金が失敗する場合/プラットフォーム依存

プラットフォーム型では、売上金額と銀行口座への入金額が一致しないことがあります。売上総額から返金、決済手数料、利用手数料、振込手数料などが差し引かれるため、入金額だけを売上として記録すると正しい売上と費用が分かりません。注文番号、決済ID、販売者ID、売上総額、返金、分配額、入金日、入金状態などを照合します。

決済が成功していても、口座番号の誤り、口座名義の不一致、本人確認未完了などで販売者への銀行振込が失敗する場合があります。「決済成功≠販売者への入金成功」です。プラットフォーム決済は導入しやすい反面、決済契約、顧客情報、売上履歴、返金、入金明細などの機能がプラットフォームへ集約される場合があり、別のECシステムへ移行するとき同じ決済アカウントや購入者の支払い情報をそのまま移せるとは限りません。解約後に決済履歴を取得できるか、未入金売上はいつ振り込まれるか、返金・チャージバックへ誰が対応するかを導入時から確認します。

34-36.直接契約が向いているケース/プラットフォーム決済が向いているケース/比較する12項目

直接契約が向いているケース
  • 独自ECを長期運用する/複数のECサイトで同じ決済を使いたい
  • 売上規模が大きい/手数料や入金条件を個別に相談したい
  • 決済データを自社で管理したい/専任の経理・システム担当がいる
プラットフォーム決済が向いているケース
  • 小さくECを始めたい/独自の決済開発を減らしたい
  • 販売者への売上分配が必要/複数の出店者を管理したい
  • 少人数で運営する/早くテスト販売を始めたい

簡単に始められることと、契約内容が単純であることは同じではありません。比較するときは、契約主体、審査主体、決済上の主体、決済手数料、プラットフォーム手数料、入金日、売上分配、返金、チャージバック、マイナス残高、データの取得・出力範囲、解約時の条件の12項目を確認します。

よくある失敗

失敗1|プラットフォーム決済なら審査不要と思う
本人・事業者確認や利用中の継続審査があります。
失敗2|購入者の決済日を販売者の入金日と考える
残高反映、売上分配、銀行振込は別の処理です。
失敗3|手数料率だけ比較する
利用料、入金料、返金料、出金料が抜けています。
失敗4|返金すれば分配も自動で戻ると思う
返金と販売者への資金移動が別処理の場合があります。
失敗5|プラットフォームがすべてのチャージバックを負担すると思う
販売者へ請求される、次回売上から差し引かれる場合があります。
失敗6|誰が売主か確認しない
商品ページ、利用規約、請求名義、返品窓口が一致しません。
失敗7|クーポンの負担者を決めない
分配額を正しく計算できません。
失敗8|送料を販売者へどう分けるか決めない
複数発送で赤字になります。
失敗9|マイナス残高の回収方法を決めない
退店した販売者から返金分を回収できません。
失敗10|入金明細だけで売上を記録する
売上・手数料・返金が混ざります。
失敗11|アカウント停止時の対応を決めない
注文はあるのに入金・返金ができなくなります。
失敗12|解約・移行条件を確認しない
定期購入や決済履歴を移せない場合があります。

実際のケースで考えてみよう|生産者3社の商品を販売するECプラットフォーム

販売者A(お茶3,000円)、B(湯のみ4,000円)、C(菓子2,000円)の商品を、購入者が一度に購入(商品合計9,000円+送料1,000円=支払総額10,000円)しました。プラットフォームが10,000円を受け取り各販売者へ分ける方式で、決済手数料3.5%(350円)とプラットフォーム手数料(商品代の10%=900円)を計算します。

送料と分配の計算

実際の配送費は3社合計1,800円(A:500円/B:800円/C:500円)ですが、購入者から受け取った送料は1,000円のため800円不足します。プラットフォーム手数料10%を各販売者が負担し、送料不足はプラットフォームが負担すると仮定すると、販売者への分配合計は9,900円になります。

プラットフォームの収支

購入者支払額10,000円-販売者分配9,900円=100円。ここから決済手数料350円を払うと250円の赤字になります。送料不足を考慮すると、手数料10%でも利益が残らず、送料無料ラインの見直しや同梱発送の集約などの設計見直しが必要になります。

販売者Bの返品対応

湯のみ4,000円が返品された場合、購入者へ返す商品代、送料を返すか、販売者Bへの分配済み額(4,400円)の回収、決済手数料・プラットフォーム手数料の再計算、返送料の負担を確認します。返金ボタンを押すだけでは、売上分配の処理は完了しません。

決済構造を設計する12の質問

自社に最適な決済インフラを選ぶ「12の質問」。1.契約主体:誰が決済サービスと契約するか?2.審査:誰が本人確認・加盟店審査を受けるか?3.売上計上:誰の売上として記録されるか?4.明細表示:カード明細には何と表示されるか?5.手数料負担:決済手数料と利用料は誰が払うか?6.分配計算:送料やクーポンはどう分配されるか?7.入金サイクル:決済日・分配日・振込日はいつか?8.返金操作:誰が返金を実行できるか?9.資金回収:返金時の分配金はどう回収するか?10.チャージバック:最終的な損失は誰が被るか?11.マイナス残高:不足分はどうやって補填するか?12.解約・移行:サービス終了時に履歴は移せるか?
  1. 誰が決済サービスと契約しますか?販売者、プラットフォーム、両方のどれかを確認します。
  2. 購入者の支払いは誰の売上として処理されますか?販売者側か、プラットフォーム側かを確認します。
  3. 誰が本人確認・加盟店審査を受けますか?販売者ごとに必要か確認します。
  4. カード明細には何と表示されますか?購入者が認識できる名称か確認します。
  5. 決済手数料は誰が負担しますか?販売者、プラットフォーム、分担のどれかを決めます。
  6. 販売者への分配額はどう計算しますか?商品代、送料、手数料、クーポンを含めます。
  7. 販売者への入金日はいつですか?決済日、分配日、銀行振込日を分けます。
  8. 返金を誰が操作しますか?販売者と運営会社の権限を決めます。
  9. 返金時に分配金をどう回収しますか?分配取消し、残高控除、請求などを決めます。
  10. チャージバックを誰が負担しますか?決済構造と契約を確認します。
  11. マイナス残高をどう回収しますか?退店後も含めて決めます。
  12. サービス終了時にデータと売上金をどう処理しますか?未入金、返金、履歴出力を確認します。

やってみよう|売上分配計算機&複数発送の送料不足チェッカー

商品代金と各種手数料率を入力すると、販売者への分配額を自動計算できます。さらに、複数の発送元がある注文で、購入者から受け取った送料が実際の配送費をまかなえているかを確認できます。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。

① 売上分配計算機

決済手数料
プラットフォーム手数料
販売者への分配額(商品代金+送料-各種手数料-その他控除)

② 複数発送の送料不足チェッカー

実配送費合計と、受け取った送料との差額

これは仕組みを理解するための簡易ツールです。実際の手数料率・分配ルールは、契約している決済代行会社・プラットフォームの規約に従って確認してください。

アウトプットワーク|決済と売上分配の構造を作ろう

想定するEC事業を一つ選んでください。分からない項目は推測で埋めず、「未確認」と記録してください。

① 採用する決済方式・契約と審査

項目内容
採用する決済方式(直接契約/販売者別アカウント/集約分配型/併用)と理由
決済契約・加盟店審査・本人確認・口座確認の担当

② お金の流れ・入金条件

項目内容
代金を最初に受け取る主体、決済・プラットフォーム手数料の控除順序
売上締日・分配日・銀行振込日・最低振込額・入金保留条件

③ 返金・チャージバックのルール

項目内容
返金操作の担当、分配済み金額の回収方法、手数料の返還可否
チャージバックの証拠提出担当・費用負担、販売者残高不足時の対応

記入できたら完了にする

理解度チェッククイズ

第1問 決済代行会社の主な役割はどれでしょうか?

A.複数の決済機関との契約・決済・入金管理をまとめる
B.商品を製造する
C.配送車両を運転する
正解はAです。決済代行会社は、カード会社やコンビニ等との決済処理、契約、管理、入金をまとめる役割を持ちます。

第2問 プラットフォーム決済を利用すれば、本人確認や審査は必ず不要でしょうか?

A.販売者情報や本人確認を求められる場合がある
B.すべて不要
C.銀行口座も不要
正解はAです。プラットフォーム上から申し込めても、販売者、代表者、銀行口座、事業内容等の確認が行われる場合があります。

第3問 プラットフォーム決済は、すべて同じ資金の流れでしょうか?

A.販売者へ直接入る型と、プラットフォームが分配する型がある
B.すべて代金引換
C.すべて銀行振込
正解はAです。販売者の決済アカウントへ直接記録する型と、プラットフォームが受け取り販売者へ移す型、複数販売者へ分ける型があります。

第4問 購入者の決済が成功した時点で、販売者の銀行口座への入金も完了していますか?

A.残高反映・分配・銀行振込は別処理
B.必ず同時
C.販売者には入金されない
正解はAです。決済成功後、残高反映、売上分配、銀行口座への振込という段階があります。

第5問 決済手数料とプラットフォーム手数料は同じでしょうか?

A.役割の異なる費用
B.必ず同額
C.どちらも発生しない
正解はAです。決済手数料は決済処理に対する費用、プラットフォーム手数料は販売・システム等の利用に対する費用です。

第6問 購入者へ返金すれば、販売者へ分配した金額も必ず自動で戻るでしょうか?

A.別途、分配取消しや回収が必要な場合がある
B.必ず自動で戻る
C.販売者への分配は確認不要
正解はAです。プラットフォーム集約型では、購入者への返金と販売者への分配取消しが別処理の場合があります。

第7問 プラットフォームが購入者から代金を受け取る方式では、チャージバックがどこへ影響する可能性がありますか?

A.プラットフォーム側の残高
B.配送会社の車両
C.商品画像
正解はAです。プラットフォームが決済上の主体となる方式では、チャージバック額や関連費用がプラットフォーム残高から差し引かれる場合があります。

第8問 売上分配を計算するとき、商品代だけを見ればよいでしょうか?

A.送料、手数料、クーポン、返金等も確認する
B.商品代だけでよい
C.購入者名だけ確認する
正解はAです。商品代に加え、送料、決済手数料、販売手数料、クーポン、返金、振込手数料などを確認します。

第9問 売上総額10万円、各種控除後の入金額が7万円の場合、7万円を売上として記録すればよいでしょうか?

A.総売上、手数料、返金を分けて記録する
B.7万円だけを売上にする
C.入金を記録しない
正解はAです。売上総額-返金-決済手数料-利用手数料=入金額として、それぞれを分けて記録します。

第10問 カード明細に購入者が知らない名称が表示されると、何が起こる可能性がありますか?

A.身に覚えのない請求として問い合わせや異議申立てにつながる
B.在庫が増える
C.送料が無料になる
正解はAです。購入者が請求元を認識できないと、問い合わせやチャージバックにつながる可能性があります。

第11問|実務判断問題 購入者へ1万円を全額返金しました。販売者にはすでに8,500円を分配済みです。どのような確認と処理が必要でしょうか?

回答例を見る

購入者への1万円の返金状態を確認する/販売者へ分配した8,500円の状態を確認する/分配を取り消せるか確認する/販売者残高から8,500円を回収できるか確認する/残高不足なら次回売上から控除できるか確認する/プラットフォーム手数料を返還するか確認する/決済手数料が返還されるか確認する/送料・返送料の負担者を確認する/返金・分配・入金明細を注文番号へ結び付ける/販売者への精算明細を修正する。購入者への返金だけで処理を終了しません。

第12問|実務判断問題 販売者A・Bの商品を一度に購入した注文で、販売者Bの商品だけ返品されました。どの金額を確認しますか?

回答例を見る

販売者Bの商品代/販売者Bへ分配した金額/販売者Bに配分した送料/商品別のプラットフォーム手数料/商品別の決済手数料/クーポンの負担額/購入者へ返す送料/返品送料/販売者Aへ影響する値引きの有無/注文全体の送料無料条件/返金後の支払総額/販売者Bから回収する金額。注文全体を取り消すのではなく、販売者Bの商品分だけを調整します。ただし返品により送料無料条件を下回る場合などは、注文全体の再計算が必要です。

よくある質問

今回のまとめ

決済代行会社との契約とプラットフォーム決済では、購入画面が同じでも、契約・入金・責任の構造が異なります。今回覚えておきたいポイントは、次の5つです。

  1. プラットフォーム決済には、販売者直接型とプラットフォーム集約・分配型がある
  2. プラットフォームを使っても、販売者の本人確認・審査がなくなるとは限らない
  3. 購入者の決済、売上分配、販売者への銀行入金は別の処理である
  4. 購入者への返金と、販売者への分配取消しは別処理の場合がある
  5. 手数料、返金、チャージバック、マイナス残高まで含めて契約を確認する

決済構造を確認する順番は、誰が決済契約を結ぶか確認→誰が購入者の代金を受け取るか確認→手数料と分配方法を決める→販売者への入金日を決める→返金・チャージバックの負担を決める→売上・分配・入金を照合する、です。決済機能を導入するだけでは、お金の管理は完成しません。注文から返金まで、誰の残高がいつ動くのかを説明できる状態にすることが、決済設計の基本です。

「売上分配は"自動でお金を分ける機能"だけじゃないよ。返金するときに、どう戻すかまで決めよう!」

DAY30の実践課題

自社ECまたはプラットフォームを想定し、決済構造を説明してください。決済契約(契約者・加盟店審査の受け手・本人確認の担当)、購入者からのお金(最初の受取先・決済手数料の負担者・プラットフォーム手数料率・分配の実行者)、入金(決済日・売上確定日・分配日・銀行振込日)、返金(返金操作の担当・分配済み金額の回収方法・残高不足時の一時負担者・決済手数料が戻らない場合の負担者)、チャージバック(通知の受け手・証拠提出の担当・最終的な損失負担者)、解約・退店(保留期間・退店後の回収方法・履歴の保存形式)を書き出します。分からない項目は推測で決めず、決済代行会社、プラットフォーム運営会社、経理担当者、必要に応じて弁護士・税理士等へ確認してください。

獲得バッジ

音声で学んだ
売上分配マスター
決済構造完成
FAQマスター
クイズクリア
「お金の通る道」を設計することが、EC運営の第一歩。決済機能を導入するだけでは、お金の管理は完成しません。注文から返金、退店処理に至るまで、「誰の残高が、いつ、どのように動くのか」を明確に説明できる状態にすることが、安全で持続可能なEC決済設計の基本です。UIの向こう側にある構造を理解し、自社のビジネスモデルに最適な決済インフラを選択しましょう

次回 DAY31:売上確定・返金・チャージバックの基本

クレジットカードの承認と売上確定、全額・部分返金、不正利用、本人認証、チャージバックが発生したときの流れを整理します。

DAY31へ進む(公開後にリンクします)

文:横田和也/解決ドットコム編集部

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