1万円の商品が売れたら利益はいくら?ECの原価・送料・手数料を具体的に計算 DAY11

🛒 Lv.1 ECの収益構造を学習中 XP 110

【DAY11】1万円の商品が売れたら利益はいくら残る?

原価・送料・梱包費・決済手数料・販売手数料・広告費を差し引いて計算する

カイピヨくんと学ぶECの基礎知識|国内EC・越境ECを基礎から学ぶ【DAY11】1万円の商品が売れたら利益はいくら残る?
学習進捗 0 / 100 XP
🔊 音声で聞く「1万円売って利益はたった3140円」

ECサイトで1万円の商品が売れました。管理画面には「売上10,000円」と表示されています。この数字を見ると、1万円がそのまま会社に残るように感じるかもしれません。しかし、商品を販売するためには、さまざまな費用がかかっています。

  • 商品を仕入れる・作るための原価
  • 購入者へ届ける送料
  • 箱や緩衝材などの梱包費
  • 支払いを処理する決済手数料
  • ECモールなどへ支払う販売手数料
  • 購入者を集めるための広告費
売上「10,000円」=あなたの手元に残るお金、ではありません。商品を販売するためには「仕入れ」「配送」「箱代」「システム手数料」「広告」など、売上画面には直接表示されない見えない費用が必ず発生する

これらを差し引くと、1万円の商品が売れても、実際に残る金額は1万円よりかなり少なくなります。

「売上の数字だけでは、本当にもうかったか分からないんだ!」

この記事で分かること

  • 売上と利益の違い
  • 1個売れるごとに発生する費用
  • 商品原価の考え方
  • 送料込みと送料別の違い
  • 決済手数料と販売手数料の違い
  • 広告費を1注文当たりに分ける方法
  • 粗利益と1個当たりの残りの違い
  • 固定費を引く前と引いた後の違い
  • 利益を増やすために確認すべき場所
  • 自分の商品で利益を計算する方法

先に結論|1万円がそのまま利益になるわけではない

今回は、次の条件で計算します。

項目金額
商品の販売価格10,000円
商品原価3,000円
送料の自社負担800円
梱包費200円
決済手数料360円
販売手数料1,000円
1注文当たりの広告費1,500円

すべて差し引くと、次のようになります。

売上         10,000円
-商品原価       3,000円
-送料         800円
-梱包費        200円
-決済手数料      360円
-販売手数料     1,000円
-広告費       1,500円
────────────────
残る金額       3,140円
1万円の箱を開けると、手元に残るのは「3,140円」。売上10,000円から商品原価3,000円・送料800円・梱包費200円・決済手数料360円・販売手数料1,000円・広告費1,500円を順に差し引くウォーターフォールチャート。利益メーターは3,140/10,000円(31.4%)

この例では、1万円の商品が1個売れたとき、変動する費用を引いたあとに残る金額は3,140円です。ただし、この3,140円がそのまま会社の最終利益になるわけではありません。ここからさらに、ECシステムの月額料金、人件費、家賃などの固定費を支払う必要があります。

身近な例で考えると「1万円入りの箱」

商品が1個売れると、1万円が入った箱が届く場面を想像してみましょう。箱を開けると、1万円をそのまま自由に使えるわけではありません。最初に、商品を仕入れた人へ3,000円を支払います。次に、配送会社へ800円を支払います。箱や緩衝材にも200円かかっています。支払いを処理した会社や、商品を販売した場所にも手数料を支払います。さらに、広告を見て購入した人であれば、広告費もかかっています。

売上10,000円の箱
 ├─ 商品原価  3,000円
 ├─ 送料     800円
 ├─ 梱包費    200円
 ├─ 決済手数料  360円
 ├─ 販売手数料 1,000円
 └─ 広告費   1,500円

残り     3,140円

売上とは、最初に入ってくる金額です。利益は、必要な費用を払ったあとに残る金額です。

計算する前に確認すること

今回は「税を含む表示金額」で単純化する

この記事では仕組みを理解しやすくするため、購入者が支払う1万円を基準にして計算します。実際の会計では、税込経理か税抜経理か、課税事業者か免税事業者か、商品代金と送料の処理、クーポン負担者、手数料に含まれる消費税、売上を計上する時期といった条件によって数字の扱いが変わる場合があります。この記事の計算は、EC事業の採算を考えるための一般的な例です。具体的な記帳や税務処理については、税理士などへ確認してください。

費用はすべて同じ条件で比較する

税込金額と税抜金額を混ぜると、正しい比較ができません。たとえば、販売価格を税込で記録し、原価だけ税抜で記録すると、実際より利益が多く見える可能性があります。計算するときは、販売価格、原価、手数料などを同じ基準にそろえます。

1.販売価格は1万円

今回の商品は、購入者へ10,000円で販売します。ここでは、送料込みの商品として考えます。つまり、購入者が支払う金額は10,000円で、配送会社へ支払う送料は販売者が負担します。

「送料込み」と「送料別」は違う

粗利からさらに削られる「配送の現実」。送料込みでは商品ページ表示・購入者支払額ともに10,000円で、販売者が自腹で配送会社へ800円支払う。送料別では購入者支払額10,800円のうち800円を配送会社へ支払うが、実際の送料が900円かかった場合は差額100円が販売者の負担となる。梱包作業の時間も費用(例:10分=300円)で、基本送料以外の例外(冷蔵・遠隔地)も隠れたコスト
送料込み

商品ページの表示価格:10,000円
購入者の支払額:10,000円

販売者は、この1万円の中から送料を支払います。

送料別

商品価格:10,000円
購入者が支払う送料:800円
購入者の支払額:10,800円

ただし、購入者から800円を受け取っても、配送会社へ支払う送料と完全に同じとは限りません。

  • 実際の送料が900円なら、販売者が100円負担する
  • 実際の送料が700円なら、100円の差が生じる
  • 地域やサイズによって送料が変わる
  • 冷蔵・冷凍料金が追加される

「購入者から受け取る送料」と「配送会社へ支払う送料」は分けて管理します。

2.商品原価は3,000円

商品原価とは、販売した商品を用意するためにかかった原価です。今回は、完成した商品を1個3,000円で仕入れたものとして計算します。

売上   10,000円
-商品原価 3,000円
────────────
粗利益   7,000円

売上から売上原価を差し引いた金額は、売上総利益、一般には粗利益や粗利と呼ばれます。この時点で、粗利益は7,000円です。

⚠ 粗利益7,000円が最終利益ではありません。粗利益を計算するときは、主に商品の売上原価を差し引きます。しかし、ECでは商品を売るたびに、決済手数料、販売手数料、梱包費、送料、注文獲得のための広告費が発生します。そのため、粗利益だけを見て「7,000円もうかった」と判断してはいけません。

3.送料は800円

購入された商品を届けるため、配送会社へ800円を支払います。

粗利益 7,000円
-送料  800円
──────────
残り  6,200円

送料は、商品価格、配送地域、荷物の大きさ、重量、温度帯などによって変わります。

4.梱包費は200円

商品を配送するためには、梱包資材が必要です。今回は、1件当たり200円とします。

梱包資材金額の例
配送用の箱100円
緩衝材40円
袋・テープ20円
配送ラベルなど20円
同梱物20円
合計200円
残り  6,200円
-梱包費 200円
──────────
残り  6,000円

5.決済手数料は360円

購入者がクレジットカードなどで支払う場合、決済処理のための手数料が発生することがあります。今回は、説明用として販売価格の3.6%を決済手数料とします。

10,000円 × 3.6% = 360円
売上から確実に徴収される「場所代」と「決済代」。決済手数料3.6%(360円)は購入者がクレジットカード等で支払う処理費用。商品代金だけでなく送料を含む支払総額にかかることが多い点に注意。販売手数料10%(1,000円)はECモール等の場所代で、手数料無料の自社ECでもシステム費・制作費・集客費が別ルートで発生するため実質無料ではない。利益メーターは残り4,640円
残り    6,000円
-決済手数料 360円
────────────
残り    5,640円

これは説明用の仮定です。実際の決済手数料率、計算対象、固定料金、返金時の扱いは、利用サービスと契約によって異なります。

6.販売手数料は1,000円

ECモールやマーケットプレイスなどを利用する場合、商品が売れるごとに販売手数料が発生することがあります。今回は、販売価格の10%を販売手数料とします。

10,000円 × 10% = 1,000円
残り    5,640円
-販売手数料1,000円
────────────
残り    4,640円

自社ECでは販売手数料がない場合もありますが、代わりにECシステムの月額料金、制作費、保守費、追加機能の利用料、集客費、担当者の人件費が発生する可能性があります。「販売手数料がない=費用がかからない」ではありません。

7.広告費は1,500円

商品を購入してもらうために、広告を出したとします。広告費は月単位で支払うことが多いため、商品1個にいくらかかったかが見えにくい費用です。そこで、広告費を広告経由の注文数で割ります。今回は、1か月に広告費を150,000円使い、広告から100件の注文を獲得したものとします。

広告費150,000円 ÷ 注文100件
=1注文当たり1,500円
月額の広告費は「1件の注文を獲得するコスト」に変換する。月額広告費150,000円÷広告経由の注文100件=1注文当たり1,500円。広告がクリックされただけでは売上になりません。商品1個の採算を考えるときは、広告費をクリック単価ではなく1件の注文を獲得するために使った費用(CACの概念)で割って引く必要がある。利益メーターは残り3,140円
残り 4,640円
-広告費1,500円
──────────
残り 3,140円

広告がクリックされただけでは、売上は発生しません。商品1個の採算を考えるときは、1件の注文を獲得するために使った広告費を見る必要があります。この数字は、顧客獲得単価やCACに近い考え方です。CACについては、DAY13で詳しく学びます。

1万円の商品で残る金額をまとめる

計算段階金額
売上10,000円
商品原価を引いた粗利益7,000円
送料を引いた残り6,200円
梱包費を引いた残り6,000円
決済手数料を引いた残り5,640円
販売手数料を引いた残り4,640円
広告費を引いた残り3,140円
10,000円
-3,000円 -800円 -200円
-360円 -1,000円 -1,500円
=3,140円

残る割合は次のとおりです。

3,140円 ÷ 10,000円 × 100 = 31.4%

この例では、売上の31.4%が固定費の支払いなどに回せる金額として残ります。売上から変動費を差し引いた金額は、限界利益として管理できます。損益分岐点の計算では、費用を変動費と固定費に分け、限界利益が固定費をどれだけ回収できるかを見ます。

3,140円は「最終利益」ではない

今回差し引いたのは、商品が1個売れるごとに発生する主な費用です。まだ次のような費用を引いていません。

  • ECシステムの月額料金
  • 事務所や倉庫の家賃
  • 固定給の人件費
  • 電話・インターネット料金
  • 会計システムの料金
  • 撮影機材やパソコンの費用
  • 外注費
  • 保険料
  • 税金
  • 事業主自身の作業時間

そのため、3,140円を「最終利益」や「営業利益」と呼ぶのは正確ではありません。この記事では、1個売れたときに、固定費の支払いへ回せる金額として整理します。

残った3,140円は「最終利益」ではない。限界利益(変動費を引いた残り)3,140円を、ECシステム月額料金・固定給の人件費・倉庫の固定料金・通信費などが入った固定費(月額200,000円)のバケツへ集めて満たす必要がある。1個売れたときに残る金額(限界利益)が黒字でも、それが営業利益とは限らない。バケツを満たすまでは事業全体では赤字

「3,140円から、毎月のシステム代や人件費も払うんだね!」

固定費まで入れると、1個当たりいくら残る?

1か月の固定費が次のとおりだったとします。

固定費月額
ECシステム20,000円
人件費120,000円
倉庫の固定料金20,000円
通信・業務システム10,000円
その他30,000円
合計200,000円

1か月に100個売れた場合、固定費を1個当たりに分けると次のようになります。

固定費200,000円 ÷ 販売数100個 = 1個当たり2,000円

先ほどの3,140円から2,000円を引きます。

変動費を引いた残り 3,140円
-固定費の1個分   2,000円
────────────────
1個当たりの利益目安 1,140円

この条件では、1個販売して最終的に残る利益の目安は1,140円です。

月全体ではいくら利益が残る?

1個当たりの限界利益が3,140円で、100個売れた場合です。

3,140円 × 100個 = 314,000円

ここから月の固定費200,000円を引きます。

限界利益合計314,000円
-固定費   200,000円
────────────────
利益     114,000円

この例では、月100個売れると、固定費を差し引いたあとに114,000円が残ります。

何個売ればバケツは溢れるか?(固定費回収のシミュレーション)。30個販売:限界利益94,200円で固定費200,000円に対し赤字。50個販売も赤字。100個販売で損益分岐点を超え利益114,000円発生。200個販売で利益428,000円。1個あたりの利益率と全体の販売数、この両輪が揃って初めてECは成立する
月の販売数限界利益合計固定費残る利益
30個94,200円200,000円▲105,800円
50個157,000円200,000円▲43,000円
100個314,000円200,000円114,000円
200個628,000円200,000円428,000円

売上だけでなく、何個売れば固定費を回収できるかを見る必要があります。固定費を限界利益率で割る損益分岐点の考え方は、次のDAY13で扱います。

条件が変わると利益はどう変わる?

条件が少し変わるだけで、手元に残る金額は激変する。基本形3,140円、シナリオA広告を使わずに売れた4,640円、シナリオB原価が500円高騰2,640円、シナリオC1,000円値下げして販売2,276円。1,000円の値下げが利益を864円も破壊する。利益構造を把握していれば安易な値下げがいかに利益を破壊するかが一目で分かる

利益率を見る

1個売れたときに残る金額だけでなく、売上に対して何%残るかも確認します。

粗利益率:粗利益7,000円 ÷ 売上10,000円 × 100 = 70%
限界利益率の目安:限界利益3,140円 ÷ 売上10,000円 × 100 = 31.4%

粗利益率は70%ですが、送料、手数料、広告費まで引くと31.4%になります。粗利益率だけでは、EC販売全体の採算を判断できないことが分かります。

広告費をどう考えるか

購入経路によって、広告費の扱いが異なります。

購入経路1注文当たりの広告費の考え方
有料広告から初回購入広告費を割り当てる
自然検索から購入直接の広告費は0円の場合がある
SNSの通常投稿から購入制作・運用費を別途考える
既存顧客の再購入初回獲得費をどう配分するか検討
紹介から購入紹介料が発生する場合がある

広告を使わずに売れたように見えても、記事作成、SNS運用、動画制作などに人件費がかかっている場合があります。

返品やキャンセルも利益を減らす

水面下で利益を沈める「返品・キャンセル」の見えないコスト。氷山の水面上に見えるのは購入者への返金だが、水面下には返送費・再発送費・返金手数料・検品の作業費・再梱包資材・商品を再販売できない場合の原価・問い合わせ対応の人件費が隠れている。例:100件中5件返品、返品関連費用合計50,000円の場合、50,000円÷100件=1注文あたり500円を採算計算にあらかじめ含める

商品が売れたあと、必ずすべての売上が残るとは限りません。返品が発生すると、購入者への返金、返送費、再発送費、返金手数料、商品の検品費、再梱包費、商品を再販売できない場合の原価、問い合わせ対応の人件費がかかる可能性があります。

「現金が残る」と「会計上の利益」は分けて考える

この記事では、商品1個が売れた場合の採算を確認しています。実際の会計では、仕入れた商品が売れずに在庫として残る場合、仕入金額とその期間の売上原価は同じにならないことがあります。棚卸資産の計算では、期首在庫、当期仕入、期末在庫を使って売上原価を求めます。また、決済サービスからの入金日と、会計上の売上計上時期が同じとは限りません。商品別の採算計算と、正式な会計・税務処理は分けて管理してください。

よくある計算ミス

EC初心者の利益を食いつぶす「7つの計算ミス」。1.販売価格から原価だけを引いて儲かったと錯覚する。2.購入者負担の送料をそのまま自社の利益として計算してしまう。3.広告費を月額の総額でしか見ておらず1獲得あたりのコストを無視する。4.決済手数料とモールへの販売手数料を混同し片方しか計算しない。5.自分の作業時間(梱包・発送・CS)を無料として扱う。6.固定費の存在を忘れ1個あたりの限界利益だけで事業が黒字だと思い込む。7.返品、キャンセル、再発送の例外コストを計算に入れない
ミス1|販売価格から原価だけを引く
10,000円-3,000円=7,000円。これだけを見て、7,000円もうかったと考えてしまうミスです。送料、手数料、梱包費、広告費などが抜けています。
ミス2|購入者負担の送料をすべて利益にする
購入者から受け取った送料から、配送会社へ支払う送料を差し引く必要があります。
ミス3|広告費を月額のまま見る
広告費150,000円という総額だけでなく、何件の注文を獲得したかを確認します。
ミス4|決済手数料と販売手数料を混同する
決済処理の手数料と、販売場所へ支払う手数料は別に発生する場合があります。
ミス5|自分の作業時間を0円にする
商品登録、梱包、発送、問い合わせには時間がかかります。事業を拡大して他の人へ任せる場合、人件費が発生します。
ミス6|固定費を忘れる
1個売れたときに利益が残っていても、月額料金や人件費を回収できなければ、月全体では赤字になります。
ミス7|返品費用を計算しない
通常注文だけでなく、返品・再発送・破損などの例外費用も利益に影響します。

利益を増やす7つの確認場所

利益を増やす方法は、販売価格を上げることだけではありません。

利益を増やすための「7つのコントロールレバー」。商品原価(仕入数量の見直し、廃棄や不良の削減)、送料(箱の小型化、複数商品のまとめ送り、地域別送料の検討)、梱包費(資材の統一、過剰包装の削減、作業時間の短縮)、決済手数料(売上規模に合う契約プラン・別サービスの比較検討)、販売手数料(自社ECとモールの役割分担、採算の比較)、広告費(注文に繋がらない広告の停止、リピート購入の育成)、返品・問合せ(商品説明の充実、サイズ表記の明確化、破損しにくい梱包への変更)
1.商品原価
  • 仕入数量を見直す
  • 廃棄や不良を減らす
  • 梱包単位を見直す
  • 仕入先と条件を確認する
2.送料
  • 商品サイズに合う配送方法を選ぶ
  • 箱を小さくする
  • 複数商品をまとめて送る
  • 送料無料ラインを見直す
  • 地域別送料を検討する
3.梱包費
  • 資材を統一する
  • 過剰包装を減らす
  • 破損しない範囲で箱を小さくする
  • 作業時間を短縮する
4.決済手数料
  • 契約プランを確認する
  • 売上規模に合うサービスか確認する
  • 振込手数料や入金回数も含めて比較する
5.販売手数料
  • 販売チャネルごとの採算を比べる
  • 自社ECとモールの役割を分ける
  • 手数料に見合う集客があるか確認する
6.広告費
  • 注文につながらない広告を停止する
  • 商品別・広告別に採算を見る
  • リピート購入を増やす
  • 自然検索や既存顧客からの流入を育てる
7.返品・問い合わせ
  • 商品説明を詳しくする
  • サイズや色を分かりやすくする
  • 破損しにくい梱包へ変える
  • よくある問い合わせを商品ページへ反映する

実際のケースで考えてみよう

ケース|工芸品を1万円で販売する

手作りの木製トレーを10,000円で販売します。販売前の予想では、商品原価3,000円だけを見ていました。

10,000円-3,000円=7,000円残る予定

しかし、販売後に実際の費用を確認すると、次のようになりました。

費用金額
商品原価3,000円
送料1,100円
梱包費350円
決済手数料360円
販売手数料1,000円
広告費2,000円
合計7,810円
売上10,000円-費用7,810円=残り2,190円

当初は7,000円残ると思っていましたが、実際には2,190円でした。

原因を分ける

  • 想定より箱が大きく、送料が高かった
  • 壊れないよう梱包材を増やした
  • 広告から購入してもらう費用が高かった
  • ECモールの販売手数料を見落としていた

この場合、単純に「もっと売る」だけでは、作業量の割に利益が増えない可能性があります。送料、梱包、広告、販売場所を一つずつ見直します。

商品1個の採算を確認する12の質問

自社商品の採算は大丈夫?12のデータ収集マトリクス。販売価格は統一基準か、正確な商品原価はいくらか、購入者から受け取る送料はいくらか、実際の配送会社へ支払う送料はいくらか、梱包資材費はいくらか、決済手数料の割合と1件あたり固定額は、プラットフォームへの販売手数料はいくらか、1注文あたりの広告費(CAC)はいくらか、1件の発送・梱包に何分かかるか、過去の返品記録から導く平均返品費用は、月の固定費の総額は、月に何個売れる見込みか
  1. 販売価格はいくらですか?税込・税抜、送料込み・送料別を統一します。
  2. 商品原価はいくらですか?仕入原価または製造原価を確認します。
  3. 購入者から送料を受け取りますか?受取額と実際の支払額を分けます。
  4. 実際の送料はいくらですか?地域、サイズ、温度帯による違いを確認します。
  5. 梱包資材はいくらですか?箱だけでなく、袋、緩衝材、ラベルも含めます。
  6. 決済手数料はいくらですか?割合と1件当たり料金を確認します。
  7. 販売手数料はいくらですか?モール、マーケットプレイスなどの条件を確認します。
  8. 1注文当たりの広告費はいくらですか?広告費を注文数で割ります。
  9. 1件の発送に何分かかりますか?人件費や作業量を確認します。
  10. 返品にいくらかかりますか?平均返品費用も確認します。
  11. 月の固定費はいくらですか?システム費、人件費、家賃などを整理します。
  12. 月に何個売れる見込みですか?固定費を回収できる数量か確認します。

やってみよう|1個売れたら残る金額シミュレーター

自分の商品の金額を入力すると、1万円の例と同じように、売上から費用を1段ずつ差し引くウォーターフォールで残る金額を確認できます。決済手数料・販売手数料は円/%のどちらでも入力できます。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。

広告費(1注文当たり): 円  または 月間広告費円 ÷ 獲得注文数件  計算して反映
1個売れたら残る金額

これは仕組みを理解するための簡易計算です。実際の税金、会計処理、契約条件は事業の内容によって異なるため、正確な数字は税理士などへ確認してください。

アウトプットワーク|1万円の商品を計算しよう

[実践ワーク] あなたの商品の利益を計算してみよう。STEP1(限界利益の算出):購入者から受け取る金額-変動費合計=1個あたり残る金額。STEP2(固定費の按分):月の固定費÷月の販売予定数=1個あたりの固定費。STEP3(最終利益の確認):1個あたり残る金額-1個あたりの固定費=最終的に残る利益の目安

販売したい商品を一つ選んでください。上のシミュレーターの数字を書き写しながら整理すると分かりやすくなります。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。

購入者から受け取る金額

項目金額
商品価格
購入者から受け取る送料
その他
購入者の支払総額

1個売れるごとに発生する費用

費用金額確認先
商品原価仕入明細・製造原価
配送会社へ支払う送料配送料金表
梱包費資材購入明細
決済手数料決済会社
販売手数料ECサービス
1注文当たりの広告費広告管理画面
発送作業費自社・倉庫
返品費用の平均過去の返品記録
その他
変動費合計

1個当たりに残る金額/固定費まで入れて考える

購入者から受け取る金額円-変動費合計円=1個当たりに残る金額円。
残る割合=1個当たりに残る金額÷購入者から受け取る金額×100=%。
月の固定費円÷月の販売予定数個=1個当たりの固定費円。
変動費を引いた残り円-1個当たりの固定費円=最終的に残る利益の目安円。

確認できない費用は0円にせず、「未確認」と書いてください。

記入できたら完了にする

理解度チェッククイズ

第1問 1万円の商品が売れた場合、1万円すべてが利益になるでしょうか?

A.すべて利益になる
B.原価や送料、手数料などを引く必要がある
C.利益は必ず0円になる
正解はBです。売上から商品原価、送料、梱包費、決済手数料、販売手数料、広告費などを差し引いて、残る金額を確認します。

第2問 商品原価3,000円の商品を10,000円で販売した場合、粗利益はいくらでしょうか?

A.3,000円
B.7,000円
C.13,000円
正解はBです。売上10,000円-商品原価3,000円=粗利益7,000円です。

第3問 送料込み10,000円の商品で、配送会社へ800円支払った場合、送料を負担するのは誰でしょうか?

A.販売者
B.商品を見ただけの人
C.必ずEC運営会社
正解はAです。送料込みの商品では、購入者が商品価格とは別に送料を支払わないため、販売者が受け取った売上の中から配送会社へ送料を支払います。

第4問 広告費150,000円で100件の注文を獲得した場合、1注文当たりの広告費はいくらでしょうか?

A.150円
B.1,500円
C.15,000円
正解はBです。広告費150,000円÷注文100件=1注文当たり1,500円です。

第5問 次のうち、商品が1個売れるごとに増えやすい費用はどれでしょうか?

A.販売ごとの決済手数料
B.毎月同じ事務所家賃
C.年間契約の固定システム費だけ
正解はAです。売上金額に応じた決済手数料は、商品が売れるほど増えるため、変動費として管理しやすい費用です。

第6問 1個売れたときに変動費を引いて3,140円残りました。この3,140円は、そのまま最終的な営業利益でしょうか?

A.必ず営業利益になる
B.月額費用や人件費などの固定費を引く必要がある
C.売上へ戻して計算する
正解はBです。3,140円は、固定費を支払う前の金額です。ここからECシステム費、人件費、家賃などを支払います。

第7問|計算問題 次の条件で、1個売れたときに残る金額を計算してください。
販売価格:10,000円/商品原価:4,000円/送料:700円/梱包費:300円/決済手数料:350円/販売手数料:800円/広告費:1,200円

回答を見る

費用の合計を計算します。商品原価4,000円+送料700円+梱包費300円+決済手数料350円+販売手数料800円+広告費1,200円=費用合計7,350円。

売上から差し引きます。売上10,000円-費用7,350円=残る金額2,650円

第8問|実務判断問題 売上は伸びていますが、銀行口座にお金が残りません。担当者は、商品原価しか記録していませんでした。どのような費用を追加で確認しますか?

回答例を見る

配送会社へ支払う送料、梱包資材費、決済手数料、販売手数料、振込手数料、広告費、倉庫費、発送作業費、ECシステム費、人件費、返品・返金費用、再発送費、値引きやクーポン負担、廃棄・破損した商品の原価を確認します。商品原価だけでは、EC販売全体の費用を把握できません。

よくある質問

今回のまとめ

見えない費用をすべて可視化し、強いEC事業をつくろう。1万円の商品でも、最後に残るのは3,140円。見えない費用まで全部書き出そう。次回DAY12:EC商品の価格はどう決める?原価、競合価格、商品価値、送料を使い、赤字にならず購入者にも選ばれる価格設定のロジックを学ぶ

1万円の商品が売れても、1万円すべてが利益として残るわけではありません。今回の例では、商品原価3,000円、送料800円、梱包費200円、決済手数料360円、販売手数料1,000円、広告費1,500円を差し引きました。

売上10,000円-変動費6,860円=残る金額3,140円

さらに、ECシステム費、人件費、倉庫費などの固定費を支払います。大切なのは、販売価格と商品原価だけで判断しないことです。送料、梱包、決済、販売、広告、返品、作業時間まで含めて、1個売れたときにいくら残るかを確認することが必要です。

「1万円の商品でも、最後に残るのは3,140円。見えない費用まで全部書き出そう!」

DAY11の実践課題

販売したい商品、または現在販売している商品を一つ選び、販売価格、購入者から受け取る送料、商品原価、配送会社へ支払う送料、梱包資材費、決済手数料、販売手数料、1注文当たりの広告費、発送作業費、返品費用の平均、月の固定費、月の販売予定数を調べてください。そのうえで、「売上-商品原価=粗利益」「売上-1個売れるごとに発生する費用=固定費の支払いへ回せる金額」「固定費の支払いへ回せる金額-1個当たりの固定費=最終的に残る利益の目安」の3つを計算します。

分からない金額は0円で埋めず、「未確認」としてください。未確認の費用を一つずつ調べることが、採算改善の最初の一歩です。

獲得バッジ

音声で学んだ
計算マスター
利益ワーク完了
FAQマスター
クイズクリア

次回 DAY12:EC商品の価格はどう決める?

原価、競合価格、商品価値、送料を使い、赤字にならず購入者にも選ばれる価格設定を整理します。

DAY12へ進む(公開後にリンクします)

文:横田和也/解決ドットコム編集部

\ 最新情報をチェック /