輸出申告と輸入申告とは?越境ECの税関手続・申告者・通関業者の役割を解説 DAY53

🌏 Lv.3 越境ECの仕組みを学習中 XP 530

【DAY53】輸出申告と輸入申告

税関へ何を申告し、誰がどのタイミングで手続きを行うのかを整理する

解決.com公式 DAY53|「荷物を送る」から「国境を越える」へ。越境ECのブラックボックスを解き明かす、輸出入通関の完全ガイド
学習進捗 0 / 100 XP
🔊 音声で聞く「越境ECで荷物が止まる本当の理由」

DAY52では、Commercial Invoice、Packing List、AWB・B/L、CN22・CN23など、海外発送で使う書類を整理しました。では、その書類を作れば、商品は自動的に海外へ出せるのでしょうか。そうではありません。商品が国境を越えるときには、必ず税関が関わります。日本からアメリカへ商品を送る場合、日本側では「出してよいか」を確認する輸出、アメリカ側では「入れてよいか」を確認する輸入という、2つの税関手続が発生します。

さらに重要なのが、申告と許可は別だという点です。「輸出申告しました」は「輸出許可を受けました」と同じではありません。日本税関では、貨物を輸出するときは税関へ輸出申告を行い、必要な検査を経て輸出許可を受ける必要があるとされており、輸入についても、輸入(納税)申告を行い、必要な審査・検査、関税等の納付を経て輸入許可を受けるのが基本です。

「申告は“税関に内容を伝えること”、許可は“その内容を確認して通してもらうこと”だよ。同じじゃないんだ!」

DAY52との違い

DAY52では、商品名・数量・価格・原産国等の情報をInvoiceやPacking Listへ整理しました。DAY53では、その情報を使って、輸出国・輸入国それぞれの税関へ、誰がいつ何を申告するのかを整理します。つまりDAY52は「書類を作る」、DAY53は「税関へ申告する」です。次回DAY54では、関税・輸入税・輸入手続の負担を売主と買主のどちらが担うのかに関わるDDP・DAPを整理します。

この記事で分かること

  • 輸出とは何か、輸入とは何か、申告と許可の違い
  • 一つの荷物に2つの税関手続がある理由
  • 誰が輸出申告・輸入申告をするのか、通関業者と通関士の違い
  • 保税地域とは何か、輸出許可・輸入許可のタイミング
  • 国際郵便20万円ルールの、輸出側と輸入側での違い
  • NACCSとは何か、税関審査と検査の違い
  • 「税関で止まっています」をどう切り分けるか
  • 申告後に誤りへ気付いたときの対応
  • 個別直送と海外倉庫まとめ輸出で変わる通関のタイミング

先に結論|「発送」と「輸出」、「到着」と「輸入」を分ける

発送=輸出完了ではない。国際宅配便を使うと出品者にはラベル作成→集荷→海外配送だけに見えるが、水面下では輸出通関→税金立替→輸入通関という手続が進んでいる 1つの荷物に立ちはだかる2つの関所。日本から出してよいかを確認する輸出側の税関審査と、自国に入れてよいかを確認する輸入側の税関審査は別で、日本で輸出できても相手国で輸入できるとは限らない非対称性がある

まず、発送=輸出許可ではありません。また、海外へ到着=輸入完了でもありません。基本の流れは、日本側では、商品準備→輸出書類→輸出申告→税関審査→必要なら検査→輸出許可→国際輸送です。そして輸入国側では、貨物到着→輸入申告→税関審査→必要なら検査→関税・輸入税等の納付→輸入許可→国内配送→購入者受取となります。1件の越境EC注文には、輸出側の通関と輸入側の通関という、2つの独立した法的手続があります。

日本側(輸出)の基本フロー

商品準備→輸出書類→輸出申告→税関審査→必要なら検査→輸出許可→国際輸送

輸入国側(輸入)の基本フロー

貨物到着→輸入申告→税関審査→必要なら検査→関税・輸入税等の納付→輸入許可→国内配送→購入者受取

輸出とは・輸入とは・申告と許可の違い

最重要語彙、申告と許可を分断する。申告Declarationは税関へ情報を提出し伝えること、主体は輸出者・輸入者または代理の通関業者。許可Permissionは税関が内容を確認し認めること、主体は各国の税関。申告済みは審査・検査待ちでまだ商品は動かせない、許可済みで初めて国境を越えるか国内に引き取れる状態になる

輸出とは、国内にある貨物を外国へ送り出すことです。宅配会社へ箱を渡した瞬間に法律上の輸出手続がすべて終わるわけではなく、必要な税関手続を経ます。輸入とは、外国から到着した貨物を国内へ引き取ることです。日本からアメリカへ送った商品は、アメリカ側から見れば輸入貨物です。日本へ外国商品を入れる場合には、日本税関へ輸入申告し、必要な税金を納め、輸入許可を受けた後に国内へ引き取るのが基本です。

項目申告(Declaration)許可(Permission)
内容税関へ情報を提出し「伝える」こと税関が内容を確認し「認める」こと
主体輸出者・輸入者(または代理の通関業者)各国の税関
実務上の状態審査・検査待ち。まだ商品は動かせない国境を越える、または国内へ引き取れる状態

日本税関は、輸出貨物について税関への申告と必要な検査を経て許可を受ける必要があると説明しています。申告済み≠許可済みです。注文ステータスも「輸出申告済み」と「輸出許可済み」を分けると管理しやすくなります。

誰が輸出申告・輸入申告をするのか|通関業者と通関士

国境のプレイヤー相関図。販売者Sellerと輸出者Exporterは必ずしも同じでなく、輸出者は通関業者Customs Brokerへ代理・委任して税関Customsへ申告できる。購入者Buyerと輸入者Importerも同じとは限らずB2Bや現地倉庫宛てでは異なる。通関業者と通関士は別で、業者は会社、士は国家資格者。通関業者への丸投げは不可で商品情報を用意するのは販売者の責任

日本の一般的な輸出申告では、貨物の輸出者が申告します。ただし輸出者が通関業者へ依頼し、代理申告してもらうこともできます。輸入も同様に、貨物を輸入しようとする者が申告するのが原則ですが、財務大臣の許可を受けた通関業者へ代理・代行を依頼できます。ここで注意したいのは、輸出者=箱を物理的に持ち込んだ人とは限らず、購入者=必ず輸入者とも限らないという点です。特にBtoB・海外倉庫・現地販売では、誰をImporterにするのかを事前に設計する必要があります。DAY43で学んだ、荷送人・荷受人という物流層の役割とも混同しないようにします。

通関業者は、輸出者・輸入者等から依頼を受け、税関への輸出入申告など通関業務を行う事業者です。通関士は、通関業務に関する国家資格者で、通関業者(会社)とは別の言葉です。通関業者へ依頼したとしても、商品名・HS・原産国・価格・用途・素材などの正しい情報を提供するのは販売者側の責任で、全部丸投げすることはできません。DHL・FedEx・国際宅配便を利用すると、発送者からはラベル作成→集荷→海外配送だけに見えることがありますが、その途中で通関業者による輸出入通関が行われています。

輸出申告から輸出許可までの流れ

輸出のシステムフロー日本側。書類準備(Invoice・Packing List)→保税地域へ搬入(税関の管理下に置く)→輸出申告(NACCS等を通じデータ送信)→税関審査・検査(書類審査、必要に応じ現物検査)→輸出許可(航空機や船への積込が可能に)。食品・化粧品など税関以外の許可が必要な商品は申告前にクリアしておく

保税地域とは、外国貨物等を税関の管理下で置くことができる場所です。日本の輸出申告では、申告自体は貨物を保税地域へ搬入する前でも可能ですが、輸出許可は原則として貨物を保税地域へ搬入した後に行われます。申告先は、原則として貨物を入れる保税地域等の所在地を所轄する税関です。輸出申告書では、輸出者・仕向人・積込港・仕向地・商品名・統計品目番号・数量・価格などを申告し、仕入書(Invoice)等の必要書類を添付します。仕向地は貨物が最終的に向かう国・地域で、経由地点と最終仕向地を混同しません。

食品・植物・医薬品・化粧品・文化財など、商品によっては税関以外の他法令に基づく許可・承認・検査・届出が必要になる場合があります。他法令の許可・承認等が必要な貨物では、その書類を輸出申告時に提出する必要があるため、税関へ申告してから初めて他法令を調べるのでは遅い場合があります。

輸入申告から輸入許可までの流れ

輸入のシステムフロー相手国側。貨物到着(この時点ではまだ外国貨物)→輸入申告(Importerによる情報提出)→税関審査・検査(規制や価格の確認)→関税等納付(最大の関門、税金ゼロでも申告は必要)→輸入許可(ここで初めて内国貨物となる)。到着≠国内へ流通できる状態で、許可が出て初めて配送網に乗る

外国から日本へ到着した商品は、輸入許可前は外国貨物です。そのため到着してすぐに販売・使用できるわけではありません。日本では原則として、外国から到着した貨物を保税地域へ搬入した後、輸入(納税)申告を行います。税関は申告内容を審査し、必要な検査・納税を経て輸入を許可します。輸入許可を受けた貨物は、外国貨物から内国貨物となり、国内へ引き取れるようになります。関税率が0%だったとしても、輸入申告や商品規制の確認が不要になるとは限らない点にも注意します。

なお日本で輸出許可を受けられても、それがそのまま相手国での輸入許可を意味するわけではありません。輸出国と輸入国は別の法律・制度で確認するため、日本側は輸出許可済みでも、輸入国側の規制や許可不足で輸入できない場合や、逆に相手国は受入可能でも日本側の輸出禁止・許可要件で日本から出せない場合があります。DAY44で学んだ、輸出可否と輸入可否を分ける考え方がここにつながります。

国際郵便20万円ルールの非対称性

罠になりやすい20万円ルールの非対称性。輸出は内容品の合計価格が20万円超で日本税関への輸出申告と輸出許可が必須になる。輸入は課税価格の合計額が20万円超で税関が計算する賦課課税方式から輸入者が申告する申告納税方式へ変わる。同じ20万円でも基準となる価格概念が全く違う

2026年8月時点、日本郵便では、内容品の合計価格が20万円を超える(20万1円以上の)外国宛て国際郵便物について、日本税関への輸出申告と輸出許可が必要と案内しています。20万円以下の郵便物では通常の輸出申告が不要となる場合がありますが、CN22・CN23や内容品データ、通関電子データなど、郵便発送に必要な税関情報は別途必要です。「通常の輸出申告不要」と「税関への情報提供不要」は同じではありません。

輸入側にも20万円基準がありますが、基準にしている価格概念が違います。輸出郵便は内容品の合計価格が20万円超、輸入郵便は課税価格の合計額が20万円超で、輸入(納税)申告が必要です。日本の国際郵便では、課税価格が20万円以下なら原則として税関側が税額を計算する賦課課税方式、20万円を超えると輸入者側が申告する申告納税方式になります。この20万円という金額は日本側の国際郵便通関手続の基準であり、DAY50で学んだ海外側のLow Value基準(VAT免税ライン等)とは別物なので混同しません。

DAY48〜52が全部つながる|NACCSとは

全てのデータは通関のために収束する。HSコード(DAY48)、関税・税金(DAY49-50)、原産国・課税価格(DAY51)、Invoice・Packing List(DAY52)が申告システムNACCS等へ集まりCustoms Gateを通る。通関業者に丸投げは不可能で、業者はこれらの情報が正しく揃って初めて適正な申告システムを動かせる

輸入申告では、DAY48のHSコード、DAY49・DAY50の関税・輸入税・VAT/GST、DAY51の原産国・課税価格、DAY52のInvoice等が一つにつながります。ここまでの記事は、実はDAY53の通関準備だったとも言えます。日本の輸出入通関では、輸出入・港湾関連情報処理システムであるNACCSが利用され、輸出入申告等を電子的に処理しています。ただし越境ECを始めるために、最初にNACCS操作を全部覚える必要はなく、実際には通関業者・配送会社・日本郵便などへ手続を依頼する場合があります。電子申告できるからといって、税関が何も確認しないという意味ではなく、申告内容に応じて簡易審査・書類審査・検査などの扱いがあります。

税関審査と税関検査の違い

申告すると、税関は商品名・HSコード・価格・原産国・数量・輸出入規制などの情報・書類を確認します(税関審査)。問題がなければ許可へ進みます。税関が必要と判断した場合、実際の貨物を確認する検査が行われることがありますが、すべての貨物で必ず行われるわけではありません。税関検査を受けたからといって違反者という意味ではなく、申告内容・商品・リスクその他の理由により確認が必要と判断される場合があります。重要なのは、申告:陶器3個・実物:陶器5個のように、書類と実物が一致していることです。輸入時には関税・消費税型の税・その他税が発生する場合があり、必要な関税・内国消費税・地方消費税等を納付し、税関が納付を確認した後に輸入許可となるのが基本です。なお輸出申告では、輸入のような関税納付という構造は通常ありません。

通関ステータスの管理とCS対応

CSの解像度を上げる、ステータスバーの裏側。配送遅延という一つの言葉で処理してはいけない、海外輸送中と通関確認中は全くの別物。配送中の内訳は輸出申告中・輸出許可・国際航空便・輸入申告中・税金支払い待ち・輸入許可に分解できる

「通関中」だけでは、日本側か海外側か、何待ちなのかが分かりません。例えば、未発送→書類準備中→輸出申告中→輸出許可→国際輸送中→輸入国到着→輸入通関中→追加確認中→輸入許可→国内配送→配達完了のように、ステータスを細分化するとCS対応がしやすくなります。配送遅延と通関保留は別で、注文ステータス「海外輸送中」と「通関確認中」を区別します。商品担当(商品仕様・HS)、物流担当(Invoice・配送)、通関業者(申告)、CS(購入者連絡)、経理(税金・支払)のように役割も決めておきます。輸出許可済みでも航空便への搭載待ちの場合があり、輸出許可と発送完了、輸入許可と配達完了もそれぞれ別で考えます。

「税関で止まっています」の切り分け方

トラブルシューティング、税関で止まっているの解体。ステータスがCustoms clearance pendingになったら、輸入申告は済んでいるか、追加書類の要求はあるか、税金の支払い待ちかを順に確認し、誰の対応待ちかを見極めるのが優秀なCSの第一歩

購入者から「税関で止まっています」と連絡が来たら、注文番号・追跡番号・配送会社・現在のステータス・不足書類・税金請求・輸入者への連絡状況を確認します。「税関が遅い」と決めつけません。確認順は、追跡番号→輸入国到着日時→配送会社の通関ステータス→輸入申告済みか→追加書類要求があるか→関税・輸入税の支払待ちか→購入者への連絡待ちか→販売者への確認依頼があるか→税関検査中か、です。配送会社から購入者へ税金支払や本人情報を求めていて購入者が未返信のため止まっているケースもあれば、輸入側通関から販売者へInvoice修正やHS確認・原産国確認を求められ、購入者だけでは解決できないケースもあります。

税関や通関業者から商品カタログ・成分表・商品写真・注文履歴・価格資料等の追加資料を求められることがありますが、追加確認=失敗ではありません。ただし、同じ質問が毎回発生するなら、商品マスタやInvoiceの商品説明を改善します。

申告後に誤りへ気付いた場合|書類・データ・実物の三位一体

修正の鉄則、書類・データ・実物は三位一体。実物Reality・書類Docs(Invoice上の記載)・申告Declaration(税関へ送信されたデータ)を一致させる。すでに税関へ申告した後に自社のInvoice PDFだけを修正しても税関の申告データは自動では変わらない。誤りに気づいたら必ず通関業者・配送会社・税関へ連絡し正式な訂正手続を行う、虚偽申告は厳禁

数量・価格・原産国などに申告後の誤りへ気付いた場合、「もう申告したからそのまま」とはしません。すでに税関へ申告した後に自社のInvoice PDFだけを修正しても、税関へ提出された申告データが自動で変わるとは限らないため、通関業者・配送会社・税関へ連絡し、必要な訂正手続を確認します。税金を安くするために価格を低くする、輸入規制を避けるために別商品名で申告する、原産国を変えるといった虚偽申告は絶対にしません。実物・書類・申告データの3つを常に一致させることが、通関トラブルを避ける最も基本的なルールです。

ビジネスモデルで変わる「国境を越えるタイミング」

ビジネスモデルで変わる国境を越えるタイミング。個別直送B2C Directは注文ごとに国境を越え通関ポイントは注文数だけ発生しImporterは通常購入者。海外倉庫へのまとめ輸出B2B/Warehouseはまとめて国境を越え現地倉庫へ入り、国内購入者への発送は輸入済みの内国貨物として国内配送されImporterは現地法人。ビジネスモデルに応じて誰をImporterにするか事前設計が不可欠

個別直送では、注文ごとに国境を越え、通関ポイントは注文数だけ発生し、Importerは通常購入者です。一方、日本からアメリカ倉庫へ100個をまとめて送る海外倉庫モデルでは、日本側で100個分の輸出通関、米国側で倉庫入庫時の輸入通関を行い、その後、米国内購入者へ1個発送する際にはすでに輸入済みの内国貨物として国内配送します。個別直送と海外倉庫では通関ポイントが違うため、誰が輸入者か、いつ関税等を払うかも変わります。日本メーカーからフランス輸入会社へのBtoB卸売でも、日本側は輸出申告、フランス側は輸入申告という基本構造は同じで、BtoCとBtoBで国境手続そのものが消えるわけではありません。

実際のケースで考えてみよう|日本製陶器をアメリカ購入者へ送る

商品:日本製陶器カップ3個、商品価格:USD90、配送:国際宅配便、販売者:日本企業A、購入者:アメリカ在住Bとします。

Step1〜3|注文・商品・輸出規制の確認
Order:ORD-001、決済確認済み。商品はCeramic tea cup、HS確認済み、原産国Japan、数量3。今回は一般的な陶器製品として特別な輸出許可等はない想定です(実際の商品仕様ごとに要確認)。

Step4〜6|書類作成と配送会社への引渡し・輸出申告方法の確認
DAY52でCommercial Invoiceを作成し、国際宅配便会社へ商品・Invoice・必要情報を渡します。貨物の価格・配送方法・契約によって、配送会社や通関業者が必要な輸出通関を進めます。

Step7〜10|輸出申告・税関審査・検査・輸出許可
日本側で輸出申告が必要な貨物であれば、品名・数量・価格・仕向地等を申告します。税関が申告情報と必要書類を確認し、必要なら貨物検査を行い、問題がなければ輸出許可となります。

Step11〜13|国際輸送・米国到着・輸入申告
日本を出発しアメリカへ向かいます。米国到着=配送完了ではなく、次はアメリカ側の輸入通関です。Importerまたはその代理となる通関関係者が輸入手続を行います。

Step14〜16|輸入税等確認・輸入許可・国内配送
商品分類・原産国・価格・米国制度に基づき必要な関税等を確認し、問題がなければ輸入通関完了となります。その後アメリカ国内の配送網へ移り、購入者へ届けます。

Step17〜18|CS記録・問題発生時の切り分け
ORD-001について、輸出許可済/国際輸送済/輸入通関済/国内配送進行中と記録します。仮に輸入通関中で3日止まった場合は、税金待ちか、資料待ちか、検査か、購入者連絡待ちか、配送会社処理かを調べ、「税関が遅い」だけで処理しません。

よくある失敗

失敗1|Invoiceを作れば輸出手続完了と思う
Invoiceは申告を支える書類の一つです。
失敗2|申告=許可だと思う
申告後に審査・検査等があります。
失敗3|日本の輸出許可が出れば海外でも輸入できると思う
輸入国側で別の輸入手続があります。
失敗4|購入者=必ず輸入者にする
取引形態を確認します。
失敗5|通関業者へ全部丸投げする
正しい商品情報は販売者側で準備します。
失敗6|国際郵便20万円以下なら税関情報不要と思う
税関告知書・電子データ等は別に必要です。
失敗7|輸出側と輸入側の20万円を同じ価格基準と思う
輸出は内容品価格、輸入は課税価格という違いがあります。
失敗8|通関中を全部「配送遅延」にする
輸出・輸入・納税・資料待ち等を分けます。
失敗9|申告後にPDFだけ修正する
申告データの訂正手続を確認します。
失敗10|税金を払えば規制商品も輸入できると思う
税金と輸入規制は別です。

輸出入申告を確認する12の質問

通関コントロール・チェックリスト。プレイヤー(誰が輸出者か、誰が輸入者か、申告は誰が行うか)、データ(HSコード9桁は確定か、原産国は証明できるか、課税価格は正しく計算されているか)、書類と規制(Invoice/Packing Listは揃っているか、他法令の許可はクリアしているか)、トラブルシューティング(保留理由は何か、誰の対応が必要か)を通関済みの一言で終わらせず管理する
  1. どこの国から輸出しますか?輸出国を特定します。
  2. どこの国へ輸入しますか?輸入国を確認します。
  3. 誰が輸出者ですか?契約・申告関係を確認します。
  4. 誰が輸入者ですか?購入者と同じとは限りません。
  5. 誰が輸出申告しますか?本人か通関業者かを確認します。
  6. 誰が輸入申告しますか?輸入者本人か代理者かを確認します。
  7. 商品情報は揃っていますか?品名・数量・価格・HS・原産国を確認します。
  8. Invoice等は一致していますか?DAY52の書類を照合します。
  9. 他法令の許可・承認は必要ですか?輸出国・輸入国双方を確認します。
  10. 税金を誰が支払いますか?申告者とは別に整理します。
  11. 現在は申告・審査・許可のどこですか?通関ステータスを確認します。
  12. 追加資料をすぐ出せますか?商品仕様・価格根拠を整理します。

やってみよう|通関診断&確認チェックリスト

6つのテーマから確認したい項目を選ぶと、確認すべきポイントの目安が分かります。あわせて、通関まわりの確認が一通りできているかもチェックできます。入力内容はこのブラウザにのみ保存され、外部へは送信されません。

① 通関診断

申告と許可の違い
誰が申告するのか
国際郵便20万円ルール
税関審査・検査
通関ステータス管理
申告後の訂正

② 通関確認チェックリスト

①誰が輸出者・輸入者かを確認した
②申告と許可を混同せず記録している
③輸出申告・輸入申告それぞれの申告者(本人/通関業者)を確認した
④郵便物の場合、20万円基準の違い(内容品価格/課税価格)を理解している
⑤通関保留時に「何待ちか」を切り分けられる
⑥申告後に誤りへ気付いた場合の訂正手続を確認している
⑦輸出許可・輸入許可・国内配送・受取を別々に記録している
できている項目
0 / 7
判定

これは自己チェック用の簡易ツールです。実際の申告要件・必要書類は、通関業者や税関の公式情報で確認してください。

アウトプットワーク|輸出入通関確認シートを作ろう

DAY52で作ったInvoiceを使って、実際の注文が今どの手続段階にあるのかを書き出してください。輸出申告済み・輸出許可済み・輸入申告済み・輸入許可済みを、一つの「通関済み」という言葉にまとめないことがポイントです。

① 注文・関係者

② 輸出側

③ 輸入側

④ 通関保留・最終記録

記入できたら完了にする

理解度チェッククイズ

第1問 輸出申告とは何でしょうか?

A.外国へ貨物を輸出するため税関へ必要事項を申告する手続
B.商品レビューを書く手続
C.海外カード決済をする手続
正解はAです。品名・数量・価格等を税関へ申告し、必要な検査を経て輸出許可を受けます。

第2問 輸出申告と輸出許可について正しいものはどれでしょうか?

A.申告と許可は別
B.申告した瞬間に必ず許可
C.許可後に初めて申告する
正解はAです。申告済みだけでは許可済みとは限りません。

第3問 日本からフランスへ商品を送る場合について正しいものはどれでしょうか?

A.日本側の輸出とフランス側の輸入を確認する
B.日本の輸出許可だけで完了
C.フランス側の手続だけでよい
正解はAです。一つの貨物には輸出国側と輸入国側、別々の税関手続があります。

第4問 日本の輸出申告を誰が行えるでしょうか?

A.輸出者または委任を受けた通関業者
B.購入者だけ
C.誰でも無関係に申告できる
正解はAです。原則として輸出者が申告し、委任を受けた通関業者が代理申告することもできます。

第5問 日本の輸入申告について正しいものはどれでしょうか?

A.輸入しようとする者が行い、通関業者へ代理依頼もできる
B.輸出者だけが行う
C.申告は存在しない
正解はAです。輸入しようとする者が原則の申告者で、通関業者へ代理・代行を依頼できます。

第6問 輸入許可前の商品について正しいものはどれでしょうか?

A.外国貨物として税関管理下にある
B.自由に国内販売できる
C.必ず購入者宅にある
正解はAです。輸入許可を受けると内国貨物になります。

第7問 国際郵便で日本から内容品価格20万円を超える商品を発送する場合、2026年8月現在どうなるでしょうか?

A.日本税関への輸出申告と輸出許可が必要
B.価格に関係なく輸出申告は絶対不要
C.VAT申告だけ必要
正解はAです。内容品の合計価格が20万円を超える国際郵便物では輸出申告・輸出許可が必要と案内されています。

第8問 国際郵便で20万円以下の場合について正しいものはどれでしょうか?

A.通常の輸出申告不要でも税関告知・電子情報等が必要な場合がある
B.商品名も価格も一切不要
C.輸入国税関も関係しない
正解はAです。「正式な輸出申告不要」と「税関情報不要」は別です。

第9問 税関検査について正しいものはどれでしょうか?

A.必要に応じて実施される
B.検査になった時点で犯罪確定
C.世界中ですべての荷物を必ず開封する
正解はAです。検査対象になっただけで違反確定ではありません。

第10問 商品が輸入国へ到着しました。適切なのはどれでしょうか?

A.輸入通関を経て輸入許可後に国内配送へ進む
B.到着した時点で自動的に輸入完了
C.輸出申告をもう一度行う
正解はAです。到着後、輸入申告・審査・検査・納税・輸入許可を経て国内配送へ進みます。

第11問|フロー問題 日本から商品発送、Invoice作成済み、輸出申告済み、税関審査中の状態で、担当者が「輸出申告済みなので商品はもう輸出許可済みです」と言いました。何が問題でしょうか?

回答例を見る

問題は、輸出申告と輸出許可を同じ状態として扱っていることです。現在は輸出申告済み・税関審査中なので、まだ輸出許可済みとは限りません。輸出申告済み→税関審査中→必要なら検査→輸出許可と分けて管理します。

第12問|実務判断問題 アメリカ向け商品が追跡画面で「Customs clearance pending」となっています。購入者から「なぜ届かないの?」と問い合わせが来ました。販売者は何を確認するべきでしょうか?

回答例を見る

まず理由を確認します。確認順は、追跡番号→輸入国到着日時→配送会社の通関ステータス→輸入申告済みか→追加書類要求があるか→関税・輸入税の支払待ちか→購入者への連絡待ちか→販売者への確認依頼があるか→税関検査中か、です。

購入者へ「税関が遅いです」とだけ回答せず、税金支払いの案内が出ているなら購入者対応、Invoiceの修正依頼なら販売者側の対応というように、「通関待ち」を何待ちなのかまで分解します。

よくある質問

今回のまとめ

DAY53では、輸出申告と輸入申告を整理しました。今回覚えておきたいポイントは次の5つです。

  1. 輸出と輸入では別々の税関手続がある
  2. 申告と許可は別
  3. 輸出者・輸入者が申告主体だが通関業者へ代理を依頼できる
  4. Invoice・HSコード・原産国・価格が申告情報につながる
  5. 輸入側では必要な税金の納付後に輸入許可となるのが基本

「海外へ発送した」という一言の中には、輸出申告・輸出許可・国際輸送・輸入申告・輸入許可・国内配送があります。この違いが分かれば、購入者から「税関で止まっています」と言われたときも、ただ「配送が遅れています」で終わらせず、日本側の輸出通関か、輸入国側の輸入通関か、税金待ちか、書類待ちか、検査中かと問題を切り分けられます。そして通関業者へ手続を依頼したとしても、通関業者が正しく申告するためには、商品名・HSコード・原産国・数量・価格・用途・素材・Invoice等の情報が必要です。DAY48〜52で整理してきた情報を、通関へ正しく渡せる状態にすることが重要です。

「通関って難しく見えるけど、“出す国で輸出申告、入る国で輸入申告”が基本だよ。あとは、誰が申告して、何を確認して、いつ許可されたかを順番に見れば整理できるよ!」

DAY53まとめ、見えないブラックボックスから管理可能なシステムへ。輸出と輸入は完全に独立した2つの法的手続である、申告(伝える)と許可(通る)のステータスを厳密に分ける、正確な商品情報と書類の準備がスムーズな通関の絶対条件。次回DAY54は関税と手続を誰が負担するか、DDP・DAPの設計を解説する

DAY53の実践課題

DAY52で作った発送例を使ってください。注文(Order No.・商品・数量・価格)、輸出(輸出国・Exporter・申告者・通関業者・輸出申告の要否・申告日・税関・審査・検査・輸出許可の有無・許可日)、国際輸送(Carrier・AWB/Tracking・出発日)、輸入(輸入国・Importer・申告者・通関業者・輸入申告の有無・税関・審査・検査・関税・VAT/GST等・税金支払・輸入許可の有無)、国内配送(配送開始・配達完了)、通関保留(現在保留の有無・場所・理由・誰の対応待ちか・必要資料・対応期限)を書き出してください。最後に、輸出申告済み/輸出許可済み/輸入申告済み/輸入許可済みの4つを分けて記録し、すべてを「通関済み」という一つの言葉にまとめないでください。

獲得バッジ

音声で学んだ
通関マスター
通関確認シート完成
FAQマスター
クイズクリア

次回 DAY54:DDP・DAPとは

関税・輸入税・輸入手続を、売主と買主のどちらが負担・対応するのかを整理します。

DAY54へ進む(公開後にリンクします)

文:横田和也/解決ドットコム編集部

\ 最新情報をチェック /